goo blog サービス終了のお知らせ 

シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

日本は構造改革中か?

2011年02月09日 | 電子産業は花形?
写真はシャープの亀山工場 (下) と工場の屋根に設置されたソーラーパネル。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本経済は、製造業中心からサービス業中心に構造改革中なのだろうか? 日本の製造業の人件費で中国などの新興国の人件費に対抗するのはもう無理だ。 今はまだ踏ん張っている企業があるとしても、いずれ 新興国が技術と品質で追いついてくるのは眼に見えている。

そんな時になってあわてないために、経営者は準備すべきことが山ほどある。 社長室の深々とした椅子にゆったりと腰掛けている暇などないはずだ。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
「分水嶺を迎える日本の製造業」(Jonathan Soble/Financial Times/JB Press 2月8日) _ ※追加1へ
「存在感強める台湾勢 "量から質" へ 」(後藤康浩/日経 net 2月8日) _ ※追加2へ

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
サービス業といっても、社員全員が販売員になる必要はない。 販売員そのものの比率は高まるだろうが、新製品そのものを生み出す研究開発部門、それを現実的な製品にしつらえる設計部門、製品を法的に守る特許法令部門、製造を新興国工場や OEM に橋渡しする製造引き継ぎ部門、販売後のアフターサービス修理部門、宣伝広告などの広報部門、企画を練ったり市場を分析する企画リサーチ部門、そして想定される危機を回避事前準備する危機管理部門など、やることは多い。

まだまだ日本の物作りは健在だなどと、過去の成功例にしがみついて発想を変えられない 頭の固い経営者のいる企業は悲惨です。 そりゃ 中には新興国では製造できない高度な分野も少しはあるでしょうが、極めて少ないはずです。

製造技術の確立した、製造装置さえ揃えれば世界のどこでも作れるような分野は、国内工場の撤退作戦を練ったほうが遥かに損失が少ないってもんです。

欧米は70~80年代に既に多くの分野で日本企業に惨敗しているので経験済みですが、日本は初めての経験なので、構造改革に苦しんでいるのかも__でも失われた20年は長いですよ。 この間 日本の多くの経営者は何をしていたのかと思いますね。
……………………………………………………
一例ですが、95年にインターネットが利用できるようになって、販売形態の一部が変わってきました。 いわゆるネット商店での無店舗通信販売です。 テレビ通販もありますが、ネット通販は CM 料もかかりません。 代表企業は楽天ですね。

また、様々なサービスの1つにネットでの受付処理があります。 これは混むこともなく、複雑な処理が行え、記録も残ります。 ネットバンキングも便利です。

銀行窓口の対応処理は時間が掛かり、今はあまり便利とはいえませんし、そこまで出向くのも大変です。 銀行側も人件費がかかる窓口対応要員を増やそうとせず、ATM 処理を増やそうと誘導しています。
……………………………………………………
PC 通信やスマートフォンは、インターネット抜きでは全く考えられません。 ネット無しでも PC 産業は大きく発展したでしょうが、今の隆盛ほどになはらなかったでしょう。

今の PC 利用の大半は、ネットに常時接続を前提としているので、通信回線から独立した PC 環境はあまり考えられません (金融機関の社内ネットワークは、社外からのハッカー攻撃に対処するため、外部の通信回線には接続していませんが)。

サーバーやデータセンターもこのネット通信を下支えしています。 いわばネット通信が新たな産業を生み出して、更に便利な社会となり、それが益々拡大して既存の産業を取り込んでいます__いわゆるスパイラル効果というものですね。
……………………………………………………
などと考えると、90年以降 バブルがはじけて、ネット通信の利用が拡大、中国の労働集約型製造業が世界の工場として拡大すると共に日本経済の停滞が同時進行していったのは、日本の多くの経営者たちがこのパラダイム・シフトを見逃して、経済の大きな転換点にあるのを見落としてしまったのかも__島ほどもある大きなクジラの背中に乗って悠々とそれまでの経営を続けてきた日本の多くの製造業は、クジラが "中国という更に大きな島" に乗り上げて身動きが取れなくなってジタバタしているのに、さっぱり気づかないようなものかも知れません。

そのうち、クジラが弱って再起不能にならないうちに、"中国という更に大きな島" から早く逃れて身軽になり、再び悠々と泳ぎだすのを待ちたいものですね。 そんな経済環境の変化に対応できた企業のみが生き残るでしょう、いやそれしかない筈です。

以上


※追加1_ 日本のハイテクメーカー、京セラの久芳徹夫社長は先月、記者会見でソーラーパネル事業拡大に関する最新計画を発表する際、量ではなく質に集中し続けた。 京セラのソーラーモジュールはタイとスペインの発電所で仕様を上回る性能を発揮しており、ドイツの製品試験機関からは、高温/湿度/寒さといった過酷な条件を課した後の耐久性テストで最高の評価を得たと報告した。

「とにかく初期費用を抑えたいと考える顧客がいる一方で、それ以上に長期的な信頼性を気にかける顧客もいる」と久芳氏は語った。「我々はただ単に市場シェアを追求しているわけではない」

■ 中国などのアジア勢にシェアを奪われる日本メーカー ■
京セラにとっては幸運だ。 何しろ 日本の経済産業省によれば、日本メーカー全体で05年に世界のソーラーパネル生産量の半分近くを占めていたシェアが、09年には 14% まで低下している。 低コストの中国メーカーが安い代替製品で市場を溢れ返らせたからだ。

ほかの業界も押されている。 CLSA のアナリストらによれば、日本の電機メーカーは過去10年間で海外市場のシェアの3分の1をほかのアジア勢に奪われた。

自動車業界では、トヨタ自動車の旗艦車種である中型セダン「カムリ」の米国販売台数がリコール (回収・無償修理) の影響もあって2010年に 17% 減少する一方、競合する現代自動車の「ソナタ」の需要は2倍以上に増えた。

「現在 日本企業の間で内省の動きがかなり広がっている」。 日本最大級のガラスメーカー、日本板硝子の米国人 CEO (最高経営責任者)、クレイグ・ネイラーはこう話し、今の不安げなムードを、自身が1980年代にデュポン幹部として東京で勤務していた頃に目にした溢れんばかりの自信と対比させる。

日本は以前も、「もの作り」(よく理想化される日本の文化) の衰退について心配したことがある。 製造業の雇用者数は1992年に1570万人のピークをつけたが、その後 2度にわたる日本経済の「失われた10年」の間に3分の1減少した。

各種調査では、日本の学生は他国の学生よりも科学技術のキャリアに対する関心が低いという結果が出ている。

■ 近隣諸国と比べなければパフォーマンスは悪くないが … ■
多くの分野では、日本のパフォーマンスは急成長する近隣諸国と比べた場合に限って弱く見える。 再生可能エネルギーに対する力強い需要のおかげで、京セラなどのソーラーパネルメーカーは中国のライバル企業よりはゆっくりしたペースとはいえ、生産能力を拡大している。

しかし 資本集約型の産業では、相対的な衰退でさえ問題となりかねない。 中国は、急増するソーラーパネル生産量のおかげで かつてない速さでコストを削減でき、京セラなどの日本企業は割高な価格を正当化するのに懸命に努力せざるを得なくなっている。

ほかの面では、日本の衰退は実態よりも悪く見える。 というのも、日本のブランドはもはや家電売り場の棚を独占していないかもしれないが、アップルの iPod やサムスンのテレビには、コンデンサーから NAND フラッシュメモリー、タッチスクリーンのガラスに至るまで日本製の部品がいっぱい詰まっている。

一方 日本の産業機械メーカーは成長著しいアジアの工場に機械を供給しており、日本は今も、韓国および台湾との貿易で純輸出国の座を保っている。

今の悲観論の近因は世界経済危機であり、それに伴って円の対ドル相場が急騰し、輸出を痛めつける15年ぶりの円高水準をつけたことだ。 国内の鉱工業生産は08年2月から10年2月にかけて 3分の1 も減少し、ピークから底までの落ち込みが第2次世界大戦以降最大となった。

■ 生産高は決して08年以前の規模に戻らない ■
1977年以降6度あったそれまでの景気後退では、生産高が 15% 以上落ち込んだことはなかった。 しかし今回、回復期に入っても生産は 60% 程度しか戻しておらず、大手鉄鋼メーカー、JFE スチールの林田英治社長は、08年以前の規模には「決して」戻らないと予想している。

円高のほか、日本の人口高齢化に伴う国内市場の縮小、そして企業に生産拠点の海外移転を余儀なくさせている国際競争の激化にその原因がある、というのが林田氏の見方だ。

日本の産業が抱える問題は国内基盤の空洞化にとどまらない、とマッキンゼーの電機産業担当コンサルタント、ピーター・ケネバンは指摘する。 同氏によれば、それが新たな製品カテゴリーの創出であれ、不採算事業の売却であれ、外国企業の買収であれ、経営者が次の技術進歩の先を見据えて新たな成長源を見つけることができなかったのだという。

「イノベーションが今、サービス、ソリューション、ソフトウエア、ビジネスモデルといった生態系全体を意味する時に、日本企業はまだ基本的にハードウエアに集中している」(ケネバン)

東芝の佐々木則夫社長は本紙 (英フィナンシャル・タイムズ) とのインタビューで、日本企業はもっと積極的に有望な製品分野に進出しなければならず、また、時代遅れの技術を捨てることを恐れてはならないと語った。

■ ガラパゴス問題を乗り越えて動き出そうとする日本企業 ■
「それ自体を目的に機能と性能を高めることだけに集中すると、ガラパゴス問題に陥る」。佐々木氏は、好みがうるさい日本の基準に合わせて開発した日本製品が国外で市場を見つけられない不名誉なガラパゴス現象を引き合いに出して、こう語る。

東芝やその他の日本メーカーは、状況の変化に対応し、例えば クリーンテクノロジーなどの新規市場に攻め込んでいると主張する。 ためらいがちながらも、円の強さを利用して外国のライバル企業を買収する動きもある。 日本企業による外国企業の買収は、08年と06年の方が総額が多かったとはいえ、昨年は4分の1増加して 344億ドル に上った。

政府も企業を手助けしようとしている。 昨年は日本の高い法人税を 5% 引き下げる決断を下し、大学を動かして研究開発で企業と密に協力させようとしている。 また 貿易自由化の利益を盛んに訴え、外国への技術売り込みにも積極的になっている。

慶応義塾大学経済学部の田中辰雄准教授は、日本の問題については、投資家にも責任の一端があると指摘する。 企業は有望な分野にもっと積極的に投資する必要があるが、概して消極的な日本の株主は、イノベーションに報い、自己満足を罰することができていないという。

「サムスンは投資に回すために 1兆円 確保できるが、日本企業にはできない。 経営者にリスクを取るインセンティブがないのだ」と田中氏は語っている。
……………………………………………………
※追加2_ 台湾メーカーが進化を加速している。 従来 米欧日などのメーカーからの受託生産で成長してきたが、PC のエイサー、スマートフォンの HTC のように独自ブランドを掲げ、グローバル市場で存在感を高めるメーカーが台頭している。 様々な顧客メーカーの要望に応じ、けた違いの大量生産を担ってきた結果、台湾メーカーは量産技術だけでなく、商品開発などの面でもレベルアップしたからだ。 モノづくりにおける「量から質」への転換が現実化している。

調査会社の IDC によると、2010年の PC の世界シェアではエイサーは 12.3% のシェアを握り、米デルに次ぐ僅差の3位。 さらにアスースもシェアを伸ばしている。 エレクトロニクス大国の日韓メーカーが5位の東芝は別格として低位に沈んでいるのとは対照的だ。 ノート PC ではエイサーが首位の米 HP をとらえる可能性もなくはない。

スマートフォンでは HTC が iPhone の米アップル、ブラックベリーのカナダの RIM (リサーチ・イン・モーション) と並んで存在感を発揮している。 携帯電話のなかでスマートフォンの比率が高まるにつれ、フィンランドのノキア、韓国 LG 、ソニーエリクソン、米モトローラなど旧来型の端末で上位にあったメーカーのシェアが低下しており、HTC は昨年7~9月期には 1.6% で8位に躍進している。 前年同期に比べれば 0.7ポイントもシェアを上げた。

エレクトロニクス製品では低価格化が進むにつれ、自社はモノづくりをせずに、台湾系の EMS (エレクトロニクス製品の受託専業メーカー) に任せるビジネスモデルが一般化した。 HP、デル、アップルはもちろん日本メーカーの多くも今や台湾メーカーとその中国生産拠点なしには世界に製品を供給できなくなっている。

そうした構造が成り立ってきたのは、台湾メーカーにブランド力がなく、要素技術や商品設計、デザイン力も発注者である日米メーカーが優れていたからだ。 だが メーカーが製品をつくらなくなれば、そうした優位性は時間とともに薄れ、逆に受託専業メーカーは複数社からの発注をこなすなかで、モノづくりの知恵を高めていく。 こつこつ練習を積んできたスポーツ選手が突然、開花し台頭するのと同じように今、台湾メーカーがグローバル市場で活躍し始めているわけだ。

市場の変質もある。 つい4、5年前まで先進国の消費者は信頼できる著名メーカーかどうかを購入の目安にしていた。 どんなに性能がよく、価格が安くても無名の台湾メーカーの商品を購入する顧客は日本や米国には多くはなかった。

しかし 著名メーカーが委託生産を進めるにつれ、ブランドによる商品の違いは薄まり、消費者は無名ブランドでも低価格であれば選択するようになった。 台湾メーカーにとって活躍できる環境が整ったわけだ。 ブランドによる差異化はもはや有名であることでは十分ではなく、アップルのように商品そのものの圧倒的な斬新さや関連したサービスプラットホームがなければ難しい。

今後 中東、アフリカ、南米などブランドの先入観の薄い消費者の多い新興市場では価格による選好で、台湾メーカーあるいは同じような条件を備えた中国メーカーが一気に台頭する可能性がある。 中国の中興通訊 (ZTE) やノーブランドメーカーがグローバルシェアを着々と高めていることに注目すべきだろう。 モノづくりは「1日にして成らず」だが、「5年作らなければ弱る」のだ。

以上

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (TAKA)
2011-02-11 12:57:26
企業の競争力を構成するの要素には、経営力、開発力、製造技術力、コスト力などがあり、今の円高傾向ではコスト力は確実に弱くなっていいる。コスト力をカバーできるものを他に持っているならば何とか踏ん張ることが出来ると思うが、何もない企業は何かを変えないといけない。もし何も改善しないでジリジリと競争力が低下しているなら、その企業の経営者は能力がないと言われても仕方ないと思う。
返信する
Unknown (シャンテサラ)
2011-02-12 11:36:12
コメント有り難うございます。 おっしゃる通りです。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。