シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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中国通でも騙された? 米分析家1

2015年12月26日 | 歴史をひも解いて
左は、『The Hundred-Year Marathon: China‘s Secret Strategy to Replace America As the Global Superpower』。 右はその訳本『China 2049』。 中央は著者ピルズベリー。
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ピルズベリー、この名前は時々目にした覚えがあります。 最初は11月の日経朝刊記事でした。 そして1ヶ月後に またもこの名前の記事を目にしました。 彼は、1969年のニクソン政権から 30年も一貫して国防総省や国務省などで中国軍事動向を調べる要職にあったというから、かなりの “中国通” のようです。
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「グローバルオピニオン 対中国、”甘い幻想” 捨てよ」(11月23日 秋田浩之/解説委員/日経) __「70年代の米国のライバルは日本であり キッシンジャー元国務長官が唱えた “(友人は日本でない) 中国” は決して中国は米国に挑まないとの考えが米国内で広まったが、これは実は誤りだった。 中国は建国 100周年の2049年までに世界覇権を握る “マラソン戦略” を着々と進めている」(ピルズベリー米国防総省顧問)

 「風見鶏 米中の ”密約” と日本」(12月20日 同上) 
__「詳細不明の米中秘密協力が長年にわたって行われ、テロ対策や北朝鮮問題で中国との協力は無視できない。 キッシンジャーらの対中重視路線に乗って日本を軽視しすぎて、日本に罪悪感を感じている」(同上)
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読めば読むほど 興味がむくむくと湧いて着ます。 そこで “ピルズベリー関連” の記事をネットで探すと、続々と出てくるし、過去の幾つかの記事も PC 内に保存してありました。 最も古いのが14年10月の Wedge Infinity 記事ですが、これはその1ヶ月前のウォール・ストリート・ジャーナル記事が元ネタとなっています。 ということは、14年9月にはピルズベリーは自身の過去の中国分析の誤りを認めていたわけです。
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「西側は中国をどのように見誤ってきたか」(14年10月27日 岡崎研究所/Wedge Infinity)
 “Misunderstanding China__How did Western policy makers and academics repeatedly get China so wrong?”   By Michael Pillsbury  Sept. 17, 2014 WSJ
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“XX通” であるということは、XXを性善説で眺め、解釈しようとするでしょう。 一般的に 人のモノゴトの考え方というものはそういうものです。 そして対象物が好きだから、理解が益々深くなります。

モノゴトには何でも光る面と影の面があるが、通の人は最初は “光る面” を見る傾向が強いでしょう。 多少 影の面が目に入ったとしても、それは無視するか過小評価するものです。 あばたもエクボに見えるというコトワザにも通じますね。
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そして 今年の2月にはピルズベリー著「The Hundred-Year Marathon」が発刊され、”米国と交代してグローバルな超大国になろうとする中国の秘密戦略” を暴露しました __ 中国は建国から100周年の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしているのです。

米国は中国に対し、「欧米や日本の犠牲になった貧しく弱い国」との認識から始まり、「建設的関与」により中国を支援して強くし、豊かにすれば、国際社会への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきたが、それは巨大な幻想だった、とも (後述から)。

2月発刊の著書はかなりの量の内容だから、1年以上かけて書いたものでしょう。 その前の数年前からピルズベリーは過去の中国分析を訂正していたと思われます。 30年前からの考えを変えるには、どのような理由があったのでしょうか?

“中国通” であるからには、中国首脳に脈々と受け継がれている「100年の計」に関する書きものか内輪話を、どこかで嗅ぎ付けたことが想像できます。 自分自身が構築したデータ分析から見つけ出した結論とは考えにくいですね。
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「中国の100年計画 毛沢東はいまだに生きている!?」(15年2月12日 The Liberty Web ⁂)
「秘密の “100年戦略” 中国超大国への策、米国トップ中国研究者が警告」(2月13日 佐渡 道世/大紀元)
「中国 “100年のマラソン” 戦略」(2月15日 古森 義久/産經新聞 ※)
 「手なずけるはずが深刻な脅威に、大間違いだったアメリカの対中政策」(2月18日 古森 義久/JB Press) __ ピルズベリーは、中国が米国を圧して、覇権を行使できる世界秩序を構築することを意図している事実を2010年頃から認識するにいたった。
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上記 The Liberty Web (⁂) コラムでは以下のように紹介しています __「100年の計」によって、"過去40年間" 米政権が延々とだまされ続けてきことを指摘。 その間 中国は、発展途上国であることを強調して、アメリカを刺激せずに経済的・技術的支援を引き出すことに専念してきた。

その目的は、いずれ経済的にも軍事的にもアメリカを超え、戦後アメリカが築き上げてきた国際システムを、中国共産党が支配する政治・経済システムに、そのまま入れ替えることにある。

 こうした見方は、すでに2012年末に発刊されている『実践・私の中国分析』(平松 茂雄著、幸福の科学出版刊) でも指摘されており、中国の国家戦略に関する分析も重なる
__というから、ピルズベリーよりも2年も前に 日本の中国研究者が既に発表していたわけです。 著者 平松 茂雄は、日本の政治学者、評論家。 国家基本問題研究所評議員 (ウィキペディアから)。

ただ 日本人学者よりは、米国人専門家の方がどうしても世界への発言力が大きく、影響が桁違いなのは否定できません。 それは覇権国と、その覇権国の肩にちょこんと乗った ただの国との違いでしょうか。

極めつけは下記 WSJ 記事です。 “100年のマラソン” が発刊されての書評でしょう。 この記事は、タイトルは読めたが全文は読めませんでした (私は購読者ではないので)。
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“Panda Hugger Turned Slugger”__For years, Pillsbury’s view fit the Washington consensus: China, with the help of the U.S., would become a peaceful power.  No longer.   By Howard W. French  Feb. 26, 2015 WSJ
 (“パンダハガー=親中派がスラッガー=猛打者=強硬派に変わった”__何年もの間 ピルズベリーの見解はワシントンの総意 : “中国は米国の援助で平和的な勢力になるだろう” と一致していたが、もはやそうではない)
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相変わらず 米国は “お人好しだなぁ” というのが最初の感覚です。 それに比べ、三千年とも、五千年ともいわれる長い歴史と戦乱を経てきた中国は、したたかというか、狡猾というか、賢いというのか、役者が上だとも感じますね。

米国自身、資源が豊富で 技術や資金、軍事力も世界一の国家だから、これまで戦争で負かして来たドイツや日本、そして戦後は朝鮮半島、果てはフランスから頼まれてヴェトナムまで引き受けて共産勢力と戦い、アフガニスタンやイラクなど中東問題にも関与してきましたが、米国の関与がうまくいったとはっきりいえるのは、ドイツと日本くらいのものでしょう。

戦前から日本に対しては中国侵略を非難し、ことあるごとに中国の肩を持ってきましたが、共産化した中国にも多くの協力をしていた暴露話しを読んで、またまた驚くと同時に そこまで米国の援助を引き出した中国首脳の腕前に舌を巻いてしまいます。

関連記事を追いかけていると 長くなるので、とりあえず ここまで。

つづく

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