シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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『白い巨塔』ドラマは面白いが …

2019年07月03日 | シネマ何だかんだ
左は1978年版。 右は1990年版の『白い巨塔』から患者胃のレントゲン映像を見る場面。
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YouTube に何本かの TV 版『白い巨塔』が投稿されています。 田宮二郎主演の1978年版、村上弘明主演の1990年版の一部を初めて視聴しましたが、ドラマは文句なく面白いです。 原作がいいのでしょうね。

しかし 登場する舞台というか場面で多いのが、料亭・クラブ バー・主人公の愛人宅で、医科大学内部でのやりとりは 医療ドラマにしては少ないように感じます (しかも 殆どの場面でタバコを吸うシーンが煩雑に出てきます。 今 医者がタバコを吸うなど考えられません)。

これでは 教授を選ぶ過程や背景が、まるで医療業績よりも 関係者への接待・贈賄・利権・見返りポストで決まるような印象を受けます。 フィクションだから、娯楽小説だからといってしまえば 身も蓋もありませんが、大学で医学を志す様子よりも学内・学外遊泳術優劣の披露のようなドロドロした人間模様が中心となっています。
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ウィキペディアから__『白い巨塔』は、山崎豊子の長編小説。 浪速大学に勤務する財前五郎と里見脩二という対照的な人物を通し、医局制度の問題点や医学界の腐敗を鋭く追及した社会派小説である。 山崎豊子作品の中でも特に傑作と名高く、1966年の映画化以来、何度も映像化された (※追加1へ)。
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とはいえ どの世界にも公平な人事は、”残念ながら” ありません。 公平なものは入学試験だけで決まるものかと想像しますが、ここ数年 話題になった某医科大学の入試でも 女性排除や浪人生排除が意図的に行われていたことが発覚し、問題となっていますね。

入社試験や昇格人事も、縁故採用や納入先企業関係者家族の採用あり、自派閥の昇格あり、極端な例では愛人を昇格させるなども 私が所属していた会社の別部署であったとも聞いていますから、人間世界は絶対的な成績結果ではなく 魑魅魍魎 (ちみもうりょう) の世界といっても過言ではないかもしれません。
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山崎豊子の小説『白い巨塔』は数十年前 単行本で面白く読みました。 ドロドロした人間模様の海の中を泳いでのし上がる主人公に対し、原作者はそうした人間関係に煩わされず ちゃんと医学の道だけに邁進する好人物を配し、また その人を尊敬する良家の子女なども登場させて、主人公の愛人とは違う配役で一種のバランスを保っているのは流石です。

大学医学部の世界は、その勢力下に系列校・系列病院が網の目のように張り巡らされています。 医学生が本学に残って教授を目指すか、或いは条件のいい系列に行って できるだけ高給を稼ぎたいというのも理解できないでもありません。

しかし 多くの優秀な人、医学者も大勢集まれば、同じような能力の医学者だらけとなり、その中では どうしても意見や好み・利害関係の合う人たちがあちこちに派閥を作るのは避けられません。 そこに有力ポストに空きができたとなれば、『白い巨塔』の世界のようになるでしょう。

一般的に 医者は患者から頭を下げられても、自分から頭を下げることはありません。 患者に頭を下げる必要はないからです。 頭を下げる相手は自分に利益をもたらしてくれる人だけです。 また 医者ですからと お高くとまっていても、多くの部分は他の世界と大きく変わらないのも事実です。
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70年代の東大紛争は、無給医など こうした弊害に改革を求める声が一挙に吹き出したのが一因ともいわれていますね。 その後 改革された部分もあったのでしょうが、旧態依然とした多くの慣行は未だに残っているのではないでしょうか。 長い年月を経て形成されてきた慣行が、そう簡単に 是正されるとも思えません。

いわば 人間の心に巣食う怨霊 (おんりょう) というか、業 (ごう)・宿命なのかも知れません。 多くの人たちが集まるところには、そうした思惑・性格・欲望・嗜好がカゲロウのように立ち昇り、消そうにも消せない類のものともいえますね。
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以下 細かい点ですが __ 1978年版、1990年版 TV 映像でも教授選に絡んで、”二股掛けする” 小ズルイ教授が出てきますが、どちらの役者も教授には見えなかったですね。

私の偏見ですが __ 大学教授という人種は、専門XXというか どこか浮世離れした雰囲気があり、図々しく両陣営からうまい汁を吸うなどという器用な人物はいないように思います。 もっとも そういうキャラの人物を登場させたのは原作者ですから、省くわけにもいかなかったのでしょう。

田宮二郎のあまり口を開けない低音の発音は魅力的ですが、少し難がありますね。 所々 不明瞭なセリフがありましたよ。 無視しても ドラマの進行には殆ど無関係でしたが。

教授選までは主人公が理不尽な形でイジメられ、視聴者から同情されるる役ですが、次の誤診を巡る裁判では一転して主人公が保身のため イジメる側になり、視聴者の心が裁判証言で大学を追放されかねない助教授に傾いていくプロットになっています。

それと 演技の幅が広くないと思われる役者もいました __ 主人公の上司の老教授と、総回診の時に主人公に受け持ち患者の精密検査を提案し、却下される若い医師です。 老教授は、教授室でタバコをくゆらせながら 主人公を脅すか、料亭での談義しか演技せず、娘役と郊外の道を歩く時のぎこちなさにはがっかりです。 若い医師も真面目さが取り柄だけで、あれでは他の役が付かないだろうと想像しました。
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しかし この『白い巨塔』の TV 番組化というのは多いんですね。 1967年・78年・90年・2003年・07年 (韓国)・19年と、6回も映像化されています。 それだけ放送番組として企画し易い、やり甲斐のある作品なんでしょうね。

逆にいうと 他に重厚な医療ドラマ原作がないともいえます。 また 医科大学の古い因習が、まだ古くなっていないからこそ、山崎豊子の『白い巨塔』が何度も引っ張り出される永遠の医療ドラマかも知れません。

今日はここまでです。


※追加1_1963年9月15日号から1965年6月13日号まで『サンデー毎日』に連載された。 当初 第一審までで完結の予定であったが、読者からの反響が予想外に大きかったため、1967年7月23日号から1968年6月9日号にかけて「続・白い巨塔」を『サンデー毎日』に連載した。
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1978年のテレビドラマ『白い巨塔』は、1978年6月から1979年1月にかけて、フジテレビ系列で放送されたテレビドラマである。 主演は田宮二郎。 山崎豊子の小説『白い巨塔』の3度目の映像化作品。 その後 リメイク版が2作品製作された。 当時スキャンダル (借金・双極性障害など) が物議をかもしていた田宮二郎 (財前五郎役) の代表作かつ遺作 (作品放映中に自殺) となった。

撮影時期 田宮に関しての奇行記事が女性週刊誌などに都市伝説として複数掲載されていた。 現実と役柄の境界が不明瞭となり、航空機にて急病人が出て乗務員が医師を捜すと、たまたま同乗していた田宮が「医師の財前だが」と名乗り出た。

1990年のテレビドラマ『白い巨塔』は、1990年4月2日・3日にテレビ朝日系列で放送されたテレビドラマである。 テレビ朝日と大野木オフィスの共同製作。 全2話。 財前五郎役は村上弘明。 山崎豊子の小説『白い巨塔』を映像化した作品の1つ。 テレビ朝日による映像化作品としては、NET テレビ時代に連続ドラマとして放送された1967年版 (全26話) 以来となる。 本放送翌年の1991年に、テレビ朝日が関東ローカルの新春特別企画として本作の再放送を行ったことがある。 また 神奈川県横浜市にある放送ライブラリーでは本作の視聴が可能である (ウィキペディアから)。

以上

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