シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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倍賞千恵子とH.フォードのイメージは …

2019年02月02日 | シネマ何だかんだ
上左から 1962年 (ウィキから)。「下町の太陽」(63年映画)、「さよならはダンスの後に」(83年 TV 映像)、映画「男はつらいよ」から。 下左は女医から患者をストレッチャーごと重症室に運ぶよう頼まれる清掃員に扮した『逃亡者』主人公。 右は重症室ではなく手術室に運んだことを女医から問われる主人公。
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倍賞千恵子というと、頭に浮かぶのは俳優と歌手です。 最初は歌手としてのイメージでしたが、映画『男はつらいよ』シリーズがヒットしてからは 役名のさくらのイメージが強くなり、今ではすっかり 庶民派女優の顔が浮かんできます。

歌は上手く、私も昔 LP を1枚買いました。 その歌はどちらかというと 哀愁のある歌が多かったように思います。「下町の太陽」(1962年)、「さよならはダンスの後に」(1965年)、「さくら貝の歌」などが代表曲でしょう。

「下町の太陽」と「さよならはダンスの後に」の曲調が似ているので、同じ作曲者かと思ったら、前者は江口浩司 作曲・小川寛興 編曲、後者は小川寛興 作曲・小川寛興 編曲と、編曲者が同一だったのですね。 それで似ているのかもしれません。

それら哀愁調の歌、庶民派女優が重なると、エンターテイナーとして見た場合、華やかさというものが感じられず、娯楽系を行くエンターテイナーではないと感じますね。 笑顔は見せますが、笑い転げるという風でもないですね。 それがいい悪いというのではなく、そうしたキャラが彼女には固定化してしまったという事です。

ヒット作品に出演すると、どうしてもその役柄と重なってしまい、それ以外の役が回って来ないという負の側面があります __ 米 TV シリーズの「スーパーマン」役もそれ以外の役がなく、自殺してしまったほどです。

日本の女優の中で、岩下志麻は最初 清純派女優だったのが、中年になって極道の妻シリーズを演じてからはイメージが変わりました。 これは新境地を打ち出して成功した例でしょう。 極妻をやらなければ 永遠に清純派女優のままだったでしょう (私は極妻映画を観たことはないのですが)。

また清純派女優を続けているのが、吉永小百合です。 これはこれでいいのでは、 
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ウィキペディアから __ 倍賞 千恵子 (1941〜) は、日本の女優、歌手、声優。 実妹は女優の倍賞美津子。 幼少時は「のど自慢」荒らしとして知られ、みすず児童合唱団を経て、1957年 松竹音楽舞踊学校に入学。 60年 同校を首席で卒業し、松竹歌劇団 (SKD) 13期生として入団、若くして「逸材」と注目される。

1961年 松竹映画にスカウトされ松竹歌劇団を退団し、『斑女』(中村登監督) で映画デビュー。 63年 山田洋次監督の映画『下町の太陽』に主演して以降、山田作品に欠かせない庶民派女優となる。 映画『男はつらいよ』シリーズでは渥美清演じる主人公車寅次郎の妹さくら役を演じ、人気を不動のものにした。 映画『男はつらいよ』シリーズ終了後は、音楽に重点を置いた芸能活動をしている。

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俳優の中には、ヒット作に恵まれず 一生端役か、もしくは大部屋専門で終わってしまう俳優の方が圧倒的に多い世界です。 人気が付くかどうかは、本人の中に光るものがあって、しかもそれを目に留める監督かプロデューサーが取り上げるかどうかで決まるでしょう。

それで世に出ても、人気が付かなければ 忘れられてしまう世界ですから、運も左右するでしょうね。 厳しい世界ですが、演劇界とはもともと そういうところです。
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そうした俳優や芸能人、はたまた音楽関係者の世界もある意味 似たようなものです。 コンクールで優勝するとか、有名指揮者と共演するとか、実力があっても さらに運に恵まれなければ、大衆は目を向けてくれません。

人気稼業でもありますから、失言は命取りです。 既婚者との不倫騒ぎで番組から声が掛からなくなった人、CM 前で「トイレタイムです」と発言して消えてしまった人、脱税と結婚スキャンダルで週刊誌に載ったヴァイオリニストなど、人気を失った例が幾らでもありますね。
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もう1つ 1993年の米映画『逃亡者』を鑑賞していて、この映画の主人公には確かにハリソン・フォードの持つイメージがぴったりだと思いました。

トム・クルーズやシュワルツェネガーは向かないですね。 元外科医 (=逃亡者) というものを感じさせませんから。 トム・クルーズのイメージはもう スパイ・アクションに固定されつつありますし、シュワルツェネガーもマッチョマンのイメージが固定していますからね。 彼らは娯楽系エンターテイナーとして認識されています。

インディ・ジョーンズのアクション映画でもにやけた表情をする場面もありましたが、 ハリソン・フォードの役柄はどちらかというと 悪人に立ち向かうタフな役柄で、悪役には向きません。 演じても どこか “嘘っぽい悪役” となるでしょう。

『逃亡者』は無実の罪で服役するところを逃げ出し、真犯人を追いかけるストーリーですから、主人公は絶対 無実そうだと思わせる役者でないと映画になりません。 そのイメージでフォードを指名したプロデューサーは、よく脚本を読み込んでいたのでしょうね。

最後に冒頭下写真の部分を映画のノヴェライぜーションから概略を紹介します。 清掃員に扮した “元外科医” が、女医の指示を書き換えて緊急患者の命を救うという胸のすくシーンです。
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イーストマンは振り返り、キンブルに気が付いた。「ちょっと! この子を重症室に運んで」
キンブルはうなずいてストレッチャーを廊下の奥の方へ押し始めた。 キンブルはレントゲン写真をのぞき見て、ぎょっとした。 思わしくない。 胸骨が骨折し、その一部が大動脈を圧迫している。 エレベーターのドアが閉まると、キンブルはチャートを手に取り、指示を書き込んだ。
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「あなた、患者のレントゲン写真に特別な興味があるの?」「どういう意味ですか?」
「とぼけないで。 あなたがあの男の子の胸の写真を見ているところを見たんだから」「私の趣味のようなものでして」
「他にどんな趣味があるの? 脳の手術?」「何がおっしゃりたいんで?」

__『逃亡者』(J.M. ディラード著 入江真佐子訳 ハヤカワ文庫 1993年) から

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今日はここまでです。

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