シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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中国の三重苦 “大気・水・土壌汚染”

2013年12月26日 | 海外世相あれやこれや
写真上左は、大気汚染の影響で濃いもやに包まれた中国東部 江蘇省 (12月)、右は愛犬にもマスクをさせて散歩をしていた若い女性 (河北省 12月)、下左は北京の路上で口を覆う女性 (11月)、PM2.5 分布予測 (12月24日 橙色が多く水色・白が少ない)。
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連日 取り上げられる中国の大気汚染や地下水の汚染。 記事を読めば読むほど、”解決は絶望的” だと納得させられる内容が多い。 ということは、これから暫く何十年かは中国地域に住む人々や そこを訪問する人々は、肺だけでなく 体全体が健康に悪影響を受けることを覚悟しなくてはならないということだ。
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「”空気と水” の汚染が止まらない中国」(12月16日 Voice) _ ※追加1へ
「中国で 8億人 が “呼吸困難に”」(12月11日 北京共同)
「続く深刻な大気汚染=南京の小中高は休校」(12月5日 上海時事)
「空気よりも汚れている中国の土と水」(12月3日 姫田 小夏/JB Press) _ ※追加2へ
 「米国大使が辞任表明 … 大気汚染が原因との憶測も」(11月23日 サーチナ) 
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日本では最近 タバコを吸う人が減ってきたが、年配の人はまだまだ吸う人が多い。 そういう喫煙者と同席 雑談すると、そこに灰皿があるからなのか 2割位の人が喫煙する。 本当は断ってから吸って欲しいのだが … と思いつつ、私は吸わなくても その場に居続けると “受動喫煙者” になってしまう。 これと同じで、中国では総人口が “受動喫煙者” という状態だといってもおかしくない__でも誰も、声を大にして ”抜本対策を!” とはいわないのが不思議だ。

12月だけでも うんざりするくらい、多くの中国発汚染記事が載っているが、政府や地方自治体が対策に乗り出しているかというと、「現状で北京の空気を劇的に改善できるのは雨と風だけ」(北京のテレビ関係者) という事情からして どうやらそれはサッパリのようだ。

日本への影響は今のところ 報告されてないが、心配なのは中国から輸入される食料品類だ。 スーパーなどで販売されている野菜類で、原産地表示があるので分かるが、”格安品” は間違いなく中国産だ。 私は 最近はいくら安くても、中国産野菜は避けるようにしている。

先頃 中国駐在の米大使が来年には辞任して米シアトルに帰ると発表されたのも、早くこの汚染大気から逃れたいと考えてのことではないだろうか? もちろん そうはいわなかったが。
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日本もかつて 高度成長期には公害が多発したが、1975年には GNP の 2% に相当する約 9650億円 もの民間の公害防止関連投資を行い、現在 世界一の環境保全技術が出来上がった (記事2)。

中国の大気・水・土壌汚染についても、国民住民一般市民の抗議や告発がないと解決は難しいと想像するが、中国は市場経済主義の一方 政治は1党独裁の共産主義で、更に法治国家ではなく 人治国家の側面もあるから、ますます汚染問題の解決を困難にしている。 要するに人が動かないと、何も変わらない国であり、それも地方政府・中央政府のトップが動かないと、何も進まない “動きの悪い国” なのだ。

加えて “メンツの国” という側面もあり、国外から「汚染問題を早く解決しなさいよ」などと とやかくいっても、「それはあなたがたの国ではない、自分の国のコトは自分で解決する」といわれたら、お手上げなのだ。

また 市場経済主義が行き過ぎた結果 拝金傾向 (いわゆる “金儲け” 主義) が顕著であり、公害対策というと利益を生まずに、逆に利益を食いつぶすから、かの地の経営者はますます公害対策には二の足を踏み、コストをかけようとしない。 役人も “3年任期” が過ぎれば、あとは知ったことではないという風潮ならば、成果の出難い公害対策に手を付けるより、成果の出易い産業振興・企業誘致にばかり走ることは眼に見えている。

さらに 数値基準設置などのインフラも何もないところに、”対策を” といっても何に手を付けたらいいかも分からないのではないだろうか? 外国から技術を持ってきて安く仕上げる・生産することだけに集中してきて、自分で考えて来なかったツケがいま これらの汚染問題対処にも出ている。

手っ取り早くいうと、物真似ばかりしているからだ__ディズニーランド風の遊園地やキャラクターやガンダムのコピー、ロシア製戦闘機のコピー、日本製オムツのコピー、などなどコピー製品を数え上げたら切りがないほどだ。
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詰まる所 言論の自由がない国では、抗議や告発ができない。 新聞や放送などのメディアも党独裁下でコントロールされているから、なかなか政府への批判記事や放送はできないのだろう。 また 土地が誰のものなのかはっきりしないという共産体制下では、土地を本格的に浄化しようという気運も生まれにくいと想像する。

それやこれやが重なって、国民全体が苦しむ中で、自分たちでもどうやって解決策を考えていったらいいのか 恐らくまだ見通しも立てられない、しかも国外から指摘されても メンツが邪魔して素直にいうことを聞けない ナイナイ尽くしで頭を抱えているのが見えるようだ。 頼みは天気の神様か?

以上


※追加1_ (抜粋)  PM2.5 と発がん性の関係が明らかに
中国東北部で暖房が解禁された10月下旬、各家庭で一斉に石炭が燃やされたことで 東北三省の大気の状況は一気に悪化した。 ハルビン市では、一時 PM2.5 の濃度が 1立方メートル当たり 595マイクログラムにも達し、「散歩で自分が連れている犬の姿が見えなかった」などといったジョークまで飛び交ったという。

「日本人の中国離れが大気汚染によって一気に加速していると思います。 特に 家族だけを日本に帰す動きが目立っている、と引っ越し業者が話していました。 2012年の反日デモの影響で下火だった中国人の日本旅行は、国慶節のころには元に戻ったようですが、日本人の中国観光はまったく戻ってこないと業者は嘆いています。 対前年比でマイナス 60%、ひどいケースではマイナス 90% にも落ち込んだといいますからね。 これも PM2.5 の影響でしょう。 どうやら 日本人が中国を敬遠する最後の引き金を引いてしまったようです」(全国紙の北京特派員)

影響は日本人にとどまらない。 欧米のビジネスマンも中国への投資を手控える動きを見せ始めているという。 2013年10月にWHO (世界保健機関) が、PM2.5 と発がん性の関係について初めて正式に認めたことが大きかったとされる。

加えて 中国疾病予防コントロールセンターも、2013年に中国で発生した PM2.5 による大気汚染によって健康に影響を受けた人口が全国で約 6億人 に達し、国土にして全17省 (直轄市と自治区を含む) の4分の1にも及んだとの数字を公表し 人びとに衝撃を与えたのである。

PM2.5 の原因となっているのは、工業使用の石炭だけではない。 空気中のホコリ (20%) のほか、暖房用に使用される石炭が約 18%、そして最も大きな原因とされるのが、自動車の排気ガス (20%) なのだ。

この状況を改善していくためには、暖房用には1カ所で温めた熱湯をまとまった町に提供する方法や、個々の家庭で燃やしている石炭や練炭に代えてガス・エネルギーを提供することが大切だ。 だが それらは金銭面からも障害が大きいのに加えて、石炭を常用する低所得者の塊のような集落に対しては、たいてい 都市開発の観点からも彼らの住環境を充実させて、居座られては大変だという行政サイドの思惑も働いているから複雑なのだ。

「現状で北京の空気を劇的に改善できるのは雨と風だけ」(北京のテレビ関係者) という重い現実が横たわっているのだ。

いずれ飲み水がなくなる
水不足が深刻な北京市では、現在 消費する水資源の約 40% を地下水に頼っているのが実態である。 4割を依存するとなれば 大変なことだが、その地下水にもいまや汚染の波が及び始めているという。

中国農業科学院の研究者が2009年に北京市平原区の322の観測地点で行なった調査で、「比較的汚れている」および「きわめて汚れている」に分類された箇所が 41% にも及んだというのだ。 同じ時期 中国地質科学院水文環境地質環境研究所が公表した華北平原における地下水の汚染状況の調査によれば、いまだ汚染されていない地下水は全体のわずか 55.87% でしかなく、44.13% の地下水はすでに何らかの汚染の影響を受けていたことが判明したというのである。

2013年にも、病死した豚の肉が流通していた問題から 成長ホルモン剤漬けの養鶏場の摘発、カドミウム汚染米、さらに もはや定番にもなっている地溝油の問題が再燃した。 そして現在は インスタントラーメンのスープに重金属が含まれていた問題が騒がれている。
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※追加2_ (抜粋) 「こりゃダメだ」と思った肥料工場跡地
2008年に広東省の肥料工場の跡地を訪れ、汚染状況を測定した鈴木さんが語った。
「その土中からはベンゼンなどの化合物が検出されましたが、これは白血病の原因ともなります。それ以外に PCB (ポリ塩化ビフェニル) や農薬も検出されました。

土壌汚染には、下から上がってくる揮発性の有機化合物もあれば、水中に溶け出す重金属類もあります。 けれども 中国政府が問題視しているのは重金属類だけ。 土壌汚染を規制する法律もなければ、基準値もないに等しい状況なのです」

一説によれば、中国は国土 (960万平方キロメートル) の10分の1がすでに汚染されているという。 汚染は中国北部よりも南部がより深刻で、特に長江デルタや珠江デルタなどの工場集積地の汚染は甚大なものとなっている。

中国ではここ数年、PM2.5 をはじめとする大気汚染が問題視されているが、実は水質汚染や土壌汚染の方がさらに深刻な状況だ。 農薬による農産物の汚染も問題だ。 広東省では “カドミウム米” が問題になっている。

鈴木さんは次のように話す。
「中国では、すでに全国規模で農地が重金属類と農薬で汚染されています。 その1つの要因は “河川” にあります。 日本の河川は山地から流れ出し、海へと到達する距離が短く高低差があるため、汚染物質をあまり残しません。 一方 中国の川は距離が長く勾配がありません。 そのため 重金属類などの汚れがどんどん河床に溜まっていきます。 そうやって汚染された川の水が農業用水、生活用水として使われているのです。 中国の農産物を輸入する際、残留農薬をチェックすることはできても、植物体に取り込まれた重金属類までは検査していません」

鈴木さんを訪ねて来日したある地方政府の役人の一言__「私たちはしょせん3年しか任期がありません。 その間に注目を浴び拍手喝采される事例を1つでも作れればいいんです」__役人たちは表向きは確かに一生懸命だ。 だが それは在任期間だけで、自分が離れてしまえば あとはあずかり知らぬこと、というわけだ。

土地は国家の所有物
さらに根本的な問題がある。 それは、土地が誰のものなのかはっきりしないということだ。 土地を本格的に浄化しようとした場合、これが決定的な阻害要因となる。 中国は、土地は国家のものであり、民間にはその “使用権” が与えられているに過ぎない。 その土地の土壌汚染は「誰の責任か」すらも問えない状況なのだ。 しかも 土壌汚染に対しては明確な法律法規も基準値もない。 すなわち、「どういう状態が汚染なのか」の定義付けすらできないのだ。

中国国民は立ち上がれるか
中国では「改革開放政策」導入から三十余年が過ぎた。 それは、日本企業を含む外国資本の技術や経験によって成し遂げられた経済成長の歴史でもある。 一方で 中国には、手っ取り早く、かつできるだけ安く「最新」の技術を外国から取り入れる習慣ができてしまった。 土壌汚染の解決についても自国での研究開発を行わず、外資頼みである。

こと公害問題については、もっと中国国民が強く抗議の意を示して企業や政府と戦わない限り、解決の糸口はつかめないだろう。 ところが 中国では、自分の利益に結び付かないことには誰もが他人事なのだ。 今まで日本は中国に “与えすぎた” のかもしれない。

以上

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