産経新聞政治部官邸キャップ 阿比留記者の「菅首相との445日間」 歪んだ政治手法と嘘の数々 「不毛な空騒ぎ」の日々
事故発生後、首相は「1週間眠れなかった」という。要はパニック状態に陥り、周囲に当たり散らし、物事の優先順位を理解しないまま不的確な指示を飛ばしていたのだ。 第1原発への海水注入の中断問題もそうだ。首相は「私が止めたことは全くない」と自らの関与を全否定するが、それはごまかしにすぎない。 確かに海水注入は現地の吉田昌郎所長が独断で続行したため中断してはいない。とはいえ、首相が「再臨界の可能性がゼロだと言えるのかっ」と怒鳴り散らしたことで官邸から「作業中断指示」が出たのも事実だ。首相による人災発生を現場がかろうじて食い止めたというのが実情だ。 「首相は原発にばかりこだわり、最初の10日間は肝心の被災者支援は全く空白で動いていなかった」 震災で危機管理にあたった政府高官はこう断じる。被災対策に携わった政務三役も「私もそう思う」と同意する。つまり被災者は電気も石油もない被災地に人為的に置き去りにされたのだ。 ■隠蔽と保身 首相だけではない。枝野幸男官房長官は記者会見での冷静な姿勢を評価されたが、実は姑(こ)息(そく)な責任回避を図り続けた。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の観測結果を非公開とするよう指示したのも枝野氏だった。 「SPEEDI情報はどこかで一元化して勝手に出さないように…」。官邸筋によると、枝野氏がこう指示したのは3月17日。同日のデータでは後に全村避難を強いられる福島県飯舘村で高い数値が検出されていた。「パニックを恐れ住民を犠牲にした」と批判されても仕方あるまい。 昨年9月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、那覇地検が中国人船長を超法規的に釈放した際、首相や仙谷由人官房長官(当時)は「地検独自の判断だ」と繰り返したが、これも真っ赤な嘘だった。 (産経ニュース 2011.8.26)(2/5ページ) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110826/plc11082620530037-n2.htm