杉並の純一郎(3)

2009年12月で68歳に!
先の戦争が一体なんだったのかを今一度勉強し、次の世代に伝えてゆきたい。

アザデガン油田開発に思う

2006-03-23 22:45:29 | Weblog
23日の産経はイランのアザデガン油田開発に関して「米、日本に凍結要請」-‘イラン核阻止へ障害’とワシントン 古森記者が報じている。アメリカ高官は日本がイランに原油の15%を依存していることに理解を示しながらも、非公式な形でアザデガン石油の開発を少なくとも中断することを要請したことを明らかにした。そしてその根拠として、当該油田開発の継続が、

1.イランの財政収入に大きく寄与し、結果として核開発にも役立つ。
2.独自の石油開発に苦労するイランの国力増強に通じ、結果として核兵器の政治的威力などを増大させる。
3.イランの核開発阻止のための国連主体の国際連帯あるいは国際的な有志連合の団結をみだす。
4.国連安保理でのイラン制裁案が成立すれば、実施が確実なイランの石油の禁輸や石油関連投資の禁止規定に直接ふれる。

等を揚げている。

当該油田に関して日本は2004年2月にイランと油田開発契約を結んでいるが、当時もアメリカ政府は反対を表明して来ている。日本側が「日本が降りれば、フランス企業がすぐ後を継ぐ」と主張、ブッシュ政権内にそれなりの理解を得たとされる。
今回も、「日本が撤退すれば、中国が進出してくる」という主張が日本側の一部にあるが、米側には「アザデガン油田の開発に必要な高度技術は中国はまだ持っていない」(ブルックス研究所 イボ・ダールダー研究員)との反論もある。

以上が報道内容であるが、日本政府として判断しなければならないことは
A.北朝鮮核開発阻止を日米協力して行っていることもあり、イランからの原油確保が将来の日本にとり死活的意味合いを持つにしても、米国の意向を無視し得ない。
B.そうは言うものの、日本が開発を中断することにより、他国がこれに手を出してくることは、是が非でも防がねばならない。
C.そして、残る問題点は、もし日本が開発中断を行うにあたり、米国のみならず国際社会がいかにして日本の決断を支持・支援し、当該油田に対する日本の権益を擁護することが出来るかと言う事に尽きる。この国際社会という場合、中国並びにロシアも含まねば意味がないことは言うまでもない。日本はアメリカの要請を受けて、開発中断の決意を固めるならば、将来の日本の権益をアメリカが守ることを約束できないまでも、これに留意し、公言すると共に、イランの核開発阻止に携わってきている諸外国もこれへの支持を表明することが条件になる。日本政府は日米間での密室で話すだけでなく、国際社会に向けて日本の立場を公にすることで問題解決を図るべきであろう。もし、国際社会でのコンセンサスが得られない場合には、たとえアメリカからの要請と言えども、慎重に判断すべきものと考える。
なぜなら、大国による国連をつうじての核開発阻止というプログラムもいまや徐々に風化しつつあり、イラン・北朝鮮に見るごとく開発阻止が達成できるかが極めて疑わしくなってきている。又、アメリカのインドへの核問題への対応にみるように、新規開発には厳しく阻止を目指し、一方では既得国家へはアメも与えると言うダブルスタンダードが表立って来ている事である。

もし、イラン・北朝鮮への核開発阻止にアメリカを中心とした国際社会が失敗すれば、アメリカの求心力が落ち、世界は核問題に関して大きく揺れ動くことになり、雨後の筍のように核開発乱立状態になりかねない。そうした場合には、日本も核開発・核武装ということが目前のテーマとなってくるが、これはあくまでもきっかけに過ぎない。すでに米中露朝の核の狭間にある日本も実は早急に核武装へと手を打たねばならないのである。

佐藤貫氏の「中国の核が世界を制す」(PHP研究所)は「東アジア地域の地政学的な安定を維持するためには、日米同盟を維持することは不可欠である。しかしながらアメリカ政府は2020年以降、中国の軍事的脅威から日本を守ることはないだろう。したがって日本も直ちに核抑止力の獲得に着手しなければ、15-20年後には中国の武力に屈せざるを得なくなり、中国の属領になる」としているが、その通りだと思う。
今回、中国は東シナ海の共同開発の対象地域として日本の国土である尖閣列島を持ち出すと言う暴挙に出ているが、この交渉内容を両国とも秘密にしている。まさか、中国はまだ出して来ていないと思うが、ひょっとすると「核の恫喝」が有ったのではと疑える。
アメリカが全てだと言わないが、「マオ」を読めば理解できる中国人の残忍さは恐るべきものがあり、将来中国の属領に落ちる恐れがあるなら、アメリカの自治領になるほうが100倍いや1000倍以上もましである。しかし、これまでのようにアメリカにも依存できる状態ではなくなってきており、アメリカとの関係を維持しながら日本も自立のための核武装に取り組まねば世界に取り残される状態にある。核武装の無い国は自立・独立が出来ない。それでよいのか日本!
戦後一貫して避けてきた核問題、「核抑止力」を中心にして遅まきながら議論する時期に成っていると考える。