2002年9月に初めて小泉首相が北朝鮮を訪問・帰国したときに、すでに何回か述べたが「核開発 日本に薦める 北朝鮮」という川柳を詠んでひんしゅくを駆ったのを忘れない。当時は北が拉致を謝罪したというものの、まだ核問題のほうがいざとなったら大切になるという考えも多かった中での‘ひんしゅく’であった。
その時点から北の核問題は一向に進展せず、北朝鮮は‘せっせせっせ’と核兵器の製造に努めていると考えるが、一方の六カ国協議はなんら進展をみせない。その背景は、イランにつまずいたアメリカが北に対して武力行使を行い得ない状況と中・朝が判断し、六カ国協議を進展させる必要がない、その間に北の軍事力を貯えておこうという方向に進んでいるのではとおもう。そして、中・朝の現在の標的はまずは韓国であることは間違いなかろう。そして、今のところ彼らの思惑どおりに韓国は動いてきているといってよいだろう。このままでは、南北の融和は進められ統一には時間が掛かるにしても、日本側からみれば融和であれ統一であれ南にも核があるに等しい状況が作り出される可能性が高い。
一方、イランの核問題も進展しそうにも無い。アメリカは常に軍事力をオプションとして捨てていないというが、イラクをかかえた現状ではここでも外交的な手段しかとりえないだろう。すなわち、あまり期待も出来ない国連主導によるイランの核開発中止が無ければイランの核開発は野放しになる。
北朝鮮とイラン、この両国での核開発を国際社会が止められないなら、核拡散条約などはゴミ箱に入れるしかなくなる。そして、エネルギー問題もあり世界各国での核開発が始まり、核兵器製造の機会は大幅に増え、世界は危険な状態へと入ってゆく。中国を初めとして核兵器とりわけ核ミサイルを手にした国々が国際社会で得たメリットの大きさ(インドの核政策に対するアメリカのダブルスタンダードむき出しの支援も含め)に他国が注目しだしたこともおおきな促進要因であろう。
さて、そのとき、日本はどうするのか?
私は、このような状況が‘来る、来ない’に拘わらず、中国の対米核抑止力が高まってきている現況では日本も報復抑止力としての巡航核ミサイルぐらいは持たなければと思っている。なぜなら、米国が対応できない、そして対応する気が無い日本周辺での地域紛争にさえ中国は核による恫喝を行う可能性があると考えているからである。先日の東アジアガス田協議で日中は協議内容を公表していないが、中国が何を言ったのかは気になっている。まさか、そういうことを言うのは中国の軍事力を含めた国力が米国に近づく10年後位と思っているが、中国のことだ、事務レベルと称してそんなことを言い出す可能性も捨てきれない。
そろそろ、日本も核アレルギーを脱却し、世界の軍事情勢に眼を覚まさないと、遠くない将来、中国の属国になる可能性があることを覚悟する必要がある。
私は属国になるのは何処の国を宗主にするにしてもごめん蒙りたいが、比較の話としてなら、アメリカの属国ならまだしも中国の属国等は死んでもごめんである。自由・人権・民主主義のない国の属国などまっぴらである。そんな国との国交など無理して続ける必要などさらさら無い。「核武装も辞さず」であると考えている。
と、昨晩書いてみて、一夜明けての今朝の産経は、核とイラク問題を隣りあわせで載せている。
一つは、‘「核の闇市場」解明は程遠く’。パキスタン政府はカーン博士が関与した「核の闇市場」に関する捜査を事実上終了したが、米国は下院公聴会で調査継続の要請や、闇市場が現在も存在するとの証言がだされ疑惑解明を求める声が相次いだとある。そして、一つの大きな懸念はイランに技術が伝わり並びに他国経由でイランに物資が転売されたのではないかということである。
今ひとつはイラン外相がイラクを訪問し‘シーア派指導者と会談’、‘イラク支援10億ドル用意’とある。これに先立ち、両国外相はバクダットで会談をもち、イラクのジバーリ外相は「イランが(核分野での)科学的知識を獲得する権利を尊重する」とのべ、イランの立場に一定の理解をしめした、とある。
こうしてみると核拡散防止ということが、本当に難しくなってきていることが良く理解できる。日本もイランでの油田開発には当面慎重に対処せざるをえないが、それにもまして重要なことは核拡散防止というアメリカのスキームが旨く働かないという状況になった場合への日本としての備えである。「ぼー」としていたら、気がつけば周りは核保有国ばかりということになりかねない。
最後に、どこかのブログで見たが、インド人が日本人に質問している話。「核兵器を持たないことでどういうメリットがあるのか?それがあるなら聞かせてもらいたい。」これはブラックユーモアに近い。日本はアメリカの傘の下にいるから核の恐怖を感じていないが、そうでない国は何時も核の恐怖に晒されていたということが良く判る。準備を怠れば、いよいよその番が日本に回ってくるということだ。
いまから考えておかないと間に合わない問題だ!