JOHNY’s BLOG

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モルスキン

MOLESKINE モレスキン ルールドノートブック・横罫・ラージ ([文具])

Kafka, Franz (1919)処刑の話

2006-12-28 02:45:24 | Book
カフカの作品から

ーよその国の事情に大きく介入するとなると、たいへん慎重にならなければならない。
 自分はこの流刑地の住民でもなければ、この流刑地の宗主たる国の国民でもない。
 もしこの処刑を厳しく非難したり、実際に妨害したりしようものなら、こう言われるに違いない。
 このよそ者が、黙ってろ。
 そう言われたら、何も言い返せない。
 言えたとしても、自分はどうも事情がわかっていませんでした、ただ自分は色々なことを見聞するために旅をしているのであって、よその国の裁判制度を変えるためでは決してないのです、などといった弁解めいた言葉くらいだ。
 とはいえ、今回の出来事はそういったことを鑑みても、何か言わなければならないような気になる。この裁判制度が不当で、この処刑が非人道的であることは、疑いようのないことだ -


1919年の作品です。現代の日本に生きる私たちは、国の制度に対してよそ者ではないし、非人道的であるということがどういうことであるかに対してある程度のコンセンサスを持っていると思われるのだが。
 不可視の場所で私たちの意志が処刑をしていることを知っているのかいないのか。あえて見ないように考えないようにすることは、あらたな罪であると考えられるようにおもうのです。

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