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(怒り)老舗出版社、ミスを17年も放置

2013年11月14日 | 文化

 (おじさんは怒っている) 2013年11月14日

            モーツアルトが泣いている

 (おじさんが怒っている)シリーズの第三回は、老舗の音楽出版社が出版している楽譜に多数のミス、誤植があり、それを17年も放置している、という話です。モーツアルトのソナタの名曲集で、音符や記号の間違いがあるのに、これまで訂正してこなかったのです。この楽譜通りにピアノを弾くと、妙なメロディーとなります。モーツアルトも天上で嘆いているに違いありませんね。

 

 わたしはボケ防止にと思って、ピアノの練習をしています。目で楽譜を読んで、指先で鍵盤を打ち、耳で聴き、美しい曲に仕立てていく流れが、頭の体操に、頭の刺激になっているはずです。独りよがりにならないように、週に1回、音楽教室に通い、音大出の先生の指導を受けています。他人にはとても聞かせられるレベルではありません。音楽は不思議なもので、下手は下手でも、自分の耳には美しく聴こえるので、十分に自己満足に浸れます。

 

 最近はモーツアルトのソナタを練習しています。モーツアルトは曲想に慰めがあるうえ、素人なりにゆっくり弾いても格好がつきます。問題の出版社は全音楽譜出版社で、1931年創業、この分野では有名な老舗です。ピアノのレッスンを受けた経験にある人なら、なんどもこの出版社の楽譜を使ってきているはずです。ある日、印刷された楽譜通りに弾きますと、そばでじっと耳を傾けていた先生が「違っている箇所がいくつかある」というのです。わたしの弾き間違いではなく、印刷ミスというか、誤植ではないかと、指摘されました。

 

 具体的に申し上げますと、「モーツアルト・ソナタ集」の第二集に載っているソナタ12番の2楽章で3箇所、ソナタ17番の代3楽章で3箇所の誤りがあります。主に右手のパートを示すト音記号、おもに左手のパートを示すへ音記号の記載ミスはちょっとひどい間違いです。正しい音符が間違った音符に記載されているミスもありました。こちらがミスと断定するのは、出版社に問い合わせをしたら、ミスであることを認めたからです。わたしが練習している部分だけでも、これだけの間違いがあるということは、他の楽譜を含め、隈なく探せば、もっと見つかるはずだと思います。出版物にはミスがつきもので、出版社は校正、校閲を何度もするのが普通です。

 

 このソナタ第2集は、初版が1995年8月で、それ以来、12刷を重ねている人気の楽譜集です。最新版は2012年の発行ということなので、17年もミスを放置してきたことになります。モーツアルトの有名な名曲集であるだけにちょっと信じられません。全音出版社に問い合わせの電話をしました。

 

 「これまできちんと、校正をしてこなかったのですか」、「すみません。気がつかなかったのです」、「そんなことはないでしょう。音楽大学や音楽教室で、よく使われている楽譜でしょう。17年もミスを指摘されたことがなかったとは考えられませんよ」、「・・・・」、「問い合わせをしたら、ミスだとすぐに認めたのは、以前から知っていたのでしょう」、「いえ、そんなことは・・・」、「改版すると費用がかかるので、そのままにしてきたのではないですか」、「いえ、そんなことは・・・。次の版から訂正します」。

 

 出版界は経営がきびしく、特にクラッシク、それも楽譜関係となると、編集者や校正者をきちんと配属する余裕はなかなかないのかもしれませんね。クラッシック音楽では名門の出版社ですから、頑張ってくださいね。

 

 モーツアルトに、「日本で弾かれるモーツアルトは自分の曲とは、ちょっと違うぞ」といわれないようにして下さい。

 

 

 

 

 

 

 



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