JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

ヘルタースケルター

2012年08月30日 10時14分00秒 | 映画
暑い日が続いていますね~。みなさま、お元気でしょうか。こちらは、怒涛の日々にようやく区切りがつきまして、ホッと一息といった所です。家計のこと、息子のこと(受験まっ只中)、ある程度の方向性が決まると、あとは歩みを進めるだけ。マイペースなじんちゃんの家族は、やっぱりマイペース。その気にさせるのも、一筋縄ではいかない訳で。書庫の片隅に眠る『人を動かす』を手にとり、デール・カーネギーさんへ、助けを求めたくなったくらいよ。

最新の話題として、『るろうに剣心』を観てきました♪なんてのもあるのだけど、今回は『ヘルタースケルター』について語りたいと思います。沢尻エリカ5年ぶりの主演作品というコトで、マスコミには鵜の目鷹の目好奇の目で見られていたフシもありますが、いや~何とか夏を乗り切ったねぇ。

公開当初、神戸の某映画館では1時間毎のスケジュールとなっておりまして。’はて、こんな短い映画だっけ?’といぶかっていたら、ナントまぁ!2つのスクリーンを使って、ドシドシ上映されていたのでした。これは…大麻疑惑報道が出ている沢尻に迫り来るXデーを睨み、すみやかに利益回収を図ろうとする興行側の目論見か!?つい勘ぐってしもた。m(__)m

その甲斐あって?公開1ヶ月で、約130万人を動員(興行収入は20億円に迫る)。体調不良を理由に、事前のPR活動をほとんどしなかった沢尻だが、それでも一つの結果は出せたと。実に興味深い。ややこしい役者を使こうてる時は、そういう戦法もアリなのね。そもそも舞台挨拶での「別に…」発言で、沢尻叩きの発端となった『クローズド・ノート』、チェックしてみたものの、それ程必死こいて宣伝する作品でもなし。あの時の沢尻の気持ち(PR疲れから爆発)、分からんでもなかったよ。

しかし振り返ってみるに、『嫌われ松子の一生』の中谷美紀は優等生だったんだなぁ。こちらも『ヘルタースケルター』同様ヘビーな内容だが、きちんと取材に応じ、バシっと受け答えしていたからね。(私はそのインタビューを見て、劇場へ足を運んだのだ。なんて気品があり、頭のいい女優さんだろうと思った。)さてこの度、岡崎京子の人気コミックを原作に、絢爛たる映像美を展開した『ヘルタースケルター』、じんちゃんの目には、どう映ったのか!?

まずは、沢尻演じるトップスターりりこの恋人役に萌え~。これ、窪塚洋介くんが好演してるんですが、幕開けからりりこ以上に!?キラキラ輝いています。マンション9階より謎めいたダイブをやらかして以来、何だかさ〜パッとしなかったじゃない?『池袋ウェストゲートパーク』の’キング’を面白く見ていた身としては、彼の復活が一番嬉しかった。やっぱ窪塚くんはいいよ~~~ もっともっと活躍の場を広げていってほしい。

劇中のガクトばりの扮装(こんな言い方しかできず、スンマセン)も楽しかったのだけど、コミックならではのキャラを現実で成り立たせてしまうフシギな逸材。『カムイ外伝』の伊藤英明とか、『あずみ』のオダギリジョーみたいな、イカレた悪役も似合うだろうなぁ。。。

次に、じんちゃんをうならせたのは寺島しのぶ。「私がいないと、彼女は何もできないのぉー」といった思い入れをよすがに、奔放の限りを尽くすりりこをバックアップするジャーマネ。しかし、こんな役よく引き受けたよね。。。と見るのは、沢尻よりむしろ寺島しのぶではなかろうか。

どんなにえげつないシーンでも、美しく撮ってもらっている沢尻と違い、寺島の扱いはヒドい。沢尻のヌードばかり話題になっているが、彼女も脱いでいるんだよ。ちゃんと取り上げてあげようよー。キモいけど(←ペチっ)。りりこを際立たせる為、とことんブサイクに徹する。そこにまさしく寺島の女優魂を見たね。黒木瞳には、できそうもない芸やな。(関係ないけど『GTO』、もっさい購買部のおばちゃんに徹しておればよいのに、実はアタクシ美貌の理事長なのよ!と言わずにおれないのが、黒木さん的やなぁと思う。)そうして桃井かおり(芸能事務所社長)は、やっぱりいい味出してる。

一方りりこを脅かす、後輩モデルの水原希子。生まれながらの美貌の持ち主って、私は彼女の魅力よくわかんないわ。『思い出にかわるまで』の松下由樹の魅力くらいわからない(←古い話やな~)。いや、父の遺品ビデオから出て来ましてん。当時も今井美樹から松下へなびく石田純一に憤りながら見ていたのだが、小悪魔ってだけじゃあねぇ。そうは言ってもあの頃の今井には勢いがあったから。イマイチ説得力に欠ける配役だ。今回だって、堕ちようが汚れようが、りりこには魅力があるのよ。独特のオーラが・・・

圧倒的美貌を体現できるとして、そこへ沢尻を嵌め込んだ蜷川監督だが、あんなキテレツなメイクを施し違和感をかんじさせないのは、沢尻エリカか浜崎あゆみくらいのもんだろうよ。美貌で売っている女優ならそこそこいる。それだけの人じゃないから、りりこも沢尻も面白いんであってね。

ただ、一つの作品として完成されているかと言えばムズカシイ。数々のハードシーンをこなした沢尻を評価する向きもあるが、イコール女優開眼に至ったとは言えないと思う。それは彼女の所為というより、監督や脚本家の力不足じゃないかなぁ。ここまでさせておきながらって気がしないでもない。

『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督もビジュアルに拘る人だが、徹底したエンターティメント。それを通して伝わってくるモノ、感動する部分が、確実に存在している。蜷川監督の表現は、まだまだビジュアル止まりって感じがしました。脚本(金子ありさ)も弱い。沢尻にとっても、蜷川監督にとっても、一つの通過点となる作品(あえて代表作とは言わないよ)。次に繋げるモノは持っているので、この後どうなっていくか(EVOLUTION)に期待します。

美しかったのは、沢尻-窪塚のセックスシーン。これ絶品!りりこの髪に巻いた色とりどりのパステルカーラーが、すっごく可愛い!! 『ノルウェイの森』の直子のマフラー&毛糸帽子のように。蜷川さんは、小物の使い方が上手です。

クスリと笑ったのは、仕事をもらうためプロデューサー(哀川翔)に抱かれるりりこの図。派手なあえぎ声をあげつつ、がばっと相手の背後へ腕を回して時間を確認する。女ってこういう時、意外と冷めてるからなぁ…。あれは、女性ならではの演出かもしれませんね。男は、額面通りにとらえているでしょ?おそらく。

心和んだのは、田舎から出てきたデブでブスの妹と、草原でお話しているりりこ。’キレイで居続けなければ’あくなき美への追求、それに伴う極度の緊張に包まれた、芸能界での様子と対照的。自然な表情がとっても愛しい、じんちゃんの好きなショットです。あの妹役の子いいわ~。

美容整形を施す医者のくだりが曖昧かな。患者に自殺者が出ていて、それを追う検事も居て、なのに、りりこが崩壊していく過程(これも一本調子かなぁ)へ寄り過ぎ、そちらのストーリーが中途半端。一体どう描きたいのか、よくわからなかった。

場内は、ほぼ満席。映画終了時に聞こえてきたのが「窪塚くん、かっこよかったよねー」私と同じ感想でした。って、ヒットしてるのそこかよ!

「沢尻さんは、年をとってもいい演技ができるかしら。『パッチギ』ぐらいしか観たことないから若さがなくなったらどうなるか不明。」

「岡崎京子の絵は当時スタイリッシュと言われたけど、桜沢エリカとか安野モヨコの方がセンスいいと思ってた。それでも人間で再現となると、かなり役者を選ぶよね…その点沢尻&窪塚ならピッタリ。彼らを出演させたお手柄はあるよね。」

「私も観てきました。蜷川実花のビジュアルへのこだわりは相当で、りりこの部屋の質感とか、バスルームで倒れているときの髪の広がり方とか、すごくおもしろいと思いました。寺島しのぶ、やってくれますねぇ。美しい美しくないの別はすっかりふっきれて、恥を捨て去ってるよね。でも、あのダサダサがあるから、りりこの奔放さが浮き上がって見える。りりこがジャストサイズの服や下着で現れるのに対して、マネージャーさんは、濡れ場シーンでもカップの合わない白いブラつけていたりして、絶対りりこよりきれいに撮らないようにしているみたい。芸が細かいのだわ。」

友人たちの反応も、付け加えておきます。

とにかく、沢尻が自分の居場所へ戻ってこれてよかったよ。ここ数年の状態を見ているのは辛かった。何か、違う方面で騒がれちゃってサ。彼女は、男性の監督に鍛えてもらった方がいいんじゃないかしらん。現場で馴れ合いたくない。本当は仲良くしたかったけどって辺り、『陽暉楼』の浅野温子みたいやなぁと。’はーい、あっちゃん♪’余裕の池上季実子と違い、バチバチのケンカシーンを撮る為に、「アイツとは口をきくな」という監督の教えを頑なに守った浅野。ああ、五社監督が生きていたらな~。「沢尻は予想以上に繊細で、不器用な人間だった」蜷川さんも、わかってるようでわかってない。

「役(ヤク)は抜けましたか?」って記者に、座布団一枚!初日舞台挨拶でのヒトコマに、’あはは’と笑ろた視聴者は、一人やないでしょう。記者も一生懸命考えてきたんやろね。しかしながら、眺めている分には面白くとも、即興で答えるには頭痛いゾ。さて、あなたが沢尻エリカなら、どう返します~?


或る「小倉日記」外伝デケデケデケ

2012年08月08日 01時23分08秒 | 旅行記
きっかけは株主総会だったんですよ…。母と連れ立って出席するのも3年目となりまして。これまで大阪本社の企業へ、狙いを定めていたのですが、今年は少し趣向を変えてみようかと。「そうだ、 九州行こう。」って、JRの回しもんかーい。

こうして、北九州から世界へ羽ばたく企業の総会へ赴くことに。併せて近辺の観光もエンジョイ。充実した2泊3日の旅となりました。九州新幹線さくらってね、新大阪から乗れちゃうんだよぉ~。終点は鹿児島中央駅。’このまま乗り続けていれば、そんな所まで行けるんや~’なんて考えると、感慨深いなぁ。つながっているんだ♪感が、ひしひしと押し寄せるよ。離れてる気がしないねー 君と僕との距離~ って、ORANGE RANGEかい。

新神戸から小倉まで、2時間ちょっと。左右2列でゆったりシートのさくらの旅は、快適でした。真新しい列車なので、トイレや洗面所も広々としてキレイ。 車内ではお弁当を広げたり、ホーム売店で購入した雑誌をパラパラと眺めたり、寛ろぐわぁ。いつもなら、マイペースな母を追い立てるように、食事や薬への声かけをしている頃かしらん。こんな日は、雑誌さえも読みまくり。

かと思えば、ページをめくっていた手が、ふと止まった。なぬ?「東電OLと木嶋佳苗をつなぐ点と線」とな。じーっ 記事を読み進めている間にも、さくらは本州を駆け抜ける。岡山・福山・広島・新山口・そして小倉。泣いてどうなるのかぁー 捨てられた我が身が~ みじめになるだけぇぇぇぇー って、クールファイブかい。

さくらを降り、小倉より在来線で約10分の門司港へ移動。’レトロの街’という謳い文句に惹かれ、1日目の宿泊を決めました。本州・九州を分かつ関門海峡に近く、美味しいお魚が食べられるのです。門司港には、瀟洒な建物がいくつか残っており(駅そのものも年代物なんですが)、旧大阪商船(出航を控えた人々の待合所にもなっていた)や、旧門司三井倶楽部(三井物産のかつての社交場)など、味わい深い佇まいやったなぁ。http://www.mojiko.info/3kanko/

ホテルに荷物を置き、傍の海峡プラザを母とブラブラ。まずはショッピングゾーンで、家族への土産を見て回る。海産物系を狙い、店先に立ち「うーむ」と悩んでいたところ、面白いものが目に留まりました。ふぐのフライ&ビール600円。お~これぞまさしく、夕方の小腹の空いた頃合いに、ぴったりのセットではないか。

揚げたてのフライをつまみに、ホクホクしながらビールを飲んでいると、横合いから母が紙コップに手を伸ばす。いやビールじゃなくてね、ふぐのフライが入っているのです。一口かじって、「あら美味しい!」「それふぐだよ。」かねがね、’ふぐはあたる’と絶対口にしようとしなかった母が、こうもあっけなく陥落するとは。「揚げたては美味しいなぁ。」 つぶやきながら、ちゃっかり持っていきやがった。

「こうやって、ちょっとつまむのがええねん。」気をよくした母が、次に向かったのは、天ぷら屋さん。門司港名物’焼きカレー’入りの天ぷらが目を引く。(こちらも揚げたて、アツアツで購入することができるのよん♪)試食の結果’焼きカレー天’と’たこネギ天’を1つずつ買い、それを半分に割ってもらいました。ベンチへ腰かけ、分けあって食べている間に、パラパラとお客さんが。私たち、呼び水になっているわね。カップル、そうして家族連れと、夕方にしてはまぁまぁの賑わいだったな。

その後、少し離れた商店街にあるお寿司屋さんへ。「夕食は、関門の新鮮なネタを味わえるスポットで」というホテルの企画に乗ってみたのだけど、これが大当たり!握りは勿論、お刺身・天ぷら・茶碗蒸し等、出てくる品に程良い工夫があり、一口一口幸せな心持ちでいただきました。

大将が気取らんオッチャンで、楽しく話せるのもオツだねぇ。じんちゃんの地元では、カウンターのあるお寿司屋さんがどんどん潰れていて、こういうシチューエーションは久しぶり。子どもたちが大きくなると、クルクル寿司の方が家計に優しいしねぇ。二人だからこそできる贅沢ってあるな。うん。(←家族にドツかれそうだが)

驚いたのは「どこから来たの?」という大将の問いかけに対し、「兵庫県です。」「兵庫はどこ?神戸?」「いやぁ、◯◯ってトコで。」 苦笑いをしながら答えていたら、向こうでお仲間さんと盃を傾けていた常連のおばちゃんが、「刃物の街や!!」 即座に答えはった。もう感激ですよ。県内ですら知名度の低い、ちっぽけなトコやのに。九州の方が、名産品と共に覚えてくれてはるなんて。嬉しかったなぁ。

「この店も、結構有名なんよ。ちょっと前には、スザンヌが来て。ホラ極道のシリーズを描いてた作家の・・・」「家田荘子さん?」「そうそう!彼女も来たなー。」店内には、大将が制作したバラン細工が、額に入れて飾られていた。ちょっとしたお遊び風のものから、手の込んだものまで。その一つ一つが、実に面白い。

お寿司に添えられる、緑色のギザギザのついた仕切り。ハランという植物の葉から作られるそうなのだけど(本格的な場では今も、プラスチック製でなくこちらが使われる)この葉っぱ、そもそも50センチ以上もある代物なのねぇ。それに包丁を入れ、作品にしていくトカ。細かい作業よ~。東野圭吾の『白夜行』に出てくる桐原亮司の切り絵を思い出してしまったわ(笑)。

「展望台には、もう行った?」「あ、黒川さんの?」付近には黒川紀章が設計した高層マンションがあり、そこの31階が展望室になっているの。「あそこは、夜に行くのがいいよ。昼はなぁ、工場街見てもしょうがない。」という訳で、タクシーを呼んでもらい、門司港レトロ展望室へ。ライトアップされた関門橋がくっきりと浮かび上がり、とてもいい眺めだった。

’平家滅亡の地’壇ノ浦、’武蔵・小次郎 決闘の地’巌流島。こうして現地へ立ってみると、改めてこの一帯は歴史に刻まれた場所なんだなぁと。いやーそんなこと全く思い浮かばず、’いざ行かん門司!’とやって来たもんやから。本州はホント目と鼻の先。すぐそこに、下関の街が広がっていました。されど、それを隔てる海峡は波荒く、だからこそ魚の身も締まるのかな。お寿司屋さんでいただいた鯛は、ほんのりとした甘みがありました。明石鯛より美味しいと思った。

2日目は松本清張記念館、3日目はなんと!ひょんな出会いから某企業の工場見学までしてしまうのですが、なかなかそこまで辿り着きませんねぇ。ま、ぼちぼちいこか。