JINCHAN'S CAFE

My essay,My life
エッセイを書き続けることが、私のライフワーク

夏の終わりに

2015年08月31日 10時22分06秒 | 想い
少年少女を傷つける出来事が、後を絶たない。
今度は、中学に上がったばかりの子どもが、ターゲットになった。
防犯カメラに残された映像。
夜明け前、人気のない商店街をうろつく幼い姿に、胸が痛む。

一体、何故そんな状況に陥ったのか?
もはや家庭が、心休まる場ではなかった少女。
そんな仲間の裏事情に、巻き込まれた少年。
どちらの経緯を思っても、やるせない。

身近な人間の気持ちを汲み取り、命を落とした少年に、
こんなことを言うのは酷かもしれないが-
おばちゃんは感じるの。
あのな君、お人好しにも程があるねん。。。

優しさは、時には罪。
今、寄り添ってくれる人がいる。
そうやって、ひとときひとときを凌いでいるうち、
自身の底に横たわる力までスポイルされてしまう。

君の善意が、彼女を救うとは限らないんだよ。

人を守るって難しい。
その手法を間違えれば、二人そろってズブズブとぬかるみに嵌り、
余計に相手を、まっとうな道から遠ざける。
同情心が、仇になることだってあるんだ。

社会の構造の中、
大人の都合とやらの煽りを喰らうのは、子どもたち。
その人生の前に、
如何ともし難い環境が、立ちはだかる場面もあるだろう。

そんな時、
人に依存するより、
それ以外で、遣り過ごす術を、見つけた方がいい。
そう気付かせてあげるのも、友情だと思う。

夜更けの外出を止められなかった、
深夜徘徊を見過ごした、
危険分子を解き放った、
大人たちの対応も、悔やまれる。

いたいけな二人の命は、
こうして一つ一つの目から、
こぼれ落ちていった・・・

そんな気がしてならない。

https://www.youtube.com/watch?v=L_QVB4Qdh6o



<追記>

愛知にいた頃、公営住宅の管理人を引き受けていました。
関西へ戻る直前まで続けていたのですが、最後の数年のうちに、離婚家庭が随分増えていった。。。
そんな記憶があります。
低額所得者向けの住居だった為、そうした波をかぶるのが、余計に早かったのかもしれません。

同じ波を、一昨年あたりから、こちらでも(我が家があるのは、一軒家を中心とした地域ですが)感じるようになりました。
娘の同級生の間では、母子家庭が確実に増えているし、
そうじゃなくとも、景気の戻りが今ひとつで、
母親が懸命に働き、家計を支え、両親共に留守がちな状況だったりする。

それ以外に、父親のDV、シングルになった母が付き合い始めた彼との同居・・・
いろんな事柄が、子どもたちを取り巻いています。
訳あって家を出て行った親の代わりに、家事を一手に引き受けている。
そういう中学生だって、存在してるんです。

こうした状態に重なったのが、携帯電話(スマホ)の普及やLINEの台頭。
画期的な文明の利器は、瞬く間に、寂しい子どもの心を捉えました。
息子の世代では、高校入学時が未知の世界へ漕ぎ出す、一つの節目だったのが、
ほんの2、3年で、どんどん低年齢化して、今や小学生から。

’安全の為’と言うけれど、本当に目的を果たしているのだろうか?
使い方もおぼつかない年頃に与え、弊害の方が多いのでは・・・と感じます。
斯くして手に入れた利器を通じ、心にモヤモヤを抱える子たちは、仲間に依存する。
今、誰かとつながっていることで、安心する。

教育評論家の尾木直樹さんが、「LINEで始終遣り取りをしていると、余計に危機感が薄れる。」
と言っているけれど、ホントそう。
実際は、何かあったって、すぐ助けられない。
つながっていれば、安心かもしれないが、決して安全な訳ではないのです。

言い分のある者同士が群れて、コンビニの前でたむろしたり、夜の公園を徘徊したり。
そんな行動も、昔のように、ヤンチャな子だけのものではなくなりました。
事件の報道を聞いて、「私の部活仲間、似たような状況で、ようセーフやったわ。」
と、娘がつぶやいていたのですが、決定的な事態に至らなかっただけ。

それ以前の危ない目には遭遇してたりして、(前述の部活仲間は、夜道を歩いていて、不審者に追いかけられたそう)
ヒヤリとしたり、ハッとしたりといった事例は、私たちの周辺で、頻繁に起こっていると思う。
ハインリッヒの法則じゃないけれど。
だからあの事件は、人ごとやないんです。

それと、もう一つ。
「誰かに依存するよりも、それ以外で心のモヤモヤを、遣り過ごす術を見つけた方がいい。」
私が、思春期の子どもたちに、読書という選択肢を提示するのは、本文で述べた理由もあるのだけど-
先日の冲方 丁さん(うぶかた とう : 『天地明察』の作者です)の、妻へのDV容疑の報道に、ふぅ~とため息。

本人は否認しているし、そこに至るまでの経緯は、我々には計り知れず。
加えて、表現の世界に棲息している人は、ある種お騒がせな部分を抱えていたりするので、一般の価値観を押し付けるのはどうかなんて気持ちもあるのだが、
冲方さんって、少年少女に馴染みの深い、ラノベ界でも活躍してた人なんですよね。
アニメイトにも、いくつかの作品が並んでいるし、この秋にもテレビで放映予定の作品があったと聞く。

そういった立場で、何でそんなことになっちゃったかなぁと。

家庭がゴタついてる子どもたちの中には、自身がDVで傷ついている子もいる。
そんな彼らに、片時でも世界を広げてあげられたら-
本を通じて、いろいろ想いを巡らせたり、自分の頭で考えたり、辛い現実から離れ、クールダウンする時間を持てたら-
と見做していたので、その世界を紡いでる人がDVやってましたってのは、ちょっとね。

出張図書で、一生懸命『光圀伝』を読んでいた男の子は、今回の報道を、どう受け止めているのだろう。
その作品に罪はないのは、わかっているのだけど。

-参考にしてください-
尾木ママ、事件を語る。
http://dot.asahi.com/wa/2015082500083.html