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【捜査ファイル94】
俺は4課のJCAだ。
座布団鰈の犯罪を多く扱う事から我々は“マル鰈”と呼ばれている。
今日もまた眠らない鰈大国・日本のどこかで事件は起きようとしている、、、
俺たちおとり捜査に導入するエサには様々なものがある。それぞれが地域密着型の特性を持っており今、俺たちがガサ入れしている東北ではアオイソメとエラコが
特効エサ、、、しかし俺は今夜、新たな可能性を知る事になる。
そう、そのほとんどが“関西からのモノ”に反応したのだ!
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満月の夜には何かが起こる、、、
漆黒の夜空を見上げていると「4課」の捜査官として数々のヤマを追ってきた俺の第六感
がそう語りかけてくる、、、気付けば青森に入って3度目の夜を迎えており、さすがにタフな
俺たちも疲労が隠せなくなってきている。
今回は夜間捜査をメインと絞っていた為、昼間は買出しや情報収集など隙を見せるかの
ようにあえて現場から離れ“真子組”連中に油断を誘ってみてるのだ。
夕方前に再び「むつ小川原港」のシマへ戻ると、これまで実績場と信じ捜査本部を
置いてきた「大波止」先端部付近にはすでに2名の先客が入っており、大波止中央部、
ちょうど対岸から伸びる小波止の真向かいで捜査網を張ることにする。
昼間にどんな逮捕劇があったのかはわからないが、足元には大量のエラコを剥いた形跡
があり生々しい血の臭いがプンプン漂っている、、、エラコ関連の捜査を得意とする
“八戸のちょいワル刑事”もこの量にはさすがに驚きを隠せないようだ。
俺は早速段差バリの1本に関西から持ち込んだアカコガネ、もう1本にアオイソメという
コンビネーションで対岸の波止との間、船道へ集中的にキャスト、ちょいワル刑事も横で
ほぼ同じエリアを叩く。
グッ、グッ、グッ、グググググッ!
強い西風の影響でかなり荒れていた昼間のなごりか?少々底ウネリらしきものが入って
いるようで仕掛け絡みが見受けられたが、俺たちが時合いと睨んだ時間帯が ビンゴ で
アタリが連続し良型マコガレイを3匹検挙!こやつらはアカコガネに食ってきておりこの虫
の東北における有効性が証明された。
ここで予期せぬ雪がまたチラつき始め、現場を白く染める、、、
グウ~~~?
ミズタコ!?
俺の最愛最強のウェポン・スピンパワーが真っ暗な海で何かゴミらしき物体を掛けた?と
思えばな、なんと巨大ミズタコ、、、昨日の沖堤でも2匹検挙したばかりで、タモ入れをして
くれたちょいワル刑事も大喜ぶ!なんせ彼はご存知の通りイカやタコといった軟体動物が
大好きなのだ。
ミズタコが来たという事は、、、そう昨日同様のパターンでピタリとカレイ連中のアタリも
止まってしまった。まあ、これに関しては一切ミズタコとは関係ないのだろうが、、、
とにかく沈黙の現場と化してしまったのでここらでちょいワル・デコレーションカー内にて
晩酌&炙りイカ!自身の身体を温める事も重要な任務の一つでもある。
暖房の効いた車内でいつの間にか俺はうたた寝、定期的に誘いを掛けるべくサビきに
出ていたちょいワル刑事の「さむっ!」という一言で目が覚めた。
それは日付が変わって1時間程経った頃。
俺も放置してあった仕掛けを新鮮なエサに交換すべく北極圏並みの温度まで低下した
極寒の車外へ、、、回収するそのほとんどがドンコかヒトデだったのだが1本の罠には
まんまとダブルでマコ連中が掛かっていた。
実は時合いに入っていたのだ! 隣でちょいワル刑事が取り調べの為、20cm
そこそこの下っ端マコガレイをしょっぴいたのを見て俺も引き続きアカコガネをミックスし
仕掛けを投入、治まっていたはずの風が少し強くなってきたので大事な捜査アイテムが
吹き飛ばないように片付けをしてると、
グググググッ!?
一番左、最も港奥側に仕掛けてあったスピンパワーの穂先が押さえ込まれたのだ!
ん?リーリング直後は微弱な抵抗だったはずのものが、足元付近で突然突き刺さった!
今、冷静に考えてみればこのシマに馬鹿デカいエイの類など居るはず無かったのだが、
水面に見えたバシャバシャ暴れる白い物体を寝ぼける俺は一気にぶり上げてみた!
えっ!? も、もしや貴様は、、、
離れていた場所にいたちょいワル刑事も駆け寄ってきた。
タモ無しでぶり抜いたがゆえに一瞬、我が目を疑ったが、
午前1時44分、48cm 座布団マコガレイ逮捕!
ゴ~マルまであと2cm届かないが、“座布団”と呼ぶには十分のサイズだろう!
その分厚さ、潜んでいた場所の意外性に改めて驚かされたが我ら「4課」の地道な捜査に大きな自信となったのは言うまでも無い。 俺たちは感動もほどほどに毎度の事だが、
こやつが潜んでいた周辺を徹底的に叩いた。 ちなみにエサはアカコガネだった!
ジャスト40くらいか、、、
さっきのと比べるとやけに小さく見えてしまうのは気のせい? 俺たちはあと少しの夢に
向かって投げ続けた、、、夜通し、、、太陽が昇るまで
しかし連中は必ず時合いなるものを持っており、2枚目の座布団は姿を現さなかった。
一睡もしていないのに早朝から元気な“八戸のちょいワル刑事”の検挙カレイ。
ついに自己記録更新および夢へ近づいた“JCA”の検挙カレイ。
明日は本遠征最終日、大阪へ戻る飛行機が昼過ぎなので捜査は早めに切り上げて
ちょいワル刑事の案内で別の任務に当たりたいと思う。
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