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【捜査ファイル132】
俺は4課のJCAだ。
座布団鰈の犯罪を多く扱う事から我々は“マル鰈”と呼ばれている。
今日もまた眠らない鰈大国・日本のどこかで事件は起きようとしている、、、
ついに今年も始まった長き頂上作戦、まずしょっぱなは八戸市の沖に浮かぶ沖堤
から叩く事になったのだが我々「4課」を待ち構えていたのは大量の“真子組”中堅
構成員だった。俺たちが打ち込むエラコ催涙弾にも動じず闘争心旺盛な連中は
次々とアタックし捜査を混乱させてくるのだ。
この1年で連中の勢力図も変わりつつあると噂される中、ただ闇雲に数を検挙して
いたのでは限られた日数では埒が明かない、、、俺は“八戸のちょいワル刑事”と
市内某所で作戦を見直すことにした。
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昨夜はいつか
「六ヶ所沖堤
」へ4課と共に上陸した捜査官
“チーフシェフ師匠”の勤める
某焼肉レストランで緊急会議を行った。しかし、俺たちの中ではあの上から下までGETT
ずくめな彼は
“GETTのフィールドテスター”以外の何者でもなく名刺を頂戴していたとは
いえまさかシェフ、、、それもチーフとまでは信じれなかった。
そこで我らがちょいワル刑事、聖子ちゃんカットの時代を感じさせるウェイトレス嬢に
「あの~、○ 山さん居てます?」と大胆な行動に出た。
その言葉を聞いた彼女は
「えっ、、、チッ、チーフの事ですか!?」、この驚きとどこか
恐れにも感じられる反応、、、
「カレイ釣ってる時は温厚なチーフも厨房では鬼チーフ
なのかも?“おいっ、コラ!ちゃんと聞いてないと首だぞ、首!!!”みたいに。」こう推測するちょいワル刑事の懸念もあり俺はすぐチーフにメールを入れてみた。
すると、「今日はお休みでした ♪ ところで3月○日沖堤行きませんか?」、、、なんとも普通かつ
絵文字まで入った可愛らしい返事が1分以内に返ってきた。それは若干不気味でもあり
俺たちが食べている空間の空気を一瞬凍りつかせた。謎が多い人物だ。
ただ、、、これだけは確信できた。
“彼は本物のチーフシェフだった!”そして、こんな時こそ4課捜査官の心のオアシス・色っぽいポンパレね~ちゃんの券が
あったら半額になってたのかもしれない。惜しい、、、


「八戸第二沖防波堤」昨日ガサ入れした
「第一
」と並ぶこのシマは毎年数は検挙できないものの出れば大幹部
クラスが多いと言われる一発場でゴ~マル1匹逮捕のみを最大目標に掲げる4課としては
最重要パトロール地域に指定されているのは言うまでも無い。
時期からしてもまだ有力情報は入ってきてないが連中の第一派を一斉検挙する為には
今からガサ入れしてても無駄にはならないシマだろう。
全体的に
「第一
」に比べると水深は無く、また漁船の航路に近いとは言えシマ内の海底は
変化に乏しく本当に大幹部クラスが潜んでいるのか?と疑ってしまうくらいだ。とにかく
可能な限りの遠投をし足元ギリギリまで探ってくる地道な捜査が要求される。
ググググッ!?

ここもか、、、昨日同様37~39cmの寸たら連中ばかり。
検挙しては即釈放を繰り返し、ただただ黒幕が捜査網に掛かってくるのを待つしかないの
だが、、、すでに堪忍の尾が切れてしまったちょいワル刑事は八戸に住む愛人Aにメール
を打つなど最前線から離れてしまっている。
昨夜話し合った今期の4課に捜査方針としては俺が重要参考鰈として関西に身柄送検を
考えている連中以外は基本的に釈放する方向でいく。もちろん手ぶらで帰還できない俺
としては例年と同じ数くらいの鰈は身柄拘束したいと思うが、ここ
「青森県」を地元とする
ちょいワル刑事にとっては40cm以下は完全に即釈放対象のようだ。
1日も早くゴ~マルを検挙しなくては、、、
時刻はもう正午を回ろうとしている。やはり少し早かったのか?
「第一
」とは違い連中の
動きが活発な時間帯が非常に短かったように思え、この2時間は全く気配すら感じられ
ない。空は透き通るほど青く気温も温かめで昼夜問わず張り込み捜査を続ける俺たち
捜査官にとってはありがたい環境なのだが。
更に2時間が経過し、
ちょいワル刑事は?と目をやると


インスタントではあるが津軽煮干ラーメンなるものをすすり、今度は三沢に住む愛人Bと
メールのやりとりをしている。
他の部署とは全く違う独立型の4課の捜査体制では当然ながらいろんな出会い、ドラマが
日々待っている、、、きっと聞き込み調査をする中で引っ掛けてきたに違いない!しかし、
一部でモ~ホ~疑惑がある彼、、、もしかすると愛人AもBも実は男なのかもしれない。
特に米軍基地の街・三沢の方はテリーマンみたくUSA国旗の刺青が入ったマッチョマン
という可能性も、、、となるとちょいワル刑事は女役か?
俺には詳しくを聞く勇気がなかった、、、
連中の動きが止まってから数時間、気だるい時間だけが過ぎてゆき太陽はもう西の空へ
傾きかかってきる。俺たちの捜査はこのように待つだけで1日が終わる事もザラであり
根気と鋼の精神力が無くては務まらない、、、今日もまた日が暮れる。
コンコン、、、グググッ!
また寸たらだ。
昨日逮捕した連中が居るのでこやつは釈放する事にし俺たちは4月まで夜間捜査が開放
されてるこのシマで暗くなってから何か動きがあるか引き続き捜査を続投する。
理由は
「六ヶ所村
」のように夜間になると
“真子組”連中が活発化する特殊なシマも存在
するからであり、これまでこのシマに関しては一度も4課の捜査メスが入ってないからだ。
だが、やはり明日の事もある。俺たちは
“アナゴが1匹補導されてきたら終了”という
条件の下で捜査続投を決めたのだった。
そして数十分後、
まんまとちょいワル刑事がババを引いてしまった。
これにて2日目終了!
「チッ、チーフですか!?」と思った貴方!これ押してちょ →