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【捜査ファイル133】
俺は4課のJCAだ。
座布団鰈の犯罪を多く扱う事から我々は“マル鰈”と呼ばれている。
今日もまた眠らない鰈大国・日本のどこかで事件は起きようとしている、、、
まさに奇跡が起きたとしか言いようの無い今回の“ゴ~マル”逮捕、俺は大量に
余ったアオイソメ弾を銃器薬物課に横取りされる前に何とかできないか?術を
模索した。地元関西へ身柄送検する柄確保も必要な今、40cm前後の良型検挙が
可能かつあわゆくば大幹部クラスをもう1枚と考える俺たちはあのシマへ再度潜入
する事を決めた。
八戸港の沖にそびえる巨大防波堤、、、-------------------------------------------------------------------------------------------------
今日は
“真子組”残党がまだかなり潜んでいる気配があった
「八戸第一沖防波堤
」の
ガサ入れを再び計画していた俺たちだったが出船時刻午前5時前に渡船乗り場へ行くと
船頭から北西風が強くミズタコ捜査なら可能レベルだが4課の捜査方法では厳しいのでは
ないか?という忠告があった。
どうやら急に予報が変わったようだ。沖堤の中央カーブから南側はなんとかなるかも
しれないが北側を叩きたい俺たちは無念だがここで潜入を断念する事を決めた。
そして北へ走った。
「むつ小川原港」強風で沖堤がアウトとなってしまった今、昨夜まで捜査線を張っていたこのシマ以外思い
浮かばなかった、、、もちろん同じ太平洋沿岸、北西風はかなり強いが車横付けでガサ
入れできるだけまだマシというものだ。
大波止付け根の護岸一級角にはすでにこちら青森では名立たる組織の捜査官が入って
おられ俺たちは隣接する
「鷹架C岸壁」に捜査本部を立ち上げる事にする。
普段は特定の地元堅気さんらがありえない手口で竿を並べ場所占拠、他の捜査官が
近付こうものならいちゃもん付けられ日々喧嘩が絶えないとまである釣具店店長から
聞いていた地区だが、幸いにも俺たちが到着する寸前まで海上保安庁の巡視艇が着岸
しており捜査網を張れない状況にあったようだ。
直ちに捜査本部を立ち上げ捜査準備が整った頃から次々とその容疑者と思える車が接近
→ 俺たちを睨み付けながら去って行った、、、一応これでひと段落か?と安心するや
否や1台がベタ付けで強行突入してき竿を並べ始めた。
これに関して俺たちは何も言わなかったがこのような一部地元の輩のせいでシマの大半
が立ち入り禁止措置となってしまったのは明白だ。非常に残念だ、、、
捜査開始から約3時間、生体反応すら無い岸壁でただただアオイソメ弾を打ち込む
俺たち、、、一度撤収して腹ごしらえでもと話してた時だった。
グググッ、、、グ~~~!?俺のスピンパワーライフルに何奴かがアタックしてきた!
午前11時20分、43cm マコガレイ逮捕。連中が居る事は証明されたが、それより何より先程去って行ったはずの車3台が少し
離れた場所から圧迫するかの如く観察しており非常に気分が悪いのでこの1枚検挙で
C岸壁から出る事にした。
昼食後様子を見に行くと広い岸壁は3台足らずで完全占領されており、捜査にやってきた
と思える捜査官らがみな困った顔をして撤収していく光景があった、、、今期はまだ見て
いないがこのシマに出没し身内に食料、着替え、エサなどを運ばせ最長2ヶ月間同じ場所
を占拠し続けたあの伝説の
“黒じい”思い出させる。いや、すぐに喧嘩を吹っ掛けてくる
となるとそれ以上にたちが悪いか、、、
午後15時過ぎから俺たちは大波止付け根側に入っておられた
“K捜査官”と竿を並べ
させてもらう事となり夕マズメにかけて第2ラウンドが始まった。
今日は捜査線を交代しカニとマイクロアイナメに弄ばれろ!と昨日ちょいワル刑事が
入っていた一級角に俺、その横に意味不明なモ~ホ~ポ~ズを取る刑事、K捜査官という
順で並んだ。
確かに俺の捜査線には物凄い数のカニが徘徊してるらしい。ある程度の時間アオイソメ弾を放置してしまうと真っ二つ、または掠め取られてしまう、、、
だが俺はその手を緩める事はせず一斉家宅捜査を継続した。
間も無くキャップライト無しでは手元が見え辛くなるという頃、
ググッ、ゴンゴン、、、、グウ~~~!
大波止白灯台目掛けて遠投していたスピンパワーライフルの穂先が押さえ込まれた!
ちょうど浅く白くなってる部分から一気に航路筋に落ち込む付近の大きなカケアガリ
だったと思われる。
午後17時50分、42cm マコガレイ逮捕。やはり一級角と呼ばれるだけあって毎日誰かがガサ入れしているにも関わらずすごい
ポテンシャルの高さだ。そしてデーターからしても40cmを超えるクラスは日が暮れてから
より日中にアタックしてくる事が多いようにも思える。
“六ヶ所とはいえどアタるのは一箇所!”名言となるだろうか?
常夜灯が灯り各ライフルには穂先ライトが取り付けられて夜間捜査へ。今日はとてつもなく寒い1日だ、、、朝から気温はマイナスのままで0度を上回る事は無かった。日暮れと共に極寒となり白の
ジェラルミンケースの中で保管しているアオイソメ弾もシャーベット状となり暖房の効いた
車内に持ち込まない限り本来の動きアピールが期待できなくなってきた。
俺はまだ大量に余っている弾頭を消費すべくライフルの本数を増やし数検挙がメインと
なる夜間捜査に積極的な手返し戦術で臨む事にする。
午後20時、ちょいワル刑事が入手した最新現場気温はマイナス7度となっている。
本日の捜査を終え先に撤収されるK捜査官を見送った頃から更に冷え込み顔やグローブ
から露出する数本の指は凍傷になりかけてるのか?感覚が麻痺して思うように捜査を
進めれない。アオイソメ弾を投入しては車内で温まり、一定時間経過後再度捜査網を
チェックといったローテーションを組んで対応する中、ついに
“真子組”が動き出した!
捜査網に次から次へと35cm前後の組員が掛かり連行されてくる。どれだけ長くても
1、2時間しか無いこの勝負の時間帯を逃してしまうとあとは外道のドンコやカニ、アイナメ
くらいだ、、、手返しを最優先しながら敵地を叩くのが効率が良い。
横ではなぜかハゼからいやがらせを受けているちょいワル刑事が、、、
午後23時には連中の動きも止まり、北西風に乗って大量の雪が降り始めてきた。
このまま最前線で張り込みを続けていると心が折れてしまうと判断した俺たちは車内に
一旦戻りコンビニで暖かい物を買出してしばし身体を休める事にする。
ほんの1時間ちょっとなのに、全てが雪に埋もれてしまった。干底になると俺の居る角付近は足元の浅い砂底がむき出しになるのでスカリ取調べ室に
拘束してあるカレイ連中をクーラー拘置所に移動させておく必要がある。
俺は雪まみれになりながらスカリを上げ長い1日を振り返っていた、、、
朝マズメに差し掛かる頃、起床した俺たちは雪に代わって北西風が暴風と化し吹き荒れ
ているのに気付く!即座に天気予報を取り寄せるとまた予報が急変したらしく午後18時
まで北北西の風13m、、、ゴ~マルに迫るような大幹部クラスの検挙実績が昼間が多いと
いうのもあり俺たちは潔くここで4日間に渡った捜査にピリオドを打つ事を決断。
撤収後、近くにある日帰り温泉
「ろっかぽっか」で泳ぎながら温まりちょいワル刑事に
見送られ午後15時15分三沢空港発の便で東北を後にした。
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