沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

完成予定は2019年だった。いまだに全線開通の目処が立たない   インドネシア新幹線工事、中国はコロナを理由に遅延の言い訳

2021-05-14 23:04:54 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)5月2日(日曜日)
   通巻第6892号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 完成予定は2019年だった。いまだに全線開通の目処が立たない
  インドネシア新幹線工事、中国はコロナを理由に遅延の言い訳
****************************************

 インドネシア新幹線構想は、2008年頃から浮上し、ユドヨノ政権(当時)は、日本にフィージビリティスタディを打診した。ジャカルタ → バンドン間150キロを35分で結び、経済の大動脈とする計画だった。

 筆者は、ジャカルタからバンドンへ行きはバスで、帰りは鉄道を利用した。山岳地帯から河川の多い区間を、列車は3時間以上かけて夕暮れの風景を走り、日が暮れたジャカルタに到着した。乗客があまりにも少ないことが気になった。新幹線をここに通すというプロジェクトのことはニュースで知っていた。

 日本は土地の地盤調査から、予定線路に沿っての地質、地形、トンネルの必要性などを、三年掛けて調査し、2015年までに詳細な見積もりと照査結果を書類にして提出した。日本案は総額44億ドル。金利は0・2%、10年返済という応札だった。
 この間に、ユドヨノ政権は退陣し、ウィドド政権が誕生した。

 2015年三月、突如中国が応札すると言い出した。直前にウィドド大統領が北京を訪問し、習近平と会談した。中国はインドネシア新幹線への積極的支援を表明した。
 2015年九月、インドネシア政府は、中国が落札したと発表した。総額55億ドル(このうち75%を中国が融資し、金利2%で、50年で返済)。

 判明した事実は、中国側の提案は日本側の用意したフィージビリティスタディを単に翻訳しただけで、しかも一部は中国語のままだった。時の官房長官は管(現首相)で、中国に決まったと聞いて「理解しがたい。極めて遺憾である「」と記者会見した。

 その後、工事は起工式から一年経っても着工せず、中国側は「用地買収に手間取っているので、2020年にずれ込むだろう」と言い逃れた。
 2021年4月現在、「コロナで労働者が戻らず工事は遅れている」として、2023年弐完成は遅れるだろう」と再度、遅延理由を述べた。

 インドネシア政界は、この中国へのどんでん返しの裏になにか政治的取引があったのではないかとし、関係閣僚の発言を引き出そうとしてきたが、ふたつの監督官庁はお互いに横を向き合ったまま。世論は「最初から日本に決めれば良かったのだ」という声が強い。
 つまり、新幹線受注は、背後に「何が何でも受注しろ」とした習近平の強い圧力があって、中国鉄建は採算を度外視したうえ、事前調査などまったくせずに日本のフィージビリティスタディをどういう手を使ったのか事前に入手して、50年返済という釣り餌で、プロジェクトをまとめたのだ。

 いったん決まれば、あとはどうにでもなるというのが伝来の中国人の思考特質であって、あらゆる言い訳を駆使し、また途中で条件を変更する。これは常套手段である。すでに総予算55億ドルが60億ドルに増えたとか。

「テンセントから出資を仰いで何が問題なのか」と楽天CEO    国家安全保障感覚がこれほど抜け落ちた感覚が日本の実業界

2021-05-14 20:22:13 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)5月1日(土曜日)弐
   通巻第6891号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「テンセントから出資を仰いで何が問題なのか」と楽天CEO
   国家安全保障感覚がこれほど抜け落ちた感覚が日本の実業界
****************************************

 テンセントの子会社が楽天に出資する。
 楽天の目論見は5Gの追加電波の割り当てを取得するために、自己資本率を高めるという条件をクリアする必要がある。楽天は電波企業の安定を固定化させるために自己資本比率を改善しなければならない。

したがって楽天は日本郵政やテンセント子会社などから、2400億円を出資して貰い、さらには外貨建ての永久劣後債を起債する。ドル建てで1900億円、ユーロ建てで1300億円。全額を資本として扱い、電波取得に必要な条件を満たす。

 問題はテンセントだった。
 前々から「テンセン・トリスク」は議論されてきた。
 「ウィーチャット(微信)」におよそ十億人の中国人がアカウントを開設しており、当然、当局の監視の下にあり、データが蓄積され、国民の自由は発言が封じ込められる手助けともなっている。

 米国はテンセントとアリババなどへの投資禁止を検討したが、バイデン政権になってアリババとテンセントが軍直結企業ではないとして制裁適用対象から外している。
依然として監視の対象ではあるが、トランプ前政権のTIKTOKの使用禁止措置くらいで、またTIKTOKのオラクルへの身売りも白紙となった。
 「テンセントから出資を仰いで何が問題なのか」と。国家安全保障感覚がこれほど抜け落ちた感覚が日本の実業界である。


ルーズベルトの「ニューディール」をなぞるバイデンの経済再生計画    増税を財源にする? さすれば、米企業はアメリカから出て行きますが?

2021-05-14 20:20:19 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)5月1日(土曜日)
   通巻第6890号 <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ルーズベルトの「ニューディール」をなぞるバイデンの経済再生計画
   増税を財源にする? さすれば、米企業はアメリカから出て行きますが?
****************************************

 4月28日夜(日本時間4月29日)、バイデン大統領は上下両院議会で、就任後はじめての「施政方針演説」を行った。両院合同だから、議長席にはハリス副大統領と、ペロシ下院議長の女性二人が座った。議場はガラガラ、空城のようだった。

 演説の大半は内政問題に絞り込まれ、「格差是正」「富裕層からの増税」「中間層重視」などを柱とする「米国雇用計画」「米国家族計画」を説明した。
 バイアメリカンを基軸に雇用を創出する、企業と富裕層は公正な分担を、移民は米国経済に不可欠な存在である等と民主党左派の意見を多く取り入れた内容だった。

 そのうえでロシアと中国に触れた。外交は後回しの印象がある。しかし、中国への対抗心を露わにして「米国が世界を主導する。米国は動き始めている」とした。
 ロシアの選挙介入、サイバー攻撃を批判しつつも、バイデンはSTART交渉などでロシアとは、「話し合える相手」と認識している。イラン、北朝鮮の脅威に関しては付け足しの観が強い。

 脅威の焦点を中国とし、「中国が技術力で米国を急速に追い上げているが、次世代技術で優位に立たなければならない」「安全と秩序を維持するために、日本、印度、豪と『クアッド』を地域安定の平和目的で構築しているのだ」。それゆえ「専制主義国家が未来を勝ち取ることはない。米国が勝ち取るのだ」と結んだ。

皮肉なことに29日、中国は海南島の文昌基地から宇宙基地建設のための基幹施設をロケットで打ち上げに成功した。打ち上げ基地に近い海岸には数万の群衆があつまり、望遠レンズなどでロケット発射を観察した。五星紅旗を振る人もいた。

中国の宇宙基幹施設は「天和」と名付けられ、大型ロケットの「長征5号」で打ち上げられた。これから10回ほど打ち上げ、大がかりな宇宙ステーションとする。
宇宙飛行士が長期の滞在ができるスペースが2022年には確保される予定で2021年内に宇宙補給線「天船」と有人宇宙船「神舟」をドッキングさせる。

中国は米国、欧州、日本、露西亜の加わった國際宇宙ステーション(ISS)には加盟せず、独自の宇宙ステーションを構築するわけで、戦場が宇宙にも移行しており、米国は対抗してトランプ時代に「宇宙軍」を創設した。
中国は既にキラー衛星を保有し、宇宙中継の通信網を破壊する能力をもつとされ、宇宙開発や火星探検の表向きの宇宙競争ではなく、中国が狙うのは宇宙戦争での主導権である。


 ▲まるで社会主義アメリカをめざすが如く

 バイデン大統領の演説に対して反応は二つにわかれた。
ニューディールの再来を真摯に受け止める反応は、あまりなかった。バイデンは大統領執務室に大きなFDRの肖像画を掲げなおした。トランプのときは倉庫にしまわれていたアンドリュー・ジャクソン第七代大統領の肖像画を掲げたから、対照的である。

 FDRは社会主義者に近く、喧伝されたニューディールが殆ど経済再生の効果をもたらさなかった真実の歴史は、現代の経済史家らの研究であきらかになっている。妖しげな社会主義団体などの巨額が流れたのだ。

 同じ轍に嵌ろうとしているのがバイデンの経済再生計画である。
就中、「雇用計画」では、高速道路、橋梁などの改修、新築工事や老朽化した空港、駅舎など公共事業への予算配分は少なく、むしろ労組救済、少数コミュニテイィ支援、グリーンエネルギーの開発支援と、驚くほど左翼経済理論丸出しなのである。

 財源を増税でまかなうとバイデンは富裕層と法人への課税強化を謳っているが、となれば企業の特性は労賃が安く、税金の優遇がある国や地域へ流れ出すのは明らかだろう。
煎じ詰めて言えば、この雇用計画では、中国へのシフトが起こる。

米国の技術的優位は、成立しにくくなるだろう。
いまでさえGAFAの多くが米国に税金を納めず、タックスヘブンへ本社登記をなして、課税から逃れている。

 「(トランプが分裂させた)アメリカを団結される」と理想が述べられたが、中味をみるとさらなる分裂を助長するような政策が並んでいる。やはりバイデンがアメリカをもっと激しく分裂させることになりそうである。

 FRBのパウエル議長は連邦公開市場委員会で「金融緩和」政策の維持を決めた。アメリカの第一四半期のGDPは6・4%成長だったと予想外の伸びを示したが、同時にインフレ懸念も高まった。

 金融政策の緩和によってカネが市場にあふれている。このためマーケットは株価高騰がつづき、ランクの低い社債が金融緩和の恩恵で乱発されており、住宅価格が上昇を続けている。失業率は高止まりのまま、治安は悪化しており、要するに期待と不安が市場では交錯している。
 バイデン演説を聞いて失望した人のほうが多かったのではないのか。

トルコ、アゼルバイジャン支援の見返りは何か  ロシアは平和維持部隊2000名をナゴルノ・カラバフに派遣

2021-05-14 20:19:15 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)4月30日(金曜日)弐
   通巻第6888号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

トルコ、アゼルバイジャン支援の見返りは何か
 ロシアは平和維持部隊2000名をナゴルノ・カラバフに派遣
****************************************

 アゼルバイジャンの勝利となった第二次ナゴルノ・カラバフ戦争のその後、現地では何が起きているか。なにしろトルコが供与したドローンでアゼルバイジャン側が勝った。トルコはアルメニアに対して鬱積させてきた恨みを晴らした。

 全土征圧の前にプーチンが間に入って仲裁。結局、ロシアのメンツは守られ、アルメニアの顔も立てたことになるが、ロシアの支払う代償は2000名のロシア軍派遣、安定を維持するために国境に平和維持部隊として駐屯することになった。

 アルメニア領土だった土地の三分の二をアゼルバイジャンが取り上げたわけだが、はやくも国土再建、インフラ建設のプロジェクトが計画された。?地にあり、人口の少ないハンディがあり、まずは開拓団的な入植をすすめ、220戸規模の小さな村の建設を始めた。

 主力のプロジェクトは水力発電所である。同時に道路などインフラ整備も必要となる。
 アゼルバイジャンを軍事的にも支援したトルコは、当然、この利権を狙う。
ついで意欲的なのは南の隣国イランだ。イラン北部にはアゼル人が多く暮らしている。2021年1月25日(停戦から僅か二ケ月後)にゼリフ(イラン外相)はバクー入りし、アリエフ大統領と会談している。またベラルーシのルカシェンコ大統領も現地入りし、アリエフと会談した。

 ほかに意欲を示すのはイタリアで、既にイタリアは七年前からアゼルバイジャンでエネルギー供給の事業を展開している。日本は? バクー駐在大使は「井戸掘りのお手伝いから」とJICAの援助を示唆したらしい。