一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

31.水上温泉 「旅館天野屋」

2005-06-29 23:46:52 | 群馬
熱海、鬼怒川、水上など、かつて歓楽温泉として栄華を極めた温泉地が軒並み苦境に陥っている。バブル期までの過剰な設備投資のツケと、近年の行楽客の歓楽大型施設離れがその大きな要因であろう。チラシや新聞広告に載っている激安ツアー(例の”ズワイ蟹食べ放題”とかいうやつ・・ ^^;; )は、このような温泉地がとくに目立つ。客室や従業員を遊ばせておくよりは、ディスカウントしてでも稼働率を上げたいということだろう。
マスコミでも、”秘湯の宿”や”かくれ家宿”がもてはやされる一方で、これらの温泉が好意的にとりあげられる機会は激減している。

だが、このような温泉地にも上質なお湯を味わえる宿がある。その多くはあまり設備投資をかけていない家族経営的な小規模な宿だ。歓楽温泉地は、もともと温泉自体の素性のよさをベースとして発展してきたのだから、いい湯づかいがされていれば質の高いお湯が楽しめるのは至極当然のことである。(枯渇の場合はハナシは別)
熱海の福島屋、鬼怒川の星のや、そしてこの天野屋など、施設的には新しくもないし、充実しているともいえないが、すばらしいお湯が味わえる。週末でも日中ならば空いているのがなによりである。

群馬のお湯の奥ぶかいところは、草津や万座などの硫黄-酸性系のお湯のほかに、湯檜曽、上牧、四万、湯宿、猿ヶ京、法師、花敷、霧積、そして水上など、硫酸塩泉系の名湯を擁することだと思う。

硫酸塩泉系(石膏泉、芒硝泉など)のお湯は、派手なにごり湯ではないし、わかりやすいイオウ臭があるわけでもない。みためはむしろ、”これって温泉?”的なお湯である。
しかし、適度なとろみや肌に染み入るような奥のふかい湯ざわりと、ほのかに香るやさしい湯の香、それに身体の芯から温まるような独特の浴感がある。
身体の表面から煽り立てられるような強食塩泉とは異質の温まり感で、”北斗の拳”風にいうと、さしずめ強食塩泉が南斗聖拳で、硫酸塩泉が北斗神拳といったところか・・・(笑)
浴後はほこほことした温まりとともに適度な湯づかれ感が出て、肌に弾性がついてしっとりと落ちつく。
あらゆるお湯を入り倒した温泉マニアが、最後に戻るのが硫酸塩泉、といわれるほどの通好みの泉質である。

温泉地の中心である”湯原地区”には、他にも良心的な湯づかいをしている宿がいくつかあるようなので、有名な「やぶそば」で腹ごしらえをしながら、いちどじっくりと廻ってみたい。

「旅館天野屋」のレポは、こちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

含食塩石膏泉 46.5℃、pH・湧出量不明、総計=2107.00g/kg、Na^+=127.540mg/kg (17.50mval%)、Ca^2+=516.640 (81.50)、Fe^2+=2.120、Cl^-=194.53 (17.30)、SO_4^2-*=806.07 (53.10)、陽イオン計=649.310 (31.625mval)、陰イオン計=1057.69 (31.625mval)、メタケイ酸=397.80
<S34.3.24分析>
*)SO_4^2-:分析書破損で読みとれず、合計値からの逆算値。

                                文・画像 別働隊@うつぼ

64.黄金温泉

2005-06-27 23:30:33 | 山梨
山梨の温泉といわれて、すんなりといくつも出てくる人は少ないだろう。メジャーどころで石和、歴史の古い下部に湯村、露出度の高い河口湖くらいで、一般的には温泉県のイメージはさほど高くないかと思う。
ところが、甲府盆地には、小規模な温泉がたくさん湧いているのだ。それも30~40℃くらいの入りごろで湯量豊富な自噴泉が多い。こういう温泉の多くは、街なかの銭湯やビジネスホテルで利用されている。ここもそのひとつで、「ビジネスホテル黄金」が併設するお湯だ。

甲府のビジホ湯は、どういう訳かB級入ったものが多い。観光客は間違っても入らない(というか、存在すら知らない)であろう佇まいに暗く古びた浴室。
だが、注がれているお湯は逸品だ。ローコストオペレーションが身上のような施設が多く、加熱・加水・循環など、金のかかることはしない。適温で自噴したお湯を、そのまま浴槽に流し込んでいるようなお湯が多いのだ。

お湯はおおむね金気の入った含重曹食塩泉系のモール?泉で、黄金色~紅茶色の美しい湯色をしたモール?臭香るツルすべ湯。アワつきのあるお湯も多い。掛け値なしにいいお湯だ。

一郷一会ではよくB級温泉が話題となるが、単に施設がB級なだけではダメで、B級な施設のなかでA級のお湯がザンザンとかけ流しされているミスマッチ感に醍醐味がある。
甲府のビジホ湯はそんなB級温泉の宝庫で、黄金温泉のB級度はとくに磨きがかかっている。そのディープな内容は、レポ(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)をご覧いただきたい。
なお、ここの名物は、何匹いるのかいまだに判明していないキチャなくて怠惰な犬たちである(笑)

甲府盆地のその他のビジホや温泉銭湯もすぐれもののお湯が多く、いくつかは暫定選外リストに載っているので参考にされたい。ぬる湯が多いので夏場の湯巡りがおすすめである。
    
Na-炭酸水素塩・塩化物温泉 46.0℃、pH=7.4、384L/min掘削自噴、成分総計=1.446g/kg、Na^+=267.1mg/kg (76.40mval%)、Fe^2+=0.9、Cl^-=144.5 (24.46)、HCO_3^-=728.1 (71.52)、陽イオン計=338.1 (15.21mval)、陰イオン計=903.3 (16.68mval) メタけい酸=157.3、メタほう酸=9.3、遊離炭酸=37.5 <S61.9.9分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

29.かんな川温泉 「白寿の湯」

2005-06-27 00:12:28 | 埼玉
埼玉県内の温泉を紹介しているシバクさんのHP読んでたら、なかなかよさそうな温泉があったので土曜日に入ってきました。

<先入観>
場所は群馬県の八塩温泉と神流川をはさんだ対岸のような位置にあり、ゴルフ場が経営する日帰温泉施設。

<アクセス>
関越自動車道を本庄児玉ICで降りる。
一般道へは254号児玉方面へ。あとは254~462号。
道の所々に「児玉スプリングCC」と併記された「白寿の湯」の看板が右折・左折・直進とでているので迷う心配はなし。

<外観>
ゴルフ場への入り口に、ファミリーマートと並んだ小振りな鉄筋2階建。派手な作りじゃないところが民間経営風ともいえる。最近の公共の施設は派手だからね。

<施設内>
入浴料は3時間まで600円。無料の大広間が2~3ヶ所あり。
混んでなかったので狭い感じはまったくなし。(広間によってはカラオケがんがん)
受付のお姉さんがいかにもゴルフ場の人っぽい。
脱衣所からのドアごしに浴室を見ると、カラン毎に仕切があってやはりゴルフ場っぽい。
と、ここまでは正直なめきってました。
ところがドアを開けた瞬間、いきなりのワンツーパンチ。
床のタイル一面に湯花が層をなして覆っているじゃあないですか。
さらに湯船まで行くとニヤケちゃいます。こんなに茶色いなんて・・・
とにかく湯の成分が濃い感じで、循環はしていないでしょう。湯船からお湯がサワサワと溢れ、それが床に堆積しているんです。
こういうのってキタナイと思う人もいるからなぁ。

もうニヤケまくり状態で湯につかり、大広間で休憩し、またお風呂に入る。と繰り返して3時間堪能してきました。
これで600円は安いです。

<おまけ>
ロビーには最近紹介された雑誌や温泉本が置いてありましたが、若い女性向け雑誌のキャンキャンの11月号にも載っていたというのが驚き。
このゴルフ場を経営している会社は温泉好きらしく、ここ以外にも傘下のゴルフ場の近くをボーリングし温泉施設を持っているんです。
埼玉県内ではもう一つ玉川スプリングCCの近くの玉川温泉保養所。そっちは源泉と水を混合した一部循環式と思われますが落ち着いたところです。

<結論>
茶色湯温泉フリークは行くべしっ!

文  福沢 湯キチ

※2002年12月に初めて訪れたときのメモより。
※画像を大野あやさんからいただきました。ありがとうございます。


<追記>
かんな川温泉は関東有数の成分の濃いお湯です。参考までにデータ貼り付けておきます。(別働隊@うつぼ)

Na-塩化物強塩温泉 25.4℃、pH=6.7、130L/min掘削揚湯、成分総計=36.33g/kg、Na^+=11140mg/kg (89.87mval%)、K^+=1024 (4.86)、Mg^2+=151.6 (2.31)、Ca^2+=311.9 (2.89)、Fe^2+=11.6、Cl^-=14580 (76.03)、Br^-=24.5、I^-=5.7、SO_4^2-=1584 (6.10)、HCO_3^-=5870 (17.79)、陽イオン計=12640 (539.3mval)、陰イオン計=22070 (540.8mval)、メタほう酸=975.4、遊離炭酸=629.3 <H12.3.1分析>

●HCO_3^-=5870mg/kg、SO_4^2-=1584mg/kgもあるのに20mval%に達せず副成分にならない(泉質名がつかない)というのもスゴいです。

52.日光湯元温泉 「釜屋旅館」

2005-06-26 22:32:36 | 栃木
日光は、訪れる人を奥へ奥へと引き込んでいくようなところがある。
市内、東照宮や輪王寺を巡るとその先にはいろは坂がある。登りきれば中禅寺湖、湖畔を走って竜頭滝までくれば、もうひと登りで戦場ヶ原だ。ここまできたらもう止まらない。三本松から光徳へ折れて牧場でアイスクリームを食べたらもう戻れない。三本松からさらに登って湯ノ湖畔をひと走りで最奥の湯元。ここはもう標高1,500mの高所である。

湯元は、まわりを2,000m級の山々と湯ノ湖に囲まれたところで、残雪に新緑が映える春、深山の涼気爽やかな夏、針葉樹の緑と紅葉のコントラストが見事な秋、凛とした空気が張りつめる白銀の冬と、リゾート地としての理想的な資質を備えている。
それに加えて、極上の硫黄泉がこんこんと湧いているのだからたまらない。
温泉寺脇の源泉地でむせるほどのイオウ臭を嗅いだあと、かけ流しの白濁硫黄泉にどっぷりと身体を沈めることができる、イオウ中毒患者にとっては天国のようなところだ。

「釜屋旅館」は、そんな日光湯元温泉の老舗で、自家源泉を何本かもち、館内はしご湯が楽しめる。(レポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」))
日光湯元のお湯は、総硫黄30mg/kgを優に越える本格的硫黄泉で、かつ、硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物のバランスがとれている。pHは山の硫黄泉にしては比較的高く、酸性の強い万座や那須に比べるとやさしい湯ざわりがある。とても好きな硫黄泉だ。

温泉好きにとって、日光湯元のこわいところは、ただでは帰れないところだ。
金精峠(冬季閉鎖)を越えた上州側には、白根、ささの湯、老神、白沢初穂の湯など、すぐれもののお湯たちがわらわらと口を開いて待ちかまえている(笑)
”今日こそは、適当に切り上げて東北道で帰るぞ!”とたてた誓いもどこへやら、暮れなずむロマンチック街道を沼田へ向けて走っている別働隊であった (^^;

<釜屋1号・2号混合泉> 他
含硫黄-Ca・Na-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉(硫化水素型) 64.1℃、pH=6.8、湧出量不明、成分総計=1.687g/kg、Na^+=223.1mg/kg、Mg^2+=4.4、Ca^2+=180.1、Cl^-=169.1、HS^-=11.0、チオ硫酸イオン=1.4、SO_4^2-=475.9、HCO_3^-=330.2、陽イオン計=438.9、陰イオン計=988.9、メタけい酸=120.3、メタほう酸=30.8、CO_2=87.8、硫化水素=19.8 <H12.7.19分析>
                                       文・画像 別働隊@うつぼ

59.五浦温泉 「五浦観光ホテル」

2005-06-23 23:39:30 | 茨城
有名なのにお湯の実態はナゾに包まれている。そんな温泉がたまにある。ここはその典型だろう。茨城を代表する温泉旅館として高い知名度をもちながら、その情報のほとんどは豪華な施設や料理、海を望む展望露天のロケーションに関するもので、”お湯そのもの”についての情報はきわめて少ない。

ハイグレードな大型施設だから、メイン客層を考えても宿側の情報は当然上のようなものになるだろう。客側にも原因はあると思う。もともと茨城は温泉好きには人気の薄いところで、”バリ循カルキエリア”などと揶揄されたりもする。自然、お湯についてとやかく云うような人間の足は遠のく。それに、温泉ファンは大体において安宿志向だ(笑)
そんなこんなでここのお湯についての情報が、いつまでたっても発信されないという構図になっているのではないか。

それでも、「かなり濃厚な食塩泉らしい」というハナシは漏れ伝わってきていて、前から気にはなっていた。宿泊はとても手の届くものではなく、昼前後の限られた時間帯に、併設の食事処で食事した客だけが許される日帰り入浴を狙うしかなかった。

細かいレポはこちら(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)にあるが、”どぎもを抜かれた”というのが率直な感想である。
とくに「別館大観荘」の露天がよく、全面茶クリーム色の析出でこてこてにコーティングされた湯船からは、なんと松之山を彷彿とさせる墨臭系の絶品アブラ臭が香り立っている。
お湯の鮮度感も高く、かけ流しかとも思われる。他県に出しても全く遜色のない堂々たるお湯だ。

じつは茨城には渋~いお湯がいくつもあるのだが、いずれも情報は少ない。「100湯暫定選外リスト」にもいくつか挙がっているので、併せて廻られることをおすすめする。

Na・Ca-塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉) 71℃ 他不明

文・画像 別働隊@うつぼ

39.沢渡温泉 「共同浴場」

2005-06-23 21:50:35 | 群馬
 沢渡温泉共同浴場とは、かれこれ20年以上前から付き合っている。20年以上と現在は多分お湯が変わっているのであろうが、沢渡温泉の街は、今も昔も変わっていないのが沢渡の良いところであろう。春には桜が咲き、新緑の美しさも艶やかであるし、紅葉も綺麗であるが、温泉では珍しく坂の上に源泉があり、その昔、山津波にあい壊滅的な被害で、温泉街がそのものが変わった。
 沢渡の湯は共同浴場の裏手から湧出しており、沢渡温泉全体でここのお湯を利用している。

 沢渡温泉は何度も何度も足を運んだ温泉で、多くの温泉ファンがここのお湯はいいと絶賛のお湯である。画像にあるように、やや白濁したお湯は、以前は白い湯の花が多かったが、硫黄の卵臭は少なくなったような気がするが最近の沢渡温泉は、はっきりとした焦げ硫黄臭が感じられる。お湯が変わったのだろうか興味深い。

 入浴すると、ともかく温まり度が凄く、15分も入浴すると頭の髪の毛がぐっしょりと濡れてくるくらい汗が出てきて、腰に効いてくるような気がする。ともかく香り、味わい、浴後の充実など、すべてに満足行く温泉であることは、間違いない。綺麗な風景の露天風呂があるわけではないし、浴槽の各旅館とも小さいし、なんと特徴もないのだが、お湯は本当に素晴らしい。入浴していない方は是非、1度は入浴してほしいお湯の良さに虜になることは、間違いない。共同湯でそれが楽しめます。

群馬の温泉ページ HP 沢渡温泉の項 http://www2.ttcn.ne.jp/~g-spa/sub26.htm

源泉名 県有泉(沢渡温泉) カルシウム・ナトリウムー硫酸塩・塩化物泉 泉温55.0℃ 利用位置42.0℃ PH=8.5 成分総量1.12g/kg
Na=158 K=5.59 Mg=0.06 Ca=188 F=1.2 Cl=200 SO4=484 HCO3=3.1 CO3=6.9 HS=0.6 非解離 メタケイ=63.2 メタホウ=9.1 

                   文 ガメラちゃん@takayama

■ 鶴巻温泉 「ゆたか」 (殿堂 神奈川/その他)

2005-06-22 00:34:49 | 神奈川
小田急線沿線で生まれ育ち、電車好きの子供だった私は、小田急線の駅名をぜんぶ覚えていた。「・・・ほんあつぎ、あいこういしだ、いせはら、つるまきおんせん、おおね、おおはたの・・・」このあたりはテンポがよくて、とくに”つるまきおんせん”という響きが妙に好きだった。温泉は山の中か海沿いにあるものと思いこんでいたので、何でこんなところに温泉があるのか、子供ごころに不思議に思ったことを覚えている。

そんな馴染みぶかい?鶴巻温泉だが、ここについては、なぜか”大したことない”という妙な先入観があって、実際に入湯したのはつい最近である。
このときも、狙っていったのではなく、平塚太古の湯、大磯プリンスとまわり時間が余ったので、「鶴巻でも冷やかしていくか・・・」といったノリ。で、全然期待していなかった。

ここは旅館を日帰りに転換した施設で、なかなか落ち着いた佇まいをみせている。中庭に源泉?が流されているところがあって、舐めてみると弱塩味に強い苦味がある。かなり濃厚な土類食塩泉と思われた。
脱衣所の分析書をみると、やはり成分総計=8.281g/kgのCa・Na-塩化物泉でCa^2+を1960mgも含んでいる。

浴場棟はたぶん旅館時代のまま。適度に古びて脱衣所も内湯も風情がある。
露天は25人は優に行けそうな岩組鉄平石敷の大きなもので、まわりに茂るヤシ?の木がちょっとミスマッチ?
内湯・露天とも槽内吸湯があったが、帰りにフロントで訊くと、37℃の自噴自家源泉で相当な湧出量があるので、かけ流しにしているらしい。

無色でかすかに微濁したお湯は、強苦味弱塩味の個性的な味で苦味が舌に残るもの。味的には、山梨の十谷温泉「源氏荘」に似ているかと思う。石膏臭を強めたような甘い温泉臭とともに、キシキシとヌルすべが複雑に入りまじる湯ざわりと、肌に食い入るような力強い浴感があってよくあたたまる。入り応えのあるいいお湯だ。

丹沢山麓のお湯というと薄めで素直なヌルすべ湯のイメージがあるが、意表をついて濃厚で個性的ないいお湯に正直、”目からウロコ”状態。温泉地は”先入観”では判断できないということを思い知らされた一湯となった。

Ca・Na-塩化物泉 37.1℃、pH=9.2、湧出量不明、成分総計=8.281g/kg、Na^+=1050mg/kg、Ca^2+=1960、Fe^2+=0.09、Cl^-=5050、SO_4^2-=584.8、HCO_3^-=18.8 <H15.3.25分析>
                                  
文・画像 別働隊@うつぼ

73.渋沢温泉

2005-06-20 23:46:07 | 長野
金島を皮切りに川原湯、八ツ場4湯など、多くの名湯が点在し、草津・万座へのアプローチでもある吾妻川沿いのR145は、温泉フリークならば冷静には走れない道だ。
そのR145も、三原で万座への道を分け、かの「平治温泉」を過ぎると俄然落ち着きをとりもどす。道はこれから鳥居峠をこえて信州小県へと入っていくのだ。

鳥居峠をこえてすぐの道沿いにこの名湯はある。黄色い建物は豪華でもなく旅情をそそる鄙びでもない。周囲の風景に溶け込んでいるともいえず、佇まいで客を引き込めるお湯ではない。

男女別に内湯がひとつのみとシンプルな浴室は、扉を開けると金気臭がかったやわらかな温泉臭がただよっている。
木の囲いのなかの金属パイプから透明なお湯が湯量を変えながらこんこんと湧き出て、湯船のふちからさわさわと溢れ出ている完ぺきなかけ流し。

ややぬるめのお湯は薄い緑黄色透明で弱金気臭。湯口には貝汁のような新鮮な鉄臭にかすかな硫化水素臭が混じり、昆布スープのようなだし味。弱いキシキシ感のあるお湯には、えもいわれぬおだやかな浴感があって、いつまでも浸かっていたくなる。
なんということもない源泉スペックだが、泉源が近いらしく、とにかくお湯が溌剌としている。チラシにも「地下500メートルから湧きあがる天然温泉をそのまま湯船に広げたら40度になりました」とある。

客が入ってきても気づかいすることなく浸りつづけることのできる適度な広さの湯船と、鮮度を落とすことなくそれを満たす投入量。窓の外には疎林が広がり、うすく窓を開けると山の涼気がほてった顔にここちよい。いいお湯の条件は意外とこんなところにあったりもする。

なかなか行きにくいエリアにあるが、通りがかったときにはまちがいなく”入り”の一湯である。(地粉を使った蕎麦も美味しいらしい)

単純温泉 42.0℃、pH=8.25、湧出量不明、蒸発残留物=554mg/kg、Na^+=189mg/kg、Fe^2+=7.6、F^-=3.0、Cl^-=141、HCO_3^-=301、メタほう酸=25.8、遊離炭酸=19.3 <H元.8.8分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

49-1.塩原元湯 その1 「元泉館」

2005-06-19 21:47:59 | 栃木
 塩原元湯には3湯あり「大出館」、「えびすや」、そして今回紹介する「元泉館」がある。実は塩原元湯には、前回の大出館についで、2湯目である。大出館の素質の良い湯に浸かり、ここの3湯は是非に入浴すべく、今回も2/3目の入浴である。実は、前回の大出館の入浴時に思ったのですが、塩原元湯のお湯のよさに認識し、元湯に入るなら一日1湯だ、他の温泉に入らぬといった形相で入浴した。ここの温泉のよさといったら、ずばり「お湯のよさ」これに尽きる。私はもっと良い湯は無いか日本全国の有名な温泉の白濁する湯には、かなり入浴したつもりだが、塩原元湯のお湯に関し、唯感服するのみといったものがこの湯にはあると思う。昔の表記では、含硫黄、食塩-重曹泉と表記されるが、浴感などはその表記がぴったり合っている温泉である。

 以前、硫黄泉マニアであった自分が、硫黄泉になにか物足りなかったものが、あったことが事実であるが、その事実が理解出来るのが、ここの塩原元湯に答えがあると思う。硫黄成分そのものには、効能があるとのだが、お湯その本質には、主成分のNa、Ca、Mg、Cl、HCO3、SO4が温泉には作用しているのですが、匂い、色(白濁、茶褐色)など解りやすいものが温泉のよさと考える人が多く、その人に説明するには苦労する。ですが、温泉に作用するのものには、入浴時に自分の体に作用するに対してどうなのかと言っているのが、そのこと自体あまり効き目が無い、他人でなく自分になのだが、解ってほしい。温泉に関して迷っている人は是非入浴してほしい、迷いと断ち切る温泉がここにあります。あえて苦言をつけるなら、湯船に対して湯量が少ない、鮮度感が少ないくらいでしょう、やや露天風呂のほうが良かった。
 
源泉名 塩原温泉 高尾の湯 泉温50.6℃ 湧出量72.0l/mim PH6.5
Na=829.3 K=61.2 Ca92.4 Mg=16.1 Mn=0.4 F=0.4 Cl=873.6 HS=19.7 SO4=84.3 HCO3=1039.1 Br=1.9
メタケイ=177.5 メタホウ=123.4 CO2=551.2 H2S=70.5 成分総量 3.941g/Kg
                 文 ガメラちゃん@takayama


63.山口温泉

2005-06-19 20:46:12 | 山梨
山口温泉は、山口さんのブドウ畑を掘って出た温泉だ。
この辺り、私が山口温泉とともに甲府盆地の御三家と呼んでいる正徳寺温泉や韮崎旭温泉よりも私(わたくし)的でよろしい。私も温泉を掘って自分の名前を付けてみたいものである。

モール臭、金気臭を含む泡まみれの微温湯は、甲府のお湯に多い特徴であり、山口温泉に代表してもらってよいと思う。優しいながらも力強いお湯だ。

ところで、甲府盆地の御三家は揃いも揃って分かりにくい場所にある。迷わず辿り着くことができたら自慢してよい。

温泉メモ:ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 成分総量:約1.4g pH7.7
所在:山梨県甲斐市篠原477

                文と写真 一遊