一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

47.弁天温泉 「弁天温泉旅館」

2008-03-30 22:53:27 | 栃木
那須は関東有数の温泉地帯で、なかでも「那須七湯」(鹿の湯(元湯・那須湯本)・弁天・北・大丸・高雄・八幡・三斗小屋、八幡のかわりに板室を入れることもある)はその中核をなしている。
「那須七湯」のほとんどは元湯(鹿の湯)より上にあってその多くは一軒宿だ。
硫黄泉マニアの聖地「湯本鹿の湯」、新秘湯系で女性に人気の高い「大丸」、秘湯一軒宿の代表格「北」、メジャー野湯からおおるりグループのお年寄りの楽園へと変貌を遂げた「高雄」、”歩いてしか行けないお湯”で名を馳せる「三斗小屋」など個性派ぞろいだが、ここ「弁天」の性格はややあいまいだ。
立地的には沢沿いどん詰まりの秘湯だが、コンクリ造箱形の建物は秘湯宿のイメージから外れている。なんとなくお客のターゲットが絞り切れていない感じがあり、那須七湯のなかでは地味な存在に甘んじている。

泉質も単純温泉で、私もほとんどノーマークだった。じつは入ったときも「大丸」が臨時休業だったので、急遽目標変更、ほとんどたいした期待もなく突入した。
だが、その先入観はものの見事に裏切られた。

年季の入った渋~い内湯と野趣あふれる多彩な露天群に、青味を帯びて緑褐色ににごった源泉が惜しげもなくかけ流されている。
明瞭な焦げ臭にあとを曳く浴感があり、お湯のイメージは完璧に重炭酸土類泉だ。

重炭酸土類泉(Ca(Mg)-HCO3泉)は数ある泉質のなかでも別働隊の一番好きなもの。
ガイドでは”炭酸水素塩泉”と書かれることもあるが、ツルすべさっぱりの純重曹泉(Na-HCO3)とはお湯のイメージがぜんぜんちがう。
おおむね緑青茶~赤茶の複雑な色味をたたえたにごり湯となり、独特の焦げ臭と重曹味と旨味、ときには炭酸味をまじえる奥ぶかい味臭が楽しめる。ギシギシした湯ざわり、肌に染み入るような独特な浴感と強い温まり感をそなえた力感あふれるお湯だ。

石灰華の析出を大量にともなうのでメンテがたいへんな泉質だが、それだけに析出でこてこてにコーティングされた湯船や千枚田と化した洗い場など、マニアごのみの浴場となっていることもしばしばだ。
この泉質はたいてい鉄分を含み酸化しやすいので、鮮度が身上。鮮度の高い重炭酸土類泉は圧倒的な質感で温泉マニアを脱出不能にすることがある。

関東周辺で重炭酸土類泉が鮮度よく楽しめるお湯は、箱根では早雲山の「早雲閣 頓狂楼」、栃木では塩原塩ノ湯、塩原福渡・不動など、群馬では赤城、鹿沢や浅間隠温泉郷に最近の高崎「湯都里」、山梨では増富から峡北にかけて数湯あるが、その数はすくなく、どちらかというと”山のお湯”だと思う。(ちなみに奥会津は重炭酸土類泉の本場)

単純温泉でも重炭酸土類泉型のものがあり、成分が濃いめだとほとんど重炭酸土類泉とおなじイメージのお湯となる。ここ弁天温泉はその代表格だと思う。
分析書での見分け方は、陽イオンでCaやMg、陰イオンでHCO3のmval%の数値が比較的高いことだ。(このあたりの詳細はここをみてね)
ちなみにここのデータをみてみると、Ca+Mgが61.28で主成分、HCO3はSO4の56.90には及ばないものの37.31で副成分となっていて、重炭酸土類泉系の単純温泉であることがわかる。

このすぐれものの源泉が210.0L/minも自然湧出し、かけ流されているのだから悪かろうはずがない。那須七湯の地力を感じさせるこの良泉は、もっと注目されてもいいと思う。

単純温泉(Ca・Na・Mg-SO4・HCO3型) 48.0℃、pH=6.44、210.0L/min自然湧出、成分総計=0.912g/kg、Na^+=60.1mg/kg (32.28mval%)、Mg^2+=20.5 (20.86)、Ca^2+=65.6 (40.42)、Fe^2+=1.0、Cl^-=15.9 (5.62)、SO_4^2-=218.4 (56.90)、HCO_3^-=181.9 (37.31)、陽イオン計=165.7 (8.19mval)、陰イオン計=416.5 (7.99mval)、メタけい酸=188.1、遊離炭酸=141.5、硫化水素=0.2 <H7.8.7分析> (源泉名:弁天温泉No.6~9混合泉)

文・画像 別働隊@うつぼ

49-2.塩原元湯 その2 「ゑびすや」

2007-04-04 23:51:17 | 栃木
俗に「塩原11湯」といわれるのは、大網、福渡、塩釜、畑下、塩の湯、門前、古町、中塩原、上塩原、新湯、元湯。なかでも奥にある新湯と元湯は硫黄泉にごり湯で人気が高い。
元湯の名が示すとおり、ここは塩原温泉発祥の湯。1200年もの古い歴史をもち、「元湯千軒」といわれるほどの賑わいをみせたと伝わるが、万治二年(1659)の大地震と山崩れで大部分が壊滅し、いまは「元泉館」「ゑびすや」「大出館」3軒の湯場である。
元湯の歴史と格式を裏づけるように、毎年9月に催される「塩原温泉古式湯まつり」では「ゑびすや」の”梶原の湯”が奉納される。また、3軒の湯宿がそれぞれ複数の自家源泉をもっていることからも、この湯場の実力がうかがわれる。

「ゑびすや」は3軒のうち、もっともこぢんまりとして湯治宿の色合いが濃い。
日帰りも受付けているが、じっくりと味わいたかったので泊まってみた。
ここは、”梶原の湯”と”弘法の湯”(えびすや新掘)の2本の自家源泉をつかっている。
浴室はふたつあり、混浴湯には梶原の湯と弘法の湯のふたつの浴槽、女湯には弘法の湯の浴槽がある。両浴室で行き来できるので、女性も気軽に梶原の湯に浸かることができる。最近浴場入口に梶原の湯の飲泉所もつくられた。

こぢんまりとした浴室は暗めでこもっている。窓(開口)が小さいこともあるが、間欠泉の弘法の湯の湯口が数分おきに大量の熱湯を注ぎ込むので、湯気が落ちつく間がないからだ。ただよう湯気はミスト状で、浴室内の壁などに成分がうすく堆積している。浴室にいるだけで効能がありそうだ。

梶原の湯と弘法の湯は同系だが、微妙にお湯のキャラがちがう。
梶原の湯は絶妙なぬる湯で3.5g/kg超の濃度とは思えない軽やかなお湯。湯口ではしっかりと炭酸がきいていて、”ラムネの湯”の面目躍如だ。
弘法の湯はかなり熱いが、いちど入ると意外に浸かれてしまう。梶原の湯より重曹が強いイメージで析出も多い。この2槽の温度差が絶妙だ。

takayamaさんも書いていたが、白濁硫黄(硫化水素)泉は、見た目や湯の香にインパクトがあるので、どれも同じに思えるが、(いいかえると、白濁してイオウたまご臭があればそれだけで人気がでる(笑))、その浴感はむしろpHや成分量、成分構成によるところが大きい。

ためしに代表的な白濁硫黄泉をみてみると・・・。(数値はmval%の概数、H2Sはmg/kg)
■ 蔵王(かわらや) 総計=4.06g pH=1.7 H=40% Al=36% Cl=13% HSO4=20% SO4=55% H2S=10.1
■ 日光湯元(5・6号) 総計=1.68g pH=6.3 Na=44% Ca=50% Cl=21% SO4=50% HCO3=27% H2S=43.1
■ 万座(姥苦湯) 総計=1.35g pH=2.4、Na=25% Mg=28% Cl=26% SO4=70% H2S=33.4
■ 塩原新湯(なかの湯) 総計=0.41g pH=2.6 H=58% Al=23% Cl=6% SO4=90% H2S=55.4
■ 那須湯本(鹿の湯) 総計=1.04g pH=2.5 H=29% Na=16% Mg=13% Ca=32% Cl=20% SO4=75% H2S=28.8

これに対して元湯は、
■ 元泉館(高尾の湯) 総計=4.11g pH=6.4 Na=82% Ca=10% Cl=59% SO4=5% HCO3=34% H2S=58.9
■ ゑびすや(梶原の湯) 総計=3.67g pH=6.5 Na=72% Ca=22% Cl=49% SO4=2% HCO3=49% H2S=27.9
■ 大出館(御所の湯) 総計=3.21g pH=6.2 Na=79% Ca=14% Cl=54% SO4=2% HCO3=42% H2S=72.7

①pHが高め ②重曹成分が多い ③成分が濃い というのが元湯の特徴といえそうだ。
pHが高いので湯ざわりやわらか、重曹が強いのでさらりとした浴感が出ている。これが酸性でClやSO4系だったら、たぶん蔵王なみの強烈なお湯になっていると思う。中性の硫化水素泉というのはあまりないが、やわらかに染み渡るような浴感があって私は好きだ。
さらに炭酸分もしっかり効いていて、よくある白濁硫黄(硫化水素)泉より、よほど複雑なお湯になっている。

深夜ひとり、梶原の湯に浸かっていると、となりの弘法の湯の湯口からごぼこぼと音をたてて熱湯の間欠泉が吹き出してくる。温泉好きでよかったと思う至福のひととき。

<梶原の湯>
含硫黄-Na・Ca-炭酸水素塩・塩化物温泉(硫化水素型) 39.7℃、pH=6.5、13.6L/min(動力揚湯)、成分総計=3.668g/kg、Na^+=649.6mg/kg (71.58mval%)、Ca^2+=177.5 (22.44)、Mg^2+=14.1、Fe^2+=0.1、Cl^-=695.1 (48.80)、HS^-=7.8、SO_4^2-=31.1、HCO_3^-=1198.4 (48.89)、陽イオン計=887.4 (39.48mval)、陰イオン計=1934.8 (40.18mval)、メタけい酸=112.9、メタほう酸=69.3、遊離炭酸=635.7、硫化水素=27.9 <H14.3.1分析>

<弘法の湯(えびすや新堀)>
含硫黄-Na-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 52.1℃、pH=6.7、20.8L/min(掘削間けつ)、成分総計=4.421g/kg、Na^+=918.8mg/kg (77.01mval%)、Ca^2+=146.7 (14.11)、Mg^2+=35.7、Fe^2+=0.1、Cl^-=965.3 (51.72)、HS^-=17.8、SO_4^2-=19.9、HCO_3^-=1489.9 (46.38)、陽イオン計=1165.6 (51.89mval)、陰イオン計=2495.7 (52.65mval)、メタけい酸=129.3、メタほう酸=91.3、遊離炭酸=498.7、硫化水素=40.3 <H14.3.1分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

48.柳沢鉱泉

2006-02-09 22:39:22 | 栃木
温泉紹介で”秘湯”という言葉ほどよくつかわれるものはない。
”秘湯”の人気はすこぶる高く、近頃は山奥のお湯ほど人が多いという。東北の某メジャー秘湯(^^;)など、団体客が入り込みトップシーズンには入浴待ちさえあるらしい。関東でも山奥の混浴風呂に若いカップルが大挙して押しかけ、嬉々として入っている。
その是非はさておいて、客もまばらな知られざるお湯を秘湯とするならば、もはや秘湯は山奥とは別のところにあるような気もする。
いい例がビジホのお湯や大規模歓楽温泉地の小さな宿だ。どちらも日中に行けばガラガラで、自家源泉ザコザコかけ流しの浴槽を独占できたりする。

那須高原の片隅にある「柳沢鉱泉」も、そういう意味では完璧な秘湯だ。
もともとは山中の一軒宿だったのだろうが、いまはすぐそばまで別荘地が迫っていて、道が錯綜しているのでたどり着くのでさえ容易でない。
別荘地のはずれから渓に向かって道をおりていくと赤い屋根の小さな建物が見えてくる。
飾り気のない館内だが、よく手入れされ居ごこちがよさそうだ。

浴室はふたつあり、この日は手前のものだけお湯が張られていた。こじんまりした浴室に小さめの石の浴槽がひとつ。槽内にはヒーターが仕込まれ、冷たい源泉の出るカランがあるので、随時投入のため湯かけ流しだと思う。冷鉱泉としては理想的な湯づかいだ。

お湯は異彩を放っている。
ここは湯面に白い結晶(おそらく炭酸カルシウム)が張ることで知られ、行ったときも一番湯で結晶を割りながらの入湯となった。そろそろと身を沈めると結晶の下で透明に近かったお湯が、たちまち茶色のにごり湯に変わっていく。

適温のお湯には弱うま味+微重曹味+微苦味+微収斂味に微金気臭+微重曹臭+やわらかな温泉臭と、成分の複雑さを感じさせる味臭がある。
キシキシした湯ざわりとからだのなかに染み渡ってくるような奥のふかい浴感。よく温まりどっしりとくる力のあるお湯なので長湯できないが、浴槽から出て涼んでいると、またぞろ入りたくなる、そんなお湯だ。

Mg・Ca・Na-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉(含食塩-重炭酸土類泉)という複雑な泉質はそうあるものではない。とくにMg^2+が主成分となる泉質は関東ではすくない。
栃木西部には小滝、赤滝、寺山など、似たようなロケーションの酸性緑礬泉群があるが、それらともイメージが違う。むしろ赤城南麓の赤城や滝沢に近い雰囲気のお湯だと思う。

ちなみに那須の温泉というと、湯本「鹿の湯」を筆頭に山側のお湯にスポットが当たるが、実は麓の高原地帯にもたくさんのお湯がある。泉質はバラエティに富んでいて、自家源泉のマイナー湯が多いので温泉マニアには応えられないエリアだといえる。
たとえば、すぐそばにある「ホテル報恩」など、こことは全然イメージの違う個性的なお湯なので、連チャンで攻めればこのあたりのお湯のクセモノ度を実感できると思う。

浴後女将さんと話をした。
「昔は湯治客でけっこう賑わっていたけど、いまは湯治客が減ったのと、まわりに日帰り施設がたくさんできてしまったので・・・。」と淋しげに笑っておられた。
そういえば、着いてから宿をあとにするまで1時間あまり、週末にもかかわらず他のお客はついぞやってこなかった。(このあと行った「鹿の湯」は入場制限が入るゲキ混みだったのに・・・。)
世を挙げての秘湯ブームの陰で、すばらしい源泉をもちながら、客の減少のまえになすすべもなく消えていったお湯は数多い。とくに鉱泉は加熱コストがかかるので、経営的に、よりシビアな条件にある。
「柳沢鉱泉」をとりまく状況も決して甘いものではないだろうが、その味わい深いお湯を活かし、新たなファンをつかんで元気につづけていってほしいと思う。

文・画像 別働隊@うつぼ 

Mg・Ca・Na-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉 6.3℃、pH=6.4、湧出量不明、成分総計=2.452g/kg、Na^+=180.1mg/kg、Mg^2+=103.3、Ca^2+=162.1、Fe^2+=5.4、Cl^-=230.6、SO_4^2-=165.0、HCO_3^-=900.1、陽イオン計=464.9、陰イオン計=1245.8、メタけい酸=75.4、メタほう酸=14.2、遊離炭酸=601.1、硫化水素=0.1 <H13.3.23分析>(源泉名:柳沢鉱泉)
<温泉利用掲示> 加水なし 加温あり 循環なし 消毒剤使用なし

57.小砂温泉 「美玉の湯」

2006-02-05 06:16:05 | 栃木
 私は本格的な温泉湯巡りを始めてかれこれ20年以上もたつ以前は現在のように情報も開示されていなく、九州の温泉で湯巡りしたときも、今は亡き美坂哲男先生の「諸国いで湯案内」を擦り切れるまで読んで、参考にしたことが懐かしい。
 そんな長きに渡って、湯巡りしていていて家族からよくあきもせずに行っているねと皮肉をこめて言われるが、現在は以前にまして湯巡りが楽しくてしょうがなくい。温泉の深さを知れば知るほど、温泉素晴らしさなどが見えてくるのでこれからもこの状態は暫く続くのでしょうか。

 小砂温泉「美玉の湯」は、以前一郷一会の掲示板で話題になっていたが、その存在をすっかり忘れていて、栃木の日帰り温泉のガイドブック(栃木の日帰り湯めぐりガイド 下野新聞社刊)でページをぱらぱらめくり何気なく行った温泉であったが、入浴したとき当たりと思わず唸ってしまった温泉である。
 何故湯巡りをするのかといった根本的な問題で、良い湯に入りたいからといった欲望が全てだというのが自分の湯巡りスタイルである。
 私は、好みの温泉が次々と変わり、塩化物泉だったら集中的に入浴し、重曹泉だったらしかり、石膏泉も同じくである。ちなみに現在では放射能泉に傾斜している。しかし一番好きな泉質はと聞かれると芒硝泉と答えている。
 芒硝泉は地味なお湯であるが、この系統のお湯の温泉施設は、何故か激混みの温泉が多く、同じ思いの同好の方たちが多いのが興味深い。

 小砂温泉(こいさご)は、馬頭温泉郷の隣に位置しており、同様な温泉郷としてもよいと思う。周りは那珂川の雄大な眺めが見られるが田んぼの中の温泉といったもので、海沿いの風光明媚な場所でもなく、山の湯みたいに自然の中に自分の身をおくような場所でもなく歴史のある温泉でも無いので、温泉の質で勝負するしか無いのかもしれない。浴室も内湯がひとつ露天風呂も無く、しかも窓も開けることさえ出来なく、桧風呂や石風呂のような風呂ではなく清潔感は非常に高いがどちらかというと無機質なタイプである。温泉に対して開放感を求める人や浴槽に付帯なものを求める人にも、あまりお勧め出来ない。ここのお湯は、温泉そのものの良さが全てだ。

 ここの温泉は、アルカリ性単純温泉に分類される。しかし分析書み見られるとおり非常に高いアルカリ成分PH9.25や芒硝系の泉質なにより関東では稀なラドン含有物まで含まれており、自分が求めていた理想の温泉配分である。
 もし仮にこの5倍の成分であったなら日本でも有数なる温泉になっているだろう。入浴しても、芒硝系の良い温まり感や後味感、ラジウムの独特の温まり感など独特の入浴感が楽しめて、5回ほど再訪したが私は全て満足のいくものである。近くにあったなら物凄い数入浴しているだろう。栃木の温泉で再訪したい温泉現在No1である。

 源泉名 塚本源泉 アルカリ性単純温泉(Na-SO4型) 泉温46,5℃ PH9.25 ラドン含有量 10.6×10^10 Curie
Na=155.5 K=1.7 Ca=2.1 Al=0.3 F=3.2 Cl=16.5 SO4=232.7 HCO3=71.8 CO3=24.2 メタケイ=32.1 成分総量543mg/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama

46.那須湯本温泉 「鹿の湯」

2005-12-03 13:49:38 | 栃木
那須湯本温泉 「鹿の湯」は、栃木の温泉の顔であり、今までに温泉ファンを魅了しており、現在も多くの湯浴み客が訪れている聖地ともいうべきものである。
 共同浴場である鹿の湯は、最大の特徴は那須湯本温泉の源泉にどの温浴施設よりも一番近く、引き湯距離も30mくらいである。ここ那須湯本の源泉は、鹿の湯を跨ぐように流れる湯川の西側に「行者の湯」源泉と東側の道路側に「鹿の湯」源泉の混合泉であります。湯守の方に聞きますと、両源泉とも湯口は無色透明であり酸化に伴って白濁度を増すという。但し、行者の湯のほうが湯ノ花が若干あり、鹿の湯のほうは、湯ノ花はほとんど無い透明な湯というのが興味深いものである。

 ここ那須湯本温泉は、多くの旅館やホテルに供給されているが、雨季(梅雨)のときには湯量が変わるようで、通常は毎分800L、雨季となると1200Lとなり、火山と地下水との関係が影響するものだと改めて考えさせられる。ここの熱源が、直ぐ近くの殺生石あたりで、那須連峰の麓に位置していたのが幸いだったのだろう、これが山の頂上だったら箱根などと同じく地下水の乏しい造成泉になっていたかもしれない。

 私は若いときから湯巡りが好きで、かれこれ20年以上にもなる、しかも無類の火山性の硫黄泉好きであり、北は東北から南は九州の温泉まで、かなりの硫黄泉に入浴してきた。当然ここ鹿の湯にも入浴したわけだが、当時はなんでこの湯で感動したかよく覚えていなかった。多分見てくれのよさだけで感動していたのかもしれなかったじゃなかったのかもしれない。他の有名な温泉も同様に、温泉に入浴した喜びよりも、当時温泉数をこなした喜びみたいな満足感が全てのような気がする。
 その後かなりの数の温泉と出会い、最近では白濁の温泉を入浴することが目的で無くなったようだ。しかし、火山性硫黄泉の麓に硫酸塩泉系や炭酸水素泉系や良質な塩化物泉などの良泉が存在しており、その温泉を探すためにその元になる硫黄泉を基準に考えることをよくしている。

 さて、かなりの前置きが長くなったが「鹿の湯」はというと、日本の全ての温泉でも稀なる湯使いをしている。基準はなにかというと、上に書いてある白濁湯にするといったものである。幾つかの温泉でも着たかもしれないが、このプログにテーマが良い湯であり、その1つの骨格が、鮮度の高い湯やじゃぶじゃぶかけ流しなどといった鮮度感のある温泉で、鮮度の低い湯とくらべ、匂いもクセがなく香りが上品であり、深さをもった浴感であることなどである。このような温泉が100プログで紹介された良い湯の基準となっているだろうが、寝かせた硫黄泉とはどんなものだろうか。

 鹿の湯は、湯船が6つあり、一番熱い湯が48度、その次から2度刻みくらに温度に差をつけており、熱い湯からやや温い湯までそれぞれにお湯の温度に差をつけて温度によって好みの湯を楽しましてくれる。当然ここの良いところは、加水などをしておらずしかも白濁湯にまでしており、ここの「湯元鹿の湯」の全てを語っているようでもある。一番最初に書いたが、ここの湯は、建物の切り目にあるように、非常に源泉に近く、そのままであれば、無色透明なお湯が掛け流されていて、ちょうどかぶり湯がそうであったように、透明なる熱い湯となっている。

 それじゃどうして、白濁湯になるかというと、入浴時間終了後、全ての浴槽をお湯を抜き、そして清掃してお湯を入れ始める。各湯よくよく観察してみると解るが、お湯の投入量が微妙に違うはずである。温い浴槽は相当な絞り込み量で、熱いほうが当然絞り込みは緩いく、営業時間になっても同じように絞りで調整しているのだ。一番温い浴槽は、営業時間前にようやく湯船にお湯が満たされるそうで、その寝かし度というものは、貴重なものである。
 特に湯守方の話では、温い湯のお湯の造りこみが一番大変んことで、湯を各浴槽から、相当入れ替えて調節するそうで、私は見ていないのであるが職人芸ともいえるのかと思う。

 お湯に入った印象であるが、ここはPHの低い酸性泉で、寝かした硫黄泉は、刺激が少ない。特にここの「鹿の湯」が一番よい所は、小さな湯船で、4人でいっぱいな湯船であろう。しかも深く硫黄の寝かしながら鮮度感も保っているのであろう。共同湯の最大の特徴の小さな湯船というものが、お湯のわかる人々によって継承されているのが嬉しい。今回私もこの鹿の湯みたいに肌に馴染みやすい湯をしみじみ堪能できた。1歩間違えると、とんでも悪い湯使いになってしまう恐れのあるのだが殺菌力のある力のある湯や、深く小さな湯船に助けられ、独自の進化がなされている鹿の湯に拍手したい。
 
 湯守さんと温泉のことをかなり話した、湯守のひとが温度管理が大変なので、熱交換したいという、私も熱交換に賛成したが、あまりにも源泉が近いので、熱交換する場所がないという。ここで熱交換したら、鹿の湯はお湯の鮮度感について更によくなるだろうが、独特の湯使いのお湯はどうなってしまうのであろうか。
 寝かした温泉は、硫黄泉ではときに爆発的に良い湯になることがある。最近では配管技術が発達しており昔ほど、鮮度差というものがなくなっている。温度的にも一番下の旅館まで1度くらいしか違わないともいう。
 ここ那須湯本温泉 「鹿の湯」は寝かした硫黄泉ではあるが、すこぶる柔らかく深いお湯である。

 那須湯本温泉「鹿の湯」 酸性 含硫黄-カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型) 泉温68.4℃ PH2.5 (平成11年2月分析)
K=3.2 Na=39.2 K=10.6 C=70.1 Mg=16.6 Al=7.6 Mn=1.2 Fe1=1.4 F=0.8 Cl=79.9 HSO4=42.4 SO4=398.2 硫酸=0.3 メタアヒ=0.1 メタケイ=338.5 メタホウ=1 H2S=28.8 成分総量1.04g/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama
 

50.塩原新湯 「むじなの湯」

2005-11-19 09:56:56 | 栃木
 奥塩原新湯温泉は塩原温泉郷より日塩もみじラインで鬼怒川方面へむかい、山道を登った約標高900mの高台に位置しており、日光国立公園内の温泉郷であります。ここは共同浴場も寺の湯、中の湯、むじなの湯と3箇所も密集していおり、その素朴な佇まいとお湯のよさで多くの温泉ファンを魅了している。

 さてむじなの湯であるが、以前は混浴風呂であったが現在では、男女別に仕切りが出来て、完全に男女別の共同浴場となっている。ここは、女性の方の風呂に岩から直に源泉が湧き出ているようで、女性風呂の方が鮮度感がよいかと思うとちょと羨ましい。

 佇まいは、鄙びた共同浴場となっており、酸性泉を吸収するためか、板張りの浴槽ですこぶる入浴しやすいお風呂で気持ちよい。やはり、このような浴槽が一番で肌に馴染むのもよい。においは共同浴場の外から感じられる硫化水素臭が感じられて、温泉の期待が更に高まる。入浴中には、独特の硫酸塩泉の成分とPHの低い火山性の酸性泉で、軽い体の負担が感じられて、実際の温度より高い熱さを感じる温泉であり、他の新湯温泉の旅館以上に温泉の濃さを味わえる温泉で、多くの温泉ファンに支持されるのこの辺かもしれない。

 浴後感がすこぶるよいのがここむじなの湯のよさであり重厚な温まり感を体験できる良質なる酸性泉なのであり、雰囲気のよい新湯温泉の佇まいもよい。混雑さえなく独占湯が出来ればどれほどしやわせか計り知れない。

温泉分析表 記載なし?

文/画像 ガメラちゃん@takayama

56.氏家松島温泉 「乙女の湯」

2005-11-05 22:31:47 | 栃木
東北本線蒲須坂駅から車で10分、ひっそりとした田園の高台にアトピーの名湯といわれる温泉があります。敷地内に湯治棟もあります。中に入ってみるとフロント、休憩用の大広間があり、一昔前の大型温泉施設のようなイメージがありました。入浴料と下駄箱の鍵を渡すとロッカーキーを渡してくれます。

浴室
休憩場などからイメージしていた浴室とは違い内湯1、露天1ととてもシンプル。照明はやや暗め。天井は低めで梁が張ってある。手前に洗い場が10箇所。奥にタイル張りの四角い湯船。湯船の回りはガラス張りになっています。
カランのお湯は温泉。体を洗い終えお湯で流しても石鹸が洗い流れていないような錯覚をしてしまうぐらいヌルヌルしている。ちなみにお湯は無色透明、ちょっと飲泉してみると甘みのあるお湯でした。
お湯に浸かると熱くもなく温くもない。まさに適温。湯口近くでお湯を触ると体に小さな気泡が纏わりつきます。じっくりと入っているとジワリジワリ汗がゆっくりと出て行く。時間を掛けて体の芯まで温まっているようだ。

露天風呂
こちらは岩風呂となっている。露天の照明は暗めです。良く見ると寝湯が出来そうな丁度いい大きさの石が横たわっている。ここでちょっと寝湯をしながらお湯に浸かる。お湯は内湯よりもさらに温めです。真冬にこの温度だとちょっと寒いかなと思いますがお湯が柔らかく体を包みこむため1時間はゆっくりと浸かっていられる感じです。
お風呂から上がりお湯が乾くと体がツルツルしてきます。滑るような肌の感触。
心地いいお湯に浸かりながら星空観測会なんていうのもいいかなと思いました。

住  所 栃木県さくら市松島900
営業時間 午前10:00~午後9:30 入浴料 700円(午後4:00~500円)
泉  質 アルカリ性単純泉 39.7℃ pH=9.2
主要成分
Na^+ =98.1mg K^+=3.9mg Ca^+=1.2mg Mg^+=0.1mg
Cl^-=46.9mg HCO_3^-=77.0mg Co^3-=48.6mg Bo^2-=4.9mg
メタ珪酸=158.6mg  

文/画像 えんぴつ



53.鬼怒川温泉 「鬼怒川仁王尊プラザ」

2005-10-16 02:51:38 | 栃木
栃木を代表する温泉郷、鬼怒川温泉は、歴史はまだ浅く江戸時代で日光詣での大名や僧侶しか入浴が許可されていないよう独特の温泉文化が発達して、明治時代に入り鉄道の開通とともに、ようやく現在の形になったためか、古くからの共同湯などが無いのはその影響がおおいのか、早くから近代的な温泉街を形成していたのであろうか、古くからの庶民のための湯治的ムードはあまりない。

 東武鉄道の鬼怒川駅への開通とともに、高度成長の波に乗り、バブル経済のリゾートブームにも乗り次々に、大型旅館が建設されたのも、ここ鬼怒川温泉にとっての歴史の一部なのかもしれない。

 さて、ここ鬼怒川仁王尊プラザであるが、新しい鬼怒川温泉でえはあるが、更に新しく開発した温泉で、ここと高徳地区は鬼怒川で一番新しく開発された地域であるが、なにを隠そう湯治的要素の高いのが、こちらの新興地域なのである。
 新高徳温泉の「民宿まつや」も地元の日帰り客と常連さんの宿であるし、特にここ「鬼怒川仁王尊プラザ」は、その常連度は更に高い、毎回入浴時にいろいろなお話を他のお客さんと話しているのだが、首都圏から車や電車で、月に何度も通ってくる常連さんも多く、ここの温泉のよさに惚れて、通い続ける人も多い。
 
 今回も埼玉から10年以上でしかも毎週通ってくる常連さんとの長話をしたのですが、同じような人が多いこと、昔はバスの団体さんでお越しのなって、混雑していることなど、ここの温泉が一番なことなどを、嬉しそうに話をしていたことが、印象に残っている。
 
 相変わらず、前置きが長くなってしまったが、鬼怒川仁王尊プラザは、ともかく得体の解らない施設で、もう私も10回くらいは訪れているのだが、いっこうにその正体が解らない。施設を見渡しても、お茶と急須を売る店があり、実用新案「回転急須」なるものが存在するし、いつもは開いてないのだが突然店を開ける中国漢方の健康食品の店やたまにしか開いていない喫茶店や保険の効く接骨院(ここは名医)など、怪しくかつ興味深い店が1つのビルの中にあり、ここ鬼怒川仁王尊プラザを訪れるお客さんを対象にしている。全てがB級的雰囲気を醸し出している。

 温泉施設としても、名前の由来となっている仁王尊2対が施設の北東方向に鎮座しており、温泉の守り神になっている。ちなみに、このように菩薩や観音様などや弁天様のような七福神などを祭っているところは、温泉施設に多いが、ここの仁王尊のように5mくらいありような巨大なものは、数少ない。
 他にも、鱒つり場もある巨大な池や、バーベキューハウス、はては犬猫の宿泊施設も完備しているように、雑多なものや意外性のあるものが、かなり広い施設内に点在していて、B級ワールドが炸裂している。(笑)

 温泉は、そのB級温泉に反して、上記に書いた常連さんが通い詰めたよう、素晴らしい温泉で、何百回と入浴しても、そのお湯のよさを裏切られることは少ない。私の感想では、なんといってもアルカリ性の温泉のよさが立証される。PH9.6、日本でも数少ない強アルカリ性(PH9.9が最高位)のお湯で、しかもこれだけアルカリ度が高いとかなり刺激するお湯であるが、鬼怒川仁王尊プラザは、他の温泉成分と泡つきのよさか、どちらかというと穏やかな入浴感で、何時までも入浴できる感じがする。

 匂いは湯口は硫黄臭を感じるが、穏やかなたまご臭、味もたまご味だがやはりほのかに香る味ががぼやけたものではない。入浴後はやはり芒硝泉的な温まり方をするので、頭の芯から汗が出るほどで、軽やかででもしっかりとした温まり感で、私のとって一番の温まり感です。ともかくここのお湯は通い詰めたくなるお湯、何百回と訪れる常連さんが頷けるほどの名湯、鬼怒川温泉はいまいちと思われる方は是非入浴してほしい。鬼怒川いや温泉の価値観をも変える良泉である。
 電車では、東武鬼怒川線「小佐超駅」より徒歩12分、東武スクエアより線路の反対側に入り道沿いを行く。

源泉名 鬼怒川仁王尊の湯 アルカリ性単純温泉(Na-SO4・Cl型)泉温39.4℃ PH9.6 
Na=91.1 K=0.4 Ca=5.5 Mg=0.1 F=10.6 Cl=40.9 HS=0.4 SO4=61.9 HCO3=20.7 CO3=22.9 メタホウ=11.9 OH=0.7 メタケ=46.9 成分総量0.314g/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama

55.喜連川早乙女温泉

2005-08-25 23:12:30 | 栃木
城下町喜連川に温泉が湧出したのは、昭和56年秋のこと。この地はもともと「突抜き井戸」といわれる自噴井が約60ケ所もあって、地下からの圧力が高い特殊な条件を備えていたものと思われる。地下1,242mに達したパイプから噴出した55℃の高温泉は、化石海水型の硫黄含みの濃厚な食塩泉。以降も源泉が開発され、現在では8ケ所(町営もとゆ温泉(第1温泉浴場)、町営喜連川城(老人福祉センター)町営露天風呂(第2温泉浴場)、かんぽの宿、国民年金保養センターきつれがわ、ハートピアきつれ川、道の駅きつれがわ、早乙女温泉)で日帰り入浴が楽しめる。

早乙女温泉は氏家寄りの町はずれにある独自源泉の日帰り施設で、個性的な喜連川のお湯のなかでもひときわ異彩を放ち、温泉ファンのあいだで根強い人気を誇る。
駐車場に着いたとたん、ただようイオウ臭と側溝から立ち上る湯気が、早くもただならぬ存在感を放っている。
浴場は広い内湯1槽とシンプルで、イオウの析出でまっ白になった湯口からお湯を注いでいる。色味は七変化で、午前中の鮮度がいいときは透明、午後、人に揉まれてくると硫黄泉らしい緑白色の濁りを帯びてくる。

だが、なんといってもここの名物はその温泉臭だろう。墨のようなアブラ臭に軽油(シンナー系?)臭と硫化水素臭が入りまじった強烈なもので、これを嗅いで恍惚となっている中毒患者多数 (~~;
濃いめの土類食塩泉らしい強い浴感で長湯はきびしいが、そのわりにほてりは少ない不思議なお湯だ。浴後はペトペトしっとりとし、肌に残った墨系アブラ臭がしだいに甘いイオウ臭に変わっていく。

カランも温泉で、温泉臭匂い立つ熱湯の源泉が噴き出すので要注意。これで洗髪するのは相当に気合いがいるかと・・・(笑) さらに脱衣所の洗面カランからも熱湯源泉が出るので油断できない。

あまりに個性的なお湯なので好き嫌いは分かれるかと思うが、イオウとアブラ両方楽しめるお湯は関東ではとても貴重。やはり栃木平野部を代表する名湯だと思う。

なお、うっかり玄関左手の休憩所に入ると否応なく「早乙女温泉恒例カラオケ歌謡ショー」の観客となってしまうので、右手の”VIPルーム”のチョイスをおすすめする。

「早乙女温泉」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「過去ログ」)


<平成14.6.18分析> 含硫黄-Na・Ca-塩化物泉 73.4℃、pH=7.4、成分総計=15848mg/kg、Na^+ =4816.0、Ca^2+=1169.5、F^-=2.8、Cl^-=9564.9、HS^-=12.4、陽イオン計=6049.9、陰イオン計=9662.4、メタけい酸=52.9、メタほう酸=73.2、硫化水素=5.6 

<平成3.5.24分析> 含硫黄-Na・Ca-塩化物泉 64.0℃、pH=7.6、成分総計=15820mg/kg、Na^+ =4946.0、Ca^2+=1123.0、F^-=2.3、Cl^-=9419.0、HS^-=13.3、陽イオン計=6123.9、陰イオン計=9542.8、メタけい酸=56.2、メタほう酸=85.5、硫化水素=3.8

文・画像 別働隊@うつぼ

参考:さくら市HP 
リンク先は筆者レポ(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん掲示板過去ログ)

□ 日光沢温泉 (元100湯)

2005-08-07 22:46:26 | 栃木
栃木県北西部に位置する栗山村は、平家の落人伝説も残る山深いところ。わけても最奥の奥鬼怒エリアは、2,000m級の山々にかこまれ、豊かな自然が残る秘境として登山客、観光客双方から高い人気を集めている。
女夫渕温泉から奥の4湯(八丁の湯、加仁湯、日光沢、手白沢)は俗に奥鬼怒4湯と称され、いずれも野趣あふれる露天風呂をもつ一軒宿で、昨今の秘湯ブームを代表する温泉としてマスコミでの露出も多く、知名度は抜群だ。

近くまで奥鬼怒林道が開通しているが、自然保護の見地から一般車の通行は禁止されているので、ふつうは、女夫渕から鬼怒川沿いの遊歩道を1.5時間ほど歩いていくことになる。すばらしいロケーションのなか、ハイクと露天がセットで楽しめるので、人気が高いのもうなづける。

鬼怒川本流最奥にある日光沢温泉は、高層湿原として名高い鬼怒沼をはじめ、根名草山・温泉ガ岳などへの登山基地でもある。山小屋然とした飾り気のない外観が渋い。
別棟の湯小屋内に雰囲気のよさげな内湯と、そのよこに露天(混浴)が上段・下段のふたつありそれぞれ泉質が異なる。日帰りでは露天のみ入浴できる。

下段露天は、乳白色薄にごり湯の硫黄泉。浴槽のすぐ脇で湧出しているらしく、すこぶる鮮度感の高いお湯が楽しめる。
上段露天は、かなりぬるめの無色透明のやさしいお湯でイオウ気はほとんどない。イオウ系メインの奥鬼怒4湯では異色のお湯だ。ここは一郷一会のオフで突入したが、百戦錬磨(?)の面々が、「う~ん!」と唸ったきり湯船にくぎ付けにされたほどのすばらしいお湯。泉質はどうやら含重曹-食塩泉らしい。(詳細はレポへのやませみさんのレスを参照)

深山の雰囲気あふれるなかで、個性の異なるふたつの上質湯を楽しめるのはとても贅沢だ。都心からの日帰りはかなりタイトになるので、泊まりで他の3湯(ただし手白沢は日帰り不可)もあわせて湯巡りするのが正解かと思う。

「日光沢温泉」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

文・画像 別働隊@うつぼ