一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

□ 観音温泉 「ホテル観音温泉」 (元100湯)

2005-11-26 11:50:57 | 元100湯
 観音温泉は、下田市の横川温泉より更に南東部の舗装されていない山道を登っていきます。しかし、突然現れた旅館は、秘湯の宿ではなく、どちらというとデザイナー系のおしゃれな宿で、特に別館のピグマリオンのラウンジなどは、間接照明が巧みに配置されており都会的な癒しの空間を演出している。宿泊料金も3万円以上(ピグマリオン)と高級旅館でありますが、本館のほうは一般的な料金の旅館です。各雑誌の広告欄で紹介された観音温泉の温泉水販売があって以前よりちょっと気になっていた温泉で、このプログ100湯で選出されたので、今回興味津々で訪れた。

 伊豆の温泉なのであるので、PHは高いが、他の伊豆の湯と違わないかなと、予想していたが、入浴してみてそれは裏切られることとなる。結果からいうと伊豆であって伊豆にない特徴の温泉なのである。特徴は高アルカリ性の成分の薄い単純温泉、これが最大の特徴なのであります。この100プログでも紹介されていますが、福島県のいやさか食堂の湯や新潟の山の湯、五十沢温泉「旧舘」、栃木の鬼怒川「仁王尊」、山梨「初花」などに共通する温泉なのかなと思う。

 温泉は、勿論成分の薄い温泉なので、優しい感じの浴感なのだが、やはり高アルカリ性温泉の、特徴の骨太の温まり感があり心地よい疲労感が伴う。しかも成分は薄く温泉名に記載されないが、純芒硝泉系のお湯で、湯上りは肌がすべすべになるお湯で特に女性に喜ばれる泉質なのかである。
 湯屋であるが、これがよい湯屋なのである、露天風呂はかなり平凡であるが、内湯が素晴らしい、新しい湯屋なのだが天井が高く、湯煙ぬけがよい具合になっており湯気で曇ることは少ないだろうと思う。よい共同浴場で時々みられるが、このような方法を取るとゆったりとした湯浴みができ、すこぶる気持ちがよい。
 新しい施設なのだが、内湯はかなり出来である。

 お湯も芒硝泉系の温まり感、高アルカリ性温泉の骨の芯まで温めてくれるよい湯などお湯に関しても高レベルな温泉だと思う。高級感漂う施設などが伊豆らしく、鄙びた感じが微塵も泣く、個人的には好印象である。お湯さえよけれ鄙びた雰囲気は要らない。観音寺温泉廻りは、松崎温泉や下加茂温泉などの個性たっぷりな温泉があるがその中でぽっかりと空いた高アルカリ泉は、伊豆であって伊豆で無い温泉かもしれない。

源泉名 観音温泉1号泉 横川7号 アルカリ性単純温泉(Na-SO4型)PH9.5
Na=57.4 K=0.9 Ca=0.2 Cl=8.6 OH=0.5 SO4=28.7 HCO3=9.3 CO3=45.8 メタケイ=149.2 成分総量0.3g/kg (分析平成3年3月)

文/画像 ガメラちゃん@takayama

□ 伊豆山温泉(走り湯) 「うみのホテル中田屋」 (元100湯)

2005-11-18 23:44:44 | 元100湯
伊豆山温泉は、湯河原と熱海のあいだにある地味な温泉地だが、源頼朝も入浴したという古い歴史をもち、実に106ケ所の温泉井(平成15年熱海温泉組合の調査)を擁する実力派だ。泉質はバラエティに富んでいるが、別格として扱われているのが日本三大古泉のひとつとされる”走り湯”だ。ここは全国でも珍しい横穴式源泉で、山腹から湧き出たお湯が海へと走るように流れ落ちるさまから名づけられたといわれ、昭和39年に枯渇したが、昭和45年の増掘により復活している。

その”走り湯”のすぐ前にあるのが「うみのホテル中田屋」で、”走り湯”源泉をつかう貴重な宿だ。大浴場は展望もなく(最上階にある男女交替制の露天は眺望絶佳)、さして色気もないつくりだが、なんといっても歴史的名湯”走り湯”を泉源そばで味わえるのは贅沢だ。なお、脱衣所の湯づかい掲示に、加水、循環ろ過、消毒剤投入とあったが、湯口からはたぶん非加水の源泉が注がれていて、しかも日帰り可能時間帯は空いているのでぜんぜん問題ない。

お湯はやや青みを帯びているが透明でいたっておだやかな表情だ。だが、お湯に身を沈めてみるとタダごとではない。高張性食塩泉特有の迫りくるような重厚な浴感&火照り感。あっという間に汗が噴き出し長湯不可。苦もなく水シャワーを浴びられてしまう。からだ中の水分が入れ替わってしまうようなサウナいらずの激しいお湯だ。

冬向きのお湯といえば、まずは”熱の湯”といわれる食塩泉だが、わけても土類食塩泉の温まり感はひとつ抜きんでたものがある。ややペトつきどちらかというと派手派手な浴感なので厭う人もいるが、”走り湯”のお湯はSO_4^2-=814.2やメタけい酸=96.6が効いているためか、激しいながらもどことなく上品で奥行きがある。ちなみにここは明治期には皇室の御料温泉になっていたというほどの由緒正しいお湯だ。

味がまた凄い。強烈な苦味が先行しその裏でしっかりと強塩味が効いている。土類(Ca^2+やMg^2+)が多くなってくるとお湯の苦味は強まるが、ここまで苦味が主張してくるお湯も珍しい。個人的に苦み走ったお湯は大好物で、鶴巻温泉「ゆたか」十谷温泉「源氏荘」、大室温泉「まきばの湯」など、どれもおすすめできる良泉かと思う。
これだけ個性の強いお湯なのになぜか湯の香はほとんどしない。”走り湯”の泉源そばでもほとんど温泉臭はしないので、これは”走り湯”本来の性格なのだと思う。

洞窟のなか、もうもうと湯気を上げ湧き出る”走り湯”を見物し、中田屋でこの名湯に浸かり、”走り湯”で茹でた温泉たまご、”走り湯御玉”を食べる。入りたりなければ渋~い共同浴場「浜浴場」もある。しかも、入浴すると物事が成就するという”走り湯伝説”までついている。温泉ファンにはたまらない魅力をもった温泉場だと思う。

なお、山側にあって、特異な泉質で定評のあった共同浴場「般若院浴場」が、平成17年春に閉鎖となったのはかえすがえすも残念。

Ca・Na-塩化物温泉 71.6℃、pH=7.8、総成分=10.18g/kg、Na^+=1098mg/kg、Ca^2+=2525.0、Cl^-=5524、SO_4^2-=814.2、メタけい酸=96.6、メタほう酸=11.4 <H16.2.27分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

※リンク先は、筆者レポ(当ブログ&関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

□ まえばし駅前天然温泉 「ゆ~ゆ」 (元100湯)

2005-11-08 21:39:19 | 元100湯
まえばし駅前天然温泉「ゆ~ゆ」は、私の地元の温泉で自宅より5Kmの距離しか離れていなく、私にとっては普段着の温泉そのものである。
 もうかれこれここの温泉は、数えていないが相当な数に入浴しており、受付の人なども殆ど顔なじめになっていて、どのカランが出が悪いなどということまで解っていて、私にとっての「ゆ~ゆ」は、特別な温泉ではないことは解っている。
 さて、そんな私にとっての普通の温泉なので100プログに実際に書くとなると非常に苦労する。そんな中で、何を書こうとするとやはりここの温泉の一番よい状態の「ゆーゆ」を紹介したい。

 まえばし駅前天然温泉「ゆ~ゆ」の場所は、群馬県の県庁所在地である前橋市のJR前橋駅より、中心部に向かい通称ケヤキ通り沿いのほぼ真ん中に位置しており、駅より徒歩3分くらいの場所に立地しており、電車派の方には非常に便利な場所である。群馬の立地ということで、駐車場も50台位置けるスペースがあるので車で訪れるのもよいだろう。廻りには、金融機関や会社の支社などが立ち並び、温泉とあまり縁のない場所で意外性がかなりある。客層も夕方になると、ネクタイ姿のサラリーマンが一風呂浴びて帰るといった光景が見られ、他の日帰り温泉施設に比べ異にしている。

 さて前置きが長くなってしまったが、よい状態のゆーゆについてですが、なんといっても朝一番に入浴するのが、お湯の状態が一番で、特に誰も入浴していない一番風呂は、特に鮮度感がたっぷりで、夕方以降訪れるのとは、温泉そのものが違う別物のようなものである。ゆーゆに限らず他の温泉でも同じことがいえるので、朝一番開店前に並ぶと飛びっきりの極上湯に出会える可能性が高い。
 今回10時少し前に行ったが、私と同じ考えのご同好の方が20人位列を作っていて、改めてそのよい湯の存在を常連の方々は解っていると驚いている。

 何故、一番湯がよいかと、検証するとやはり人が入浴すると、空気に触れる機会が多くなり温泉の鮮度を奪う酸化がかなり頻繁におこります。今回いった一番湯は、酸化の少ないことを証明するのが色です。1番湯は殆ど入浴して足元が見えるほど透明感のあるうす緑色している。これが夕方になると鉄分が若干あるので、薄茶色に変化し、足元は殆ど見えない状態になるから酸化したお湯は、お湯の鮮度感を奪うことになる。

 匂いも1番湯が一番香り高く、ゆーゆ本来持っている柑橘系の油臭がほのかに漂って温泉らしいよい香りとなっている。色や香りは、嗜好品見たいのものだがやはりその鮮度のよい湯とういものは、なんといっても浴後の充実感に尽きると思う。 鮮度感の無い湯は、どんなに成分が充実しても、温泉に入浴した充実感といものが存在していなく、つまらない温泉入浴となるものだ。

 今回思ったことが、100プログでも共同浴場の数が大変多い、このプログは鄙びや風景には、無頓着でお湯さえよければというコンセプトだ、お風呂は小さければ鮮度感を増し、人があまり入浴していなければやはり鮮度感は増すものだ。
 お湯そのものには日帰り施設や共同湯そのものは、関係ない話である。日帰り施設はやはり多くの人が入浴するのでお湯の状態が悪いだけで、お湯そのものは、大地からの贈り物で、鮮度のよい湯が充実しているのは何処でも同じだと思う。
 ともかく鮮度感のあるお湯に入ろう、そして入浴後の充実感を味わいたい。

源泉名 前橋駅前温泉くりまの湯 泉温57.5℃ PH7.3 湧出量455L/min ナトリウム-塩化物泉
 Na=1387 K=22.6 Mg=15.7 Ca=96.5 Fe2=1.4 F=0.5 Cl=1971 SO4=5.9 HCO3=643 CO3=29.8 メタケイ=57.4 メタホウ=69.1 成分総計 4.30g/Kg(平成12年7月分析)

文/画像 ガメラちゃん@takayama

□ やしお温泉 「恩沢の湯」 (元100湯)

2005-11-05 22:55:47 | 元100湯
 やしお温泉「恩沢の湯」は、東北道西那須野塩原ICより北に5Km離れた場所にあり、幹線道路に面してなく、ナビゲーションを頼りに行かないと解りづらい。
 周りは、牧場やゴルフ場などが点在しており、落葉樹なども多く、周りに人家がなく何も無いが自然と一体となることが出来る。

 やしお温泉は、塩原温泉カントリーキャンプ場の付帯施設となっており、今回訪れたのが11月ということもあって、テントが1張りと静かなキャンプ場でもあったが、シーズンともなると、閑静な場所と良質の温泉で、かなり賑わうのではないかと思う。山の斜面に出来ていなく、勾配のない場所はテント設置しても快適なキャンプが出来るのであろう。

 さて、温泉はというと、帰り際に、こちらでは有名な、おばあちゃんの言った魔法の湯とのが印象的でした。ちょっと誇張してた言葉で疑問がのこるが、あながち頷けることがある。温泉に含まれる成分がとても良いのである。CaやMgの土類型の硬いイメージの、独特のお湯ではなく、入浴中は柔らかさののこる穏やかなお湯が最大の特徴ともいえよう。

 温泉水の色は薄いモール系のお湯で、黄金色を薄くした色合いであり透明感をもった色合いである。こちらのお湯は下面からぼこぼこと湧出していて、かけ流しより酸化を防ぐ良い湯使いとなっているが、ちょと大きめの風呂が少し残念である。もう少し小さければ、もっとふくよかな、温泉に浸かるという実感が更に増すと思う。

 始めに書いた魔法の湯といえる由縁は、温泉成分の塩化物(Cl)、炭酸水素塩(HCO3)、硫酸塩(CO4)が殆ど同じ含有量で出来ており、かつ硬さが残る成分が無いのが、この穏やかさを演出しているのかもしれない。
 Na(ナトリウム)と塩化物が結びついて塩化物泉、同じく炭酸水素塩が結びついて重曹泉、同じく硫酸塩が結びついて芒硝泉となり、それぞれの泉質が特徴あり、かつここの温泉の成分が一般的なレベルに比べ濃いのである。(単純温泉では、ときたまある)

 匂いは、芒硝泉の温泉臭と重曹泉の香りとモール系の香りがとても優しい香りで、やはり特徴のやさしいものである。しかし、入浴後暫くしての重厚な温まり感が素晴らしく、休憩所やキャンプ場でごろんと横になりたい衝動にかられる。体が温泉に対して、反応しているようだ。心地よい脱力感があり、魔法の湯というのもあながち誇張したものでもない、よい湯である。

源泉名 恩沢の湯 泉質 ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉 泉温59℃ PH8.8  
Na=352.3 K=5.8 Ca=1.6 F=25.7 Cl=222 SO4=171.9 HCO3=251.6 CO3=29.8 メタアヒ=0.2 メタケイ=122.3 メタホウ=34.0 成分総量1218mg/kg (平成3年7月分析)

文/画像 ガメラちゃん@takayama

□ 正徳寺温泉 「初花」 (元100湯)

2005-11-02 23:44:53 | 元100湯
温泉施設が好んでつかうキャッチに”美人の湯”がある。入ってつるつる、浴後すべすべの、肌によさそうなお湯でよくつかわれる。”美人の湯”には大きく3つの系統があって、それぞれイメージが異なる。

まずは硫酸塩泉。浴中はキシキシとした湯ざわりでぜんぜん美人の湯らしくないけれど、浴後は肌に弾性がついてしっとりと落ちつく。”日本三大美人の湯”の川中温泉や湯ノ川温泉はこの系統だ。
つぎに重曹泉。ツルツルすべすべとした湯ざわりで、浴後も肌がコーティングされたようなつるつる感が残る。紀州の龍神温泉がこの泉質で三大美人の湯に入っている。東京の黒湯も見かけによらずおおむね重曹泉系の美人の湯だ。
最後はアルカリ泉。これはヌルヌルすべすべですこぶる湯ざわりがいいが、浴後パサつくことがあるので評価のわかれるところ。それに、土類や鉄分を多く含んでいるとpHが高くてもヌルすべしないので、高pH=美人の湯という単純な図式はなりたたない。pHよりもむしろCO_3^2-(炭酸イオン)のほうがわかりやすく、湯づかいにもよるが20mg/kgもあればたいていヌルすべ湯になるので、いい指標になる。

前置きが長くなったが、ここ「初花」は確かにpHが高いしCO_3^2-も主成分になっている。だが、それだけでは説明しきれないローションじみた独特のぬるぬる感ととろみがある。いわゆる”うなぎ湯”のイメージだ。この独特なぬるぬるは、コロイドとなって皮膚をゼリー状に薄く覆うことがあるというメタけい酸(116.3mg/kg)が関係しているようにも思えるが、確証はない。

ここはもともと養鰻場で、養殖用の井戸を掘ったら温泉が出たらしい。湯量は豊富で200L/minの自噴、動力を使えば800L/min以上も出るという。しかも30℃台後半の絶妙なぬる湯だ。非加熱浴槽は大量かけ流しで飲泉もできる。絶妙ぬる湯のザンザコかけ流しで、天国的な浴感が満喫できるので人気が高い。

先日、ひさびさに入ってみて、ふつうの温泉とは異質なバランスをもったお湯のように思えた。身体への負担がとても少ないのだ。ひょっとすると温泉分析にはかからない、なにかの成分が効いているのかもしれない。

佇まいは小粋で、正徳寺温泉「初花」という端正なネーミングとよく合っている。明るい浴場も居ごこちがいい。山梨の片田舎の路地奥に、こんな魅力ある湯処が潜んでいるのはある意味おどろきだ。
隠れ家カフェにお隠り宿・・・。世をあげての”隠れ”ブームだが、ここはブームの前からそんな雰囲気をもっていた。(最近は有名人気施設と化しているが・・・)

うなぎ屋を併設していて、やわらかな美味しいうなぎもおすすめなので、ぜひ、うなぎ湯+うな重のうなぎづくしを楽しんでいただきたい。

「初花」のレポはこちら。>。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

アルカリ性単純温泉(Na-Cl・(CO3)型) 35.8℃、pH=9.3、199L/min掘削自噴、成分総計=0.3798g/kg、Na^+=89.7mg/kg (91.12mval%)、Fe^2+=0.8、F^-=2.7、Cl^-=61.2 (39.23)、SO_4^2-=40 (18.82)、HCO_3^-=9.8、CO_3^2-=39.0 (29.48)、BO_2^-=10.1、陽イオン計=99.9 (4.28mval)、陰イオン計=163.6 (4.41mval)、メタけい酸=116.3 <H元.10.26分析> *動力使用時:38℃、800L/min以上

文・画像 別働隊@うつぼ

□ 上塩原温泉 「河童」 (元100湯)

2005-10-19 21:54:58 | 元100湯
 上塩原温泉「河童」は、塩原温泉街からの国道400号線から塩原元湯の道へ入って直ぐの場所にある。元来は、すっぽん料理店がメインで、温泉はその付帯施設みたいな場所である。我々の温泉仲間は、なにやら怪しい雰囲気のB級温泉やこのような食堂の温泉が大好きである。何故かそのような温泉には、物凄くよい湯が多いので自然と足が向くことが多い。

 この100名湯プログでも、清津峡温泉「苗場館」(新潟)、いやさか食堂の湯(福島)、そしてここ上塩原温泉「河童」と3湯もノミネートしているが、全ての温泉についていえるのが、地域周辺のお湯より素晴らしいことなのです。
 日帰り温泉や旅館の温泉のように、大きな風呂を造る必要もないし、本業が食堂であるので、肩肘はらず自然体で、温泉を提供しているのがなによりお湯を浴しているのかも知れない。

 こちらの河童の温泉のいきさつが面白い、敷地内に大量の温泉が湧き、その温泉熱ですっぽんの養殖を始め、その後すっぽん料理店を始める。といったものが思考的には面白く、私の家の敷地内で大量の温泉が湧いたらどうしようかと考えると、旅館か日帰り施設を建設することしか考えられず、改めて発想の乏しさを実感できる。 河童の湯は、実は3回目の入浴である、1回目は温泉湯巡り仲間につれて着ていただいたが温泉自体のよさが気がつかなかったが、前回、今回とそのお湯使いやお湯のよさなどに感銘している。

 温泉の泉質はNa-炭酸水素塩・塩化物泉で、どっかで聞いた泉質名でしょうか、そう最近関東平野のあちらこちらで掘削しているスーパー銭湯や日帰り入浴施設のお湯の表示を同じではないでしょうか。しかし、塩原温泉地区は、完全に山の中の温泉、掘削も平野部みたいに、1500mなどとではなく、自噴または、ごく浅い井戸から湧出しているだろう。
 やはり関東平野の温泉と塩原のお湯は、お湯の力的には、かなり違う気がするのだが如何でしょうか?お湯は無色透明で、ほんとうにかすかに重曹臭はするが、不思議とこちらのお湯は匂いも少なく、ちょっと解りづらいお湯なのかもしれない。

 湯船は、2つで男女分けした内湯が2つ、程よくザコザコかけ流し湯で3人が定員の湯船にはかなりの鮮度感のあるお湯に浸かれる。重曹が主体なので、入浴中は急激なほてり感はこない、重曹泉は冷の湯と祝える由縁なのかもしれない。
 しかし入浴後がやはりここの温泉の最大の特徴である。温まり感が半端じゃなく凄く、その後数時間は続く、温まり感はきれいな重曹系の温泉でないと体験できないであろう。

 関東平野の温泉も自宅に近いこともあって度々利用することが多い、同じ泉質の温泉にも相当浸かっている。しかし、このように浅井戸の綺麗な重曹食塩泉のお湯はなによりも代えがたい、その深い温まり度は絶対に、平野の温泉では体験できないものである。関東平野のスパ銭が好きなかたは特に行って見る価値はあると思う。いつも入浴している温泉に似ているが何かが違うことに気がつくはずです、そしてそのことは、もっと温泉が好きになるにことなのである。 

塩原・上塩原温泉 源泉名 畑カッパ・上塩原9 泉温56.8℃ 湧出量341.5l/min PH7.3  ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉 (平成3年1月 分析)

Na=454.2 K=23.4 Ca=18.6 Mg=5.4 Mn=0.1 F(2)=0.3 F=1 Cl=394 S2O3=0.2 SO4=69.9 HCO3=573.8 メタケイ=153.7 メタホウ=40.4 CO2=46.8 成分総量1.735mg/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama

□ 雲見温泉 「赤井浜露天」 (元100湯)

2005-10-17 22:31:38 | 元100湯
伊豆の西海岸を南下する。
松崎を過ぎると民家もまばらになり、切り立った海岸沿いの道は適度な起伏と小気味よいコーナーが連続する。前門にトロイ牛、後門に煽る狼がいなければ快適なドライブが楽しめる。

雲見露天風呂は雲見の集落の手前、赤井浜の入り江の途中にある。
白いペンキがハゲチョビンなトーチカのような建物。中はガランとして何もなく、備品と言えるのは脱衣用の棚とスノコ程度。
トーチカの先にテラス状に張り出した、岩を積み上げコンクリートで固めたような露天風呂がただ1つである。
無色透明、強ニガ潮味、無臭。
トポトポと注がれる湯口の落としこみのところではピンピンとハジケているが、全体ではアワつきなし(と思う)
色々な浮遊物あり。
以前の記憶ではヌルヌルした肌触りかと思っていたが、ヌルヌルしていたのは黒光りするメタリックな湯船の底だった。
温めな湯は長期戦向きかと思いきや、けっこうな温まりがある。
初秋とはいえ天気も穏やかで日差しもあったその日は、湯縁で涼んだり湯にどっぷり浸かったりの繰り返しとなった。
紺碧の空と群青の海。のんびり潮騒を聞きながら、銭湯のタイル絵のような景色を堪能した。

<注意>
この浜辺はダイビングスクールの休憩ポイントでもあるようです。タイミングが悪いとウェットスーツを着た人達が暖をとりにやってきて、裸で入浴していると「無防備なワタシ」を実感させられます。

泉質:含塩化土類食塩泉(しずおか湯めぐり 露天風呂・温泉256選より)
料金:無料
使用期間:6月中旬/9月中旬(入口の看板に掲示)
駐車場:50mほど雲見よりに下った所に5台程度おけるスペースあり。

文 福沢 湯キチ
※2005年9月の入浴メモより

□ 霊泉寺温泉「共同浴場」 (元100湯)

2005-10-13 23:14:42 | 元100湯
上信越道東部湯の丸ICから約30分。霊泉寺川沿いの山に囲まれた霊泉寺温泉。
平安時代、平維茂が戸隠山の鬼女退治の帰りに傷を癒したという伝説があるそうです。数件の宿と共同浴場が1つあるのみの小さな温泉街。その中の共同浴場を紹介したいと思います。

霊泉寺温泉無料駐車場より歩いて3分ぐらい。床屋のような外観。
入口に白字で「霊泉寺温泉共同浴場」と書いてある。これがなければ通り過ごしてしまいそう。
入浴時間はAM7:00~PM21:00、入浴料は100円。番台の横に下駄箱あり。
番台でおじさんにお金を払い中へ入る。
脱衣場はいたってシンプル。箱ロッカーと休憩用の椅子があるのみです。

浴室はかなり広め、左側にはカラン列があります。
また、奥の壁が全て窓になっているため柔らかい日差しが浴室に注ぎ込みほどよい明るさを演出。湯船は1つ。群青色のタイルで作られています。意外と深さがあります。お湯は無色透明。お湯からの香りは特にしませんでした。湯口から大量に源泉が注がれています。掛け湯をしてみるとやや熱め。寝起きの体を起こすには丁度良い温度だと思いました。湯口付近の湯底はR型になっており座り易くしてありました。湯船に浸かるとお湯がそこら湯船から惜しみなく溢れ出します。なんとも贅沢なお湯使い。お湯はさっぱり系ですが抵抗感みたいなものを感じましたがとても入りやすいお湯なので気に入りました。長時間お湯に浸かってじっくりとお湯の感触を楽しみたいなと思うお湯でした。


泉質 アルカリ性単純泉(アルカリ性低張性高温泉)pH=8.9 43.8℃
Li^+=0.02㎎ Na^+= 80.6㎎ K^+=1.3㎎ Mg^2+=0.03㎎ Ca^2+=213.8㎎
Sr^2-=1.0㎎ Ba^2+=痕跡 Fe^2+=痕跡 陽イオン計296.3㎎
F^+=1.0㎎ Cl^-=36.0㎎ OH^-=0.1㎎ HPO4^2-=痕跡 SO4^2-=620.3㎎
HCO3^-=10.4㎎ CO3^2-=2.4㎎ 陰イオン計670.7㎎
メタケイ酸=28.2㎎ メタホウ酸=0.6㎎
成分総計 996.3㎎/㎏ <H14.12.26分析>

文/画像 えんぴつ

□ 蔵の湯東松山温泉 「蔵の湯東松山店」 (元100湯)

2005-10-07 23:49:57 | 元100湯
 埼玉というと今までは温泉郷というものが存在せずに、一部秩父地方に見られるように、冷鉱泉がときたまあるとように、昔ながらの高温泉に恵まれず温泉として、埼玉の温泉って何処だろうと考える人も多い。
 しかし、今は日本一とも言える温泉掘削ラッシュに沸いており、日本の温泉の1つの形態ともなりつつある、日帰り温泉のスーパー銭湯での温泉掘削が非常に多くなっている。元来スーパー銭湯という浴用施設は、変わり湯(薬湯)やジャグジーなどの風呂がありお風呂好きな人が、ゆったりと入浴し、風呂上りに1杯といったように体と心のケアをするような目的ではあるが、最近では温泉導入といったように、更に強力なケアが求められているのだろう。

 そんな温泉施設が近所にあったならどんなに楽しいものか、蔵の湯に入浴している常連さんの顔を見れば一目瞭然である。蔵の湯は、元来温泉施設を持たない、温浴施設であったが、開場5周年記念の一環として、駐車場に温泉掘削の櫓をたてた。東松山の地層は温泉が湧出するには難しい地層であると言われたが、地下1200mより待望の温泉が湧いた、成分総量は17g/kg 非常に濃い温泉である。

 温泉が湧出して、関東周辺温泉みしゅらんオフ会に参加させていただいたときに、こちらのオーナーさんのご厚意で、工事現場で見かける鉄製のごみ収集箱のなかに温泉を張りその中に皆で入浴した。不感温度というべき37度の源泉は、地下湧出直ぐのお湯で、鮮度感の高い温泉を楽しませていただいた。
 鮮度感があり、非常によい香りがしていて、浴感も穏やかだったので、誰もが4gくらいのお湯だと思っていたのだが、舐めてみるとかなりの塩辛さと肌にしみこみような浴感で誰かが高張性まで行っているのではないかと言い出した。
 その後やはり17gと高い濃度の、温泉であったためそのやさしい浴感は、温泉の成分の濃さとはあまり関係ないものであったことが、今でも不思議である。

 さて、その後も2回ほど蔵の湯に入浴させていただいたが、こちらのオーナーさんの熱意で、あの仮設の浴槽と変わらないお湯に入らせて頂いた。温泉はナトリムー塩化物泉で若干カルシウム成分もあるが、成分的には純粋塩化物泉で、その純粋さから穏やかな浴感を醸し出しているのだろう。しかしここの温泉の最大なる特徴はやはりその匂いであろう。東松山は関東平野でもかなり内陸部に属しているのだが、強いヨード臭と若干の臭素臭が感じられる。
 これは、新潟平野でみられるガス田掘削時に湧出した温泉と似た匂いなのでる。そんなクセのある温泉は、関東にはありそうでないお湯なのかもしれない。

 最近ここ蔵の湯では、加水、加熱、源泉かけ流し湯をおこなっている、濃い湯も楽しいのだが、やはり温泉は鮮度感を求める我々にとって非常に喜ばしいことである。ここの温泉は毎分30mg/min と濃い湯には恵まれたが湧出量には恵まれなかった、濃い温泉でポンプが故障したのもあるが、以降加水して温泉を維持している。はっきりいってこの温泉の10倍くらい湧出量のところでも湯使いが悪い施設は沢山ある、限りある資源のなかで、考えられること全てを実践しているここの施設には多くの共感が得られる。

 それは、情報の公開がインタネットのHPでもあらわせられているし、お湯使いの方法の張り紙でも表されているが、それよりなにより、入浴してとても気持ちのよいお湯になっていることが全てであるのだろう。湧出量の少ないお湯でも、ここまで出来るといったものが、湯守としての執念がこの温泉を造りだしているのだろう、脱帽である。

源泉名 蔵の湯東松山温泉  泉温38.1℃  湧出量37.3L/min PH7.75
Na=5574 K=25.4 NH4=0.4 Mg=24.4 Ca=900.6 Sr=31.6 Ba=2.0 Mn=0.7 Fe=4.4
F=2.3 Cl=10260 Br=44.7 I(ヨウ素)=14.2 HS=0.02 SO4=16.2 HCO3=50.0 メタケイ20.4 メタホウ=116.3 CO2=16.8 成分総量17110 mg/kg (平成16年5月分析)

文/画像 ガメラちゃん@takayama

□ 寺宝温泉 「こだわりの湯」 (元100湯)

2005-09-18 22:27:13 | 元100湯
あまり知られていないが、長岡市にはさりげに温泉が多い。その多くはやや低温の単純温泉や規定泉で、利用されなくなったものもかなりあるらしい。そんななか、地元で根強い人気を保っているのが、ここ寺宝温泉だ。

入浴料700円とけっして安くはないのに人気の秘密は、行ってみてわかった。
とにかくわかりやすい、ツルツル、ヌルヌル、あわあわなお湯なのだ。しかも長湯し放題のぬる湯天国である。とくに露天の檜風呂のアワつきは感動的で、山梨の山口や韮崎旭を上回っているのではないだろうか。薄い麦茶色透明のお湯のイメージは甲府のモール泉群に似ているが、モール臭や金気臭はやや弱く、万人向けのクセのないお湯になっている。正徳寺「初花」であわあわをパワーアップさせたようなイメージかな?(ちょっと違うか・・・)
「こだわりの湯」とネーミングしているだけに、やはりお湯にはこだわっていて (^^ 、館内のあちこちに”掛けすて”の掲示があった。
なお、砂利風呂や地上10mの空中風呂(^^)などの壮大な拡充計画もあるらしいが実現されていないようだ。

お客はひたすら長湯を楽しんでいる。とくに不感温度の露天の檜風呂は逸品だが、わずか3人しか入れず、常連さんはかるく30分は入っているので、熾烈な場所とり合戦が繰り広げられている。空いてたらラッキー、迷わずget。
飲泉も売りらしく、館内に飲泉所があり、飲用水の販売もしている。
ぬる湯の長湯と飲泉が楽しめるのだから、人気が高いのもうなづける。

しかし、どうみてもこれはモール泉だと思う。
内陸でモール泉は不思議だが、長岡周辺は甲府盆地と似た、地下水湖ができるような地下構造があるのかもしれない。HPにも「(長岡西部地区は)、大昔は沼で、大量の水と雪解水に恵まれ、現在でも30m位に良質な水が多量にあり、更に100m前後に埋木や木の実などがあり、更に深くに、ガスや油の層がある地下資源にも恵まれた地層がある・・・」と、モール泉をにおわせる解説がある。

混みあうのが難だが、ぬる湯ヌルすべアワつきファンは外せない一湯だと思う。

「こだわりの湯」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

単純温泉(Na-HCO3型) 31.9℃、pH=7.5、612L/min(HPでは1,000L/min)掘削自噴、成分総計=473.8mg/kg、Na^+=76.1mg/kg (74.73mval%)、K^+=21.2 (12.19)、Mg^2+=3.2 (5.87)、Ca^2+=5.8 (6.55)、Fe^2+=0.07、Cl^-=5.7 (3.58)、HS^-=0.06、HCO_3^-=254.5 (93.20)、陽イオン計=106.7 (4.43mval)、陰イオン計=266.4 (4.47mval)、メタけい酸=82.5、遊離炭酸=18.0 <H8.7.10分析>
*飲泉口での分析表も別にあるのは立派。

文・画像 別働隊@うつぼ