一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

98.馬場温泉 「やわらぎの湯」

2007-02-12 21:28:02 | 福島
ここは、本当は一番紹介したくない温泉なのです。理由は、病気療養で真剣に、湯治なさっている人が殆どで、何処も悪くない健常者が興味本位にいかれるのことが、とても心配なるような温泉施設なのです。

 「やわらぎの湯」は福島県田村郡三春町にあり、郡山市近郊の温泉といったイメージです。郡山市は、実は沢山の温泉施設があり、しかも市内の温泉は100名湯でも良いところばかりで、個人的な意見を言うともっと枠を多くして貰いたいくらいである。

 郡山市のある中通地区は大変面白いのは、阿武隈山地と会津側の温泉がまるで違うことで、会津側の温泉が、泉温の高いお湯で芒硝泉系や石膏泉系のお湯など本格的な山のお湯が多いの対して、阿武隈山地のお湯は冷鉱泉が多く、また東日本では
貴重な放射能泉が数多くある地域である。

馬場温泉 やわらぎの湯は、その阿武隈山地のなかで三春町の中心部に近く放射能泉に分類される。ここの温泉入浴は、岩盤浴が主体の施設です。岩盤浴というと、今大ブームになっているので、かなりの人が入浴しているので、概要はわかる人が増えている。肌が綺麗になるるとか、体内毒素を放出するとかの効果があるといっ
た理由なのかもしれませんが、科学的にどのような効果があるかは立証されていないのが現実なのかもしれません。

 日本でも唯一の岩盤浴は、元祖秋田県の玉川温泉ですが、ここやわらぎの湯も新興勢力ながら、放射線量が50マッヘ以上もあり玉川温泉以上に放射泉の放出量が多い。(現在で、放射線量が確認されている岩盤浴は、玉川温泉とやわらぎの湯のみだという)

 口コミだけで、沢山の人が入場していて、平日、休日ともに駐車場や岩盤場が人が溢れていて、これ以上のキャパはないと考えられるので、冒頭の本当は教えたくない温泉になるだろう。
 ここは本当に、湯治場としての活用されたい。特に精神的に疲れている人や、体の体質改善や各種疾病に掛かっている人がお勧めです。
 私の場合だが、持病が完治したわけではないが、かなり軽くなったような気がする。おそらく長期の湯治なら、もっと改善できるかもしれない。
 私が一番教えたくない温泉だが、一人でも多くの人の気持ちが改善できれば、あえて勇気を振り絞って書いたことが報われるかもしれない。

源泉名 やわらぎの湯 泉温16℃ PH6.7 ラドン含有量 196.5×10-10キューリー・ラドン/kg(54.04マッヘ) 単純放射能泉(浴用)
 Na=13.6 K=1.1 Mg=4.0 Ca=21.2 Cl=10.2 SO4=15.6 HCO3=81.1 成分総量0.2g/kg
 
文/画像 ガメラちゃん@takayama

92.玉梨温泉 「共同浴場」

2005-10-29 23:56:33 | 福島
一郷一会掲示板でこの100名湯を何処にするかと皆で、選定する作業において、一番の難題がこの南会津、奥会津地区であった。ともかく、この地域は、日本でも有数の良泉の宝庫でもあるし、お湯の湧出量も半端じゃなく多く、100湯プログに全てを入れたくなるほどです。

 奥会津地区だけでも、金山町の11ある共同湯(内3湯が100プログ)全てが推薦できる温泉だし、三島町の早戸温泉や柳津町の西山温泉、伊南村の古町温泉、只見町のむらの湯など良泉の多くて、とても絞りきれないと思ったが、3湯を提案して貰ったときに、妙に納得したことを覚えている。大塩温泉や会津川口温泉は多くの人に納得できるよい湯だと思うが、果たして玉梨共同湯はと考えるとどうだろうか。 大塩温泉ほど高張性の温湯のヘビーな物ではないし、はたまた川口温泉のように癒し系の温泉でもない。それは何故かと色々考えてみた。

 玉梨温泉共同浴場は、非常に解りづらい場所にある、地元の人に聞くか、しっている人に連れていってもらうかしないと辿りつけない恐れがある。まずは看板が無く信州の共同湯みたいに木造の造りで天窓があるような共同湯然とした佇まいでなくコンクリートの打ちっぱなしの建物で、しかも入り口が男女別でなく、1つの入り口で、ポンプ小屋などと間違えやすい。ここに入浴する目的がなければ、まず入浴出来る可能性は少ない。
 しかし、ここが地元専用浴場かというと、そうでもないらしく有名旅行雑誌に取り上げられているし、以前頂いた金山町共同湯巡りに、場所などが明記されているので、地元関係者以外でも入浴できるのだろうが、なにはともあれ共同浴場のルールに従って入浴すべきであろう。

 玉梨、八町温泉郷は野尻川を挟んで両側にあり国道沿いが八町温泉、橋を渡った場所にあるのが玉梨温泉だが、昔は源泉が違っていたが最近では引き湯の関係で、違いが少なくなってきているという。それぞれに共同湯があり八町温泉は混浴風呂で、玉梨温泉より風情という点では、こちらのほうが上なのであろう。
 こちらの温泉を有名にしたのは、過去では温泉漫画家で有名な、つげ義春氏が鄙びた温泉風景を描いたので、ご存知のかたも多いと思う。(この方は、よい湯を見極める天才)最近では作家の椎名誠氏が足しげく通った温泉である。
 
 そのような玉梨温泉の魅力はなにかというと、、やはりお湯がよいということになる。今回4度目の入浴を行ったのだが前回までは、どちらかというと幾つかの温泉を巡ってからの入浴でしたので、他の温泉が強烈すぎて、本当の玉梨温泉に振れていなかったのが原因なのかもしれない。
 なんといっても鮮度感が素晴らしい、濁り湯の多いこの地域で、どちらかというと無色透明に近いお湯で、しかも源泉口に近いのかお湯が不規則にかけ流され、その鮮度の高さがわかる。特に源泉温度がここの湯を更に魅力的にしている。金山町の温泉は温度が高い場所と低い場所が両極端で、加水や加熱してなく、湯量の多さも手伝って、大人3人も入れる浴槽に湯量たっぷりと注がれているには、悪いはずもない。

 とくに、炭酸成分主体の温泉であるが、その泡付が凄くびっしりと体にまとわりつく、ちょうどサイダー程度のやや大きめな泡であるので、ポンアップ時の泡なのだか真相は定かでない。においは炭酸系のお湯らしく重曹臭ですが、土類系の成分と鉄が入っているので土類のにおいもするのですが、ここのお湯は鮮度があるので、甘いにおいが土類を打ち消すようである。ともかく薄く複雑なにおいです。
 味は、炭酸味が後々まで引き鉄土類の味もかなりするのですが、鮮度感あってかなり飲みやすい。

 浴感は、炭酸水に浸かっているような錯覚に陥られようで、入浴後直ぐは殆ど炭酸水に浸かってみましたといった感想でしたが、その後暫くすると炭酸水素独特の後味感と硫酸塩泉成分の持続する温まり方と複雑であとの引く温まり感で、本当によい湯に出会ったなといった感想です。
 噛めば噛むほどよい温泉とは、このような温泉なのかもしれない強烈なる濁り湯もいいのだが、源泉直ぐの成分のバランスのよい湯はなによりである。色やにおいなどより、温泉の本質的なものを垣間見た凄い温泉である、とくにレベルの高いこの地域で、地味ながら異彩を放っている。

源泉名 町営源泉 泉質名 炭酸水素塩泉 泉温45.2℃ PH6.5
Na=758.7 K=27.5 Mg=68.4 Ca=166.7 Al=0.3 Mn=0.9 Fe2=2.0 Li=0.6
F=0.6 Cl=654.2 SO4=465.4 HCO3=1161 メタケイ=98.7 メタホウ=18.5 遊離炭酸(CO2)=275.5 成分総量2853mg/kg (平成5年11月分析)

 文/画像 ガメラちゃん@takayama

97.いやさかの湯

2005-10-25 23:11:58 | 福島
いやさか温泉 食事処いやさか
東北自動車道矢吹中央ICから僅か5分の所にあるこちらの施設。
食事処に併設されております。
しかし温泉があることをあまり宣伝していないのでは?と疑ってしまうぐらい控えめに「温泉」と書いてあります。そのためここを知らなければそのままthroughしてしまいそう。
入浴料は300円だが食事をすれば無料で入ることもできます。またお風呂上がりの時間を指定しておけば入浴後すぐに食事が出てくるのでとても便利です。
入浴料を払いお風呂に向かう。途中は小学校の渡り廊下のようになっていました。

脱衣場
こちらには休憩用の椅子と三段棚にプラスチック製の籠が置いてあるだけのシンプルなものでした。

浴室
狭めの洗い場と内湯1、露天1とシンプルなものです。
お湯の色は透明な薄い黄色という表現はピッタリなのではと思います。
体を洗いまずは内湯。塩ビのパイプからドバドバとお湯が注ぎ込まれております。お湯に浸かるとツルツル感を一瞬にして感じられる。まるでお湯に包み込まれているような感触。思わずなんだろう?とお湯を手で擦り合わせてしまいたくなる衝動に駆られてしまいます。
また湯船で動くたびにお湯が容赦なく湯船から溢れ出します。鮮度感もあり清潔な温泉に入っているという実感がありました。体が熱くなったので露天に移動。
庭にお風呂を造りましたという感じであります。ベージュ系に白を混ぜたようなタイル張りの湯船。1つの浴槽で浅場(寝湯が可能)と深場の構成。こちらは内湯よりやや温め。体の中からじんわりと暖まる感じだ。ちなみに浴槽の中を歩くと滑りやすくなっておりますので要注意です。

飲泉してみると塩味にほんのり卵味を混ぜた感じでなかなかおいしい。硫黄の香りもしたような気がしました。上品なお味の温泉。
お湯から上がった後も体のホカホカは長時間持続し汗がポタポタと落ちてくる。それでも汗の引きが良いのでベタ付き感はありませんでした。体の状態が一段落したころには今度はお肌がスベスベしてきます。こんな温泉身近にあったら毎日でも通いたいなと思いました。

住所 福島県矢吹町文京197-1
営業時間11:00-20:00 入浴料 300円

泉質 アルカリ性単純泉 ph=9.22 45.8℃
陽イオン
Na^+ 105.3mg K^+ 0.2mg Ca^2+ 0.7mg Al^+0.3mg Fe^+0.1mg
陽イオン 計 106.6mg/kg

陰イオン
F^- 2.3mg CI 18.4 HCO3^-131.8 CO3^2- 46.8mg BO2^-8.1mg
陰イオン 計207.4mg/kg

非解離成分 メタケイ酸 41.2mg

成分総計 355.2mg/kg
<S63.12.13分析>

文/画像 えんぴつ


95.いわき湯本温泉 「上の湯」

2005-09-09 23:33:35 | 福島
いわき湯本というと、ついつい「常磐ハワイアンセンター」(古いか・・・(笑))を想像してしまうが、開湯は奈良時代にまで遡り、”三箱(函)の御湯”として、道後、有馬とともに日本三古泉に数えられてきた古湯である。メジャー温泉地の少ない浜通りにあるのであまり話題にならないが、さりげにイオウ臭香る熱湯が楽しめる実力派である。

旅館も比較的レベルが高く、とくに「スミレ館」や「ホテルみちのく」の評判がいいが、日帰り入浴はかなり困難である。共同浴場では「上の湯」「東湯」がよく、とくに「上の湯」が気に入った。町はずれの裏通りにあるこのお湯はすこぶるわかりにくく、観光客はまず行か(け)ないと思われる。(「さはこの湯」は観光客にも人気だが、お湯はこちらのほうが全然いい)

湯気が立ちこめる狭い場内にタイル貼浴槽がひとつ。お湯はたぶん46℃くらいもあってゲキ熱。それでも常連さん達は平気で浸かっているのにはおののき。(子供がたまりかねて水を足したら怒られていた ^^;; )
きれいな緑灰色で透明度30cmのにごり湯にはイオウ系の白い湯の花がたくさん舞っている。強いしぶ焦げイオウ臭に弱塩味+たまご味+すっぱ(収斂)味。鮮度感あふれるお湯は、ビシっとくるイメージのすばらしく力のあるもので文句のつけようがない。

いわき湯本温泉は、明治から始まった石炭採掘にともなう坑内出水により温泉面の低下をきたし、大正8年には温泉が枯渇。昭和17年に二十数年ぶりに温泉が復活し、昭和51年には炭鉱閉山にともない新源泉(旧坑内)からの給湯が開始されて、安定供給が確保された。したがって、現在の源泉は古来の”三箱(函)の御湯”とは異なる。
現在は坑内温泉で地下630mまで温泉揚湯斜坑が延び、抗底からさらにボーリングをして花崗岩中の温泉湧出場所から汲み上げをして集中配湯されている。「上の湯」は源泉地(「石炭化石館」の北側(常磐湯本町台山20番1))に比較的近く、集中配湯の分岐ポンプの手前にあるので、とりわけお湯がいいようにも思われる。

近年、炭坑閉山により序々に温泉面が上昇し、旧来の”三箱(函)の御湯”が復活してきているという情報もある。機会があったらぜひ入ってみたいものだ。

「上の湯」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

含硫黄-Na-塩化物・硫酸塩温泉 59.0℃、pH=8.1、4,750L/min、成分総計=1.743g/kg、Na^+=523.0mg/kg (86.66mval%)、F^-=5.3、Cl^-=556.6 (59.37)、HS^-=9.5、チオ硫酸イオン=0.6、SO_4^2-=390.3 (30.78)、HCO_3^-=106.9 (6.63)、陽イオン計=600.6 (26.24mval)、陰イオン計=1079 (26.41mval)、メタほう酸=15.2、硫化水素=0.8 <H12.11.24分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

93.大塩温泉 「共同浴場」

2005-08-10 00:23:36 | 福島
 福島県で大塩温泉というと北塩原村にある大塩裏磐梯温泉と素朴な共同浴場のあるここ金山町の大塩温泉である。どちらも高張性の温泉であり温湯で薄茶緑色の色をした温泉の共通項はあるが、そのお湯の趣はやや違うところが面白い。
 こちらの共同浴場は、地元の方中心の人のための共同浴場で、たまに我々みたいな温泉好きが訪問するくらいで、解りづらい場所と相まって、静に入浴が出来ることが最大の魅力である。

 大塩共同浴場は、金山町の中心部の川口地区から、只見町に抜ける国道252号線より大塩駅手前の只見川沿いにある共同浴場で、窓から見える只見川の青い川辺と廻りの緑のコントラストの対比が大変美しい風景である。只見川の美しい情景をみるとここ奥会津にきたのだなと実感できる。心優しいこの地区の方々のふれあいも最大の魅力となっている。温泉の良さもあるが、そんなこともあってか足しげく通ってしまうのかもしれない。

 レベルの高い温泉が多いこの周辺でも、大塩共同浴場は絶対に外せない魅力があるのは、何故だろうか。温泉成分が濃い温泉にかかわらず、ナトリウムやマグネシウム・カルシウムなどの+イオンや塩化物・炭酸水素・硫酸塩など-イオンの主要成分が満遍なく散りばめられており、その成分が織り成すことがとても心地よい浴感につながるような気がする。

 高張性の温泉は、体に浸透性が高く、体の水分を奪っていくようなレスポンスがある温泉が多いが、ここの大塩温泉みたいにヌル湯で鮮度感のある温泉は、入浴中は肌の当たりがよく、体の負担も少ない印象である。何時までも入浴できる印象であるが入浴後はしっかりとした温まり感があり、流石高張性の温泉だと改めて認識する。口に含むと、マグネシウムとカルシウム独特の苦味成分が感じるが良質炭酸泉なのかぐいぐいと飲め、それがおいしいと感じさせるほどである。

 大塩温泉はやはり不思議な温泉である、近くにくると吸い寄せられるように、入浴してしまう。癒しと計り知れない温泉パワーを感じさせるお湯かもしれない。温泉好きは立ち寄って見る価値は十分である。

 温泉名 大塩温泉 第四源泉 泉質 含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 泉温38度 使用位置40度 PH6.5
 Na=2786 K=184.9 Mg=102.6 Ca=224.8 Mn=0.4 Fe(2)=8.5 Li=2.1 Sr=0.6 F=1.0 Cl=3293 SO4=1102 HCO3=1805 Br=6.6 I=0.2 H2PO4=0.3 メタケイ=113.4 メタホウ=14.9 CO2=2856 成分総量 12,502g/kg  (平成5年12月分析)
 
          文/写真 ガメラちゃん@takayama
 

96.湯岐温泉 「共同浴場」

2005-07-28 00:48:09 | 福島
阿武隈山地にある塙町は、周辺にこれといった観光地もない地味なエリアで、東京方面からだとすこぶる行きにくいところだ。
常磐道「那珂IC」からだとR18袋田・大子経由ないしはR349里美経由。
常磐道「勿来IC」からだとR289の山越えルート。
東北道「白河IC」からだとR289棚倉経由。
3方向からルートがあるということは、裏返せば下道が長いということで、とにかくアクセスに時間がかかる。そんな不便な山のなかに、温泉好きを惹きつけてやまない名湯が湧く。

湯岐(ゆじまた)は安土桃山時代、天文年間の開湯伝承をもつ歴史ある温泉場。山あいの小盆地のようなところに「山形屋旅館」「和泉屋旅館」「井桁屋旅館」の3軒の宿があり、どこも自炊ができる湯治宿のようだ。おそらく温泉集落と思われるここは、隠れ里のような好ましげな佇まいをみせている。

この温泉場の中心は、岩風呂(共同浴場)で、湯治客もみなここに入りにくるらしく、昔ながらの”外湯”のイメージが強い。古くから「中風の湯」として知られ、湯治客は一回30分から1時間、一日に4~5時間も浸かる長湯のメッカである。

共同浴場は「山形屋旅館」のそばにあり、無人なので「山形屋旅館」で入浴受付をしている。混浴で浴室のすぐよこに脱衣所があって、目隠しがないので慣れない女性はキビシイか。(もっとも、湯慣れていない客はここにはこないかと思うが・・・(笑))。
加温槽 (2人、適温)と源泉槽(7.8人、ややぬるめ)の2槽があり、自然の岩とタイルを組み合わせた異色の浴槽である。
休日の15時ごろ訪れたが、湯治客らしき先客の4人はしばらくして上がり、その後は独占状態となった。

源泉槽は、加温槽からの流し込みがあるが、メインは浴槽底からの自然湧出で浴槽端の湯面排湯口から流し出す源泉かけ流し。源泉槽の一部深くなったところは岩肌で、岩のあいだから気泡とともに源泉が湧出する貴重な足元湧出泉である。

源泉槽は絶妙のぬる湯で、無色透明で微石膏味に微石膏臭。弱いヌルすべと包み込まれるようなやさしい湯ざわりで、少量ながらアワつきもある。ほこほことして身体が軽くなるような、なんとも快感度の高いお湯で出たくなくなる。浴後は肌がすべすべとなる美人の湯系のお湯でもある。

しかし、成分総計=0.1452g/kgという地下水並みの濃度で、この絶妙の浴感はまさに神懸かり的。古くからあるうす湯の名湯は、”自然湧出泉のまろみ”とか”熟成されたお湯”などと表現されることがあるが、このお湯などはまさにそれかと思う。

東京圏からの日帰りはかなりきびしいが、”鄙びたぬる湯でまったり”が好きな人にはとくにおすすめの一湯である。

単純温泉 39.8℃、pH=9.8、湧出量不明、成分総計=0.1452g/kg、Na^+=25.2mg/kg、Cl^-=6.5、HCO_3^-=26.9、CO_3^2-=33.8、HSiO_3^-(ヒドロメタけい酸イオン)=38.0 <H6.9.27分析>

レポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

文・画像 別働隊@うつぼ

91.会津川口温泉 「玉縄の湯」

2005-07-27 00:53:44 | 福島
会津川口温泉のある金山町は、温泉と只見川沿いに開けた谷間と沼山湖に代表される山上の湖周辺の一風変わった高原の風景を醸し出し、とても居心地の良い場所で、最近では椎名誠氏がこよなく愛するところである。四季の移り変わりがはっきりしている場所で春夏秋冬の自然が楽しめて、素朴なこの地域に人々とのふれあいも楽しめる場所である。
 会津川口温泉は、初めて入浴する人にはちょっと場所が解りにくい、金山駅より只見川と野尻川との合流点に位置しており、会津山内氏の居城であった玉縄城の最下部にある温泉で、玉縄の湯の由来もそこからだと推測できる。野尻川の川沿いに立つ共同浴場で、最近では湯量や温湯のため、週に4回しかも午後4時から開錠する地元の人のための共同浴場である。

 ここのお湯でびっくりするのがお湯の色である、薄いブルーがかったお湯の色は、見るものを魅了する。温泉成分は、Na-塩化物・硫酸塩泉でこの地区では大変珍しい泉質である。この地区は、炭酸水素塩泉(HCO3)が主体となっている温泉が多いのであるが、こちらの温泉には、殆どこの成分が含まれていない。
 ただしCO2の影響か大変な泡着きが見られ泡マニアには、たまらない温泉だと思う。ぬるい湯の効果もあり何時までも入浴したい温泉である。ここも温泉を楽しむ例にとらわれず、小さな湯船、お湯がざこざこそしてなにより、温泉の成分のバランスのよさであろう。

 日本の温泉でも記憶に残る温泉で、新潟の華報寺共同浴場、栃尾又温泉、福島の磐梯熱海温泉「元湯旅館」、大分の壁湯温泉とぬる湯で何度も行きたい温泉として上げられる。会津川口温泉は良い湯である。

会津川口温泉 泉温41.0℃ PH7.42 285L/min
Na=2192 K=12.8 Mg=22.5 Ca=277 F=0.7 Fe=1.0 Br=7.3 Cl=2999.5 CO4=1110 HCO3=98.2 成分総量 6786.7 ナトリュム-塩化物・硫酸塩泉
                   文/写真 ガメラちゃん@takayama

94.木賊温泉 「川沿いの岩風呂」

2005-06-08 22:15:59 | 福島
時は1980年代後半にさかのぼる。
世の中「秘湯」という言葉が一般的になりかけていた・・・・と思う。

そんな中、会社の同期4人で奥会津の秘湯「木賊温泉」を目指し、浅草から東武電車へ乗り込んだ。
鬼怒川~川治と過ぎ、電車に残るは我らの他にOLさんや女子大生とおぼしきおネエさんたち。
今夜の勝利を予感したのび太の鼻は高々と伸びたのであった。
しかし現実はチョー厳しい。
会津高原駅に着いた車中に残っていたのは意気消沈した我らのみ。
あまりにも狙い過ぎた「秘湯」、人知れずの「秘湯」だったのだ。
当時の「秘湯」と言えばせいぜい湯西川温泉どまりだったのだな。

西根川の川岸、岩を四角く切り取った2つの湯船に簡素な小屋掛け。
上流側の湯船には足元自噴の透明な湯がコンコンと湧き溢れる。
適温やや熱めの湯に漬かり、ほのかなタマゴの香りとともに川の瀬音を楽しむ。
のぼせたら下流側のやや温めの湯船に入るもよし、川風に吹かれるもよし。
いっそ川に飛び込むのもよしとしよう。(ただし浅いので注意!)

大水に流されたこともある。
幾度も建て替えられ、今に続く川岸の共同湯。
変わってないようだけど微妙に変わっている共同湯。
いつまでも、いつまでも・・・

※写真は1999年秋

                                文  福沢 湯キチ

100.甲子温泉 「大黒屋」

2005-06-03 04:25:50 | 福島
「白河以北一山百文」という言葉がある、仙台に本社を置く河北新報社の命名の由来の言葉でもある。東北自動車道を福島県西郷村にまで北上すると、「これより東北(道の奥)」の看板が目に飛び込む。東北の最南端のインターチェンジである、白河インターは福島県西白河郡西郷村に位置するのですが、これより先に思いを偲ばせるのか、人生の楽園を得るのか、憂いをまとうのか、兎にも角にも道の奥の玄関である、西郷村はいつもひっそりと旅人を迎え入れる飾り気の無い郷里である。そんな西郷村の奥地にひっそりと佇んでいるのが、ここ甲子温泉(かしおんせん)大黒屋である。「本物」とか「生粋」とか「源泉掛け流し」とか、温泉通といわれる人たちの飾り言葉とは縁の無い素朴な味わいを楽しめる温泉だと思う。
那須の近くに位置し、観光にも力を注いだと思われる西郷村にも、ツワモノタチノ夢のあとがあるのかなと思いつつ、白河インターから会津下郷町へ通じるために計画され、工事中である甲子道路の甲子トンネルが完成すると冬場の交通が確保されすこぶる便利になりそうな反面、秘湯といわれる甲子温泉もついでに立ち寄ることの出来る温泉になるかもしれない・・・・。

でも、そんなこととは無縁だろうなと思わせるものがある。
こんこんと湧き続ける温泉がある。
ご自身の身体で実際に味わうことで温泉を感じて下さい。
成分分析表で想像できる味わいと成分分析表からだけでは見えてこない味わい。
ぜひ、ご自分なりの入浴感を味わいにお出かけください。

文責&画像 なまずのホイホイ

温泉分析書
1.申     請    者: 住  所 : 福島県白河市字和尚壇山2番地の29
               氏  名 : 有限会社 元湯甲子温泉 代表取締役 草○ ○○
2.源    泉    名: 源泉名 : 有限会社元湯甲子温泉1号源泉
3.湧 出 ,揚 湯 地 : 湧出地  : 福島県西白河郡西郷村大字鶴生字甲子山1-3
4.湧出地における調査および試験成績
  (イ)調査および試験者:分析機関の名称 : 株式会社 新環境分析センター
 (ロ)調査および試験年月日       : 平成16年 6月 14日
 (ハ)泉    温:  45.8 ℃(調査時における気温: 20℃)
 (ニ)湧  出  量: 120 ℓ╱min(動力揚湯)
 (ホ)知覚的試験:      無色澄明、無味無臭である。
 (ヘ)pH    値:      pH 7.6
 (ト)ラドン(Rn):      未測定
5.試験室における試験成績
 (イ)試  験  者: 分析機関の名称 : 株式会社 新環境分析センター
 (ロ)分析終了の年月日:  平成16年7月6日
 (ハ)知覚的試験:      無色澄明、無味無臭である。
 (ニ)密 度:    0.9992   (20℃╱4℃)
 (ホ)pH    値:       pH 7.7 ( 採水 24時間後 )
 (ヘ)蒸発残留物:       1020 ㎎╱㎏ ( 乾燥温度 180℃ )

6.試料1㎏中の成分 : 分量および組成
(イ)陽イオン       ミリグラム  ミリバル  ミリバル%
水素イオン     H+
リチウムイオン   Li+    0.1   0.01   0.070
ナトリウムイオン  Na+   92.4   4.02   26.710
カリウムイオン   K+     3.9    0.10   0.660
アンモニウムイオン NH4+  0.2   0.01   0.070
マグネシウムイオン Mg2+  0.9   0.07   0.460
カルシウムイオン  Ca2+  217.0  10.83   71.960
ストロンチウムイオンSr2+   0.6   0.01   0.070
第一鉄イオン     Fe2+   0.0
第二鉄イオン     Fe3+   0.0
アルミニウムイオン Al3+   0.0
マンガンイオン   Mn2+   0.0
    陽イオン計      315.1   15.05   100

(ロ)陰イオン         ミリグラム   ミリバル   ミリバル%
水酸イオン    OH-
フッ素イオン   F-       1.9    0.10    0.68
塩素イオン    Cl-       3.6    0.10    0.68
硫化水素イオン HS-      0.0
硫酸イオン    S04 2-   634.3    13.21  89.25
炭酸水素イオン HCO3-    85.1    1.39   9.39
炭酸イオン    CO3 2-    0.0
臭素イオン    Br-       0.0
    陰イオン計        724.9   14.80   100

(ハ)遊離成分
非解離成分      ミリグラム    ミリモル
メタケイ酸 H2SiO3    23.7    0.30
メタホウ酸 HBO2     2.3    0.05
  非解離成分計     26.0    0.35

溶存物質(ガス性のものを除く): 1066㎎╱㎏

溶存ガス成分              ミリグラム   ミリモル
遊離二酸化炭素(遊離炭酸) CO2   16.5     0.37
遊離硫化水素 H2S           0.0
     溶存ガス成分計        16.5     0.37
   成分総計            1083㎎╱㎏
    (分析表の記載数字を単純に合計すると、1082.5㎎╱㎏となる)
7. 泉     質: カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
8.禁忌症 ・ 適応症: (「温泉分析書別表」中5に記載する。)
9.分   析   者: 平成 16 年 7月 7日
登録番号  新潟県(登)環企第2号
新潟県新潟市祖父興野53番地1
株式会社 新環境分析センター