一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

06.芦之湯温泉 「きのくにや」

2011-09-12 00:12:34 | 神奈川
               

 箱根には、約400年前の江戸時代初期からの温泉が多数散在しています。
 芦の湯のきのくにやは、江戸時代末期の1811年(文化8年)に書かれた、十巻十軸から成る箱根の観光案内書【七湯の枝折】にも明示されている古湯です。
  ※箱根七湯:湯本・塔ノ沢・宮ノ下・堂ヶ島・底倉・木賀・芦之湯
 【七湯の枝折】巻ノ八 芦の湯部には、湯宿六軒として松坂屋万右ヱ門・伊勢屋清左ヱ門・大和屋金左エ門・亀谷兵蔵・紀伊国屋忠蔵・吉田屋平兵衛と記されています。

 江戸時代中期の1715年(江戸時代の正徳5年)に創業したきのくにやは、400年の歴史ある老舗ですが『伝統は常に斬新』を標榜し、長い歴史に驕ることなく時代にマッチした温泉宿を目指している様子が窺えます。
 2007年度に『二種名湯賛歌』を掲げ、硫黄泉と単純泉を区分した湯使いを宣言しました。 

 以下は、2011年8月29日(晴れ)の入湯レポです。

 芦ノ湖の【元箱根】の信号から国道1号線を箱根湯元方向へ10分弱上がり、左折するとすぐ郵便局の先にきのくにや。左に本館・別館、道路の対面に資料館・宿泊者専用の正徳の湯と枯淡の湯・源泉井・やまぶき茶屋が並んでいる。
 日帰り入浴できるのは、本館の湯香殿と別館の貴賓殿の2ヵ所。 

 本館の湯香殿
 更衣室にはボードの棚にプラスチックの脱衣籠が載っている。
 1、硫黄匂漂う内湯
 20人程度入れるタイル張り石枠の浴槽に、浴槽底2か所から温泉が注入され、浴壁から透明のお湯が吸い込まれ、僅かに浴槽縁からの溢れだしも見られる。
 初めは肌につっかかりを感じたが、やがてぬめり感に代わってきた。
 【加温・循環濾過・塩素消毒】と掲示されてはいるものの、塩素臭を感ぜず。

 2、露天の一部に苫を掛けた芦ノ湖周遊風呂。
 10人入れるタイル張り石壁の浅い浴槽に、温泉が管の湯口からジョコジョコの流入と浴槽内からも注入し微々懸濁透明のお湯が湛えられている。
 湯口近くは高温で、湯口から離れるに従い湯温が下がる。

 3、同じく湯香殿露天の神遊風呂。
 一人用の壺湯に、竹筒から温泉がチョロチョロ投入され、微青濁りほぼ透明のお湯が溢れている。
 入る時には冷たいが、入ってしまえば天国天国。大きな湯花も舞い、硫黄の匂いを嗅ぎながら浸かっていると、いくらでも入っていたい「時忘れの湯」。
 飲むと玉子味。目をつぶり静かに肌を擦りながら、まろやかな温泉を楽しんだ。何回行っても期待を裏切らない浴槽。

 回廊に展示された数々のきのくにやの歴史物語りを眺めながら一息つき、ロビーで一休みしてから、湯香殿先の別館へ。

 脱衣場は木製の棚に籐の籠が数個架かっている。
 4、太陽が降り注ぐ別館内湯
 6人程度入れる石板張りの浴槽に、正面に突き出した5本のパイプの内の2本から透明のお湯がドカドカと、残り一本からは硫黄泉がチョロチョロと流入し(2本は止まっていた)、僅かに懸濁した透明のお湯が湛えられている。


 5、東屋を掛けた別館露天
 石で囲った5人は入れる浴槽に、3本のパイプの内の1本から温泉がジョロジョロ投入され、透明のお湯が溢れている。
 硫酸塩泉のしっかりしたキシキシ系の肌触りに加え、僅かだがしっとり感+弱いとろみも感じ、硫黄の匂いが漂う。
 体の中の不純物が溶け出していくような、素晴らしいお湯。

 参考1  浴槽数が多いので、日帰りでも梯子湯気分に浸れますが、宿泊者専用の正徳の湯で使われている芦之湯1号泉は、これが硫黄泉かと思う程の柔らかいお湯が肌を包み込む、俊一(比類なき絶妙な、素晴らしい触感の泉質)なお湯です。

 参考2  少し足を延ばした、石仏・石塔群の磨崖仏二十五菩薩は一見の価値があります。

湯香殿内湯・神遊風呂・別館内湯   芦之湯3・6号混合泉   泉質 単純硫黄泉 
 泉 温  31,9℃  湧出量 72L/分  pH 6,9
芦ノ湖周遊風呂・別館露天    湯の花揚湯2号泉  Ca2・Na・Mg-硫酸塩・炭酸水素塩泉
 泉 温  66,4℃  湧出量  記載なし  pH 8,0
営業時間 12時30分~15時30分  入浴料 1,000円  

 文・画像 義満

03.箱根湯本温泉 「大和旅館」

2008-05-12 23:32:44 | 神奈川
箱根湯本のお湯というと「高い、混む、薄い」のイメージがあって、温泉好きの人気はかならずしも高くないのだが、じつは自家源泉をもつ小規模な湯宿がけっこうあって、湯めぐりしてみると意外に奥がふかいところだ。

箱根湯本温泉は、駅前、旧湯場、仲町・上町、湯本茶屋、須雲川の各地区からなり、それぞれ趣がちがう。なかでも名実ともに湯本の中核をなすのが、早川と須雲川の合流点に位置する旧湯場地区だ。
早川にかかる赤い欄干の湯本橋、蕎麦処「はつ花」、正面に破風屋根の重厚な構えをみせる老舗「萬寿福」、人気銘菓「月のうさぎ」、箱根温泉発祥の地熊野神社など、人気スポットや見どころも多い。

ここは老舗「萬翠楼 福住」のうら手にある湯宿で、由緒正しい湯場共同泉(湯本第7号・9号・41号混合泉)をつかっている。このうち、熊野神社の下で湧く湯本第9号は「惣湯」とよばれ、箱根最古の源泉として知られている。
明治中期までの湯本の泉源はほとんどこの「惣湯」に頼っており、関係者19戸のあいだで「共有温泉盟約」という惣湯利用についての取り決めが交わされていた。

いまは素泊まり専門で営業しているこの宿は江戸時代から続く老舗で、さして特徴のない外観ながら館内は老舗宿特有の味がある。
裏手の狭い路地、年季の入った玄関など、観光客はまず入らないと思うが、こぢんまりとした構えのわりに、浴室は大(2.3人)、中(1人)、小(1人)の3つもあり、状況により貸し切りもできる。
ここは「大和館」とよばれることが多いが、宿の看板は「大和旅館」だったので、ここでは「大和旅館」とした。

扉を開けると、さほど広くない浴室には石膏系の甘い湯の香が立ちこめている。
白壁のシンプルな浴室に青タイルの浴槽が映えて、いい味を出している。
浴槽底の孔から源泉を注入し、浴槽ふちからさわさわとかけ流す文句なしのかけ流しだ。

絶妙なぬる湯は無色透明で、黒褐色の浮遊物がただよう。
とろみとともに、やわらかくやさしく包み込まれるようなすばらしい湯ざわりが身上。
よく温まるが、浴後は充実した爽快感とともに肌がしっとり落ちついて、硫酸塩泉の味わい豊か。
湯本のお湯はけっこう入ったが、そのなかでも最上級のお湯だと思う。

女将さんの話しでは、お湯は熊野神社のよこから湧いていて、共同配湯なのでほかにもつかっている旅館がある。湯温は季節でかなり変動する。保健所などの指導をクリアするためにいろいろと手数がかかるが、消毒するとお湯がダメになってしまうので、なんとか非消毒のかけ流しをつづけている・・・。などなど。
たしかに、えらくデリケートなお湯なので、消毒したら1発でおじゃんではないかと・・・。

このすばらしいお湯に箱根湯本で600円、しかも貸し切りで入れるとはおどろき。
箱根湯本のお湯の実力を知るのに最適な1湯かと思う。

なお、すぐそばにある「住吉旅館」も湯場共同泉をつかっているが、こちらは湯本第7号・9号混合泉と41号単独のふたつの浴室をもっている。こちらも湯づかいがいいので「大和旅館」と入りくらべてみるのも一興だ。

アルカリ性単純温泉 36.0℃、pH=9.1、湧出量不明、成分総計=0.332g/kg、Na^+=83.1mg/kg、Cl^-=84.1、SO_4^2-=71.0、HCO_3^-=21.1、メタけい酸=40.1、メタほう酸=2.75 <H16.12.7分析> (源泉名:湯本第7、9、41号混合泉)

文・画像 別働隊@うつぼ

05.小湧谷温泉 「箱根みたか荘」

2007-03-28 23:59:13 | 神奈川
東京から近く温泉もある箱根は、保養所や別荘の適地として古くから注目を浴びた。とくに強羅や姥子下の温泉荘は第一級のステイタスを誇り、大企業や公共団体、有力自治体が威信をかけて(?)、好区画の確保に走った。含み資産所有と福利厚生充実のダブルメリットを享受できる保養所は、高度成長期の落とし子だった。しかしバブル崩壊→資産デフレの時代に入るとこれらの所有・運営が負担となりはじめ、売却されるもの、民間に運営委託されるものがでてきた。このような流れを巧くつかんで急成長を遂げたのが、「四季倶楽部」「一の湯グループ」だ。
これまで利用できなかった温泉施設、とくに自家源泉のものが開放されるのは温泉好きにとっては嬉しいことだ。ここ「箱根みたか荘」も三鷹市の保養施設だが、一般にも開放されるようになった。ちなみに強羅にある文京区や新宿区の施設も現在一般開放されている。

立地がいい。小湧谷上部の別荘地「みどりの村」内にあり、強羅とは須沢を介して隔たっているので小湧谷温泉に入ると思われる。小湧谷といえば一大エンタメ温浴施設「●ネッ■ン」が有名だが、かけ流しで入れる日帰り可能施設は貴重だ。
箱根有数の泉源地帯、早雲地獄からの距離は名湯の誉れ高い「最乗寺箱根別院」とほぼ同じで、このお湯がいかに絶妙の立地にあるかがわかる。

某オフ会でやませみ師匠の先導で突入した。
敷地内に温泉櫓が立っている。足元からもうもうと湯気を吹き上げ、そうとうにパワーのある泉源とみた。
館内は公共施設らしくよくメンテされてきもちがいい。内湯ひとつのシンプルな浴室で熱湯源泉が絞り気味にかけ流されている。
うすく緑がかったかなりの熱湯は、箱根らしからぬ濃度感と力感をもった食塩泉。それもそのはず、成分総計=5005mg/kgは箱根ではちょっと記憶にない。かといって強羅の食塩泉をパワーアップしたようなガシガシに硬いお湯かというと、メタけい酸がよくきいてしっかりとしたとろみもでている。含有量は少ないがなんとなく重曹や硫酸塩が裏できいているような複雑なお湯だ。

やませみさんの「温泉の化学」によると、「神山の北西部から強羅、小湧谷、底倉にかけての地下に3本の流れがある」とのことだが、ここもその流れの1本だと思う。これらの流れは他の成因の温泉流や地下水をまじえ次第に温度と濃度を減じていくのだが、ここは上部にあるので、「早雲山噴気地帯直下の地下数100mの深さから(湧出)」* するという高温・高濃度の塩化物泉(第III帯 塩化物泉)がピュアに湧いているのだと思う。

箱根というと、造成硫黄泉や浴感やわらかな単純温泉、弱食塩泉のイメージがあるが、力強い浴感で箱根の底力を実感できるこのお湯はたしかに貴重だ。

なお、HPによると、休憩料は入湯税込み250円、事前予約が必要なようです。

Na-塩化物泉 88.4℃、pH=7.90、成分総計=5005mg/kg、Na^+=1540.0mg/kg 、K^+=127、Ca^2+=129、Cl^-=2700、SO_4^2-=44.2、HCO_3^-=33.7、メタけい酸=282、メタほう酸=120 <H14.7.30分析> (源泉名:宮城野第74号泉)

*)「箱根二十湯」平野富雄氏著(かなしん出版)

文・別働隊@うつぼ / 画像・やませみ師匠

04.宮ノ下(底倉)温泉 「太閤湯」

2007-03-22 21:58:56 | 神奈川
新しい施設が続々と完成する中そんな施設を気にもせず、堂々と宮ノ下温泉にある共同浴場それが「太閤湯」だ。
ここのお湯は箱根七湯ではる底倉温泉からの引き湯です。
私は箱根に行くと朝一の湯としていつも利用させてもらっています。
浴室は女性2箇所、男性2箇所。空いている所好きな方へどうぞということみたいです。
脱衣所は箱ロッカーがあるのみで、3人前後で利用出来る大きさ。
浴室は湯船1、洗い場1、プラ桶数個のみ、床はタイル張り。
湯船には源泉蛇口と真水の蛇口が設置。温泉の蛇口の方はパイプが付いており、湯船の下の方からお湯が投入されるようになっている。下から熱くしようというのでしょうか?それとも源泉温度が熱いので火傷防止としてついているのでしょうか?パイプ1つでもこんな想像しながら入るのも面白いかな。掛け湯をしてお湯につかるといつものようにお湯と戯れる。ここのお湯は、突飛した特長がないがバランスの良いお湯。だから良くも悪くも万人が入れるお湯だと思います。
お湯自体は無色透明で抵抗感が少ない軽いお湯。湯温はその日の気分で源泉と真水で調節。もともと源泉温度が80℃以上あるので源泉そのものに入るのは無理な話。
癖がないので入りやすい。お湯に浸かっているだけで「なんかいい。」
番頭さんに聞いてお湯を少し分けてもらい飲泉してみると、海洋深層水深海の椿(伊豆大島の海洋深層水)と味がよく似ている。もっと分かりやすく言えばミネラルウォーターコントレックスに塩を足した感じの味でした。薄い塩味なんだけど+αなんの味?といったふうな表現かな。

泉  質:ナトリウム-塩化物泉 源泉温度:83.1℃ pH8.4
主要成分 少量の物はその他に含む 単位mg/kg
陽イオン 
リチウムイオン=0.74 ナトリウムイオン=383 マグネシウムイオン=3.70
カルシウムイオン=30.3 マンガンイオン・第一鉄イオン他=0.19

陰イオン 
水素イオン=0.04 フッ素イオン=0.51 塩素イオン=575
硫酸イオン=65.0 炭酸水素イオン=108 炭酸イオン=2.08
硝酸イオン=1.25 メタケイ酸イオン=8.15 メタホウ酸イオン=3.77

遊離成分
メタケイ酸=165 メタホウ酸=24.3 遊離二酸化炭素=0.71

微量成分
総ヒ素=0.776
成分総計 1409mg/kg
底倉温泉 温泉村第28、29号混合

場  所 神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下223(国道1号線沿い)
箱根登山鉄道宮ノ下駅より徒歩5分
電  話 0460-82-4756
営業時間 AM9:00~PM9:00毎週水曜定休
入 湯 料 ¥300

文・画像えんぴつ

□ 元箱根温泉 「箱根高原ホテル」 (元100湯)

2006-01-04 20:59:58 | 神奈川
東京あたりでは温泉地の代表と思われている箱根だが、蒸気井を用いて造成される”造成泉”を使う施設が意外に多い。
造成泉には大湧谷系統(箱根温泉供給(株))、早雲山系統、大芝・元箱根系統(町営)などがあって、それぞれ旅館や保養施設などに配湯されている。なかでも規模的に大きいのが大湧谷系統で、強羅から仙石原にかけての多くの施設が使用している。

このお湯はイオウ臭香る白濁湯なので一般には人気が高いが、やはり”造成泉”であることと、多くの施設で使われているので、湯巡りのときには回避したい対象となる。
大湧谷造成泉をパンフやHPで見分ける方法はこんなところか・・・(笑)

1.まんま「大湧谷からの引湯」や「供給温泉:大湧谷温泉」とある施設。
2.「乳白濁のにごり湯」というキャッチの施設。(このエリアの非造成泉で
  にごり湯になる源泉は稀)
3.泉質名が「酸性-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物泉」
4.泉温65℃くらい / pH=2.6~2.9 と記載。
5.湧出量2,750~3,125L/min ないしは(蒸気造成) と記載。

このようにして振り分けていくと、かなりの温泉施設が該当してしまう。
また、残ったもののなかにも早雲山系統の造成泉が混じっている。(これの見分け方もあるが省略)
こうしてみると、強羅から仙石原、湖尻あたりにかけての非造成泉がいかに貴重なものかがわかる。(逆に、貴重だからこそ、造成泉の需要が高い。)

前置きがながくなったが、芦ノ湖湖尻にほど近い「箱根高原ホテル」は、そんな貴重な自家源泉をもつ宿泊施設のひとつだ。しかも、加水も加温も濾過循環も消毒もかけていないらしい。(以前は循環していたようだが、かけ流しに切り替えたような感じがする)

さして風情のあるホテルでもないし、飾り気のない男女別の内湯があるばかりだが、お湯はすばらしい。
赤茶の析出のでた湯口から50L/min近くも注がれる熱湯からは焦げ臭と金気臭が立ちのぼる。うすく緑茶色がかったお湯には茶色の湯の花が浮かび、キシキシとツルすべの入り混じる複雑な湯ざわりが楽しめる。鉄と重曹の気配が強いこのお湯は、白濁イオウ臭の造成泉と無色透明の弱食塩泉が多い箱根にあっては異色だ。
なお、この重曹分は、「中央火口丘が噴出する以前にあった湿原の植物が堆積物中で分解されてできたものと考えられ」ているとのこと。(やませみさんの「温泉の科学」より)

箱根では温泉資源保護の見地から、新規の温泉掘削がほとんど不可能なため、源泉自体が貴重品だ。それでもまだまだ多くの源泉が残っているらしく、小さな宿で自家源泉をもっていたりするので、じっくりと時間をかけて探っていきたいと思っている。

なお、姥子には「秀明館」という酸性硫酸塩泉系のすごみのあるお湯があり、100湯ラインは楽々クリアしているのだが、料金1,800円で残念ながらリスト外となっている。

Na・Ca・Mg-硫酸塩・炭酸水素塩泉 55.8℃、pH=7.0、96.1L/min、成分総計=1.359g/kg、Na^+=118mg/kg、Mg^2+=55.6、Ca^2+=101、Fe^2+=2.43、Cl^-=26.3、SO_4^2-=355、HCO_3^-=377、陽イオン計=292、陰イオン計=759、メタけい酸=240、メタほう酸=3.77、硫化水素=0.02 <H16.12.13分析>(源泉名:元箱根温泉※(元箱根第26号))

※ふつう”元箱根”というと箱根神社あたりを指すが、住所上は、湖尻や桃源台も含まれている。ここの泉源は元箱根字旧札場にあり、約1.1km引湯しているらしい。

文・画像 別働隊@うつぼ

□ 「ゆめみ処ここち湯 海老名店」 (元100湯)

2005-09-25 01:20:32 | 神奈川
「ここち湯」とはなかなか洒落たネーミングでつけた由来などをいろいろと想像を掻き立てられる。居心地の良い湯なのでここち湯なのか、気持ちよい湯みたいな意味としても捉えられるるし、よくよく考えると短いシンプルな単語のなかで深い意味があるのであろう、凄くセンスのある言葉である。

 ここち湯 海老名店は、小田急線、相鉄線「海老名駅」から1つ横浜よりの相鉄線の駅「かしわ台駅」から徒歩4分の場所にあり、1つの駐車場を中心に相鉄スーパー、ドラッグストアなどが点在していてその中のひとつがここち湯「海老名店」である。ここち湯はスーパー銭湯であり、基本的な施設の概要は一般的なスーパー銭湯であります。館内に入りますと古民家風の杉を焼いたような柱や廊下などがあり、清潔感と昔懐かしく落ち着いた空間を演出していて、なかなか好感がもてます。
 客層も、東京や横浜のベッドタウンなのか、子供の手を引いたファミリー客が沢山いて、ここでは自宅で味わえない、温泉という日常的でない異空間を楽しんでいるようにも見え、下足キーが間に合わないほどの混雑ぶりで、日帰り施設としては相当の盛況ぶりである。

 お風呂場は、スーパー銭湯らしく、沢山の浴槽があり寝湯、ジェットバス、電気風呂など23の浴槽がたのしめ、その1つ1つ全てに沢山の人が入浴して混雑している。温泉利用も浴槽も数多くあり、循環式等の情報開示しておりその点でも好感できる施設である。最近のスーパー銭湯の温泉利用は殆どといっていいくらい、露天風呂のお湯に力を入れており源泉掛け流し浴槽は露天の最上段に位置する傾向にある。個人的には、内湯が一番といった昔ながらの施設のほうがじっくりと温泉を楽しめるとおもうのだが、どうしても露天風呂の方が客受けするのだろうか、ちょっと残念ではあるが、時代の趨勢は露天風呂なのだろうか。

 温泉に限って言えば、この温泉のネーミングのここち湯がダントツで、他の循環式のお湯では当然100名湯プログには登場しないであろう。温泉はナトリウム・塩化物泉で成分総量が10g以上の高張性の温泉で炭酸水素塩の成分もかなりあるのか、匂いは重曹系である。鉄錆び系も混じるのだがやや弱いので、かなりいい匂いで鮮度感が異様に高いので温泉臭もかなり感じられ、匂いに関しては、関東では感じられないような良質な香りがする。

 高張性の温泉というと、普通入浴感的には大味な感じが強く、がさがさとした刺激の強いお湯になってしまうこともしばしばであります。ここの源泉かけ流し浴槽は、これだけ巨大な施設なのに5人も入ればいっぱいになってしまうほど浴槽が小さく、すこぶるやさしい浴感があります。スーパー銭湯には珍しく温泉をわかっている人が設計したのであろうかびっくりするほどのよい湯である。実は湧出量も少なく、間違った湯使いをすると、なんの特徴もない温泉になってしまうのだが、浴槽を小さくし適性な鮮度感をもった施設の温泉はこうもよいのかと感じる。

 東京からも横浜からも近く、鮮度感を楽しめるお湯は貴重である。ただ1つだけ残念なのは、休憩場所が小さく、ゆったりとした場所がないことであろう。温泉に関しては1流のお湯であるお勧め!

湧出量130ℓ/min PH7.7  泉温 37.7℃ ナトリウム-塩化物泉
Na=3932 K=87 NH4=41.5 Mg=25.1 Ca=77.6 Al=0.3 Fe2=2.8 F=0.4 Cl=6094 SO4=3.4 HCO3=424.7 CO2=0.7 Br=20.5 I=8.2 メタケイ=72.9 メタホウ=198.5 成分総量 10.99g/kg 

文/画 ガメラちゃん@takayama

□ 湯河原温泉 「ままねの湯」 (元100湯)

2005-09-06 23:47:19 | 神奈川
湯河原温泉は万葉集にも詠まれた古湯で、温泉番付ではだいたい箱根筆頭の芦乃湯より上位、小結あたりにきていて、江戸期から高い評価を得ていたことがわかる。
現在の温泉地としては、吉浜(浜湯河原)、鍛冶屋、宮上、温泉場、奥湯河原、静岡県側の伊豆湯河原などがあるが、中心は歴史の古い温泉場エリアである。

比較的高級なイメージがある湯河原だが、小規模な湯治宿などもさりげにあって、なかなかに懐のふかい温泉地だ。「ままねの湯」は、そんな湯河原の一面にふれられるお湯である。温泉場エリアの細い路地の奥にあるここは、本業は湯治宿のようだが、共同湯的な使われ方もされている。

佇まいがいい。
階段を下った浴場は、どことなく神社のような厳粛な空気がただよい、神妙な心持ちになる。浴槽は6.7人のものがひとつとシンプル。ここは熱湯で有名で、この日も優に45℃は越えていたと思う。けっこう混んでいたが、みな浴槽のふちでトドになっているので、お湯の鮮度は満足できるレベルに保たれている。
熱いのになぜか包み込まれるようなやわらかな湯ざわりがあり、何度でも入りたい誘惑に駆られる。よく、「真湯ではつらい熱湯でも温泉ならば入れる」という話をきくが、ここではそれを実感した。

これみよがしな湯色や湯の香や浴感はない。が、なにか温泉好きを惹きつけるフックのあるお湯だと思う。箱根から伊豆にかけてのお湯は、食塩泉をベースにしながらも、Ca^2+やSO_4^2-を多めに含む傾向があり、これらが浴感に奥行きを加えている。「ままねの湯」も副成分としてそれらを含む含石膏食塩泉だ。

大温泉地の例にもれず、湯河原もやや寂れを感じるところもあるが、温泉場あたりの風情は捨てがたいものがあるので、このあたりをうまく活かしていけば都会人の琴線に触れる湯場として、存在感を保っていけることだろう。
「ままねの湯」はそんな湯場のおさえになれる、風格をもったお湯だと思う。

「ままねの湯」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

Na・Ca-塩化物・硫酸塩泉 89.8℃、pH=8.4、成分総計=1951mg/kg、Na^+=457mg/kg、Ca^2+=158、Cl^-=544、SO_4^2-=479、陽イオン計=652、陰イオン計=1189、メタけい酸=130、メタほう酸=9.75 <H9.8.1作成>

文・画像 別働隊@うつぼ

■ 鶴巻温泉 「ゆたか」 (殿堂 神奈川/その他)

2005-06-22 00:34:49 | 神奈川
小田急線沿線で生まれ育ち、電車好きの子供だった私は、小田急線の駅名をぜんぶ覚えていた。「・・・ほんあつぎ、あいこういしだ、いせはら、つるまきおんせん、おおね、おおはたの・・・」このあたりはテンポがよくて、とくに”つるまきおんせん”という響きが妙に好きだった。温泉は山の中か海沿いにあるものと思いこんでいたので、何でこんなところに温泉があるのか、子供ごころに不思議に思ったことを覚えている。

そんな馴染みぶかい?鶴巻温泉だが、ここについては、なぜか”大したことない”という妙な先入観があって、実際に入湯したのはつい最近である。
このときも、狙っていったのではなく、平塚太古の湯、大磯プリンスとまわり時間が余ったので、「鶴巻でも冷やかしていくか・・・」といったノリ。で、全然期待していなかった。

ここは旅館を日帰りに転換した施設で、なかなか落ち着いた佇まいをみせている。中庭に源泉?が流されているところがあって、舐めてみると弱塩味に強い苦味がある。かなり濃厚な土類食塩泉と思われた。
脱衣所の分析書をみると、やはり成分総計=8.281g/kgのCa・Na-塩化物泉でCa^2+を1960mgも含んでいる。

浴場棟はたぶん旅館時代のまま。適度に古びて脱衣所も内湯も風情がある。
露天は25人は優に行けそうな岩組鉄平石敷の大きなもので、まわりに茂るヤシ?の木がちょっとミスマッチ?
内湯・露天とも槽内吸湯があったが、帰りにフロントで訊くと、37℃の自噴自家源泉で相当な湧出量があるので、かけ流しにしているらしい。

無色でかすかに微濁したお湯は、強苦味弱塩味の個性的な味で苦味が舌に残るもの。味的には、山梨の十谷温泉「源氏荘」に似ているかと思う。石膏臭を強めたような甘い温泉臭とともに、キシキシとヌルすべが複雑に入りまじる湯ざわりと、肌に食い入るような力強い浴感があってよくあたたまる。入り応えのあるいいお湯だ。

丹沢山麓のお湯というと薄めで素直なヌルすべ湯のイメージがあるが、意表をついて濃厚で個性的ないいお湯に正直、”目からウロコ”状態。温泉地は”先入観”では判断できないということを思い知らされた一湯となった。

Ca・Na-塩化物泉 37.1℃、pH=9.2、湧出量不明、成分総計=8.281g/kg、Na^+=1050mg/kg、Ca^2+=1960、Fe^2+=0.09、Cl^-=5050、SO_4^2-=584.8、HCO_3^-=18.8 <H15.3.25分析>
                                  
文・画像 別働隊@うつぼ