一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

13.片瀬温泉 「味湯海亭 福松荘」

2011-07-31 00:37:07 | 静岡
東伊豆の数ある温泉地のなかで片瀬・白田のふたつは地味な存在だ。
熱川と稲取の二大温泉地にはさまれ、半端に街であることが原因とも思われるが、街なかを歩くとそこかしこに源泉櫓が立ち湯気をあげていて、ただならぬ温泉地であることがわかる。
ちなみに、白田川の北側、熱川寄りが片瀬温泉、南側、稲取側が白田温泉とされている。

片瀬温泉は市街地からすこしく離れた海沿いで、熱川から県道113をそのまま南下すれば到達できるハズだが、たいていは熱川で引き返してしまう。
また、片瀬の市街地からはやたらわかりにくいアクセスなので、あえて行こうとしなければ、バイパス的に山側を走るR135であっさりと通り過ぎることになる。
そんなロケーションもこの温泉地を地味なものにしている一因かもしれない。

日帰り温泉はすくなく、湯宿の日帰り情報もほとんどないので日帰り攻略はなかなかやっかいで、ここも事前情報なく、当日現地でみつけて攻めたもの。
こぢんまりと小綺麗なお宿で、とても日帰り対応はしてなさそうだったが、おずおず尋ねるとあっさりOK。
(なお、ここは一般には日帰り情報を出していないようなので、事前要確認)
浴場はなんと4つもあるらしく、これから察しても湯量豊富な温泉場であることがわかる。

脱衣所に掲げられた分析書には「片瀬温泉」の文字。
風情ある「月見温泉」という源泉名、378L/min自然湧出というスペックに期待が高まる。

入ったのは小ぶりなタイル浴槽で貸し切り利用。
石膏系の芸術的な析出のでたカランからゲキ熱湯をしぼり投入。
側面注入口は作動なく、投入量に見合ったオーバーフローは、おそらくかけ流し。

お湯はうすいうぐいす色を帯びて、芒硝塩味に磯の香+芒硝薬臭。
芒硝が卓越しているが、なんとなくうらでイオウが効いているような気配も・・・。
肌に喰い込んでくるような力強い浴感、しっかりとしたとろみは熱川よりはよわめか。
熱湯ということもあり、あたたまりはすこぶるつよいが、浴後の熱の抜けよく爽快感のでる上質なお湯。

イメージ的には熱川と稲取の中間くらいで、宇佐美や白田の硫酸塩をさらにつよめたような感じか?
なにより成分のバランスが絶妙で、これは名湯かと・・・。

片瀬温泉のオフィシャルHPでは「泉質の良さでは、東伊豆町温泉郷でも1,2を争う片瀬温泉」と高らかに(^^)謳っているが、なるほど、絶妙な浴感をもつすばらしいお湯だと思う。

〔→ 入湯レポ

〔 源泉名:片瀬温泉 月見温泉 〕
含芒硝弱食塩泉(Na-塩化物・硫酸塩泉) 97℃、pH=8.2、378L/min自然湧出、成分総計=2771mg/kg
Na^+=794.1mg/kg (82.43mval%)、Ca^2+=134.3 (16.00)、Fe^2+=0.407、Cl^-=916.2 (51.68)、SO_4^2-=652.5 (32.42)、HCO_3^-=145.3 (5.69)、陽イオン計=950.071 (41.8891mval)、陰イオン計=1718.534 (41.8891mval)、メタけい酸=100.0 <S35.9.26分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

15.上白岩温泉 「民宿 越後21」

2007-05-12 00:13:58 | 静岡
伊豆箱根鉄道修善寺駅を背に伊豆スカイライン氷川ICへ車を走らせる。
途中「大見温泉郷」の看板を目にするが、ガイドブックにはあまり紹介されていないと思う。少し前までは中伊豆温泉郷と呼んでいたかもしれませんね。

NPO法人中伊豆ITイニシアティブ」によれば5つの泉質に分かれる25の源泉を紹介していて、それぞれ湯量豊富であればなかなか楽しめそうな地域です。
テレビ東京の土曜スペシャル風にいえば「意外と知らない小さな温泉郷」といったところでしょうか。

そんなこんなで道路左手に白岩温泉「白岩の湯」のある信号で右折し、細い道を下ります。
大見川の橋の手前に建つのが「民宿越後21」
橋をはさんではす向かいに「小川温泉共同浴場」
ここまで来ると道路脇に数軒の温泉宿の案内看板も出てきて、オリエンテーリングのつもりで周辺を散策するのも一興です。
どうです、けっこう温泉宿が点在しているでしょ。

では越後21に戻り立ち寄り入浴をいただきましょう。
狭い脱衣所で裸に着替え浴室へ入ると、ペンション風な外観からは想像もつかないような本格的なもの。
石張のしっかりした湯船にカマクラのような湯口からコンコンと湯が注がれ、湯尻の切れ込みからサワサワとあふれ出す光景。
さっそくかぶり湯をして湯船に身を沈めます。
ピリリとくる適温やや熱めな湯が全方向に溢れ出す、んんんーーん。
無色透明の湯だからといって侮ってはいけません。
うす苦塩こく味に芒硝臭っていうんでしょうか、味も臭いもあるんです。
まずまずのスベ感がある肌触りで、体にジーンときて追っかけでグッタリ感を伴う入りごたえのある湯でした。

近くの共同湯は入れ替わり立ち代り入浴客で賑わい落ち着いて湯浴みができませんが、こちらの宿では湯船を独占し、静かに過ごせるのがありがたいです。

ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
59.3℃、pH記載なし、成分総計3.418g/Kg
平成6年11月28日

2006年3月の入浴メモより
文・画像 福沢☆湯キチ

08.伊豆山温泉(走り湯) 「偕楽園」

2007-03-04 14:44:16 | 静岡
伊豆山温泉は、湯河原と熱海のあいだにある地味な温泉地だが、源頼朝も入浴したという古い歴史をもち、実に106ケ所の温泉井(平成15年熱海温泉組合の調査)を擁する実力派だ。泉質はバラエティに富んでいるが、別格として扱われているのが日本三大古泉のひとつとされる”走り湯”だ。ここは全国でも珍しい横穴式源泉で、山腹から湧き出たお湯が海へと走るように流れ落ちるさまから名づけられたといわれ、昭和39年に枯渇したが、昭和45年の増掘により復活している。

その”走り湯”のすぐ上にあるのが「偕楽園」で、伊豆山1号泉(走り湯)、伊豆山78号泉(第2走り湯)の2本の走り湯系のお湯(たぶん混合使用と思われる)に加え、すぐれものの自家源泉「逢初の湯」をつかう贅沢な宿だ。海側からみるとかなり年季の入った建物だが、玄関や浴場まわりは手がいれられていて綺麗。スタッフの対応がとてもよくてきもちがいい。

相模湾を見渡す眺望絶佳の浴室に、扇形黒みかげ石枠伊豆石敷5.6人の浴槽がとなりあってふたつ。手前が「走り湯」(たぶん走り湯、第2走り湯の混合泉)、奥が自家源泉(伊豆山63号泉)使用の「逢初の湯」だ。
浴場奥から「走り湯」のお社が見下ろせる。この位置関係からすると、男湯はほとんど走り湯泉源の直上に当たるのでは?。

「走り湯」の浴槽は、緑茶色透明で白~うす茶の湯の花。走り湯特有の強苦味強鹹味とかすかな磯の香。掲示には”加水・循環”とあったが、味は非加水の共同浴場「浜浴場」の熱湯槽とさほど変わらなかったので、加水はごく少量だろうと思う。迫りくる濃度感と強烈なほてり、塩化土類系のキシキシペトペトととろみが走り湯ならではの個性。からだ中の水分が入れ替わってしまうようなサウナいらずの激しいお湯だ。
冬向きのお湯といえば、まずは”熱の湯”といわれる食塩泉だが、わけても土類食塩泉の温まり感はひとつ抜きんでたものがある。ややペトつきどちらかというと派手派手な浴感なので厭う人もいるが、”走り湯”のお湯は硫酸塩やメタけい酸が効いているためか、激しいながらもどことなく上品で奥行きがある。ちなみに走り湯は明治期には皇室の御料温泉になっていたというほどの由緒正しいお湯だ。

「逢初の湯」は、緑茶色透明(走り湯よりややうすい)で白~うす茶の湯の花。はっきりとした芒硝塩味と弱いながら独特な焦げ臭。はっきりとした硫酸塩泉系のキシキシととろみがある、なかなかにすぐれもののお湯だ。
調子に乗って2槽連チャンしてると、土類食塩&硫酸塩のホテホテ&冷めない攻撃に晒されてヘロヘロカラカラになるので要注意(^^;)

洞窟のなか、もうもうと湯気を上げ湧き出る”走り湯”を見物し、すぐ前にある「中田屋」(元100湯) で”走り湯”で茹でた温泉たまご、”走り湯御玉”を食べ、「偕楽園」でこの名湯に浸かる。入りたりなければ渋~い共同浴場「浜浴場」もある。しかも、入浴すると物事が成就するという”走り湯伝説”までついている。温泉ファンにはたまらない魅力をもった温泉場だと思う。

なお、山側にあって、特異な泉質で定評のあった共同浴場「般若院浴場」が、平成17年春に閉鎖となったのはかえすがえすも残念。

Ca・Na-塩化物温泉 68.8℃、pH=7.6、湧出量不明、総成分=12.31g/kg、Na^+=1389.0mg/kg 、Ca^2+=2946.0、Fe^2+=0.8、Cl^-=6869、SO_4^2-=865.4、メタけい酸=95.5、メタほう酸=11.3 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山1号泉(走り湯))

Ca・Na-塩化物温泉 71.6℃、pH=7.8、湧出量不明、総成分=10.18g/kg、Na^+=1098mg/kg 、Ca^2+=2525.0、Fe^2+=1.1、Cl^-=5524、SO_4^2-=814.2、メタけい酸=96.6、メタほう酸=11.4 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山78号泉(第2走り湯))

Na・Ca-硫酸塩・塩化物温泉 70.3℃、pH=8.3、湧出量不明、総成分=1.726g/kg、Na^+=237.5mg/kg 、Ca^2+=242.6、Fe^2+=0.1、Cl^-=238.5、SO_4^2-=820.2、メタけい酸=94.4、メタほう酸=10.8 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山63号泉)

文・画像 別働隊@うつぼ

10.伊東温泉 「共同浴場」

2005-12-20 23:05:18 | 静岡
伊東温泉は、東京駅を出発して、電車でがたごとと揺られて2時間弱で着いてしまうお手軽な温泉で、温泉というより海水浴などのマリンスポーツや登山といったものや海の幸などの天然資源が豊富な、温泉に興味のない人でも通ってしまうほどの魅力的な土地柄である。
 冬でも温暖な地域で、日本ならここで暮らしたいと思わせるが、ここ伊東は何度か足を運んで見て解ったが、漁業を生計とする方たちが多いのか、海の匂いを感じる街でありちょっと田舎臭いのも、ここ伊東という街の魅力なのかもしれない。

 伝統的な文化を楽しむのも私の湯巡りの楽しみの一つで、温泉のいきさつなどの歴史的文化を肌で感じるのも楽しみにしている。伊豆半島の入り口ではあるが急峻な岩場や断崖の多いこの地は、最近では交通の便もよくなっているが、本格的な観光の夜明けとなったのが昭和初期の、JR伊東線の開業からではなかったかとと思う。

 新しい温泉地というのは、伊豆全体にいえることではあるが新興温泉地では当然共同浴場といったものは少ないが古くからある温泉場では、共同浴場中心に温泉街が形成され温泉地独自の温泉文化が花開いたのが、私の温泉への回顧的なものである。
 伊東温泉は、関東の共同湯とは、異にしており温泉の配置からして関東の共同湯(銭湯)にみられるような湯船と洗い場が別といったものではなく、関西風な湯船の周りを取り囲むように洗い場があり、その形態が温泉文化の違いなのかもしれない。7つ(実は8つ)の観光客が入浴できる共同湯も、別府の共同湯などと同じく、アパートの1階や公民館に付帯するような場所が面白い、近くの関東圏の熱海や箱根の共同湯のような独立した建物でないのも関西風で楽しい。
 なにも飾らず気取らず、ありのままの温泉に入浴してくださいといった合理的な考え方に、大変感銘うける。

 私は伊東の共同浴場8箇所全て制覇したが今回は評判のよい、伊東温泉の代表的な歴史のある古湯である和田湯(寿老人の湯)と芝の湯(毘沙門天の湯)について紹介したい、ここは2つの共同浴場は、一番の特徴はいついっても混雑している点であろうか、確かに芝の湯は駐車場も完備しており建物も公共施設の併設されたもので新しいがそれだけでないようなきがする。なんと言ってもお湯の良さが人々に愛されている由縁なのである。 温泉は弱アルカリ性の単純泉であり温泉に詳しいひとはああパスかなと言ってしまうほどありきたりな温泉なのである。

 しかも伝統的な共同湯の微塵もなく共同湯というよりも小奇麗なセンター系で、温泉ファンには見向きもしない雰囲気で中途半端な感は否めない。だが、ここはお湯が良いのである。ひっきりなしの入浴客(地元の方だが)がそれを物語っている。お湯はなんといっても貴重な芒硝泉系のお湯、塩化物泉と比べて特徴はなんといってもる塩化物の匂いに近いのだが、音楽で言うと1オクターブ高いような軽さがのこり、ほのかな温泉臭というべき花の匂いなのかもしれないがともかくよい香りがして、温泉らしい匂いなのである。温まり感が心地よく、入浴中も入浴後もしっかりとした味わいのある温まり感が何時までも持続しており、この芒硝泉系のよさがわかる方が、少ないのが残念でならない。

 伊東温泉によさは文章に纏めるのは難しい、ある面日本全国の多くの温泉に入浴して見て、ああこの湯が一番良い湯だと感じる湯の代表的なものかもしれない。静の温泉である、昨今の温泉ブームの火付け役となったスーパー銭湯的な湯でもないし、その前の秘湯ブームにも取り残された感も否めない、しかし伊東温泉は本当の本物の温泉であることは断言出来る。釣りの用語にふなに始まりふなに終わるといった格言がある。これは、子供のころ近くの小川でふな釣りで釣りの楽しさを覚え、最後もへらぶな(?)釣りで終わる、釣りの楽しさを凝縮した名言である。
 海水浴でもよいし、味覚狩りでもよいが、是非とも帰りに伊東温泉に入浴してほしい。只の水を湧かしたのでなく、温泉なので実感してほしい。

 芝の湯(毘沙門天の湯)
源泉名 混合泉 泉質 単純温泉 泉温50.1℃ PH8.3 Na=154.2 K=3.7 Ca=71.7 Cl=78.4 SO4=368.8 HCO3=20.3 CO2=2.9 メタケイ=60.2 メタホウ=2.4

 和田湯は分析表の書き忘れ、芒硝はこちらのが強かった。
文/画像 ガメラちゃん@takayama

17.祢宜畑温泉 「町営やまびこ荘」

2005-11-25 20:09:17 | 静岡
伊豆半島は山深く、道路網も発達していなく特に西伊豆は、少し前まで陸の孤島と言われてきた。そのなかで、祢宜畑温泉 「町営やまびこ荘」はその中でも特に山深いところである。ここやまびこ荘は大沢里小学校が廃校となりその跡地に建てられた西伊豆町の町営施設であり、教室を宿泊施設に利用している何処か郷愁を誘う施設であります。そんな施設の素朴さなどや低料金での利用などで、休前日などは、ほとんど満室になるほど多くの人に支持されている。特に廊下の造りや、2階に上がる階段などは、木の温もりが感じられて、独特の癒しを感じます。

 以前の大沢里小学校(分校ではない)は、林業や金鉱山など従事者が多く、その家族などで1学年に30人の児童が学んでいたという。鉱山の廃坑や林業の衰退などで過疎地域になってしまい、小学校自体が廃校となってしまった。
 西伊豆町の中心部からも、細い渓谷沿いを細いくねくね道を遡り、ちょっとした谷間の集落にある。廻りの風景は静かな谷間で校庭からみた景色はほのぼのとしたものである。田舎の風景を楽しみたいのなら、最適な環境ではないか、自然豊富ではあるが特別に見ごたいのあるものではなく、日本の元風景なのかもしれない。

 祢宜畑温泉 「町営やまびこ荘」は、男女別に内湯が二つ、外には以前小学校で利用されていたであろうプールに温泉を湛えている。内湯は、大きな浴槽の中に、小さな浴槽に仕切られていている。温泉は、成分的にずばり石膏泉、源泉温度も人肌よりやや高い感じで、温湯といってもよいだろう。細かな泡付があり、非常に癒されるよい湯である。ちょうど群馬の霧積温泉「金湯館」を彷彿させて、同じような浴感であります。匂いは甘い石膏臭が立ちこめ、お湯の鮮度感も申し分なく、石膏泉の好きな方は満足する湯である。

 先ほどいった2つの浴槽があると書いたが、1つは2人も入れば、いっぱいになるもので大きめな浴槽も5人位しか入浴出来ない。両方とも良好な浴感でかなりの量かけ流しの湯ではあるが、やはり小さい浴槽の方が温泉の成分が染み渡り温泉の濃さというものが感じられる。こちらの温泉に来たならその2つの浴槽を入り比べるとなかなか楽しい。
 ここは貴重な石膏泉であり、普通の石膏泉より濃い成分で、より一層のとろとろ感が味わえる。特に西伊豆地域はよい石膏泉に恵まれている。ちょっと温泉マニアでもつかみ所のない泉質だがしっかりとした後味感は、この泉質ならではである。
 特にじっくりと入浴して貰いたいお湯である。

 ねぎの畑温泉(町営温泉4号泉) 湧出量 1100L/min 自然湧出 PH9.3
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉 旧表示名 含芒硝石膏泉

Na=142.2 K=2.5 Ca=460 Mg=0.1 Cl=54.9 SO4=1295  HCO3=18.9 CO2=0.6 HSiO2=9.3 Br=0.1 成分総量2323mg/Kg (昭和47年4月分析)

文・画像 ガメラちゃん@takayama

□ 大沢温泉 「大沢荘山の家」 (元100湯)

2005-11-13 18:32:39 | 静岡
伊豆の大沢温泉「山の家」は、那賀川沿いにある、昔ながら野天風呂で、その清流は、夏になると鮎が遡上する。道路より一人がやっと通れる橋がかかり鄙びた佇まいの休憩場と野天風呂がある。以前は、仕切りはあったが奥では繋がっていた混浴風呂であったが、現在は完全なる仕切りとなっている。

 しかし風呂は下で繋がっており、仕切りの底からぼこぼこと不定期に湯が湧いており、足元湧出温泉である。
 群馬の法師温泉がそうであったように、太古より湧いていた温泉に、露天の風呂を造り、そして湯小屋を造ったのである。鮮度感やお湯そのものを楽しむことに絞ったよい施設であり、ここを造った昔の人に感謝したい。

 伊豆は、透明な温泉が多くて温泉ファンにはやや不人気な地域である。どうしても現在は情報が発達していて、写真などの情報で温泉に行くといった傾向が昔より多くなった気がする。 濁り湯もそうであるが、眺めのよい風呂、大きな風呂といった目で楽しむ温泉、鄙びた宿などが人気となっており、伊豆に温泉そのものを楽しむ人は少ない。

 西伊豆に位置するここ大沢温泉「山の家」は、当然他の伊豆の温泉多くに見られるように透明なお湯である。大地の息吹を感じる間欠的に湯が噴出しているのだが、白濁したお湯などに比べて見た目には迫力がなく、野天風呂も小さく迫力に欠ける。しかし、温泉そのものには、濁り湯より透明な温泉のほうが、温泉そのものよさを感じることが多い。余談だが最近では、写真で濃い色をした濁り湯はあえて避けているほどである。

 泉質は昔の表記では含食塩石膏泉で、当然石膏泉の味わいの深い温泉であるが、お湯の鮮度が抜群によいのか、食塩泉独特のつるすべ感が味わえる。本来は、石膏泉は肌に引っかかるような感じなのだがその感覚がすくない。これはなぜかと仮定すると、大地から直に注ぐ、大沢温泉の特徴なのかもしれない。塩化物のお湯も酸化するとつるすべ感がとれて、さらさら湯になることがある。
 そんな大沢温泉の鮮度のよい湯は、酸化してないナトリウムの成分の特徴を現しているの不思議でならない。足元湧出泉ならではなのかもしれない。

 入浴後に火照った体を投げ出し畳の休憩所で、清流のせせらぎを聞きながらのんびりとするにはとてもよい。お湯はしっかりとした輪郭の見える温泉である。とてもよい温泉、よい施設である、特に静に湯浴みする人はお勧めします。

源泉名 大沢温泉8号泉 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉(低張性・アルカリ性高温泉) 泉温47.3℃ PH8.6 
 Na=139.7 K=3.6 Ca=208.5 Cl=20.1 SO4=773.1 CO2=5.8 メタケイ=35.3 メタホウ=0.8 成分総量 1187mg/kg (平成12年2月分析)

文/画像 ガメラちゃん@takayama

14.湯ケ島温泉 「河鹿の湯」

2005-08-08 21:34:54 | 静岡
湯ヶ島温泉「河鹿の湯」は、湯ヶ島行きバスで、西平橋徒歩1分の場所にありますが、バスの便数は少なく、下田方面のバスが頻繁にある湯ヶ島温泉口より徒歩でも湯道を通り、向うのも可能である。湯ヶ島温泉は中伊豆でも風光明媚でここの共同浴場は窓の外は、狩野川のせせらぎがあり、川向こうは、人家の無い山林が山の上まで続いていて、森と清流の音、虫たちの鳴き声、河鹿の声などが聞こえてくる。青い川の色、深い緑の木々に葉の色、虫や川の音など都会に無い五感を刺激するものが沢山あり、それを楽しみに入浴するのも良いだろう。

 湯ケ島温泉 「河鹿の湯」は古くからの共同浴場である、信州の共同浴場みたいに威風堂々としたものとは違い、自然に周りの景色と同化するように佇んでいる。共同浴場入り口のベンチも風呂上りに夕涼みしてくださいといわんばかりの自然さがまたよい、ここが多くの文人に愛されたことが伺える。ちょっとした畳敷きの場所、戸を開けると狩野川が飛び込み、蛙の置物の湯口からやや多いめの温泉水、癒しの共同浴場とは、こんなものかもしれない、計算されて作られたのなら凄い。

 お湯は見た目は無色透明で、若干小さな湯ノ花が確認できているが入浴する前は、温泉らしさを演出する要素のお湯の色や匂いが感じられない。しかし、入浴し手でお湯の匂いを嗅いで見るとかすかな石膏の匂いと芒硝の匂いの温泉臭が感じられて、両方の交じり合った匂いがとても心地よい香りになっている。味は芒硝系はあまり感じないものだが、ここは石膏味がかすかにわかる程度である。浴感は、含芒硝・石膏泉がよく出ている温泉で、塩化物成分や炭酸水素成分が殆ど無く、純粋硫酸塩泉で、すこぶる良い。

 石膏泉の特徴であるとろとろ感と芒硝泉の特徴の抜けるような温まり感が、見事に調和された温泉であります。やはり成分的にバランスの良い湯とは、入りごこちの良い湯に必ずなっているのが不思議です。伊豆というと、白濁した温泉も少ないし濁り湯もあまりないので、温泉マニアには不評ではある。しかし本当に温泉がわかる方や温泉が大好きな方には、是非こちらの湯ヶ島温泉に入浴してほしい。その素晴らしい温泉は、その期待を決して裏切らないものである、本当の本物の温泉だと思う。
 
源泉名 西平泉湯ヶ島29号 カルシュウム・ナトリュウム-硫酸塩泉 泉温46℃ PH 記載なし
Na=147.6 K=6.3 Mg=0.7 Ca=185.4 F=0.5 Cl=28.5 Br=0.3 SO4=683.9 HCO3=34 メタケイ=44.2 メタホウ=0.6 成分総量 1150g/kg (平成12年6月 分析)

                        文/写真 ガメラちゃん@takayama

09.熱海温泉 「福島屋旅館」

2005-07-20 00:46:38 | 静岡
かつては「東の熱海、西の別府」と謳われ、わが国を代表する歓楽温泉地として栄華を極めた熱海温泉。海岸沿いに大型豪華施設が林立する熱海の夜は”100万弗の夜景”と謳われ、高度成長を象徴する風景としてしばしばとりあげられた。
しかし、近年は団体客の減少や行楽客の大型施設離れの逆風にさらされ、廃墟や空き地の目立つ温泉街に往年の勢いは見られない。
それでも、市街地だけで545ケ所の温泉井をもち、エリア総湧出量18,023L/min(平成15年2月の熱海温泉組合温泉実態調査)を誇る熱海温泉の力はまだまだ健在である。

ここは熱海のほぼ中心部にある年季の入った温泉旅館で、温泉好きの間で評価が高い。すぐよこに熱海七湯のひとつ「風呂の湯」の泉源がある。
玄関の木枠のガラス戸に縦書きで書かれた”温泉旅館 福島屋”の屋号が渋い。
木造2階建の館内は、暗めの照明に黒光りする木の廊下がいい味を出している。
熱海の日帰り湯では破格の300円なので地元の人も銭湯がわりに利用しているようだ。

総木造の脱衣所は、橙白色の丸い照明の下、タイル貼の洗面台に鏡、木製ベンチに籐の脱衣籠・・・。なにもかにもが絵になっていて文句のつけようがない。
半地下のような暗めの浴室には一段低く石造7.8人の深い浴槽と、そのよこに3人くらいの空の小浴槽が据えられている。

やや熱めのお湯はかすかに懸濁し、灰白色の湯の花がただよっている。明瞭な塩味+苦味でほぼ無臭。弱いキシキシととろみがあって、ほどよい重さの感じられるあとを曳くようないいお湯だ。
ちょうど昼下がりのアイドルタイムだったためか、贅沢にも独占。隣の女湯から聞こえてくる地元のおばちゃんたちの世間話を聞き流しつつ、ただひたすらお湯に浸かる。
渋い浴場に入り応えのあるお湯・・・、往年の名湯、熱海温泉の片鱗にふれたような気がした。

なお、分析書はみあたらなかったが、浴感や味臭からみて、かなりの成分濃度があるかと思われる。(Ca・Na-Cl泉ではないかと・・・)

                                    文・画像 別働隊@うつぼ

12.下賀茂温泉 「かぎや」

2005-07-02 15:44:17 | 静岡
下加茂温泉は下田よりさらに南下し、海からも近い温泉郷である。ここの温泉の特徴は畑の中ににょきにょきと温泉櫓が乱立しビニールハウス内を温めて果物などを栽培しているほどで、湯量豊富なのがうかがわえる。源泉温度も高く、100度の蒸気が辺りの温泉櫓から立ち登り、別府の鉄輪温泉を彷彿させる光景とやしの木などが多く南国的な独特な世界を醸し出している。下加茂温泉には「銀の湯会館」などもあるが循環湯らしいとの情報があり、お宿のお風呂に入浴させてもらう。

 下加茂温泉はやや高級旅館が多く3軒くらい断られても良いという覚悟で、高級旅館の「かぎや」さんに日帰り入浴を申し込む、宿泊客が到着する前で良い時間にいったのであろうか、快く入浴させてもらった。大浴場では、鮮度感はあるが循環湯なので、いまいちの浴感でああそうかといった状態でしたが宿の人の勧めで、混浴露天風呂へ行く(こちらはドアの内側からロックするスタイル)
 Na-塩化物泉なのだが、その入浴感は素晴らしく入浴中に玉のような汗が噴出す、しかし柔らかなやさしい浴感などを会わせもっている。これが歴史ある湯などと改めて感動する。ここは伊豆半島でも独特の異彩を放っている良い湯である。機会があったなら是非また来よう。
温泉分析表 未記入

                           文 ガメラちゃん@takayama

16.松崎温泉 「炉ばた館」

2005-06-04 00:07:34 | 静岡
この温泉を名湯100選の入れるのをかなりためらった。数Kmからの引き湯で有名でなく、温泉よりも料理と海水浴主体の宿であろう。温泉に関しては、かなりマイナーな存在であるが、写真でごらんになると解るように、硫酸塩泉独特の屈折率の高いお湯で青白く光っている。湯口も石膏がこびりついていて、石膏の柱と化しているので、石膏主体の温泉で、西伊豆のなかでは、かなり上位の温泉であろう。本当は名湯桜田温泉に入浴しようとしたのだが、日帰り入浴の皆無か事前にしらべなかったのでこちらの温泉にする。松崎温泉と桜田温泉は源泉に近いので、その温泉成分はちかいのだろうか?

 ともかく、日帰り料金も安い(入浴当時400円)し、お湯使い(源泉かけながし)もよいので、こちら方面へきたなら是非立ち寄ってほしい。小さい湯船に適温の湯がかけ流し、これほど贅沢なひと時はないであろう、景色が良いわけではなく、広い湯船があるわけではないが、温泉の原点の良い湯とはこんなものだろう。

松崎2,3,4,6混合* S55.10分析 Na・Ca-SO4 54.8℃(使用52.0℃) pH・湧出量記載なし 総計=2158
 Na=376(52.2) Ca=292.3(46.6) Fe(II)=1.0 Cl=84.2 SO4=1363(90.5) HCO3=27.6 CO3=3.4 mg/kg (mval%) (温泉分析書 関東周辺温泉みしゅらん やませみさんの記事より引用)

                        文 ガメラちゃん@takayama