一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

■ 芦之湯温泉 「松坂屋本店」 (殿堂 神奈川/箱根)

2005-12-01 23:12:25 | 名湯の殿堂
子供のころ、温泉好きの祖父につれられて、毎夏、箱根の旅館に泊まっていた。以降も箱根にはよく行っていたので、たぶんいちばん入湯数の多い温泉はいまだに箱根だと思う。だが、温泉に目覚めてからはとんと行かなくなった。
アル単や弱食塩泉、造成泉など、お湯的にあまり魅力を感じなかったし、”箱根価格”と揶揄される高額料金、そして微動だにしない大渋滞を思うとどうにも足が向かなかった。
だが、ここにきて箱根のお湯もボチボチ攻めるようになり、意外に面白いお湯や穴場の施設があることを再認識した。来年あたり腰を据えて探求してみたいと思っている。

箱根は古くからの湯場で、江戸期には箱根七湯(湯本、塔之沢、堂ヶ島、宮ノ下、底倉、木賀、芦之湯)と称され湯治客で賑わった。なかでも格別の人気を誇ったのが、硫黄泉の芦之湯で、温泉番付でもだいたい箱根筆頭の地位を確保していた。
江戸期には湯本に次ぐ規模があったそうだが、いまは「松坂屋本店」「きのくにや」「山形屋」の3軒の宿があるのみだ。駒ヶ岳の山腹にあるこの温泉場は、夏でも比較的涼しく、霧の多いしっとりと落ちついたところで、古くは名だたる文人たちがこの地に逗留している。

3軒の宿のなかでも温泉好きから高い評価を得ているのが「松坂屋本店」だ。造成ではない硫黄泉の白いにごり湯は箱根では貴重で、以前から人気が高かったが、昨今の温泉ブームで日帰り客が殺到し、最近では休日の日帰り入浴はほとんど絶望的らしい。(原則として宿泊客が到着、あるいは14時の日帰り受付開始時に人数が多いと、その時点で日帰り受付を終了するらしい。)

ここは子供のころ何度か泊まっていて大学時代にも泊まったことがあるが、お湯の記憶はきれいさっぱり消え去っていたので、ほとんど初入湯状態だった。

万全を期して攻めた。
平日、13:30まえには到着し、無理を承知で入浴を乞うと案の定14:00からだという。「東光庵」を散策し、玄関前のバス停のベンチに座り込んで待つ。14時ちょうど、玄関に灯りが点ると同時に一番乗りで受付。すぐうしろにはすでに3.4組の待ち客がいた。

中庭を廊下で渡った奥にある男女別の浴室。みかげ石縁石敷5.6人の高温槽と20人以上はいけそうな適温槽が並び、うすく緑白濁し白い湯の花の舞う鮮度の高そうなお湯が満々と湛えられている。浴槽に静かに注入し浴槽ふちから流し出す、正統派のかけ流しだ。

弱苦味たまご味に、かなり強いしぶ焦げイオウ臭とラムネ臭を配した山の硫黄泉らしい湯の香。メタけい酸系のヌルとろみと硫酸塩泉系の力強い温もり感があって長湯はきびしいが、異様にクセになるお湯で何度も入ってしまう。
浴後は爽快感が出てイオウ臭が肌に残る。イメージ的には日光湯元に近いものを感じたが、より硫酸塩泉の特徴がでているように思う。とても質感の高いお湯で、同じ硫黄泉系にごり湯の造成泉とは明らかに一線を画している。

しばらくすると、浴客が次々と入ってきて、10人近くなった。次第にお湯のにごりが強くなり、湯の花も少なくなってきたので、やはり一番湯が狙い目かと思う。
日帰り難易度は高いが、タイミングをはかりトライするだけの価値は十分にある名湯だと思う。

含硫黄-Ca・Na・Mg-硫酸塩温泉(硫化水素型) 62.5℃、pH=7.3、湧出量不明、成分総計=1182mg/kg、Na^+=89.0mg/kg、Mg^2+=43.8、Ca^2+=108、Cl^-=5.20、HS^-=5.85、SO_4^2-=514、HCO_3^-=157、陽イオン計=255、陰イオン計=683、メタけい酸=227、硫化水素=3.31 <H5.11.12分析> (芦之湯第9号泉(芦刈の湯))

文・画像 別働隊@うつぼ

■ 西川温泉 「公民館」 (殿堂 栃木/栗山・藤原・日光)

2005-09-10 00:15:38 | 名湯の殿堂
悪代官「このような所によもや『お宝』が眠っていようとは、お釈迦様でも気がつくまいて、むふふ」
越後屋「お代官様のお知恵には、とんとかないませんわ、グフフフフ」
二人「うはははぁぁ~」

会津西街道から湯西川温泉へ向けて道を曲がり、五十里湖を過ぎたあたり。西川地区に入ったら要注意。
温泉施設の案内はなく、目印は「西川集会所」の看板と聞いては来たものの、よもやこんな所に・・・
ありました。道の右下手にまさしく「集会所」。
外には温泉の案内はありませんが、開け放された玄関から覗き込むと正面に「受付 料金500円」「温泉浴場↑」と張り紙があります。

ガタガタ
悪代官「何奴っ!」
のび太「あらっ、見つかった?名乗るほどの者じゃあござんせん。通りすがりの地球防衛軍にてございます。」
越後屋「うぬ、最近このあたりをチョロチョロしている防衛軍だなっ!」
悪代官「ええーい、ひっ捕らえて裏の液状兵器小屋に沈めておけ~ぃ。」

玄関左手の部屋におじいさんが二人。入浴料を払い奥の浴室へ。
引き戸を開けると狭い脱衣所。
さらに曇りガラスの引き戸を開けると・・・・・うほほっ!
これは凄いっ!

「さ~さぁ、今日も出ます出します大開放っ!
ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリ。
赤字覚悟の大判振る舞い、連日連夜の大フィーバー。
さぁ~さぁ、ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリ・・・・」

そんなフレーズが頭を過ぎるように、湯船の蛇口はジャンジャン全開。
洗い場の蛇口もバリバリ全開。その光景たるや上の写真のとおり。
さっそく裸に着替え、体を流して湯船に入る。
ん~ん、タマランチ会長っ!絶好調っ!!

アワつきはないものの、肌の表面は弱くスベスベ。これが気持ちいぃ~。
無色透明ながら、ほのかなタマゴ臭。
ゼリー状の半透明な妖精ちゃんもちょっぴり泳いでます。
味はうっすらタマゴ風味。
この味いいです、グビグビといってしまいそう。
しかし夏の暑い日には向かない暖まりの湯。
汗が、汗があぁぁぁぁ、ブクブクブク・・・・

湯からあがっても汗が止まらない。
入口にいたのはおじいさんだけだったのを思い出し、バンツ一丁の姿に着替えを持って脱衣所をでる。
入口の部屋で扇風機を抱え込むように30分。
あ~、なんとかおさまった。
なんともグッタリとくるお湯でした。

ここ西川集会所の運命もあとわずか。(年末くらいまでらしい)
至急援軍を請うものなり。
ただし大勢でいっちゃ、ダメだぞ。

泉質:アルカリ性単純温泉
泉温:41.7℃
pH 9.2
成分総計:0.201g/Kg
湧出量:400.2L/分(動力)
分析終了日:平成9年7月15日

文 福沢 湯キチ

※2005年8月の入浴メモより




■ 松の湯 (殿堂 神奈川/その他)

2005-06-03 23:41:20 | 名湯の殿堂
なんといっても銭湯だ。
昔からじつに自然に、このお湯はそこにあった。
温泉ブームなんて、若輩者と笑うか。
しかし、そんな余裕はないくらい、周辺の街ごと老成してしまっている。
昭和の時代が置き忘れていった空間なのだ。
閉店間際に行くと、ロビーでテレビを見ながらくつろいでいた男の子が応対する。
日本一黒いお湯は、いつまで此処に満たされ続けるだろう。

温泉メモ:含食塩-重曹泉(黒湯) サウナと源泉水風呂あり
所在:横浜市鶴見区生麦(旧東海道沿い)

                     文と写真 一遊

■ 伊豆山温泉 「般若院浴場」 (殿堂 東・南伊豆)

2005-06-02 23:22:45 | 名湯の殿堂
伊豆山温泉は、湯河原と熱海のあいだにある古い温泉地。海側にある”走り湯”が有名だが、伊豆山神社あたりの山側にも多くの泉源があり、バラエティ豊かな泉質が楽しめるので温泉ファンの評価が高い。7件ほどある湯宿は海側に多く、山側には保養施設や別荘地が点在して、歓楽的な色彩の少ない落ち着いた佇まいをみせている。

山側エリアの代表格「般若院浴場」は、真言宗の古刹、般若院のよこにひっそりとある。
まわりには何本か源泉櫓が立っている。
共同浴場にありがちな無骨なコンクリ造の建物。入口から男女別に分かれる番台方式で、脱衣所には渋い木製ロッカーが据えられている。

楕円形水色タイル貼5.6人の浴槽と手前に扇形の小さな上り湯槽?。余計なものの一切ない浴室は清掃が行き届き、とても居ごこちがいい。
適温のお湯は、無色透明。微塩味+弱渋味+αに焦げ(明礬?)臭の奥ぶかい味臭。
これみよがしの個性はないが妙に勢いのあるお湯で印象に残る。海側、”走り湯”系の濃いめの土類食塩泉とは全く異質なお湯である。
石膏泉ベースだが北毛あたりのそれとかなり印象がちがうのは、pH=4.4という微妙な液性が関係しているのかもしれない。
渋い佇まいといい、含蓄のあるお湯といい、温泉好きは見過ごせない一湯だと思う。

Ca・Na-硫酸塩・塩化物温泉 63.0℃、pH=4.4、総成分=1733.149mg/kg、Na^+=274.9mg/kg、Ca^2+=247.2、Fe^2+=0.8、Cl^-=293.7、SO_4^2-=831.2、メタほう酸=8.8 <H2.2.19分析>

なお、●がね隊員殿の情報によると、当浴場は、2005年4月をもって廃止になったとのことです。
                               
文・画像 別働隊@うつぼ