一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

2006-02-12 11:09:50 | このプログについて
このブログは、関東周辺(1都6県+甲信越、静岡、福島の一部)の日帰り可能な温泉施設のなかで、とくにお湯がいい100の施設を一郷一会が選定し、記事をつけたものです。

コンセプトは「一郷一会が威信をかけて (^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。」であります。
お湯のよさだけで選定しているので、一般的な評価基準からすると??がつくものもありますが、上記の趣旨をご理解のうえご覧くださいませ。

100湯選定する際に候補にあがり、惜しくも100名湯入りとならなかった施設を「暫定選外リスト」に収容しています。100名湯と僅差のものもあるので、今後100名湯の湯づかいが悪くなったりすると、入れ替えで100名湯入りすることもあります。
また、100湯選定時には日帰り入浴可で、その後、施設が廃止、ないしは日帰り入浴不可となったものについては、「名湯の殿堂」に収容しています。

100名湯リストは こちら
暫定選外リストは こちら
名湯の殿堂は こちら

それでは、「一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト」をごゆるりとお楽しみくださいませ。

2006年2月 一郷一会

48.柳沢鉱泉

2006-02-09 22:39:22 | 栃木
温泉紹介で”秘湯”という言葉ほどよくつかわれるものはない。
”秘湯”の人気はすこぶる高く、近頃は山奥のお湯ほど人が多いという。東北の某メジャー秘湯(^^;)など、団体客が入り込みトップシーズンには入浴待ちさえあるらしい。関東でも山奥の混浴風呂に若いカップルが大挙して押しかけ、嬉々として入っている。
その是非はさておいて、客もまばらな知られざるお湯を秘湯とするならば、もはや秘湯は山奥とは別のところにあるような気もする。
いい例がビジホのお湯や大規模歓楽温泉地の小さな宿だ。どちらも日中に行けばガラガラで、自家源泉ザコザコかけ流しの浴槽を独占できたりする。

那須高原の片隅にある「柳沢鉱泉」も、そういう意味では完璧な秘湯だ。
もともとは山中の一軒宿だったのだろうが、いまはすぐそばまで別荘地が迫っていて、道が錯綜しているのでたどり着くのでさえ容易でない。
別荘地のはずれから渓に向かって道をおりていくと赤い屋根の小さな建物が見えてくる。
飾り気のない館内だが、よく手入れされ居ごこちがよさそうだ。

浴室はふたつあり、この日は手前のものだけお湯が張られていた。こじんまりした浴室に小さめの石の浴槽がひとつ。槽内にはヒーターが仕込まれ、冷たい源泉の出るカランがあるので、随時投入のため湯かけ流しだと思う。冷鉱泉としては理想的な湯づかいだ。

お湯は異彩を放っている。
ここは湯面に白い結晶(おそらく炭酸カルシウム)が張ることで知られ、行ったときも一番湯で結晶を割りながらの入湯となった。そろそろと身を沈めると結晶の下で透明に近かったお湯が、たちまち茶色のにごり湯に変わっていく。

適温のお湯には弱うま味+微重曹味+微苦味+微収斂味に微金気臭+微重曹臭+やわらかな温泉臭と、成分の複雑さを感じさせる味臭がある。
キシキシした湯ざわりとからだのなかに染み渡ってくるような奥のふかい浴感。よく温まりどっしりとくる力のあるお湯なので長湯できないが、浴槽から出て涼んでいると、またぞろ入りたくなる、そんなお湯だ。

Mg・Ca・Na-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉(含食塩-重炭酸土類泉)という複雑な泉質はそうあるものではない。とくにMg^2+が主成分となる泉質は関東ではすくない。
栃木西部には小滝、赤滝、寺山など、似たようなロケーションの酸性緑礬泉群があるが、それらともイメージが違う。むしろ赤城南麓の赤城や滝沢に近い雰囲気のお湯だと思う。

ちなみに那須の温泉というと、湯本「鹿の湯」を筆頭に山側のお湯にスポットが当たるが、実は麓の高原地帯にもたくさんのお湯がある。泉質はバラエティに富んでいて、自家源泉のマイナー湯が多いので温泉マニアには応えられないエリアだといえる。
たとえば、すぐそばにある「ホテル報恩」など、こことは全然イメージの違う個性的なお湯なので、連チャンで攻めればこのあたりのお湯のクセモノ度を実感できると思う。

浴後女将さんと話をした。
「昔は湯治客でけっこう賑わっていたけど、いまは湯治客が減ったのと、まわりに日帰り施設がたくさんできてしまったので・・・。」と淋しげに笑っておられた。
そういえば、着いてから宿をあとにするまで1時間あまり、週末にもかかわらず他のお客はついぞやってこなかった。(このあと行った「鹿の湯」は入場制限が入るゲキ混みだったのに・・・。)
世を挙げての秘湯ブームの陰で、すばらしい源泉をもちながら、客の減少のまえになすすべもなく消えていったお湯は数多い。とくに鉱泉は加熱コストがかかるので、経営的に、よりシビアな条件にある。
「柳沢鉱泉」をとりまく状況も決して甘いものではないだろうが、その味わい深いお湯を活かし、新たなファンをつかんで元気につづけていってほしいと思う。

文・画像 別働隊@うつぼ 

Mg・Ca・Na-炭酸水素塩・塩化物冷鉱泉 6.3℃、pH=6.4、湧出量不明、成分総計=2.452g/kg、Na^+=180.1mg/kg、Mg^2+=103.3、Ca^2+=162.1、Fe^2+=5.4、Cl^-=230.6、SO_4^2-=165.0、HCO_3^-=900.1、陽イオン計=464.9、陰イオン計=1245.8、メタけい酸=75.4、メタほう酸=14.2、遊離炭酸=601.1、硫化水素=0.1 <H13.3.23分析>(源泉名:柳沢鉱泉)
<温泉利用掲示> 加水なし 加温あり 循環なし 消毒剤使用なし

57.小砂温泉 「美玉の湯」

2006-02-05 06:16:05 | 栃木
 私は本格的な温泉湯巡りを始めてかれこれ20年以上もたつ以前は現在のように情報も開示されていなく、九州の温泉で湯巡りしたときも、今は亡き美坂哲男先生の「諸国いで湯案内」を擦り切れるまで読んで、参考にしたことが懐かしい。
 そんな長きに渡って、湯巡りしていていて家族からよくあきもせずに行っているねと皮肉をこめて言われるが、現在は以前にまして湯巡りが楽しくてしょうがなくい。温泉の深さを知れば知るほど、温泉素晴らしさなどが見えてくるのでこれからもこの状態は暫く続くのでしょうか。

 小砂温泉「美玉の湯」は、以前一郷一会の掲示板で話題になっていたが、その存在をすっかり忘れていて、栃木の日帰り温泉のガイドブック(栃木の日帰り湯めぐりガイド 下野新聞社刊)でページをぱらぱらめくり何気なく行った温泉であったが、入浴したとき当たりと思わず唸ってしまった温泉である。
 何故湯巡りをするのかといった根本的な問題で、良い湯に入りたいからといった欲望が全てだというのが自分の湯巡りスタイルである。
 私は、好みの温泉が次々と変わり、塩化物泉だったら集中的に入浴し、重曹泉だったらしかり、石膏泉も同じくである。ちなみに現在では放射能泉に傾斜している。しかし一番好きな泉質はと聞かれると芒硝泉と答えている。
 芒硝泉は地味なお湯であるが、この系統のお湯の温泉施設は、何故か激混みの温泉が多く、同じ思いの同好の方たちが多いのが興味深い。

 小砂温泉(こいさご)は、馬頭温泉郷の隣に位置しており、同様な温泉郷としてもよいと思う。周りは那珂川の雄大な眺めが見られるが田んぼの中の温泉といったもので、海沿いの風光明媚な場所でもなく、山の湯みたいに自然の中に自分の身をおくような場所でもなく歴史のある温泉でも無いので、温泉の質で勝負するしか無いのかもしれない。浴室も内湯がひとつ露天風呂も無く、しかも窓も開けることさえ出来なく、桧風呂や石風呂のような風呂ではなく清潔感は非常に高いがどちらかというと無機質なタイプである。温泉に対して開放感を求める人や浴槽に付帯なものを求める人にも、あまりお勧め出来ない。ここのお湯は、温泉そのものの良さが全てだ。

 ここの温泉は、アルカリ性単純温泉に分類される。しかし分析書み見られるとおり非常に高いアルカリ成分PH9.25や芒硝系の泉質なにより関東では稀なラドン含有物まで含まれており、自分が求めていた理想の温泉配分である。
 もし仮にこの5倍の成分であったなら日本でも有数なる温泉になっているだろう。入浴しても、芒硝系の良い温まり感や後味感、ラジウムの独特の温まり感など独特の入浴感が楽しめて、5回ほど再訪したが私は全て満足のいくものである。近くにあったなら物凄い数入浴しているだろう。栃木の温泉で再訪したい温泉現在No1である。

 源泉名 塚本源泉 アルカリ性単純温泉(Na-SO4型) 泉温46,5℃ PH9.25 ラドン含有量 10.6×10^10 Curie
Na=155.5 K=1.7 Ca=2.1 Al=0.3 F=3.2 Cl=16.5 SO4=232.7 HCO3=71.8 CO3=24.2 メタケイ=32.1 成分総量543mg/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama