一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

77.鹿教湯温泉 「町高梨共同浴場」

2005-07-31 23:12:18 | 長野
76.鹿教湯温泉 「町高梨共同浴場」
 鹿教湯(かけゆ)温泉は、国道254号線沿の丸子町から松本市へ抜ける三才山トンネルの手前にある江戸時代より栄えた昔ながらの温泉場である。旅館も30件とこの周辺では規模の大きな温泉街を形成しており共同浴場も雰囲気のある文殊の湯とここ町高梨共同浴場2つの共同浴場となっている。

 鹿教湯温泉は温泉名としては、単純温泉である。PHも7.9位なので弱アルカリ性の温泉に分類される。俗にいうとアル単温泉ともいわれるが、私はアル単と言う言葉には、ちょっとひっかるので、なるべく使わないようにしている。ちょっと温泉をバカにしているような表現な気がするのが原因なのです。ちなみに単純温泉という表現にも、最近ではもっと良い表現方法はないかと思っていています。

 単純温泉にも、当然成分はあるわけで、特に陰イオンである塩化物泉系、炭酸水素泉系と硫酸塩泉系のお湯では同じ単純温泉と人くくりには出来ないと感じます。
当然それぞれの系統の浴感ちがいますし、組み合わされたものには深い味わいといったものがあります。現在の温泉法の1Lあたり1gといったものしか温泉名がつけられないのが要因となっているのでしょうか。

 鹿教湯温泉と私との出会いは古く長い、良い湯(白濁硫黄泉など)があると日本全国の温泉地に出没して、数多くの湯巡りに行ったもので、北は青森から九州まで、各地の温泉に浸かったものであった。そのころ(20数年前)丸子町から松本市へ抜ける場所に鹿教湯温泉があり、単純温泉で無味無臭でありながらその深い入浴感に魅せられて、以降この通りを通るたびに、鹿教湯温泉「国民宿舎」へ宿泊、日帰り入浴したものである。最近では、単純温泉マニアの称号を与えられる(笑)が、その原点というべき温泉がここ鹿教湯温泉なわけである。

 相当前置きが長くなったが、鹿教湯温泉は無色無味無臭でちょっと石膏の香りがするがそれもほんのちょっぴりである。少ないが湯の花もみられるがこれも少ない、泡着きはやや多いであるし、目や鼻で感じる温泉で無いことは確かである。ここのお湯はずばり入浴して見ないと解らないお湯に尽きる。お湯と体が一体となったお湯というのか、入浴中は体に負担が少ないというべきかともかく表現に困る。しかし浴後しっかりと温泉が体内に取り込まれたといったのがわかるが、どう説明したらよいのか表現方法に苦しむ。

 自分がもし大病して、病後の回復期に何処の温泉で養生すればよいかと考えると真っ先に頭のなかでは、岐阜の下呂温泉とここの鹿教湯温泉に2ヶ月くらい滞在したいと考える。それほど体への負担の少ない温泉であろう。単純温泉ではあるが、硫酸塩泉系のしっかりとした温泉で、伊豆あたりのお湯みたいの成分比率だが伊豆とは違うお湯みたいである。ここは、この周辺の温泉のみならず日本を代表する単純温泉である。単純温泉のよさがよく解らないと思っている方はぜひに入浴してほしい。じっくりと2泊くらいして、滞在型の入浴方法で、絶対にここの温泉の良さが解るはずである。

鹿教湯2号3号4号5号6号混合泉 源泉47.9度 使用位置42度  総量495mg/kg
Na=79.1 K=1.6 Mg=1.2 Ca=66.5 Fe2=0.02 F=0.8 Cl=50.9 SO4=236.2 HCO3=31.3 メタケイ=39.8 メタホウ=1.4 CO2=1.1 PH7.87 

        文/写真 ガメラちゃん@takayama

96.湯岐温泉 「共同浴場」

2005-07-28 00:48:09 | 福島
阿武隈山地にある塙町は、周辺にこれといった観光地もない地味なエリアで、東京方面からだとすこぶる行きにくいところだ。
常磐道「那珂IC」からだとR18袋田・大子経由ないしはR349里美経由。
常磐道「勿来IC」からだとR289の山越えルート。
東北道「白河IC」からだとR289棚倉経由。
3方向からルートがあるということは、裏返せば下道が長いということで、とにかくアクセスに時間がかかる。そんな不便な山のなかに、温泉好きを惹きつけてやまない名湯が湧く。

湯岐(ゆじまた)は安土桃山時代、天文年間の開湯伝承をもつ歴史ある温泉場。山あいの小盆地のようなところに「山形屋旅館」「和泉屋旅館」「井桁屋旅館」の3軒の宿があり、どこも自炊ができる湯治宿のようだ。おそらく温泉集落と思われるここは、隠れ里のような好ましげな佇まいをみせている。

この温泉場の中心は、岩風呂(共同浴場)で、湯治客もみなここに入りにくるらしく、昔ながらの”外湯”のイメージが強い。古くから「中風の湯」として知られ、湯治客は一回30分から1時間、一日に4~5時間も浸かる長湯のメッカである。

共同浴場は「山形屋旅館」のそばにあり、無人なので「山形屋旅館」で入浴受付をしている。混浴で浴室のすぐよこに脱衣所があって、目隠しがないので慣れない女性はキビシイか。(もっとも、湯慣れていない客はここにはこないかと思うが・・・(笑))。
加温槽 (2人、適温)と源泉槽(7.8人、ややぬるめ)の2槽があり、自然の岩とタイルを組み合わせた異色の浴槽である。
休日の15時ごろ訪れたが、湯治客らしき先客の4人はしばらくして上がり、その後は独占状態となった。

源泉槽は、加温槽からの流し込みがあるが、メインは浴槽底からの自然湧出で浴槽端の湯面排湯口から流し出す源泉かけ流し。源泉槽の一部深くなったところは岩肌で、岩のあいだから気泡とともに源泉が湧出する貴重な足元湧出泉である。

源泉槽は絶妙のぬる湯で、無色透明で微石膏味に微石膏臭。弱いヌルすべと包み込まれるようなやさしい湯ざわりで、少量ながらアワつきもある。ほこほことして身体が軽くなるような、なんとも快感度の高いお湯で出たくなくなる。浴後は肌がすべすべとなる美人の湯系のお湯でもある。

しかし、成分総計=0.1452g/kgという地下水並みの濃度で、この絶妙の浴感はまさに神懸かり的。古くからあるうす湯の名湯は、”自然湧出泉のまろみ”とか”熟成されたお湯”などと表現されることがあるが、このお湯などはまさにそれかと思う。

東京圏からの日帰りはかなりきびしいが、”鄙びたぬる湯でまったり”が好きな人にはとくにおすすめの一湯である。

単純温泉 39.8℃、pH=9.8、湧出量不明、成分総計=0.1452g/kg、Na^+=25.2mg/kg、Cl^-=6.5、HCO_3^-=26.9、CO_3^2-=33.8、HSiO_3^-(ヒドロメタけい酸イオン)=38.0 <H6.9.27分析>

レポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

文・画像 別働隊@うつぼ

91.会津川口温泉 「玉縄の湯」

2005-07-27 00:53:44 | 福島
会津川口温泉のある金山町は、温泉と只見川沿いに開けた谷間と沼山湖に代表される山上の湖周辺の一風変わった高原の風景を醸し出し、とても居心地の良い場所で、最近では椎名誠氏がこよなく愛するところである。四季の移り変わりがはっきりしている場所で春夏秋冬の自然が楽しめて、素朴なこの地域に人々とのふれあいも楽しめる場所である。
 会津川口温泉は、初めて入浴する人にはちょっと場所が解りにくい、金山駅より只見川と野尻川との合流点に位置しており、会津山内氏の居城であった玉縄城の最下部にある温泉で、玉縄の湯の由来もそこからだと推測できる。野尻川の川沿いに立つ共同浴場で、最近では湯量や温湯のため、週に4回しかも午後4時から開錠する地元の人のための共同浴場である。

 ここのお湯でびっくりするのがお湯の色である、薄いブルーがかったお湯の色は、見るものを魅了する。温泉成分は、Na-塩化物・硫酸塩泉でこの地区では大変珍しい泉質である。この地区は、炭酸水素塩泉(HCO3)が主体となっている温泉が多いのであるが、こちらの温泉には、殆どこの成分が含まれていない。
 ただしCO2の影響か大変な泡着きが見られ泡マニアには、たまらない温泉だと思う。ぬるい湯の効果もあり何時までも入浴したい温泉である。ここも温泉を楽しむ例にとらわれず、小さな湯船、お湯がざこざこそしてなにより、温泉の成分のバランスのよさであろう。

 日本の温泉でも記憶に残る温泉で、新潟の華報寺共同浴場、栃尾又温泉、福島の磐梯熱海温泉「元湯旅館」、大分の壁湯温泉とぬる湯で何度も行きたい温泉として上げられる。会津川口温泉は良い湯である。

会津川口温泉 泉温41.0℃ PH7.42 285L/min
Na=2192 K=12.8 Mg=22.5 Ca=277 F=0.7 Fe=1.0 Br=7.3 Cl=2999.5 CO4=1110 HCO3=98.2 成分総量 6786.7 ナトリュム-塩化物・硫酸塩泉
                   文/写真 ガメラちゃん@takayama

81.毒沢鉱泉 「神乃湯」

2005-07-25 00:09:25 | 長野
明礬緑礬泉という、いかにも効きそうな泉質がある。草津など火山性の高温泉で出ることもあるが、山中の一軒宿に冷鉱泉としてひっそりと湧いているようなものが多い。その多くは、「硫化鉱物の酸化溶解」+「有機的メカニズム」という成因(詳しくは、「関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん『温泉の科学』byやませみさん 」参照)によるもので、低温で湧出量の少ないのがふつうである。
飛びぬけた量の鉄分を含み、赤茶に変色したにごり湯は強烈なインパクトがあって、おもわず身を沈めるのをためらうほどである。
諏訪大社春宮の山手に湧く毒沢鉱泉もそのようなお湯で、清澄なお湯の多い諏訪の温泉のなかにあってひときわ異彩を放っている。

毒沢鉱泉の歴史は古く、永禄年間に武田信玄が金山発掘の際、怪我人の治療に利用したと伝えられる、いわゆる”信玄の隠し湯”のひとつである。”毒沢”の読みは古いガイドで”ぶすざわ”と紹介されていた記憶もあるが、最近ではほとんど”どくさわ”が使われているようだ。
「神乃湯」、「宮乃湯」、国民宿舎「沢乃湯」の3軒の宿があって「神乃湯」が最奥、どこも同一源泉と思われる。

平成13年に改装され、いわゆるデザイナーズ旅館系の女性好みの宿に仕上がっている。
別棟の総木造の浴室は男女別でこぶり、窓の外に緑濃い沢筋を見下ろす風情あふれるもの。
木づくりの加熱浴槽(4.5人)と源泉槽(1人)を隣り合わせて配置。浴槽は改装前と同じ規模のようで、むやみに浴槽を大きくしたり、露天を造ったりしない姿勢にお湯に対するお宿の見識を感じる。

加熱槽はおそらく循環と思われるが、源泉槽は、飲泉用の湯(水)だめからごく少量を流し込み、オーバーフローはなく、ごく軽い底面吸湯か自然流下でかけ流しかと思う。
お湯のイメージは加熱槽と源泉槽ではかなり異なる。かなり熱めの加熱槽は、まったりとした暗いオレンジ色で透明度1cmの濃いにごり湯に赤茶の浮遊物。冷たい源泉槽は、うすこげ茶色ささにごりで茶色の浮遊物がたくさんただよい、金気をベースにして、弱いながら焦げ臭とドクダミ臭がまじる複雑な温泉臭が香る。
酸性泉らしいレモン味に微甘味と渋味と微炭酸味をミックスした複雑な味は、美味しくはないが、なぜかクセになる。pH2.5の酸性泉ながら肌にピリピリくる感触はなく、キシキシ感のある奥深い浴感が楽しめる。

加熱槽はかなり熱いが、温まるというよりは身体に染み込んでくるような独特なもの。焦げ臭とドクダミ臭が肌に残ってキトキトとする浴後感は、かなり好き嫌いのわかれる個性的なものかと思う。

明礬緑礬泉を謳う温泉宿はけっこうあるが、湧出量が少ない低温泉は湯づかいがむずかしく、生の源泉にふれられるのは、関東周辺ではここと、栃木の赤滝、山梨十谷の「山の湯」くらいしか思い当たらない。貴重なお湯である。
日帰り受け入れは昼前後の数時間と短いので、泊まりでじっくりと冷温交互浴を楽しむのが○かもしれない。

含鉄(2)-Al-硫酸塩冷鉱泉((Al)-SO4型) 2.0℃、pH=2.5、陽・陰イオン計=1509.2mg/kg、H^+=2.5、Na^+=5.0mg/kg (0.91mval%)、Mg^2+=31.7 (10.81)、Al^3+=120.0 (55.27)、Fe^2+=132.4 (19.64)、Fe^3+=5.6、Cl^-=1.5 (0.17)、HSO_4^-=92.7 (3.98)、SO_4^2-=1107 (95.59)、陽イオン計=307.2 (24.14mval)、陰イオン計=1202 (24.11mval)
        
                               文・画像 別働隊@うつぼ

09.熱海温泉 「福島屋旅館」

2005-07-20 00:46:38 | 静岡
かつては「東の熱海、西の別府」と謳われ、わが国を代表する歓楽温泉地として栄華を極めた熱海温泉。海岸沿いに大型豪華施設が林立する熱海の夜は”100万弗の夜景”と謳われ、高度成長を象徴する風景としてしばしばとりあげられた。
しかし、近年は団体客の減少や行楽客の大型施設離れの逆風にさらされ、廃墟や空き地の目立つ温泉街に往年の勢いは見られない。
それでも、市街地だけで545ケ所の温泉井をもち、エリア総湧出量18,023L/min(平成15年2月の熱海温泉組合温泉実態調査)を誇る熱海温泉の力はまだまだ健在である。

ここは熱海のほぼ中心部にある年季の入った温泉旅館で、温泉好きの間で評価が高い。すぐよこに熱海七湯のひとつ「風呂の湯」の泉源がある。
玄関の木枠のガラス戸に縦書きで書かれた”温泉旅館 福島屋”の屋号が渋い。
木造2階建の館内は、暗めの照明に黒光りする木の廊下がいい味を出している。
熱海の日帰り湯では破格の300円なので地元の人も銭湯がわりに利用しているようだ。

総木造の脱衣所は、橙白色の丸い照明の下、タイル貼の洗面台に鏡、木製ベンチに籐の脱衣籠・・・。なにもかにもが絵になっていて文句のつけようがない。
半地下のような暗めの浴室には一段低く石造7.8人の深い浴槽と、そのよこに3人くらいの空の小浴槽が据えられている。

やや熱めのお湯はかすかに懸濁し、灰白色の湯の花がただよっている。明瞭な塩味+苦味でほぼ無臭。弱いキシキシととろみがあって、ほどよい重さの感じられるあとを曳くようないいお湯だ。
ちょうど昼下がりのアイドルタイムだったためか、贅沢にも独占。隣の女湯から聞こえてくる地元のおばちゃんたちの世間話を聞き流しつつ、ただひたすらお湯に浸かる。
渋い浴場に入り応えのあるお湯・・・、往年の名湯、熱海温泉の片鱗にふれたような気がした。

なお、分析書はみあたらなかったが、浴感や味臭からみて、かなりの成分濃度があるかと思われる。(Ca・Na-Cl泉ではないかと・・・)

                                    文・画像 別働隊@うつぼ

85.五十沢温泉 「ゆもとかん旧舘」

2005-07-18 23:15:32 | 新潟
 五十沢温泉 「ゆもとかん旧舘」は、三面川ダム手前の場所にあり、NHK連続ドラマ「こころ」のロケ地の浅倉病院の隣に隣接している。(場所はゆもとかん新館の県道を挟んだ反対側20m位の十字路手前にあります。)一帯は、日本一のブランド米魚沼産こしひかりで有名な田園地帯で、山を挟んだ谷間の風景で冬場の景色は、連なる雪山と谷間の風景で、別世界に来たような景色で眺望が素晴らしい。冬場は豪雪地帯で、雪が2m以上も積もっており、夏と冬の景色とは違い、この土地に暮らす人々の苦労が偲ばれる。さて、温泉の掘削は昭和51年に、消雪用に堀ったのだが、地下70m掘削したところで水ならぬ温泉が吹きあがったそうである。余談だが以前寝ていたときに夜中にごーとした音が聞こえ、なかなか寝疲れなかったそうであったが温泉が出てから、その音はぴたりと収まったそうで、そんなエピソードがある。70mで温泉を掘り当てたのであるから非常に偶然的な出来事である。更におの温泉が湧出してからこの谷で、数多くの温泉掘削を行ったが殆どの場所では、温泉は出なかったそうでした。

 数多くの良泉を抱える六日町(現南魚沼市)の中で何故ここの温泉が名湯100選に選ばれたというとお湯の素晴らしさの一言に尽きる。成分総量も150にも満たない温泉なのにと疑問思う人も数多くいると思うが、疑問を感じる人に解決する方法は「入浴しないと解らない」といった感想です。但し、ここの温泉のアルカリ成分はPH9.4と日本の温泉でもかなり上位にくる強さで、湧出量、泉温とも十分で、かけ流しの鮮度感なども高く、お湯の素晴らしさだけで勝負出来る温泉である。お湯の味は鮮度感のバロメータたまご味でPHの強いお湯を成分の薄い湯でカバーするといった相乗効果ですこぶる良い浴感が味わえる。主成分も薄いながらNa.Cl.SO4.HCO3がバランスよく配置されており、入浴する毎に深い味わいが楽しめる。浴後も体に芯から温まり、万病に効くかもしれないほど血行が良くなります。インターネットで検索しても殆ど検索されないが、私は自信をもって、100名湯に推薦したい。

Na=40.0 K=1.1 Ca=5.9 F=1.4 Cl=27.4 HS=1.8 SO4=23.6 HCO3=27.0 CO3=9.3 BO3=0.4 メタケイ酸=22.4 H2S=0.01 成分総量150.4mg/Kg 湧出量270l/min PH9.4 平成16年7月分析

                      文/写真 ガメラちゃん@takayama

□ 磯原温泉 「磯原館」 (元100湯)

2005-07-16 12:47:35 | 茨城
磯原温泉「磯原館」は、昭和6年創業の磯原温泉の湯元である。宿の目の前には、太平洋の大海原が広がり、磯遊び磯原海水浴場での海水浴なども楽しめる。宿泊はしていないのですが、冬場のあんこう鍋を始めとした鮮度の高い魚介類の料理にも定評がある。
 ここの宿の特徴はなんといっても人柄の良いご主人をはじめとする家庭的な雰囲気である。宿は古いが清掃が行き届いたのも好感がもて、今度は是非宿泊したい宿である。

 さて温泉というと、温泉分析書からいうと、含硫黄ーナトリュウム塩化物泉である。我々は小さな宿を目指す、その理由は客室数が少なければ、大きな浴槽を作る必要もなく無理の無い湯使いが期待できるのである。特に冷鉱泉は、湯量が豊富ならともかく、そうでなけれは大浴場にして、お湯のよさ、温泉力強さについて、あまり期待が出来ないのが実情である。
 ここの磯原館については、加熱かけながし湯、湯口ははっきりとした卵味、温泉の主成分もよく、深い味わいの温泉の力強さが楽しめる。冷鉱泉であるが高温泉にまけない浴感などは、鉱泉はちょっという人も是非とも味わっていただきたい。温泉は殆どいったよなどという人はぜひ、温泉に幅は必ず広がります。ここは、温泉のよさが解っている宿です、頑固に源泉の利用法の加熱かけ流し湯にこだわった宿に、いつも沢山の方に訪れて貰い、このとてもよい湯を守って頂きたい
と感じている。上にも書きましたが、ここの湯は宿泊者に合わせてかけ流しを守っているので、日帰り入浴の場合は夕方近くが望ましいくかつ電話連絡し確認の上入浴することを望む、積極的に日帰り入浴客は取っていないし極上湯を守る姿勢に共感しよう。
画像は磯原館中庭から太平洋を望む。

K=13.2 Na=600 Ca=30 Mg=4.9 Cl=890 SO4=7.0 HCO3=185 CO2=1.7 メタケイ=84.5 H2S=2.5
PH=8.2 泉温18.5 湧出6.2L/min 成分総量 1725
昭和33年11月分析
                文 ガメラちゃん@takayama
         

41-2.伊香保温泉 「露天風呂」-2 (探索編)

2005-07-12 18:51:08 | 群馬
”こま口”という、中世からの伝統的分湯制度を今日も残す伊香保温泉。今回、やませみさん&一郷一会有志で探索を決行したので、その成果 (^^; を報告します。
なお、「温泉今昔物語その18(伊香保温泉) 木暮金太夫著 (地熱エネルギーVol.19No.4 1994年)」を適宜参考(数値等引用*印)にしています。

<歴史>
・伊香保温泉の湧出は6世紀といわれ、湯元(現在の露天風呂周辺)にいくつかの浴舎があったが手狭となり、中世天正年間に現在の石段街に移転・引湯がなされた。

<源泉>
・旧来の伊香保の源泉は8ケ所の自然湧出泉であった。昭和23~34年にかけて、湯量増加を目的として6本の温泉井掘削がなされた結果、旧源泉の湯量の激減と温度低下をきたしほとんど使用不能となった。(新規掘削後の総湧出量は旧源泉湧出量とほぼ同量)
・現在の主な源泉は掘削井6本のうちの5本(1.2.4.5.6号泉)で、すべて深度400m*以内の比較的浅い井戸である。
・湧出量がもっとも多いのは露天風呂よこの2号泉の1210L/min*でこれが主力源泉。泉温がもっとも高いのは砂防堰堤上の6号泉で65.9℃*。総湧出量は約5000L/min*。
・これら掘削泉に自然湧出泉を併せた源泉は集められ総合湯(本線)として、自然流下等により石段街などに引湯されている。
・3号泉は水位調査井、5号泉は飲泉所用として使われているらしい。
・これら新旧の源泉は、湯沢川紅葉橋より上流、砂防堰堤上にかけての約300mの谷筋に集中している。また、源泉の熱源は、6世紀に活動した二ッ岳の火山活動の余熱と考えられている。

<泉質>
・自然湧出泉のなかには単純温泉もあるが、湧出量の多い2号泉の泉質をうけて、総合湯(本線)の泉質はCa・Na-SO4・HCO3・Cl泉となっている。

●本線(混合泉)の分析書データ
Ca・Na-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉 40.9℃(平成10年10月現在44.3℃)、pH=6.4、3300L/min、成分総計=1.28g/kg、Na^+=105mg/kg (30.99mval%)、Mg^2+=29.5 (16.56)、Ca^2+=142 (48.29)、Fe^2+=8.28、Cl^-=118 (23.42)、SO_4^2-=301 (44.06)、HCO_3^-=282 (32.42)、陽イオン計=296 (14.7mval)、陰イオン計=701 (14.2mval)、メタけい酸=177、メタほう酸=7.7、遊離炭酸=98.6 <H9.7.18分析>

<引湯による影響>
・湯元から石段街下のベルツの湯まで約2.1km*の自然流下による引湯がされているため、これによる泉温や泉質への影響が考えられる。
・泉温変化は以下のとおり。
 '88/3/29調査* 湯元45.4℃ → 金太夫小間口45.0℃ → ベルツの湯第1受湯槽41.8℃
 '88/12/10調査* 湯元46.5℃ → 金太夫小間口46.1℃ → ベルツの湯第1受湯槽42.7℃
・石段街上部にある金太夫小間口までは大きな温度低下はなく、非加熱で利用できる範囲であり、実際、石段街には本線を非加熱利用している旅館がいくつかある。(下記参照)
・成分的にはCO2の減少と鉄分の変化が顕著。とくに鉄分は、湯元付近では溶存態(Fe^2+)であったものが、引湯されるにつれて懸濁態(Fe^3+)へと変化する。
・露天風呂では貝汁臭のする緑がかったうす懸濁湯、石段街の旅館ではやや赤みがかった濁り湯、ベルツの湯では鉄サビ臭の強い濃い赤茶濁り湯というふうに変化していく。

<まとめ>
●このように伊香保のお湯は鉄分を多く含むため、引湯によるお湯の変化が体感的に味わえる。
●泉源分布から考えて、「伊香保露天風呂」がいかに恵まれた立地にあるかが判る。
●伊香保でのおすすめは、やはり「伊香保露天風呂」と下記の石段街周辺の本線かけ流し施設かと思われる。

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湯元~石段街周辺の本線(黄金の湯)のみ使用のかけ流し施設は以下のとおり。(伊香保町HPより、平成17年7月)
(○:通年非加温槽あり / □:殺菌処理なし槽あり)

伊香保露天風呂 ○□ ・・ 橋本ホテル □ ・・ ホテル紅葉 □
柏屋旅館 □ ・・ 横手館 □ ・・ 金太夫旅館
吉田屋旅館 ○□   ・・ 岸権旅館 □ ・・ 金田屋旅館 □
有明館 ○□   ・・ 青山旅館 □ ・・ 丸本館 □
千明仁泉亭 ○□ ・・ 観山荘 □ ・・ 村松旅館 □
市川旅館 ○□    ・・ 石坂旅館 □ ・・ 古久屋旅館 ○□
森秋旅館 □     ・・ ホテル木暮 □ ・・ 町営石段の湯 □

■伊香保のレポ(石段街、青山旅館、露天風呂)はこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

           文・画像 別働隊@うつぼ

21.御宿温泉 「クアハウス御宿」

2005-07-11 12:37:08 | 千葉
外房、御宿町は童謡「月の沙漠」がつくられたところ。九十九里あたりの黒砂の浜にくらべ、このあたりは白砂に細かな貝殻のかけらがまじるとてもきれいな砂浜で、「月の沙漠」に因んだらくだの像が佇んでいる。
この砂浜のすぐそばにぬるぬるの黒湯が楽しめる浴場がある。リゾートマンションの入浴施設を日帰り開放するもので、看板は小さく、少しく奥まった立地なので判りにくい。

相当に年季の入った館内はきもちB級が入り、お客も地元のお年寄りが多くて温泉銭湯のような雰囲気がある。男女別の浴室にはたくさんの浴槽があるがややせせこましい。
湯づかいは不明だがカルキ臭などは感じられない。

コーヒー色のお湯は、透明度約20cmの黒湯で、内房の青堀温泉「ホテル静養園」の強烈な黒さには及ばないものの、かなり強烈な印象を与える。弱重曹味弱苦味で黒湯によくある有機肥料のような臭いが薄くただよう。強いヌルすべ+ツルすべ+とろみ感は、CO_3^2-=117.7mg/kgの本領発揮か。黒湯系の重曹泉はなぜだか入っているうちに飽きてくることがあるが、ここのお湯は、とろみを交えた肌ざわりの心地よさに、ついつい長湯してしまう。浴後は重曹泉らしくお肌つるすべとなる典型的な美人の湯だ。

施設はお世辞にも綺麗とはいえないが、相当に個性的な湯ざわりがあるので、ぬるぬる湯ファンにはおすすめの一湯である。

大原や勝浦あたりは”房総もの”と呼ばれ市場で高値のつく地魚が揚がるところなので、グルメ&温泉プランを組むのも面白いと思う。
なお、帰りは、大原・夷隅経由で南総広域農道を使うと信号も交通量も少なく、茂原まで短時間で抜けられる。

Na-炭酸水素塩温泉 26.2℃、pH・湧出量不明、成分総計=3.266g/kg、Na^+=936.0mg/kg (96.24mval%)、NH4^+=12.2、Cl^-=249.7 (17.04)、HCO_3^-=1852 (73.45)、CO_3^2-=117.7、陽イオン計=974.9 (42.30mval)、陰イオン計=2221 (41.32mval)、メタほう酸=9.3、腐植質=32.0 <H15.2.6分析>
                               文・画像 別働隊@うつぼ

35.鹿沢温泉 「紅葉館」

2005-07-03 23:20:45 | 群馬
 鹿沢温泉 「紅葉館」は群馬県と長野県の県境にある山の中の温泉である。古い書物の文献にもあるように西暦945年より続く100年以上の古湯である。 鹿沢温泉の言われは、湯の丸の猟師が1匹の大鹿を仕留めたそうだが、その鹿が山の中に逃げ出した、その鹿が2,3日後に現れ加澤の温泉に浴し創傷を洗っていることを目撃したところから、この地名になったが以前は山野湯温泉と呼ばれていた。この温泉は、威年文化11年(1814年)に湯小屋以外の建物が全焼することがおこった、この火事で再興したのが紅葉館1館だけで、他の宿は麓の新鹿沢温泉に移った。

  私と鹿沢温泉との出会いは、かれこれ15年ほどで、入浴回数の10回以上も訪れている。はじめはただなんとなく良い湯だなと感じたほどでしたが、入浴回数とともに、深くそして長い歴史に裏打ちされたお湯で、周りに人家もなく輸送機関も殆ど無く昔の人は苦労して訪れたことを思うとなおさら考え深いものです。そこまでして入浴するお湯というものは、お湯のよし悪しを考える以前に、人生でも最大のイベントだっに違いない。

 温泉成分は、Mg・Na-炭酸水素塩泉という日本でも貴重な含食塩-重炭酸土類泉であり、カルシュウム成分や塩化物成分(Cl)、硫酸塩泉(CO4)が殆ど含有していない貴重な温泉でありその効果は今も昔も絶大なるものであり、湯治日数を増やすなら、その新しい効果は計り知れない。
 主成分のMg・Na-炭酸水素塩泉ということで重曹系のぬるすべとMgのキシキシが打ち消しあって独特の湯ざわりである。勿論中性的な物ではなく、しっかりとした湯の表情である。味は鉄錆び重曹味で只見川沿いの炭酸成分の濃いお湯にあいつ通じるがこちらの方がすっきりとした味わいがあり温泉成分からも体によさそうなお湯である。ともかくこちらのお湯は私がそうであったように、1度の入浴ではわからないものが多い、何度も何度も再訪して始めて尻尾くらいが見える温泉かもしれない。深いお湯である。

              参考文献  小暮金太夫著 山野温泉絵図 日本温泉資料館蔵

マグネシュウム・ナトリュウム-炭酸水素塩泉 泉温44.5℃ PH7.0 湧出量 37L/毎分
Na=127 K=3.59 Mg=69.8 Ca=53.7 Fe(Ⅱ)=1.62 Mn=0.06 F=0.2 Cl=35.6 SO4=0.95 HCO3=790 CO2=0.6
メタケイ=226 メタホウ=6.0 遊離二酸化炭素=79.7 成分総量 1.39g/Kg(平成9年11月5日分析)

 文 ガメラちゃん@takayama