一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

83.上諏訪温泉 「大和温泉」

2012-05-07 19:11:04 | 長野
今回ご紹介する上諏訪温泉「大和温泉」は上諏訪温泉地区で外来入浴を受け付けている数少ない施設です。

外観
入り口に小さな「大和温泉」の看板があるのみ。中に入ると小さな庭があり、そこで入浴料を支払います。家の庭に併設されているといったところでしょうか。

脱衣場
休憩用の長いすとロッカーがあるのみの大変シンプルなものです。

浴室と温泉
タイル張りの浴室。湯底がタイル張りで縁はステンレスの湯船と台所のシンクのような投入口(水と源泉別々)と桶。アメニティー、カランはありません。
また、お湯は各自、みんなが入れる適温と適量で入浴するアナログな温泉だ。
浴槽のお湯は黄緑色に見えるが実際はちょっと黄色がかった透明なお湯です。
源泉温度は70℃近くあり加水しなければ入れない。源泉と加水のバランスが難しい。
入るとツルツルし、ほのかに香る卵臭が温泉気分を高揚させます。お湯の具合によっては長湯をしたくなるだろうし、源泉を投入しすぎると熱くて直ぐに出たくなる。投入量は多くしたいが、熱いと辛い。毎回小さなジレンマに陥るのだ。
お湯と水を繰り返し投入しベストコンディションなお湯が出来上がったときひっそりと嬉しさを感じるのだ。充分堪能しお風呂から出た後も暖まり感が持続し熱くてかなわんというよりかほっかほかに暖まったなぁ~という感想だ。
顔もツルツルになるので卵肌に戻ったと錯覚してしまう。髪の毛はしっかり
流すとサラサラするのでコンディショナーもいらない。時が経つに連れてツルツルだったお肌はサラサラした感触に変わってくる。別の温泉成分が特長を表すのだ。
1回の入浴で何度も温泉の感触を堪能させてくれる面白い温泉でした。

補足1
毎回行く度に清潔感がありとても綺麗です。まめに掃除しているのかと
思いましたが、実は入浴者が自主的に掃除しているのを拝見しました。
施設の管理人さんが掃除しているとは思いますが、入浴者も自主的に掃除している
ことを知った時ちょっと感動しました。愛される浴場ってこういう施設なんだ。

補足2
長野県には名湯と呼ばれる素晴らしい温泉、このお湯より含有成分のクオリティが高い温泉が沢山あります。そんな中大和温泉を100名湯として選んだのは一郷一会らしいと思いました。私もこのお湯に初めて入った時の感動を今でも忘れません。

大和温泉のちょっとした思い出。
温泉の感想とは別に、ここは一郷一会オフ会で初めて訪れた施設でした。もう何年前になるか忘れてしまいましたが。その時の出来事なんですが、ここの湯船5人ぐらいしか入れないんだけど、大きな大人の男性10人ぐらいと女性5人とお子様で突入したんだ。女性はみんなスマートだったから気持ち良くのんびり入っていたんだけど、かっぷくのいい男性陣10人。入るのに大喪苦労してました。「もちっとずれて」とか、「お湯が溢れて減ってる!」「お湯投入量増加!」「お湯入れすぎ熱い!」「出ます」とか色々声がしてたのを入りに来るたびに思い出しなんだか笑ってしまうんだ。最終的な入浴フォーメーションはIだったかも。あれから諏訪湖にくるたんびに通っています。


計=690mg/kg
Li^+=0.53mg/kg Na^+=198mg/kg 、K^+=7mg/kg NH_4^+=0.16 Ca^2+=9.5mg/kg、Fe^3+=0.13mg/kg Sr^2+=0.14mg/kg Zn^2+=0.37mg/kg
F^-=2.5mg/kg Cl^-=228mg/kg、HS^-=32.3mg/kg SO_4^2-=90.1mg/kg、HCO_3^-=106、CO_3^2-=15mg/kg
陽イオン計=215.8、陰イオン計=473.9、
メタけい酸=75.2mg メタホウ酸12.8mg 
遊離二酸化炭素=11mg 遊離硫化水素=34mg
pH=8.8 源泉温度68.0℃ 泉質=単純硫黄泉

住 所 長野県諏訪市小和田17-5
入湯料 ¥230.-
駐車場はありません

                                 文えんぴつ
                                写真takayama
                                 


76.霊泉寺温泉 「中屋本館」

2008-09-15 16:45:10 | 長野
よく、神がかったよい湯と表現されることがある、現在も過去も同じで、ここの霊泉寺温泉の由来も、まさしく神がかった湯と表現すべきか。
 開湯の由来は、結構そのときの著名な人が発見したとか、諸説があり私はあまり信用してはいないが、300年程前の話ならたぶん近いものかと思う。元々は寺湯であったのが、その効能が素晴らしく、霊泉寺と名づけたほどである。

 実はこの100名湯で霊泉寺温泉というと、霊泉寺温泉共同浴場で書かれていたが霊泉寺温泉は、新規に掘削した共同浴場の新湯より旅館で使われている旧源泉のほうがはるかによい湯だといった意見でまとまり、今回中屋本館さんのお湯となった。
 当然、共同湯の温泉も100名湯に値するお湯だし、含みのある温泉はこの名湯ぞろいのこの地域でも群を抜いてよい湯だと思うが、それを上回るお湯が名前のとおり霊泉のお湯ともいえる旧源泉である。
 この温泉の特徴はというと、お湯あたりがやさしく穏やかな入浴感が得られる。しかもお湯に力強さを備えており、自分の考えられる、理想ともいえるお湯である。特に疾病の人や病気の回復期などは、どんな病気の人でもやさしく包み込むようなきがする。療養泉としてのここのお湯は、もっと注目すべきかもしれない。

 冒頭に書いたが、神がかり的なよい湯は、温泉分析書でも解明できるかもしれない、泉温36度ほとんど人の体温で不感温度ともいえるお湯で、高温泉にくらべお湯あたりがよく、温度による身体の負担が少なく、温泉成分の効能だけが得られる。
 温泉は単純温泉で成分総量も906mg/kgとやはり皮膚への浸透性は少なく、やはり穏やかな温泉だと思う。泉質は純石膏成分で、けっこう特徴ある温泉だと思うがやはりぬる湯と相成って、入浴中はほとんど刺激の少ない温泉である。
 ここの温泉の最大の特徴は、なんといってもラジウム温泉の要素で、新しい温泉分析書では、1.0マッヘ/kgと微量ながらラジウム温泉としての資質が高いのである。
 そんなことが相まって、効能の高いお湯ということが、名前の由来の霊泉ということばに、裏打ちされていることかと思う。
 100名湯ではいろいろな温泉を紹介したが、それぞれに温泉のよさがある。
 そのなかで理想のお湯はというと、お湯がやさしく穏やかで、しかも力づよい湯の霊泉寺の湯などは、何時までも飽きることなく入浴したい。特に中屋本館の笹舟の湯「家族風呂」は、非加熱源泉で、お湯に鮮度感もあり、とくによい風呂である。

源泉名 霊泉寺温泉 泉温36℃ PH8.3 ラドン3.65×10-10キュリー/kg(1.00マッヘ/kg)
Na=62.8 Ca=205.3 Cl=33.0 SO4=545.6 HCO3=23.8 メタケイ=26.8 CO2=4.4 成分総量906.3mg/kg
画像は中屋本館「家族風呂 笹舟の湯」

文/画像 ガメラちゃん@takayama

75.沓掛温泉 「小倉乃湯」

2005-11-04 20:56:36 | 長野
 沓掛温泉は平安時代から脈々と受け継ぐ、山のいで湯である。場所は上田盆地のどん詰まりで、田沢温泉より更に奥まった夫神岳山腹のやや傾斜地に旅館3軒共同浴場1軒で形成されている。ここ沓掛温泉は、歓楽性要素の少ないひっそりとした静かな温泉郷である。また、温泉ちかくの田園風景などは、心落ち着かせるものがあり、ありきたりの日本の風景が心地よいのである。

 上田盆地周辺は良泉の宝庫であります、100名湯に選ばれないが、別所温泉や戸倉上山田温泉などの硫黄泉なども入り応えのあるよい温泉が目白押しです。
 沓掛温泉はというと、最大の特徴は温泉の温度で、不感温度というべき体感温度が人体の温度と同じくらいの36度である。
 分析表では源泉温度39.5℃ではあるが、以前地元の人に聞いた話によると山の上のほうからの引き湯らしく、しかもかなりの長さで引き湯されており人肌の温度まで低下している。

 共同湯は、2つの内湯に仕切られている、1つは源泉のままに、注がれておりぬるい湯で、もう1つが加熱しているお湯で、入りやすい温度になっており、温湯に慣れていない方は、交互入浴がよいのであろう。最近では、温湯のよさがだいぶ認知されはじめたが、本当の意味でのぬる湯のよさが、わかる方は少ない。
 ぬる湯だから夏向きのお湯などと言っている方が温泉ファンでもまだまだ沢山いるのが現状です。

 私などは、なるべくぬる湯に入浴するときは、夏場の暑い時期はさけ、外気温が下がった秋から初冬にかけてからの入浴にしている。理由としては、やはり温泉水の力というものが如何なく発揮されるのは、普通水の温度による発汗さようによるものだが、温泉の場合その要素のほかに、温泉の成分で発汗することがあることで、その気持ちよさっていうものが、水の温度の高さによるものに比べ数倍気持ちのよいことだと経験上解っているからである。
 不感温度は勿論、入浴中は温度に対して何も感じないものであるが、長時間入浴で体の芯まで、温泉が溶け込む感じがとてもよく入浴後の温まり感も最高である。

 こちらの共同湯に入浴する方は、ぬる湯に浴槽に入る人が殆どである。皆そのぬる湯のよさを満喫している。目を閉じ、じっくりとお湯を聴いているような感じで静かに湯浴みを楽しんでいる。仲間同士でいっても、無駄なおしゃべりはしないでじっくりと入浴することをお勧めする。もう1つの温泉の凄さが実感できるはずです。最近では私は25℃くらいの温泉が好きになりつつあります。しかし、冷たいお湯はどうしてもマニアックな世界となってしまいます。

 ぬる湯のよさがわかる入り口は、不感温度のここ沓掛温泉をじっくり入浴するのがよいとおもいます。 今回、入浴したのが日曜日だったので激混み状態でした、それほどの人気施設です。単純温泉で湯の花が舞うが入浴中は温度の関係もあって、あまり浴感もすくないが入浴後の温まり感などは、文章で表現出来ない。ぬる湯の本当の意味での凄さを是非味わって頂きたい。1時間くらいぼーと入浴するのがよいのでしょうか。
 
 温泉地名 沓掛温泉 源泉名 沓掛温泉3号泉 アルカリ性単純温泉(Na・(Ca)-SO4型) 源泉温度39.5℃ PH9.53

Na=63.4 K=1.2 Ca=25.8 Cl=38.5 HS=1.5 SO4=115 HCO3=6.7 CO2=11.4 メタホウ=0.8 メタケイ=39.2 成分総量305mg/kg(平成11年1月分析)

文/画像 ガメラちゃん@takayama

■ 渋の湯 「渋の湯ホテル」 (殿堂 長野/佐久・諏訪)

2005-10-12 20:28:09 | 長野
 渋の湯温泉は、茅野市より八ヶ岳西麓へ向かい、湯道街道といわれる道を渋川ぞいに北上すると奥蓼科温泉郷といわれる温泉が点在する。明治温泉、渋・辰見館、渋御殿湯とともに奥蓼科温泉郷は、炭酸水素鉄泉や酸性硫黄泉など、個性的なお湯が点在している。渋の湯温泉はそのどんずまりに位置しており、八ヶ岳の天狗岳の登山口の温泉で、こちらからは天狗岳までは、登り3時間30分くらいで頂上に到達する。ちなみに八ヶ岳は、3000m級の山々が鎮座しており、日本アルプスとともに、日本有数の山岳地帯である。

 渋の湯あたりでは、なんといっても自然の宝庫である、今回訪問したときも、日本鹿が、道路から飛び出し、ガードレールを乗り越えていったほどであり、動物の気配のある自然豊かな場所で、廻りの木々もありのままに密集しており、色ついて紅葉やまぶしい新緑など、その風景はさぞかし印象深いものであろう。

 渋の湯につくと、駐車場から硫黄の香りが立ち込め、硫黄主体の温泉だとわかり入浴する前から、期待させる。宿は登山客と湯治客両方にも対応しているような佇まいであり、浴場は完全なる湯治場の雰囲気がたっぷりで、湯口の硫黄の痕跡が更に鄙び系の味がする。お風呂は2つ上が加熱槽で、下が温い源泉槽であり宿のご主人は交互入浴を勧める。

 温泉はPH2.5くらいの酸性泉で、硫黄成分なのか湯の花がたっぷりと舞っており、かき混ぜると、白濁ぽくなる。加熱槽はこのお湯を加熱しているのだろうか夕方でよく色は確認できなかったが鉛色?みたいな気がする。入浴時は結構なお客さんがいて、加熱槽はいっぱい、源泉槽にも1人分しか空いていないので、声をかけて入浴する。お湯は酸性泉で硫黄成分も10mgもあるので、やや強いお湯である。しかし、源泉温度も低いので長時間入浴が出来る。

 私は、温泉の出会いの要素としてあげられるのは、子供のころからのアトピー性皮膚炎で現在でも悩まされている。その中で、酸性泉については、諸刃の剣で、草津や万座などでときたまりバンドしてしまうほどである。温泉成分的には似たようなところがあるが、やはりこちらの特徴は温い湯である。体感温度を入浴後にご主人さんに聞いて33度位かなと質問すると、27度とのことである。
 いつもなら殆ど、体感温度と実際の温度に相違は少ないはずなのに、これにはびっくりしています。

 このような源泉温度の低い酸性泉の湯使いをしているのは珍しいものです。当然アトピー性皮膚炎によいとされている酸性泉が、草津などの高温泉では、短時間入浴となって、よくなる前に上がってしまうのかもしれません。このように冷たい酸性泉は比較的体に負担が少なく、長時間入浴も可能なお湯は水虫や慢性皮膚炎にはよいかもしれません。私も皮膚炎が軽くなったような気がしますが、真意は定かではありません。

 加熱槽があいたので、最後に入浴するが、これが絶妙によい湯で、なまり気味のよい味がでていて、コゲカルシウム臭みたな香りがしていて、かなりマニアックです。渋の湯は2度目の入浴で、1回目より更によい、3回目の更によくなるのであろうか、このように段々と渋の湯のよさがわかってくるのは、楽しいもので皆様にもこの喜びを伝えたい。 

奥蓼科温泉 源泉名 渋の湯源泉 源泉温度27.2℃ PH2.72 単純酸性硫黄泉
H=1.7 Na=98.0 K=17.7 Mg=5.4 Ca=21.1 F=0.5 Cl=141.6 SO4=192.6 メタケイ=108.5 メタホウ=8.9 CO2=670.6 H2S=21.4 成分総量606mg/kg (昭和55年12月分析)

文/画像 ガメラちゃん@takayama

79.田沢温泉 「有乳湯」

2005-08-25 00:36:30 | 長野
 田沢温泉は上田盆地から更に西に12Km向かい松本街道である143号沿いにある旅館5軒、共同湯1ヶ所の中小の温泉郷である。田沢温泉の存在する青木村は、標高1500~1600mの山々に囲まれた小さな盆地で、田沢温泉の場所は山からの扇状地の小高いところで、標高は800mくらい盛夏を除けばすごしやすい場所である。

 田沢温泉で有名なのは、映画「卓球温泉」の舞台となったのが有名で、ますや旅館やたまりや旅館の木造3階建ての、歴史を感じさせる重厚なる佇まいが、現代人の心の隙間を癒してくれる空間ともいえよう。路は石畳で小さいながらも風情がある。温泉場としても、派手さはないし、醸し出す雰囲気がとても上品である。
その径をさらに進むと、ここの温泉の中心である有乳湯がある。名前の由来は諸説あるが山姥が坂田の金時を産んだことの諸説があり、箱根の姥子温泉も同じような言い伝えがあり地名になるほどが面白い。

 田沢温泉の温泉名は単純硫黄泉であり、成分総量も228mg/kgと成分の薄い温泉である。そして体感温度38度くらいの温い湯であるが硫黄の香りと毛穴にびっしりと着く泡が特徴で湯量も多く誰でも解りやすいお湯であるが、そのお湯のよさというものは、匂いや泡だけでないと思う。私もこのプログを作成して、良い湯の相関関係というものに着目しているが、謎が段々解けてきそうである。

 やはり、ここのお湯での良い湯であると感じる特徴は、他でも書いたとおり、アルカリ泉、PH9.3でHS(イオウ成分)9.2これでざこざこかけ流し湯の鮮度感ある温泉なら極上湯になってしまうのかもしれない。自分でも100湯はかなりチョイスしたので、自分の好みの温泉だけかもしれない。ともかくここの温い温泉には、平日の人が少ない時を狙ってじっくりと入りたい。

 田沢温泉2号泉 PH9.3 Na=56.6 F=0.5 Cl=38.9 SO4=21.0 HS=9.2 HCO3=26.3 CO3=12.3 メタケイ=57.2 成分総量 228mg/kg 

 文/画 ガメラちゃん@takayama

78.新戸倉温泉 「戸倉国民温泉」

2005-08-09 23:21:49 | 長野
東信の戸倉上山田温泉は、古くから善光寺参りの精進落としの湯として栄えてきた信州有数の歓楽温泉地である。千曲川を挟んで西岸に戸倉・上山田温泉、東岸に新興の新戸倉温泉がある。歓楽温泉地受難の昨今だが、このような温泉地はけっこう湯量豊富で泉質良好なことが多い(だからこそ温泉地として発展できた)。戸倉上山田もその例にもれず豊富な泉源を有し、自家源泉の施設も珍しくない。イオウ臭香るアルカリ性のやさしいお湯が特徴である。

ここは、一郷一会オフで、「万葉超音波温泉」「戸倉観世温泉」上山田「亀の湯」などとともに集中攻撃したが、軒並み高レベルのお湯のなかでもとくに印象に残った一湯である。

メイン道路から引き込んだ住宅地のなかにある、こぢんまりとした公衆浴場。
ゆったりとした脱衣所の向こうに、やわらかな午後の日ざしが差し込む浴場がある。くじら型のかわいいタイル貼り浴槽。濃紺の大きなタイルの湯口から大量に投入されているが、しっかりとコップがおいてある源泉かけ流しなのにはおそれ入る。
手入れの行き届いた浴場で、浴客も整然と入浴している。とても気持ちのいい空間だ。

やや熱めのお湯は、弱たまご味に弱いしぶ焦げイオウ臭で、かなりの量のアワつきがあって鮮度感抜群。成分総計=332.6mg/kgとはとても思えない力感のあるお湯におどろく。このエリアのなかでも成分は濃い方ではないし、イオウ気が強いわけでもない。だが、なにか後をひくような不思議な魅力をもつお湯だ。
浴槽の佇まいといい、力感あふれるお湯といい、このエリア屈指の名湯かと思う。

アルカリ性単純温泉(Na-Cl・SO4型) 38.5℃、pH=8.97、湧出量不明、成分総計=332.6mg/kg、Na^+=88.5mg/kg (91.25mval%)、Ca^2+=6.2 (7.33)、Fe^2+=0.4、Cl^-=65.0 (42.16)、HS^-=1.4、SO_4^2-=52.4 (25.12)、HCO_3^-=42.7 (16.13)、CO_3^2-=18.6 (14.29)、陽イオン計=97.2 (4.22mval)、陰イオン計=181.7 (4.34mval)、メタけい酸=50.3 <H13.12.19分析>

「戸倉国民温泉」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

文・画像 別働隊@うつぼ

80.高峰温泉

2005-08-08 00:05:07 | 長野
標高2000mの高み、アサマ2000スキー場の中の一軒宿で、冬場は雪上車での送迎を行っているらしい。
今回訪れたのはスキーシーズンも終えた4月の下旬のこと。
宿までの道も除雪され直接車で横付けできた。
日帰り入浴の受付時間は14:00まで。ギリギリ間に合い、さっそく「ランプの湯」へ。
狭い脱衣所に入ると漂う硫黄の香り。おもわずニンマリしてしまいます。
浴室は意外や小さく、源泉槽(写真左側)に一人、加温槽(同右側)に三人程度か。
加温槽はやや白く濁った湯で、ほんのり焦げ硫黄臭。
それほど熱くないので自然と長湯モード。むふふふふ
体があたたまったら源泉風呂へ。
フルーティな硫黄の香りとふんわりタマゴ風味。
透明な湯に白いツブツブが浮遊。
冷たすぎることもなく、入り応えのあるGOODな湯だ。
うっすらアワがつき肌触りもよい。
体が冷えたら、また加温槽へと温冷交互浴。
窓を開け放てば外のひんやりとした空気が流れ込み頭すっきり、ますますの長湯体制。
見晴らしもよく、湯にのぼせることもなく、湯上りはさっぱりサラサラ。
ここを訪れたときは混んでないことを祈ろう。

泉質:カルシウム・ナトリウム-炭酸水素・硫酸塩温泉
泉温:25.9℃
pH6.6
成分総計1608mg/Kg
湧出量:61.1L/分(自然湧出)
分析終了日:H16.10.19

文 福沢 湯キチ

77.鹿教湯温泉 「町高梨共同浴場」

2005-07-31 23:12:18 | 長野
76.鹿教湯温泉 「町高梨共同浴場」
 鹿教湯(かけゆ)温泉は、国道254号線沿の丸子町から松本市へ抜ける三才山トンネルの手前にある江戸時代より栄えた昔ながらの温泉場である。旅館も30件とこの周辺では規模の大きな温泉街を形成しており共同浴場も雰囲気のある文殊の湯とここ町高梨共同浴場2つの共同浴場となっている。

 鹿教湯温泉は温泉名としては、単純温泉である。PHも7.9位なので弱アルカリ性の温泉に分類される。俗にいうとアル単温泉ともいわれるが、私はアル単と言う言葉には、ちょっとひっかるので、なるべく使わないようにしている。ちょっと温泉をバカにしているような表現な気がするのが原因なのです。ちなみに単純温泉という表現にも、最近ではもっと良い表現方法はないかと思っていています。

 単純温泉にも、当然成分はあるわけで、特に陰イオンである塩化物泉系、炭酸水素泉系と硫酸塩泉系のお湯では同じ単純温泉と人くくりには出来ないと感じます。
当然それぞれの系統の浴感ちがいますし、組み合わされたものには深い味わいといったものがあります。現在の温泉法の1Lあたり1gといったものしか温泉名がつけられないのが要因となっているのでしょうか。

 鹿教湯温泉と私との出会いは古く長い、良い湯(白濁硫黄泉など)があると日本全国の温泉地に出没して、数多くの湯巡りに行ったもので、北は青森から九州まで、各地の温泉に浸かったものであった。そのころ(20数年前)丸子町から松本市へ抜ける場所に鹿教湯温泉があり、単純温泉で無味無臭でありながらその深い入浴感に魅せられて、以降この通りを通るたびに、鹿教湯温泉「国民宿舎」へ宿泊、日帰り入浴したものである。最近では、単純温泉マニアの称号を与えられる(笑)が、その原点というべき温泉がここ鹿教湯温泉なわけである。

 相当前置きが長くなったが、鹿教湯温泉は無色無味無臭でちょっと石膏の香りがするがそれもほんのちょっぴりである。少ないが湯の花もみられるがこれも少ない、泡着きはやや多いであるし、目や鼻で感じる温泉で無いことは確かである。ここのお湯はずばり入浴して見ないと解らないお湯に尽きる。お湯と体が一体となったお湯というのか、入浴中は体に負担が少ないというべきかともかく表現に困る。しかし浴後しっかりと温泉が体内に取り込まれたといったのがわかるが、どう説明したらよいのか表現方法に苦しむ。

 自分がもし大病して、病後の回復期に何処の温泉で養生すればよいかと考えると真っ先に頭のなかでは、岐阜の下呂温泉とここの鹿教湯温泉に2ヶ月くらい滞在したいと考える。それほど体への負担の少ない温泉であろう。単純温泉ではあるが、硫酸塩泉系のしっかりとした温泉で、伊豆あたりのお湯みたいの成分比率だが伊豆とは違うお湯みたいである。ここは、この周辺の温泉のみならず日本を代表する単純温泉である。単純温泉のよさがよく解らないと思っている方はぜひに入浴してほしい。じっくりと2泊くらいして、滞在型の入浴方法で、絶対にここの温泉の良さが解るはずである。

鹿教湯2号3号4号5号6号混合泉 源泉47.9度 使用位置42度  総量495mg/kg
Na=79.1 K=1.6 Mg=1.2 Ca=66.5 Fe2=0.02 F=0.8 Cl=50.9 SO4=236.2 HCO3=31.3 メタケイ=39.8 メタホウ=1.4 CO2=1.1 PH7.87 

        文/写真 ガメラちゃん@takayama

81.毒沢鉱泉 「神乃湯」

2005-07-25 00:09:25 | 長野
明礬緑礬泉という、いかにも効きそうな泉質がある。草津など火山性の高温泉で出ることもあるが、山中の一軒宿に冷鉱泉としてひっそりと湧いているようなものが多い。その多くは、「硫化鉱物の酸化溶解」+「有機的メカニズム」という成因(詳しくは、「関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん『温泉の科学』byやませみさん 」参照)によるもので、低温で湧出量の少ないのがふつうである。
飛びぬけた量の鉄分を含み、赤茶に変色したにごり湯は強烈なインパクトがあって、おもわず身を沈めるのをためらうほどである。
諏訪大社春宮の山手に湧く毒沢鉱泉もそのようなお湯で、清澄なお湯の多い諏訪の温泉のなかにあってひときわ異彩を放っている。

毒沢鉱泉の歴史は古く、永禄年間に武田信玄が金山発掘の際、怪我人の治療に利用したと伝えられる、いわゆる”信玄の隠し湯”のひとつである。”毒沢”の読みは古いガイドで”ぶすざわ”と紹介されていた記憶もあるが、最近ではほとんど”どくさわ”が使われているようだ。
「神乃湯」、「宮乃湯」、国民宿舎「沢乃湯」の3軒の宿があって「神乃湯」が最奥、どこも同一源泉と思われる。

平成13年に改装され、いわゆるデザイナーズ旅館系の女性好みの宿に仕上がっている。
別棟の総木造の浴室は男女別でこぶり、窓の外に緑濃い沢筋を見下ろす風情あふれるもの。
木づくりの加熱浴槽(4.5人)と源泉槽(1人)を隣り合わせて配置。浴槽は改装前と同じ規模のようで、むやみに浴槽を大きくしたり、露天を造ったりしない姿勢にお湯に対するお宿の見識を感じる。

加熱槽はおそらく循環と思われるが、源泉槽は、飲泉用の湯(水)だめからごく少量を流し込み、オーバーフローはなく、ごく軽い底面吸湯か自然流下でかけ流しかと思う。
お湯のイメージは加熱槽と源泉槽ではかなり異なる。かなり熱めの加熱槽は、まったりとした暗いオレンジ色で透明度1cmの濃いにごり湯に赤茶の浮遊物。冷たい源泉槽は、うすこげ茶色ささにごりで茶色の浮遊物がたくさんただよい、金気をベースにして、弱いながら焦げ臭とドクダミ臭がまじる複雑な温泉臭が香る。
酸性泉らしいレモン味に微甘味と渋味と微炭酸味をミックスした複雑な味は、美味しくはないが、なぜかクセになる。pH2.5の酸性泉ながら肌にピリピリくる感触はなく、キシキシ感のある奥深い浴感が楽しめる。

加熱槽はかなり熱いが、温まるというよりは身体に染み込んでくるような独特なもの。焦げ臭とドクダミ臭が肌に残ってキトキトとする浴後感は、かなり好き嫌いのわかれる個性的なものかと思う。

明礬緑礬泉を謳う温泉宿はけっこうあるが、湧出量が少ない低温泉は湯づかいがむずかしく、生の源泉にふれられるのは、関東周辺ではここと、栃木の赤滝、山梨十谷の「山の湯」くらいしか思い当たらない。貴重なお湯である。
日帰り受け入れは昼前後の数時間と短いので、泊まりでじっくりと冷温交互浴を楽しむのが○かもしれない。

含鉄(2)-Al-硫酸塩冷鉱泉((Al)-SO4型) 2.0℃、pH=2.5、陽・陰イオン計=1509.2mg/kg、H^+=2.5、Na^+=5.0mg/kg (0.91mval%)、Mg^2+=31.7 (10.81)、Al^3+=120.0 (55.27)、Fe^2+=132.4 (19.64)、Fe^3+=5.6、Cl^-=1.5 (0.17)、HSO_4^-=92.7 (3.98)、SO_4^2-=1107 (95.59)、陽イオン計=307.2 (24.14mval)、陰イオン計=1202 (24.11mval)
        
                               文・画像 別働隊@うつぼ

73.渋沢温泉

2005-06-20 23:46:07 | 長野
金島を皮切りに川原湯、八ツ場4湯など、多くの名湯が点在し、草津・万座へのアプローチでもある吾妻川沿いのR145は、温泉フリークならば冷静には走れない道だ。
そのR145も、三原で万座への道を分け、かの「平治温泉」を過ぎると俄然落ち着きをとりもどす。道はこれから鳥居峠をこえて信州小県へと入っていくのだ。

鳥居峠をこえてすぐの道沿いにこの名湯はある。黄色い建物は豪華でもなく旅情をそそる鄙びでもない。周囲の風景に溶け込んでいるともいえず、佇まいで客を引き込めるお湯ではない。

男女別に内湯がひとつのみとシンプルな浴室は、扉を開けると金気臭がかったやわらかな温泉臭がただよっている。
木の囲いのなかの金属パイプから透明なお湯が湯量を変えながらこんこんと湧き出て、湯船のふちからさわさわと溢れ出ている完ぺきなかけ流し。

ややぬるめのお湯は薄い緑黄色透明で弱金気臭。湯口には貝汁のような新鮮な鉄臭にかすかな硫化水素臭が混じり、昆布スープのようなだし味。弱いキシキシ感のあるお湯には、えもいわれぬおだやかな浴感があって、いつまでも浸かっていたくなる。
なんということもない源泉スペックだが、泉源が近いらしく、とにかくお湯が溌剌としている。チラシにも「地下500メートルから湧きあがる天然温泉をそのまま湯船に広げたら40度になりました」とある。

客が入ってきても気づかいすることなく浸りつづけることのできる適度な広さの湯船と、鮮度を落とすことなくそれを満たす投入量。窓の外には疎林が広がり、うすく窓を開けると山の涼気がほてった顔にここちよい。いいお湯の条件は意外とこんなところにあったりもする。

なかなか行きにくいエリアにあるが、通りがかったときにはまちがいなく”入り”の一湯である。(地粉を使った蕎麦も美味しいらしい)

単純温泉 42.0℃、pH=8.25、湧出量不明、蒸発残留物=554mg/kg、Na^+=189mg/kg、Fe^2+=7.6、F^-=3.0、Cl^-=141、HCO_3^-=301、メタほう酸=25.8、遊離炭酸=19.3 <H元.8.8分析>

文・画像 別働隊@うつぼ