一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

86.大沢山温泉 「幽谷荘」

2007-03-04 22:43:52 | 新潟
越後魚沼地方、魚野川の西側を南北に走る山並みを魚沼丘陵という。ここは本邦屈指の豪雪地帯で、湯沢、石打、上越国際など、大規模なスキー場が数多くあるが、温泉にも恵まれていることは意外に知られていない。
栃窪、塩ノ又、二ツ屋など一軒宿の多いなかで、大沢山温泉は比較的規模の大きい温泉地だ。ここは「大沢館」、「高七城」など、個性的でマスコミ受けのいい有名旅館があるが、温泉好きの評価がことに高いのが最奥にある「幽谷荘」だ。

いったいにこのエリアのお湯は冷鉱泉や低温泉が多く、ここも泉温27.2℃の低温泉。贅沢にもこの源泉を加熱かけ流ししている。そんなこともあり、タイミングがあわないと日帰り入浴できないこともある様だが、私がいったときにはラッキーにも独占状態でお湯を堪能できた。

春浅い越後の3月。雪国らしい木造のがっしりとした建物はまだ豪雪に埋もれていた。声をかけると奥から飄々とした感じの女将?がでてきた。

浴室は男女別の変哲もないものだがお湯は逸品だ。
オイリーなツルすべが半端ではなく、泉質こそ含重曹食塩泉だが、お湯のイメージは重曹泉系だ。裏でしっかりと食塩が利き、しっかりと温まり感もある。
Na-HCO3の濃度があるとpHがさほど高くなくてもはっきりとしたツルすべがでてくる。
関東では、妙義長寿の湯や群馬新田が好例だが、新潟ではここが代表格だと思う。とくに魚沼周辺は単純温泉や硫黄泉が多いので、重曹がのびやかに存在を主張しているこのお湯は貴重だ。

明るく静かな浴室に鮮度の高いお湯がしずしずとかけ流されている。身を沈めるとザアザアとあふれ出るお湯が申し訳ないほどだ。湯中には細かな灰色の湯の花が舞い、ミシン油臭+αの特徴ある湯の香が妙に心地よい。
とにかく個性が際だっていて、入るほどにはまっていくようなお湯だ。やや過加温気味で浴室がこもっていたのが残念だが、夏場非加温で入ったら、それこそあまりの気持ちよさに出られなくなるのでは?
魚沼の山中にわざさわざ入りに行くだけの価値のある名湯だと思う。

Na-塩化物・炭酸水素塩泉 27.2℃、pH=8.46、成分総計=1.465g/kg、Na^+=458.7mg/kg (97.70mval%)、Cl^-=448.9 (61.63)、HCO_3^-=452.2 (36.08)、CO_3^2-=12.0、陽イオン計=472.9 (20.42mval)、陰イオン計=915.8 (20.54mval)、メタけい酸=63.2、メタほう酸=9.6 <H15.7.15分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

89.千手温泉 「千年の湯」

2005-09-25 22:47:04 | 新潟
新潟川西町(現十日町市)にある名湯の誉れ高いお湯。
以前は廃園となった幼稚園を使用していたらしいが、平成13年11月、立派な日帰り施設に生まれかわった。川西町が第3セクターで建設した、いわゆる”センター系”だが、雁木を模した風情ある外観に、館内も木をいかした意匠的に優れた建物だ。石と檜をシックに組み合わせた浴場も質感の高い仕上がりでとても居心地がいい。
ここは3度ほど行っているが、いずれも大混雑で、廊下に座りこんでいる家族が目立った。

お湯は絶品だ。内湯は広く、ジャグジーつきでしかも混んでいるので、湯口から遠いほうはさすがに鮮度が落ちるものの、ほのかにイオウ臭も香る湯口のそばは鮮度抜群。湯口そばは熱いので意外に空いている。露天はわりに狭くてお湯は内湯よりいい。
お湯はモール泉特有の琥珀色~紅茶色をした綺麗なもので、灰茶色の湯の花が舞っている。
とくに湯の香がすばらしく、なんともいえない上質なモール臭が香り立つ。よく、本格的モール泉はウイスキー(モルツ)の香りがするとか、枯葉の匂いがするとかいわれるが、ここではアルコールを連想させる臭いがたしかにしていた。

重曹のツルすべ、炭酸イオン(CO_3^2-)のヌルすべ、メタけい酸のとろみが渾然一体となったやわらかな湯ざわりのお湯が、深めの浴槽にたっぷりと湛えられかけ流されていく。その入り心地のよさは比類がないほどだ。
重曹泉系だがお湯の鮮度がいいからかとてもあたたまる。はじめて入ったときは単純温泉ながら溶存物質計=988.0mg/kg。惜しい!と思ってたら、平成15年春の再分析では溶存=1053mg/kgと増えて、しっかり含食塩重曹泉になっていた。

出たとたんにまた入りたくなるようなあとを曳くお湯で、料金500円時間無制限なのでたぶん1日ゆったりと過ごしていくのだろう。近くにある、へぎそばの名店「小嶋屋総本店」から出前がとれるのも贅沢きわまりない。なるほど混むのはうなづける。
居心地のいい施設で名湯をかけ流し、しかも逸品の蕎麦が味わえる・・・。ここはおそらく全国的にみても、もっとも成功しているセンター系施設ではないだろうか。
温泉マニアのあいだでは、”仮設や鄙び浴舎の名湯が、施設を新しくするとお湯が悪くなる”というのはもはや定説となっているが、ここは貴重な例外だと思う。(旧施設に入っていないので断言はできないが・・・)

Na-炭酸水素塩・塩化物泉 58.2℃、350L/min(動力揚湯計算値)、成分総計=1053mg/kg、Na+=257.5mg/kg (92.87mval%)、F-=1.7、Cl-=87.7 (20.58)、HCO3-=493.1 (67.33)、CO_3^2-=40.8、陽イオン計=280.5 (12.06mval)、陰イオン計=623.3 (12.00mval)、メタけい酸=145.1 <H15.3分析>

単純温泉(Na-HCO3・Cl型) 58.2℃、250L/min、成分総計=988.0mg/kg、Na+=245.0mg/kg (93.84mval%)、F-=2.3、Cl-=89.8 (22.50)、HS-=0.2、HCO3-=518.1 (74.51)、陽イオン計=263.8 (11.36mval)、陰イオン計=618.6 (11.39mval)、メタけい酸=100.7、遊離炭酸=10.3、硫化水素=0.02 <H7.3.7分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

87-2.松之山温泉 その2 (兎口温泉) 「翠の湯」

2005-08-27 09:07:41 | 新潟
 松之山温泉は、雪深い場所ににあり冬場は、道路が垂直な壁が出来て風景も見えないほどで、ここでの暮らしの困難さが伺える。その中で奇祭「婿投げ墨塗り祭り」がこの地で行われるのは、由来はあるが冬にこそ明るく暮らすあらわれではないかと思う。

 松之山温泉は、鷹の湯周辺の旅館街がある周辺とその南の地域の鏡の湯地区とここ翆の湯の3つあり、翆の湯は、鷹の湯から山を隔てて、裏側の場所にあり庚申の湯の植木屋旅館より隣接している公共の露天風呂であり、冬季休業の温泉である。尚、植木屋旅館さんのお湯はジオプレッシャー型の無色透明の湯であるが、翆の湯の強烈さは無いが良い湯である。

 さて、翆の湯であるが、ここの温泉はというと、非常に湯の花が多いのが印象深い。その湯の花が太陽に反射してうすみどり色したお湯の表情になっており、温泉の名前になっているだと思う。匂いは松之山独特のにおいであるが、この匂いというのは、アブラ系の匂いで、鼻に少しツーンとくるような刺激的な匂いである。
 入浴感もホウ酸と塩化物成分なのか、非常に温まり度の高い温泉で日本3大薬湯といわれる由縁であろう。ともかくヘビーなお湯といったところです。

 松之山温泉周辺は、これっといった観光地はないが、棚田をはじめとする日本の美しい田園風景、美人林などの美しいぶな林など作られていない観光資源は沢山ある。松之山温泉周辺は良いところだ。

 泉温72.1℃ 湧出量36L/分 PH7.6 Li=2.1 Na=3391 K=151.7 Ca=1898 Sr=27.2 F=2.4 Cl=8079 Br=32.4 i=7.5 SO4=233.9 HCO3=61.5 メタケイ=133.2 メタホウ=280.4 成分総量14340mg/kg H16/9/8分析 ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性弱アルカリ性高温泉)

文/画 ガメラちゃん@takayama

88.宮野原温泉 「宝山荘」

2005-08-13 23:45:26 | 新潟
湯巡りをしていると、ふしぎと印象がダブるエリアがある。新潟、妻有あたりの信濃川沿いと、群馬の吾妻川沿いもそのひとつだ。

どちらも東西に流れ、周辺に個性豊かなお湯を散りばめて、上流、西側の山ふところにはかたや野沢、かたや万座・草津と、硫黄泉系の老舗温泉地がどっしりと構えているところも似ている。
妻有のゆくら(原町)竜ヶ窪など強力アブラ臭食塩泉に対し、吾妻には川原湯がある。ミシン系アブラ臭の名湯百合居には吾妻峡のお湯が重なる。いぶし銀の田中に応じるのは半出来根古屋か・・・。
吾妻には「ミオンなかさと」千手などモール泉系のお湯は少ないが、金島つま恋貴乃湯など妻有にはみられない赤茶色のにごり湯があって、どちらも湯巡りに変化を与えてくれる。

吾妻のアワつき湯として知られる平治に対応するのはどこだろうか・・・。泉質やロケこそ違うが、いの一番に頭に浮かんだのがここ宮野原だ。
信濃川の河岸段丘の上にあるこの温泉宿は、庶民的な雰囲気があり日帰り客も積極的に受け入れている。そばなど食べながら、広間でゆったりと過ごす地元の人も多いようだ。

6.7人のこぢんまりとした男女別内湯のみで、岩の湯口から40L/minほども投入してかけ流されているので鮮度感がすこぶる高い。
ビール色をしたお湯は湯口でたまご味にイオウ臭。かなりの量のアワつきがあり、重曹泉系のツルすべとあいまってとても湯ざわりがいい。重曹メインのアル単だが、アワつきの効果かかなり強い温まり感もある。

ここも、今回の100湯プロジェクトで田中「しなの荘」との選択で最後まで意見がわかれ、決着オフの対象となった。オフ当日の宮野原は絶好調で、湯口まわりを気泡で真っ白にしてわれわれを出迎えた。田中も味わいぶかいお湯(コアな温泉マニアはむしろこちらを推すかもしれない)だったが、やはりアワつき+ツルすべの明快なわかりやすさがある宮野原で意見が落ちついた。
地味なお湯だが、とくにあわあわファンは外すことのできない一湯だと思う。

アルカリ性単純温泉 (Na-HCO3・Cl型) 33.6℃、成分総計=542.5mg/kg、Na^+=125.7mg/kg (91.50mval%)、Fe^2+=0.04、Cl^-=84.8 (40.08)、HCO_3^-=179.3 (49.21)、CO_3^2-=19.2 (10.71)、陽イオン計=142.4 (5.98mval)、陰イオン計=283.3 (5.97mval)、メタけい酸=115.0 <H14.8.1分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

■ 清津峡温泉 「苗場館」 (殿堂 新潟/魚沼・妻有)

2005-08-05 00:39:13 | 新潟
清津峡温泉「苗場館」は、関東から行くと石打から津南方面にに抜ける国道353号の十二峠を抜けた集落から更に清津川を上流へ進んだ奥深い谷間の温泉郷に続いている。ここから更に進むと人家のない大自然の真っ只中となる。
 清津峡は、日本3大峡谷と言われる。落石事故より長年閉鎖されていたこの渓谷に、歩道の清津峡トンネルが出来たのは平成8年からである。輝石ひん岩の柱状節理の圧倒的な光景は見るものを感動さえ覚えるものである。悠久の時を経て作り出されるものは、感銘深いものである。
 さてこの清津峡トンネルは、この温泉郷に関与することが多い。昔から湧出する温泉はこの温泉トンネル工事にて一時的枯渇した。しかし現在では、トンネル内で湧出した温泉を各旅館に配湯されている。ちなみに、トンネル内に温泉が出ている箇所がありかなりの硫黄臭が感じられ、温泉マニアはたまらないものでもある。

 苗場館は、その清津峡トンネルの手前にあり駐車場から歩くと、最奥に位置する。形態は旅館ではなく食堂の温泉である。(以前は旅館を営んでいた)冬場は、日本でも有数な豪雪地帯なので、温泉食堂とも営業していない、11月~5月までは休業である。冬場は他の旅館などは営業しているので、電話確認後訪れると良い。

 ここの温泉の特徴はなんと言っても硫黄泉、この周辺では飛び切り高い硫黄成分9.7、主成分はナトリュウム・塩化物系の温泉でその相乗効果で、かなりの温まり度で、素晴らしいお湯となっている。内湯は特によく、やや小さな湯船に小さな湯ノ花、で透明なお湯ながらとても深い浴感が楽しめる。ここの温泉のよさを最大限に味わえる浴槽であり機会があったならぜひ味わって貰いたいです。
 露天風呂の景色も清流清津川の澄んだ川の流れと清津峡の最終地点の本谷の迫力のある景色とは違いますが清津峡の一端が垣間見れます。

 ここの食堂でご主人と女将さんと1時間くらい談笑しましたが、飾らない人柄などもここの食堂温泉の良さであります。清津峡トンネルの散策とセットで訪れるのも一考かもしれない。あまり知れていない温泉であるが、とてもよい湯が沸いている。

温泉名 薬研の湯(やげんの湯)泉質名 単純硫黄泉 PH9.31
 Li=0.2 Na=236 K=3.3 Mg=0.05 Ca=15.3 Sr=0.1 Al=0.05 F=2.8 Cl=324.8 Br=1.1 I=0.2 OH=0.3 HS=9.5 SO4=6.7 CO3=41.4 メタホウイオン=23.3 H2S=0.05 成分総量 708.4mg/kg (平成14年10月分析)
                    文/写真 ガメラちゃん@takayama

85.五十沢温泉 「ゆもとかん旧舘」

2005-07-18 23:15:32 | 新潟
 五十沢温泉 「ゆもとかん旧舘」は、三面川ダム手前の場所にあり、NHK連続ドラマ「こころ」のロケ地の浅倉病院の隣に隣接している。(場所はゆもとかん新館の県道を挟んだ反対側20m位の十字路手前にあります。)一帯は、日本一のブランド米魚沼産こしひかりで有名な田園地帯で、山を挟んだ谷間の風景で冬場の景色は、連なる雪山と谷間の風景で、別世界に来たような景色で眺望が素晴らしい。冬場は豪雪地帯で、雪が2m以上も積もっており、夏と冬の景色とは違い、この土地に暮らす人々の苦労が偲ばれる。さて、温泉の掘削は昭和51年に、消雪用に堀ったのだが、地下70m掘削したところで水ならぬ温泉が吹きあがったそうである。余談だが以前寝ていたときに夜中にごーとした音が聞こえ、なかなか寝疲れなかったそうであったが温泉が出てから、その音はぴたりと収まったそうで、そんなエピソードがある。70mで温泉を掘り当てたのであるから非常に偶然的な出来事である。更におの温泉が湧出してからこの谷で、数多くの温泉掘削を行ったが殆どの場所では、温泉は出なかったそうでした。

 数多くの良泉を抱える六日町(現南魚沼市)の中で何故ここの温泉が名湯100選に選ばれたというとお湯の素晴らしさの一言に尽きる。成分総量も150にも満たない温泉なのにと疑問思う人も数多くいると思うが、疑問を感じる人に解決する方法は「入浴しないと解らない」といった感想です。但し、ここの温泉のアルカリ成分はPH9.4と日本の温泉でもかなり上位にくる強さで、湧出量、泉温とも十分で、かけ流しの鮮度感なども高く、お湯の素晴らしさだけで勝負出来る温泉である。お湯の味は鮮度感のバロメータたまご味でPHの強いお湯を成分の薄い湯でカバーするといった相乗効果ですこぶる良い浴感が味わえる。主成分も薄いながらNa.Cl.SO4.HCO3がバランスよく配置されており、入浴する毎に深い味わいが楽しめる。浴後も体に芯から温まり、万病に効くかもしれないほど血行が良くなります。インターネットで検索しても殆ど検索されないが、私は自信をもって、100名湯に推薦したい。

Na=40.0 K=1.1 Ca=5.9 F=1.4 Cl=27.4 HS=1.8 SO4=23.6 HCO3=27.0 CO3=9.3 BO3=0.4 メタケイ酸=22.4 H2S=0.01 成分総量150.4mg/Kg 湧出量270l/min PH9.4 平成16年7月分析

                      文/写真 ガメラちゃん@takayama

87-1.松之山温泉 その1 (鷹の湯)「みよしや旅館」

2005-07-02 23:12:30 | 新潟
新潟十日町の西、東頸城丘陵と呼ばれる山あいに塩気の強い歴史ある良泉が湧く。このあたりは本邦有数の豪雪地で平年でも3m、雪の多い年には4m以上もの積雪をみる。火山もない山のなかに90℃を越える濃厚な食塩泉が湧くのは不思議だが、”ジオプレッシャー型”という特殊な成因があるらしい。

松之山にはいくつかの温泉が点在するが、中心となるのは「鷹の湯」で、10軒ほどの湯宿と共同浴場を囲むように温泉集落が形成されている。
「鷹の湯」は混合泉の集中配湯だが、湧出量は決して多いとはいえず、湯温も高いので湯づかいによってずいぶんとお湯の印象が変わる。

今回の100湯プロジェクトで、「鷹の湯」選定に異存はでなかったが、松之山唯一の湯治専門宿「みよしや旅館」か、源泉に一番近い老舗宿「和泉屋」かで意見が分かれた。そして白黒をつけるべく、決着オフが決行された。
「鷹の湯」の真骨頂は、その特異なアブラ臭と強鹹味と強烈なあたたまり感にあるので、そのあたりが勝負のポイントとなった。

「和泉屋」は、家族露天風呂が新設されていて、そのせいか以前状態の良かった露天はいまいちになっていた。一方、「みよしや旅館」は、前の入浴者?にドバドバ加水されていて本調子ではなかった。お湯的には「和泉屋」の家族露天がよかったような気がしたが、本調子でない「みよしや」の大浴場(大小ふたつある)でも相当なものがあったので、”レギュラー浴場で比較すべし”との言が容れられ「みよしや旅館」の選定となった。

ここは湯治専門だけあって、ご主人は鷹の湯源泉の湯づかいを熟知されていて、毎晩お湯を入れ替える。(したがって夜中は入浴できない)
このお湯に、ベストコンディションで入れなかったことが大いに悔やまれる。なお、現在のところ、「鷹の湯」の私的ベストは「千歳」の家族風呂(貸切古代檜風呂=たぶん日帰り不可)である。

しんしんと雪が降り積む真冬の夜に、アブラ臭香り立つ「鷹の湯」の熱湯に浸るのは最高だが、なにぶん都会人の想像を絶する豪雪(湯沢あたりとは1ランク度合いが違う)なので、雪道に慣れた人以外にはおすすめできない。(ほくほく線「松代」駅から送迎等あり)

Na・Ca-塩化物温泉 84.0℃、pH=7.3、60L/min掘削自噴、成分総計=14.75g/kg、Na^+=3412mg/kg (58.20mval%)、Ca^2+=2013 (39.37)、Fe^2+=0.5、F^-=2.3、Cl^-=8656 (98.73)、Br^-=25.7、I^-=4.4、陽イオン計=5565 (255.0mval)、陰イオン計=8832 (247.3mval)、メタけい酸=79.3、メタほう酸=242.0、遊離炭酸=36.0 <S57.11.30分析> 他

※リンク先はすべて、筆者レポ(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」))

     文 別働隊@うつぼ / Photo by 大野あや隊員

84.越後湯沢温泉 「山の湯」

2005-06-16 23:46:56 | 新潟
古くからある湯治場として川端康成も浸かったといわれている(湯沢町観光協会のパンフより)。
急坂の途中にある、駐車場は8台分くらい、積雪時は坂の下の旅館駐車場が臨時駐車場として開放される。
住所 新潟県南魚沼郡湯沢町湯沢930    ※ 料金大人300円/小人140円
TEL 025-784-2246   営業時間 AM 6:00-PM 10:00(最終受付時刻PM9:30)
定休日 火曜日(祝日・年末年始・お盆期間の場合、後日振り替え)
(なお、地元のご常連の方々はAM6時前でも(*^^)vパスで入浴されていると
か・・・???)


平成17年10月1日より入浴料が変更されました。
入浴料大人400円(300円)、子供200円(140円)。( )内は旧料金。
要するに、値上げということになるのですが、大きな違いは会員料金です。
湯沢町住民と地元にマンション等を所有している人が会員資格者になれる
そうですが、ここ山の湯の会員料金はロハだったそうです。
(只の字をカタカナに分けるとロ・ハになるので、只=ロハ、古くて御免<m(__)m>)
今まで只だったのが1回券で250円、ロハと250円の差は大きいでしょうね。
会員は年間券2万円(70才以上1万円)で、共同浴場5湯のどこでも入り放題
(駒子の湯、山の湯、岩の湯、宿場の湯、街道の湯)。
地元では、山の湯だけが只だったので、有料の共同浴場がある地区から山の湯の
無料への風当たりが強く、只か2万円かの騒動は悪しき平等(?)に軍配が上がった
訳ですが、会員料金は共同浴場のどこでも250円なのに、観光客は400円~
600円、山の湯が400円に値上げされたのは只から有料にされた地区住民への
なぐさめにされた気がする(?_?)。スキー客で潤うので、温泉客は二の次?
100円に驕り、100円に見くびられ、100円で心の内を探られる。

山の湯へ往復するのに1万円以上の交通費を掛けて行くのだから100円が惜しい
のではありません、湯沢温泉の看板が100円に泣く訳です。
(※の注釈は平成17年10月1日追記)


冬場の関越を新潟方面へ走行する場合は夜討朝駆けが常識。
人並みの時間を避けて朝6時頃のスタートでも、首都圏を抜ける時間としては、お話にならない。
夜中の2時3時の環八は練馬インターへ向かう横浜ナンバーの車と、首都圏を抜けるトラックが車列をなす。
その時間帯にしても環八はどこかで詰まっている、工事渋滞である。
だが、関越に乗ればしめたもの、眠たい目をコスリツツ目的地付近のPAまで行き仮眠する。
朝方、渋滞10数キロの交通情報を小耳に流しつつ、目的地近くで余裕の一服。
湯沢は津南・松之山・野沢への玄関口でもあるので、高速から一般道ドライブモードに切り替える前の心と身体のリフレッシュに、早朝から営業している、「山の湯」はとても有り難い存在である。
ご常連が出勤前にぞろぞろといらっしゃる、ここのお湯で身体を目覚めさせていくのでしょうか?
朝風呂がとても気持ち良い掛け流しの贅沢な温泉、朝一がベストである。

単純硫黄温泉(低張性アルカリ性高温泉) 泉温43,4℃の湯元源泉 pH=9.6
成分総計383,6mg╱㎏ Na=97.4(92.17) 陽イオン計104.8  4.60mval
Cl=101.7(50.44) SO4=64.7(23.73) HCO3=45.8(13.18)
陰イオン計235.5  5.69mval   総硫黄3.4mg╱㎏
H2SiO3=43.3   mg╱㎏(mval%)

単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)  泉温45.7℃の諏訪源泉 (pH=記載なし)
成分総計835.6mg╱㎏
Na=220.0(74.33) Ca=65.0(25.20) 陽イオン計285.9  12.89mval
Cl=356.0(77.74) SO4=104.0(16.72) HCO3=40.0(5.09)
陰イオン計501.6  12.91mval
H2SiO3=31.9   mg╱㎏(mval%)

脱衣所には湯元源泉の成分分析表、休憩所付近に諏訪源泉の分析表。
湯口では、1本のパイプからザコザコ源泉が投入されている、おそらく湯元源泉。
所謂硫黄の香りと申しますか(硫黄は無臭だそうですが)、まあ、ほのかな硫化水素臭という
ことになりますか、薄めの成分総計とのバランスの妙が楽しい。

越後湯沢温泉については以下のHPがとても参考になります。
湯沢温泉総合案内所 http://www.yuzawaonsen.gr.jp/index.html

湯沢といえば、
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。娘は
窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、「駅長さあん、駅長さあん。」明りをさげてゆっくり雪を踏んで来た男は、襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた。」

で、ここ「山の湯」も登場する訳です。
「雪を積らせぬためであろう、湯槽から溢れる湯を俄づくりの溝で宿の壁沿いにめぐらせてあるが、玄関先では浅い泉水のように拡がっていた。黒く逞しい秋田犬がそこの踏石に乗って、長いこと湯を舐めていた。物置から出して来たらしい、客用のスキイが干し並べてある、そのほのかな徴の匂いは、湯気で甘くなって、杉の枝から共同湯の屋根に落ちる雪の塊も、温かいもののように形が崩れた。」

まだ若かりし頃、東海道線の丹那トンネルをはじめて鈍行で通過した時に、トンネルのあまりの長さに感動して涙があふれたことがあった。あの頃に戻りたいなどという感傷すら憶えない歳になり、共同湯の温かさに感動する自分がいる。なんちゃって!!
文責 なまずのホイホイ