一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

92.玉梨温泉 「共同浴場」

2005-10-29 23:56:33 | 福島
一郷一会掲示板でこの100名湯を何処にするかと皆で、選定する作業において、一番の難題がこの南会津、奥会津地区であった。ともかく、この地域は、日本でも有数の良泉の宝庫でもあるし、お湯の湧出量も半端じゃなく多く、100湯プログに全てを入れたくなるほどです。

 奥会津地区だけでも、金山町の11ある共同湯(内3湯が100プログ)全てが推薦できる温泉だし、三島町の早戸温泉や柳津町の西山温泉、伊南村の古町温泉、只見町のむらの湯など良泉の多くて、とても絞りきれないと思ったが、3湯を提案して貰ったときに、妙に納得したことを覚えている。大塩温泉や会津川口温泉は多くの人に納得できるよい湯だと思うが、果たして玉梨共同湯はと考えるとどうだろうか。 大塩温泉ほど高張性の温湯のヘビーな物ではないし、はたまた川口温泉のように癒し系の温泉でもない。それは何故かと色々考えてみた。

 玉梨温泉共同浴場は、非常に解りづらい場所にある、地元の人に聞くか、しっている人に連れていってもらうかしないと辿りつけない恐れがある。まずは看板が無く信州の共同湯みたいに木造の造りで天窓があるような共同湯然とした佇まいでなくコンクリートの打ちっぱなしの建物で、しかも入り口が男女別でなく、1つの入り口で、ポンプ小屋などと間違えやすい。ここに入浴する目的がなければ、まず入浴出来る可能性は少ない。
 しかし、ここが地元専用浴場かというと、そうでもないらしく有名旅行雑誌に取り上げられているし、以前頂いた金山町共同湯巡りに、場所などが明記されているので、地元関係者以外でも入浴できるのだろうが、なにはともあれ共同浴場のルールに従って入浴すべきであろう。

 玉梨、八町温泉郷は野尻川を挟んで両側にあり国道沿いが八町温泉、橋を渡った場所にあるのが玉梨温泉だが、昔は源泉が違っていたが最近では引き湯の関係で、違いが少なくなってきているという。それぞれに共同湯があり八町温泉は混浴風呂で、玉梨温泉より風情という点では、こちらのほうが上なのであろう。
 こちらの温泉を有名にしたのは、過去では温泉漫画家で有名な、つげ義春氏が鄙びた温泉風景を描いたので、ご存知のかたも多いと思う。(この方は、よい湯を見極める天才)最近では作家の椎名誠氏が足しげく通った温泉である。
 
 そのような玉梨温泉の魅力はなにかというと、、やはりお湯がよいということになる。今回4度目の入浴を行ったのだが前回までは、どちらかというと幾つかの温泉を巡ってからの入浴でしたので、他の温泉が強烈すぎて、本当の玉梨温泉に振れていなかったのが原因なのかもしれない。
 なんといっても鮮度感が素晴らしい、濁り湯の多いこの地域で、どちらかというと無色透明に近いお湯で、しかも源泉口に近いのかお湯が不規則にかけ流され、その鮮度の高さがわかる。特に源泉温度がここの湯を更に魅力的にしている。金山町の温泉は温度が高い場所と低い場所が両極端で、加水や加熱してなく、湯量の多さも手伝って、大人3人も入れる浴槽に湯量たっぷりと注がれているには、悪いはずもない。

 とくに、炭酸成分主体の温泉であるが、その泡付が凄くびっしりと体にまとわりつく、ちょうどサイダー程度のやや大きめな泡であるので、ポンアップ時の泡なのだか真相は定かでない。においは炭酸系のお湯らしく重曹臭ですが、土類系の成分と鉄が入っているので土類のにおいもするのですが、ここのお湯は鮮度があるので、甘いにおいが土類を打ち消すようである。ともかく薄く複雑なにおいです。
 味は、炭酸味が後々まで引き鉄土類の味もかなりするのですが、鮮度感あってかなり飲みやすい。

 浴感は、炭酸水に浸かっているような錯覚に陥られようで、入浴後直ぐは殆ど炭酸水に浸かってみましたといった感想でしたが、その後暫くすると炭酸水素独特の後味感と硫酸塩泉成分の持続する温まり方と複雑であとの引く温まり感で、本当によい湯に出会ったなといった感想です。
 噛めば噛むほどよい温泉とは、このような温泉なのかもしれない強烈なる濁り湯もいいのだが、源泉直ぐの成分のバランスのよい湯はなによりである。色やにおいなどより、温泉の本質的なものを垣間見た凄い温泉である、とくにレベルの高いこの地域で、地味ながら異彩を放っている。

源泉名 町営源泉 泉質名 炭酸水素塩泉 泉温45.2℃ PH6.5
Na=758.7 K=27.5 Mg=68.4 Ca=166.7 Al=0.3 Mn=0.9 Fe2=2.0 Li=0.6
F=0.6 Cl=654.2 SO4=465.4 HCO3=1161 メタケイ=98.7 メタホウ=18.5 遊離炭酸(CO2)=275.5 成分総量2853mg/kg (平成5年11月分析)

 文/画像 ガメラちゃん@takayama

97.いやさかの湯

2005-10-25 23:11:58 | 福島
いやさか温泉 食事処いやさか
東北自動車道矢吹中央ICから僅か5分の所にあるこちらの施設。
食事処に併設されております。
しかし温泉があることをあまり宣伝していないのでは?と疑ってしまうぐらい控えめに「温泉」と書いてあります。そのためここを知らなければそのままthroughしてしまいそう。
入浴料は300円だが食事をすれば無料で入ることもできます。またお風呂上がりの時間を指定しておけば入浴後すぐに食事が出てくるのでとても便利です。
入浴料を払いお風呂に向かう。途中は小学校の渡り廊下のようになっていました。

脱衣場
こちらには休憩用の椅子と三段棚にプラスチック製の籠が置いてあるだけのシンプルなものでした。

浴室
狭めの洗い場と内湯1、露天1とシンプルなものです。
お湯の色は透明な薄い黄色という表現はピッタリなのではと思います。
体を洗いまずは内湯。塩ビのパイプからドバドバとお湯が注ぎ込まれております。お湯に浸かるとツルツル感を一瞬にして感じられる。まるでお湯に包み込まれているような感触。思わずなんだろう?とお湯を手で擦り合わせてしまいたくなる衝動に駆られてしまいます。
また湯船で動くたびにお湯が容赦なく湯船から溢れ出します。鮮度感もあり清潔な温泉に入っているという実感がありました。体が熱くなったので露天に移動。
庭にお風呂を造りましたという感じであります。ベージュ系に白を混ぜたようなタイル張りの湯船。1つの浴槽で浅場(寝湯が可能)と深場の構成。こちらは内湯よりやや温め。体の中からじんわりと暖まる感じだ。ちなみに浴槽の中を歩くと滑りやすくなっておりますので要注意です。

飲泉してみると塩味にほんのり卵味を混ぜた感じでなかなかおいしい。硫黄の香りもしたような気がしました。上品なお味の温泉。
お湯から上がった後も体のホカホカは長時間持続し汗がポタポタと落ちてくる。それでも汗の引きが良いのでベタ付き感はありませんでした。体の状態が一段落したころには今度はお肌がスベスベしてきます。こんな温泉身近にあったら毎日でも通いたいなと思いました。

住所 福島県矢吹町文京197-1
営業時間11:00-20:00 入浴料 300円

泉質 アルカリ性単純泉 ph=9.22 45.8℃
陽イオン
Na^+ 105.3mg K^+ 0.2mg Ca^2+ 0.7mg Al^+0.3mg Fe^+0.1mg
陽イオン 計 106.6mg/kg

陰イオン
F^- 2.3mg CI 18.4 HCO3^-131.8 CO3^2- 46.8mg BO2^-8.1mg
陰イオン 計207.4mg/kg

非解離成分 メタケイ酸 41.2mg

成分総計 355.2mg/kg
<S63.12.13分析>

文/画像 えんぴつ


42.霧積温泉 「金湯館」

2005-10-23 00:40:38 | 群馬
碓氷峠を境にして、信州側と上州側では景色が一変する。
信州側の開豁な高原風景に対して、上州側は深い渓谷に岩峰がそびえ、南画を想わせる山渓の世界だ。そんな山深い霧積川の上流にこの名湯はある。
”霧積(きりづみ)”とはいい名前だ。実際、このあたりには深い霧がしずかに降り積んでいくような、ある種幽邃な空気が流れている。

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母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
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西条八十の”帽子”を冒頭に措き、一世を風靡した『人間の証明』でも、”霧積”という舞台が、ずいぶんとイマジネーションを駆り立てていたように思う。

ここは、明治中期には避暑地としてそうとうに賑わったそうだが、明治26年の信越本線開通により客足は次第に軽井沢に移り、明治43年には未曾有の山津波にみまわれ一帯が壊滅して、湯宿2軒を残すのみとなった今日では、往時の栄華をしのぶよすがもない。

「金湯館」は最奥にある湯宿でハイカーの利用も多い。付近は春の新緑、秋の紅葉がすばらしいところだ。
林道経由で車でのアプローチもできるが、手前の「きりづみ館」前のPに駐車して歩道を歩いていくことをおすすめする。やや登りのきつい道だが、20分もあれば到着する。

沢筋に面して建つ明治16年築の総ケヤキ造りの旧館は、手前に水車を配した堂々たる佇まい。玄関前には一軒宿お約束の温泉犬がうずくまっている。元気な大女将が切り盛りし、若い四代目夫婦とてきぱきとした若い衆がしっかりと支えている、居ごこちのよさそうな宿とみた。

廊下の奥の男女別の浴室は、タイル貼5~6人(男湯)の浴槽がひとつとシンプルなもの。
浴槽の大きさのわりに潤沢な量の源泉がそそぎ込まれているので、お湯の鮮度感がすこぶる高い。当然のように全量オーバーフローのかけ流しだ。

ややぬるめで無色透明の澄んだお湯だが、湯口付近は気泡で白濁し、かなりの量のアワつきがある。ふつうのアワつき湯は毛先につくことが多いが、ここの気泡はとても肌理がこまかく肌に直接つくので、浸かっているうちに肌が白味をおびてくる面白いものだ。

純度の高い石膏泉を裏づけるように、ほこほことした石膏味と石膏臭+甘いイオウ臭+微ミシン油臭の絶妙な温泉臭が香り立つ。アワつきのぬるぬるがきわ立っているのでヌルすべ湯に思えるが、本質は石膏泉系のキシキシの強いお湯だと思う。浸かるほどによさがにじみ出てくるような滋味あふれるお湯だ。
位置的には西毛ながら、重曹食塩泉系のお湯が多い西毛のお湯ではなく、むしろ北毛の流れの硫酸塩泉系といえる。諏訪峡、川古などとともに上州を代表する石膏泉だ。

すばらしい環境にすばらしいお湯、細く長い山道のドライブを決して後悔させない一湯である。

<霧積温泉 入之湯>
Ca-硫酸塩泉 40℃、300L/min、成分総計=1822.14mg/kg、Na^+=54.00mg/kg (8.95mval%)、Ca^2+=476 (90.60)、Cl^-=45.46 (4.83)、SO_4^2-=1181 (92.72) <S58.7.11分析>

「金湯館」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)(ちと古いですが・・・。なお、これを書くにあたって再訪しましたが、お湯のイメージはほとんど変わっていませんでした。)

文・画像 別働隊@うつぼ

18.柏天然温泉 「ゆの華」

2005-10-20 12:58:40 | 千葉
(写真は行方不明捜索中、いいのがあったら入れてやってくだせいませ)

柏市は近年発展いちじるしく、小田急線の町田、中央線の立川などとともに首都圏郊外の中核都市の地位を獲得している。ここ柏市には深深度掘削により3本の温泉が湧出し、日帰り温浴施設に利用されている。ゆの華、湯元長寿、極楽湯がそれで、いずれも化石海水型と思われる泉温40℃台の強食塩泉だ。ちなみに利根川と江戸川にはさまれた、柏、流山、野田あたりは強食塩泉のメッカである。

柏3湯のなかでもっとも古い「ゆの華」は、駅徒歩10分、しかもR16のロードサイドという好立地にある。42.0℃、700L/minという恵まれたスペックを誇り、玄関脇では源泉が流されている。老舗の施設らしく、スパ銭というよりはむしろ銭湯的な雰囲気がただよい、客層も落ち着いている。
1F「豊四季」と2F「トゥ・ムウン」の浴室があり男女交替制だが、1F「豊四季」の評判がいい。

温泉は露天でつかわれている。狭いながら立体的に構成されたバリエーションのある露天だ。成分で赤茶に変色した浴槽まわりが温泉気分を盛り上げる。
お湯はいかにも源泉槽っぽい左手の上段露天「上の湯」よりは、むしろ右手にある円形岩風呂や打たせ湯の方がいい。円形岩風呂は、以前はとなりの薬湯槽からの流れ込みがあっていまいちわかりにくいお湯(これはこれで面白かったが・・・)になっていたが、今は遮断されてピュアな源泉が楽しめる。

緑茶色のにごり湯はかなり個性が強く、金気と粘土系アブラ臭をともなう濃度感あふれるものだ。温泉臭のイメージは東鷲宮百観音温泉に近いと思う。重曹分も含んでいて、食塩泉のお湯に変化を与えているのもいい。
湯色、温泉臭、浴感と温泉の醍醐味を満喫できるお湯で、ついつい長湯してしまう。

柏では「長寿の湯」もアブラ臭香る良泉だが、湯づかいを含め総合的にみるとここが一番だと思う。
東京周辺の化石海水型温泉のエッセンスが楽しめるおすすめの一湯である。

「ゆの華」のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」))

Na-塩化物強塩温泉 42.0℃、pH=7.48、700L/min(1,200m掘削揚湯)、成分総計=19.13g/kg、Na^+=6650mg/kg (89.66mval%)、Mg^2+=167.5、Ca^2+=352.2、Fe^2+=2.1、Cl^-=11230 (98.21)、HCO_3^-=312.4 (1.59)、Br^-=42.7、I^-=11.0、陽イオン計=7247 (322.7mval)、陰イオン計=11600 (322.6mval)、メタけい酸=69.0、メタほう酸=189.3 <H11.6.16分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

□ 上塩原温泉 「河童」 (元100湯)

2005-10-19 21:54:58 | 元100湯
 上塩原温泉「河童」は、塩原温泉街からの国道400号線から塩原元湯の道へ入って直ぐの場所にある。元来は、すっぽん料理店がメインで、温泉はその付帯施設みたいな場所である。我々の温泉仲間は、なにやら怪しい雰囲気のB級温泉やこのような食堂の温泉が大好きである。何故かそのような温泉には、物凄くよい湯が多いので自然と足が向くことが多い。

 この100名湯プログでも、清津峡温泉「苗場館」(新潟)、いやさか食堂の湯(福島)、そしてここ上塩原温泉「河童」と3湯もノミネートしているが、全ての温泉についていえるのが、地域周辺のお湯より素晴らしいことなのです。
 日帰り温泉や旅館の温泉のように、大きな風呂を造る必要もないし、本業が食堂であるので、肩肘はらず自然体で、温泉を提供しているのがなによりお湯を浴しているのかも知れない。

 こちらの河童の温泉のいきさつが面白い、敷地内に大量の温泉が湧き、その温泉熱ですっぽんの養殖を始め、その後すっぽん料理店を始める。といったものが思考的には面白く、私の家の敷地内で大量の温泉が湧いたらどうしようかと考えると、旅館か日帰り施設を建設することしか考えられず、改めて発想の乏しさを実感できる。 河童の湯は、実は3回目の入浴である、1回目は温泉湯巡り仲間につれて着ていただいたが温泉自体のよさが気がつかなかったが、前回、今回とそのお湯使いやお湯のよさなどに感銘している。

 温泉の泉質はNa-炭酸水素塩・塩化物泉で、どっかで聞いた泉質名でしょうか、そう最近関東平野のあちらこちらで掘削しているスーパー銭湯や日帰り入浴施設のお湯の表示を同じではないでしょうか。しかし、塩原温泉地区は、完全に山の中の温泉、掘削も平野部みたいに、1500mなどとではなく、自噴または、ごく浅い井戸から湧出しているだろう。
 やはり関東平野の温泉と塩原のお湯は、お湯の力的には、かなり違う気がするのだが如何でしょうか?お湯は無色透明で、ほんとうにかすかに重曹臭はするが、不思議とこちらのお湯は匂いも少なく、ちょっと解りづらいお湯なのかもしれない。

 湯船は、2つで男女分けした内湯が2つ、程よくザコザコかけ流し湯で3人が定員の湯船にはかなりの鮮度感のあるお湯に浸かれる。重曹が主体なので、入浴中は急激なほてり感はこない、重曹泉は冷の湯と祝える由縁なのかもしれない。
 しかし入浴後がやはりここの温泉の最大の特徴である。温まり感が半端じゃなく凄く、その後数時間は続く、温まり感はきれいな重曹系の温泉でないと体験できないであろう。

 関東平野の温泉も自宅に近いこともあって度々利用することが多い、同じ泉質の温泉にも相当浸かっている。しかし、このように浅井戸の綺麗な重曹食塩泉のお湯はなによりも代えがたい、その深い温まり度は絶対に、平野の温泉では体験できないものである。関東平野のスパ銭が好きなかたは特に行って見る価値はあると思う。いつも入浴している温泉に似ているが何かが違うことに気がつくはずです、そしてそのことは、もっと温泉が好きになるにことなのである。 

塩原・上塩原温泉 源泉名 畑カッパ・上塩原9 泉温56.8℃ 湧出量341.5l/min PH7.3  ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉 (平成3年1月 分析)

Na=454.2 K=23.4 Ca=18.6 Mg=5.4 Mn=0.1 F(2)=0.3 F=1 Cl=394 S2O3=0.2 SO4=69.9 HCO3=573.8 メタケイ=153.7 メタホウ=40.4 CO2=46.8 成分総量1.735mg/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama

37.万座温泉 「豊国館」

2005-10-17 23:36:34 | 群馬
 万座温泉は、群馬県と長野県の県境に位置しており、上信越国立公園のほぼ中心に位置しており、万座温泉は国立公園の真っ只中です。廻りの景色は素晴らしく、春夏秋冬何時の季節に訪れていても、心動かせる大自然がある。

 冬は、雪氷の世界があり万座山山頂に代表される樹氷があり、その寒さは本州のなかでも特に厳しく、かつ美しい景色は息を呑むほどです。春の新緑や秋の紅葉の時期もよく、雄大な万座の風景とマッチしていて、この時期が好きな方も多いだろう。万座は標高1800mでおそらく温泉郷として(一軒宿はあるが)は日本最高峰の場所にある、それに伴い避暑としての万座温泉は別天地なので、木陰で涼みたい。

 万座温泉の歴史は幕末の時代からという、ここ富国館(ホウコクカン)は万座温泉のなかで3番目に古い宿である。今のように道路が発達していない時代は、群馬県の温泉ではあるが、長野県の須坂市から、山田温泉を抜けて万座峠越えで万座の地に湯治客が訪れた。当然徒歩で訪れたのだから、困難な道のりであったのに違いない。そのような歴史から、長野の温泉の雰囲気の温泉ではないかとふと思う。
 私は群馬の温泉地を数多く訪れているのだが、近くの草津温泉にしろ伊香保温泉にしろ群馬気質なのか、どちらかというとこせこせしている雰囲気があるが、万座温泉はおおらかさを持っているのが信州温泉らしさを感じるのはその理由かもしれない。

 温泉は、硫黄泉である、ここの豊国館のお湯も硫黄成分(H2S)が120mg/kgを超える硫黄泉とういと2mg/kg以上からなので、その60倍の硫黄濃度である。ちなみに奥万座温泉は100倍以上)これは、日本有数なる硫黄含有量の多い温泉である。主温泉成分は、Na-SO4の芒硝泉が主体であるが、こちらはマグネシウム成分もかなりあるので正苦味泉の要素もある。

 豊国館は内湯が男女別の2つ、女性用の露天風呂が1つ、そして混浴の露天風呂が1つでその混浴風呂の大きさは50人位は入浴出来るかもしれない大きさである。お湯の色は露天風呂は、乳白色しており、内湯も露天風呂程でないが薄い白色である。明らかに、露天風呂より内湯の方が鮮度感があり、匂いも内湯がクリーミーな硫黄臭であるが、酸化の多い露天風呂はこげ硫黄臭となり、風呂の大きさでこれほど匂いの違いがあるのも面白い。

 さて露天風呂と内湯はどちらがよいかと、これまた人によって評価がわかれるところで、この100名湯プログで再三かいているとおり、鮮度感の高い湯がよい湯という方向であるが、お湯が劣化(酸化)しているお湯も硫黄泉ならではの格別な味わいがある。お湯がやわらかくなるといった浴感が増す効果がある。

 しかし万座温泉のお湯は他の酸性泉と比べ、非常に穏やかなお湯であり、意外と刺激することが少ない、個人的感想ではあるが、メタケイ酸成分の多さにその要因が含まれているのかもしれない。万座温泉は景色、温泉の質全てに我々を満たしてくれる。一番好きな温泉はと聞くと万座温泉という温泉ファンも多い。確かにうなずけるものが万座温泉にはある。私は今回、万座の湯に浸かりちょっと放心状態になったほどです。それほどよい湯なのであります。
 
源泉名 記入漏れ 泉温75.8℃ PH2.04 酸性・含硫黄ーナトリウムー硫酸塩泉(硫化水素型) 平成10年10月分析
Na=105 K=45.5 Mg=44.4 Ca=41.1 F(Ⅱ)=6.17 Mn=4.05 Al=13.7 H=9.1
F=1.1 Cl=151 SO4=784 HSO4=132 H2S=120 メタケイ=155 メタホウ=14.9 H2SO4=1.68
成分総量1.63g/kg
文/画像 ガメラちゃん@takayama

□ 雲見温泉 「赤井浜露天」 (元100湯)

2005-10-17 22:31:38 | 元100湯
伊豆の西海岸を南下する。
松崎を過ぎると民家もまばらになり、切り立った海岸沿いの道は適度な起伏と小気味よいコーナーが連続する。前門にトロイ牛、後門に煽る狼がいなければ快適なドライブが楽しめる。

雲見露天風呂は雲見の集落の手前、赤井浜の入り江の途中にある。
白いペンキがハゲチョビンなトーチカのような建物。中はガランとして何もなく、備品と言えるのは脱衣用の棚とスノコ程度。
トーチカの先にテラス状に張り出した、岩を積み上げコンクリートで固めたような露天風呂がただ1つである。
無色透明、強ニガ潮味、無臭。
トポトポと注がれる湯口の落としこみのところではピンピンとハジケているが、全体ではアワつきなし(と思う)
色々な浮遊物あり。
以前の記憶ではヌルヌルした肌触りかと思っていたが、ヌルヌルしていたのは黒光りするメタリックな湯船の底だった。
温めな湯は長期戦向きかと思いきや、けっこうな温まりがある。
初秋とはいえ天気も穏やかで日差しもあったその日は、湯縁で涼んだり湯にどっぷり浸かったりの繰り返しとなった。
紺碧の空と群青の海。のんびり潮騒を聞きながら、銭湯のタイル絵のような景色を堪能した。

<注意>
この浜辺はダイビングスクールの休憩ポイントでもあるようです。タイミングが悪いとウェットスーツを着た人達が暖をとりにやってきて、裸で入浴していると「無防備なワタシ」を実感させられます。

泉質:含塩化土類食塩泉(しずおか湯めぐり 露天風呂・温泉256選より)
料金:無料
使用期間:6月中旬/9月中旬(入口の看板に掲示)
駐車場:50mほど雲見よりに下った所に5台程度おけるスペースあり。

文 福沢 湯キチ
※2005年9月の入浴メモより

53.鬼怒川温泉 「鬼怒川仁王尊プラザ」

2005-10-16 02:51:38 | 栃木
栃木を代表する温泉郷、鬼怒川温泉は、歴史はまだ浅く江戸時代で日光詣での大名や僧侶しか入浴が許可されていないよう独特の温泉文化が発達して、明治時代に入り鉄道の開通とともに、ようやく現在の形になったためか、古くからの共同湯などが無いのはその影響がおおいのか、早くから近代的な温泉街を形成していたのであろうか、古くからの庶民のための湯治的ムードはあまりない。

 東武鉄道の鬼怒川駅への開通とともに、高度成長の波に乗り、バブル経済のリゾートブームにも乗り次々に、大型旅館が建設されたのも、ここ鬼怒川温泉にとっての歴史の一部なのかもしれない。

 さて、ここ鬼怒川仁王尊プラザであるが、新しい鬼怒川温泉でえはあるが、更に新しく開発した温泉で、ここと高徳地区は鬼怒川で一番新しく開発された地域であるが、なにを隠そう湯治的要素の高いのが、こちらの新興地域なのである。
 新高徳温泉の「民宿まつや」も地元の日帰り客と常連さんの宿であるし、特にここ「鬼怒川仁王尊プラザ」は、その常連度は更に高い、毎回入浴時にいろいろなお話を他のお客さんと話しているのだが、首都圏から車や電車で、月に何度も通ってくる常連さんも多く、ここの温泉のよさに惚れて、通い続ける人も多い。
 
 今回も埼玉から10年以上でしかも毎週通ってくる常連さんとの長話をしたのですが、同じような人が多いこと、昔はバスの団体さんでお越しのなって、混雑していることなど、ここの温泉が一番なことなどを、嬉しそうに話をしていたことが、印象に残っている。
 
 相変わらず、前置きが長くなってしまったが、鬼怒川仁王尊プラザは、ともかく得体の解らない施設で、もう私も10回くらいは訪れているのだが、いっこうにその正体が解らない。施設を見渡しても、お茶と急須を売る店があり、実用新案「回転急須」なるものが存在するし、いつもは開いてないのだが突然店を開ける中国漢方の健康食品の店やたまにしか開いていない喫茶店や保険の効く接骨院(ここは名医)など、怪しくかつ興味深い店が1つのビルの中にあり、ここ鬼怒川仁王尊プラザを訪れるお客さんを対象にしている。全てがB級的雰囲気を醸し出している。

 温泉施設としても、名前の由来となっている仁王尊2対が施設の北東方向に鎮座しており、温泉の守り神になっている。ちなみに、このように菩薩や観音様などや弁天様のような七福神などを祭っているところは、温泉施設に多いが、ここの仁王尊のように5mくらいありような巨大なものは、数少ない。
 他にも、鱒つり場もある巨大な池や、バーベキューハウス、はては犬猫の宿泊施設も完備しているように、雑多なものや意外性のあるものが、かなり広い施設内に点在していて、B級ワールドが炸裂している。(笑)

 温泉は、そのB級温泉に反して、上記に書いた常連さんが通い詰めたよう、素晴らしい温泉で、何百回と入浴しても、そのお湯のよさを裏切られることは少ない。私の感想では、なんといってもアルカリ性の温泉のよさが立証される。PH9.6、日本でも数少ない強アルカリ性(PH9.9が最高位)のお湯で、しかもこれだけアルカリ度が高いとかなり刺激するお湯であるが、鬼怒川仁王尊プラザは、他の温泉成分と泡つきのよさか、どちらかというと穏やかな入浴感で、何時までも入浴できる感じがする。

 匂いは湯口は硫黄臭を感じるが、穏やかなたまご臭、味もたまご味だがやはりほのかに香る味ががぼやけたものではない。入浴後はやはり芒硝泉的な温まり方をするので、頭の芯から汗が出るほどで、軽やかででもしっかりとした温まり感で、私のとって一番の温まり感です。ともかくここのお湯は通い詰めたくなるお湯、何百回と訪れる常連さんが頷けるほどの名湯、鬼怒川温泉はいまいちと思われる方は是非入浴してほしい。鬼怒川いや温泉の価値観をも変える良泉である。
 電車では、東武鬼怒川線「小佐超駅」より徒歩12分、東武スクエアより線路の反対側に入り道沿いを行く。

源泉名 鬼怒川仁王尊の湯 アルカリ性単純温泉(Na-SO4・Cl型)泉温39.4℃ PH9.6 
Na=91.1 K=0.4 Ca=5.5 Mg=0.1 F=10.6 Cl=40.9 HS=0.4 SO4=61.9 HCO3=20.7 CO3=22.9 メタホウ=11.9 OH=0.7 メタケ=46.9 成分総量0.314g/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama

□ 霊泉寺温泉「共同浴場」 (元100湯)

2005-10-13 23:14:42 | 元100湯
上信越道東部湯の丸ICから約30分。霊泉寺川沿いの山に囲まれた霊泉寺温泉。
平安時代、平維茂が戸隠山の鬼女退治の帰りに傷を癒したという伝説があるそうです。数件の宿と共同浴場が1つあるのみの小さな温泉街。その中の共同浴場を紹介したいと思います。

霊泉寺温泉無料駐車場より歩いて3分ぐらい。床屋のような外観。
入口に白字で「霊泉寺温泉共同浴場」と書いてある。これがなければ通り過ごしてしまいそう。
入浴時間はAM7:00~PM21:00、入浴料は100円。番台の横に下駄箱あり。
番台でおじさんにお金を払い中へ入る。
脱衣場はいたってシンプル。箱ロッカーと休憩用の椅子があるのみです。

浴室はかなり広め、左側にはカラン列があります。
また、奥の壁が全て窓になっているため柔らかい日差しが浴室に注ぎ込みほどよい明るさを演出。湯船は1つ。群青色のタイルで作られています。意外と深さがあります。お湯は無色透明。お湯からの香りは特にしませんでした。湯口から大量に源泉が注がれています。掛け湯をしてみるとやや熱め。寝起きの体を起こすには丁度良い温度だと思いました。湯口付近の湯底はR型になっており座り易くしてありました。湯船に浸かるとお湯がそこら湯船から惜しみなく溢れ出します。なんとも贅沢なお湯使い。お湯はさっぱり系ですが抵抗感みたいなものを感じましたがとても入りやすいお湯なので気に入りました。長時間お湯に浸かってじっくりとお湯の感触を楽しみたいなと思うお湯でした。


泉質 アルカリ性単純泉(アルカリ性低張性高温泉)pH=8.9 43.8℃
Li^+=0.02㎎ Na^+= 80.6㎎ K^+=1.3㎎ Mg^2+=0.03㎎ Ca^2+=213.8㎎
Sr^2-=1.0㎎ Ba^2+=痕跡 Fe^2+=痕跡 陽イオン計296.3㎎
F^+=1.0㎎ Cl^-=36.0㎎ OH^-=0.1㎎ HPO4^2-=痕跡 SO4^2-=620.3㎎
HCO3^-=10.4㎎ CO3^2-=2.4㎎ 陰イオン計670.7㎎
メタケイ酸=28.2㎎ メタホウ酸=0.6㎎
成分総計 996.3㎎/㎏ <H14.12.26分析>

文/画像 えんぴつ

■ 渋の湯 「渋の湯ホテル」 (殿堂 長野/佐久・諏訪)

2005-10-12 20:28:09 | 長野
 渋の湯温泉は、茅野市より八ヶ岳西麓へ向かい、湯道街道といわれる道を渋川ぞいに北上すると奥蓼科温泉郷といわれる温泉が点在する。明治温泉、渋・辰見館、渋御殿湯とともに奥蓼科温泉郷は、炭酸水素鉄泉や酸性硫黄泉など、個性的なお湯が点在している。渋の湯温泉はそのどんずまりに位置しており、八ヶ岳の天狗岳の登山口の温泉で、こちらからは天狗岳までは、登り3時間30分くらいで頂上に到達する。ちなみに八ヶ岳は、3000m級の山々が鎮座しており、日本アルプスとともに、日本有数の山岳地帯である。

 渋の湯あたりでは、なんといっても自然の宝庫である、今回訪問したときも、日本鹿が、道路から飛び出し、ガードレールを乗り越えていったほどであり、動物の気配のある自然豊かな場所で、廻りの木々もありのままに密集しており、色ついて紅葉やまぶしい新緑など、その風景はさぞかし印象深いものであろう。

 渋の湯につくと、駐車場から硫黄の香りが立ち込め、硫黄主体の温泉だとわかり入浴する前から、期待させる。宿は登山客と湯治客両方にも対応しているような佇まいであり、浴場は完全なる湯治場の雰囲気がたっぷりで、湯口の硫黄の痕跡が更に鄙び系の味がする。お風呂は2つ上が加熱槽で、下が温い源泉槽であり宿のご主人は交互入浴を勧める。

 温泉はPH2.5くらいの酸性泉で、硫黄成分なのか湯の花がたっぷりと舞っており、かき混ぜると、白濁ぽくなる。加熱槽はこのお湯を加熱しているのだろうか夕方でよく色は確認できなかったが鉛色?みたいな気がする。入浴時は結構なお客さんがいて、加熱槽はいっぱい、源泉槽にも1人分しか空いていないので、声をかけて入浴する。お湯は酸性泉で硫黄成分も10mgもあるので、やや強いお湯である。しかし、源泉温度も低いので長時間入浴が出来る。

 私は、温泉の出会いの要素としてあげられるのは、子供のころからのアトピー性皮膚炎で現在でも悩まされている。その中で、酸性泉については、諸刃の剣で、草津や万座などでときたまりバンドしてしまうほどである。温泉成分的には似たようなところがあるが、やはりこちらの特徴は温い湯である。体感温度を入浴後にご主人さんに聞いて33度位かなと質問すると、27度とのことである。
 いつもなら殆ど、体感温度と実際の温度に相違は少ないはずなのに、これにはびっくりしています。

 このような源泉温度の低い酸性泉の湯使いをしているのは珍しいものです。当然アトピー性皮膚炎によいとされている酸性泉が、草津などの高温泉では、短時間入浴となって、よくなる前に上がってしまうのかもしれません。このように冷たい酸性泉は比較的体に負担が少なく、長時間入浴も可能なお湯は水虫や慢性皮膚炎にはよいかもしれません。私も皮膚炎が軽くなったような気がしますが、真意は定かではありません。

 加熱槽があいたので、最後に入浴するが、これが絶妙によい湯で、なまり気味のよい味がでていて、コゲカルシウム臭みたな香りがしていて、かなりマニアックです。渋の湯は2度目の入浴で、1回目より更によい、3回目の更によくなるのであろうか、このように段々と渋の湯のよさがわかってくるのは、楽しいもので皆様にもこの喜びを伝えたい。 

奥蓼科温泉 源泉名 渋の湯源泉 源泉温度27.2℃ PH2.72 単純酸性硫黄泉
H=1.7 Na=98.0 K=17.7 Mg=5.4 Ca=21.1 F=0.5 Cl=141.6 SO4=192.6 メタケイ=108.5 メタホウ=8.9 CO2=670.6 H2S=21.4 成分総量606mg/kg (昭和55年12月分析)

文/画像 ガメラちゃん@takayama