小さな子どもを持つ親にとって、エスカレーターは事故の起こりやすいとても危険な場所というイメージがあると思います。
エスカレーターで生じる事故のうち、
・乗降口でつまずいたりして転倒する
・エスカレーターが何らかの原因で急停止し転倒する
・手すりの上に身を乗り出したりして転落する
等といった事故については、その態様を明確に思い描くことが出来ます。
ところが、小さな子どもの事故として、よくエスカレーターの踏板(ステップ板)や手すりに足や手が巻き込まれて指の切断等を生じてしまうといった恐い話を耳にするのですが、私には正直その態様がイメージしにくいところがあります。
というのも、エスカレーターに乗って踏板(ステップ板)や手すりをじっと見てみても、人の指が巻き込まれるような隙間などないように見えますし、降口付近で踏板間の上下段差が徐々になくなっていく動作などを見ても踏板と踏板の間、踏板と降口との間に足の指がはさまるような隙間が生じているようには見えないからです。
そこで、ちょっとエスカレーターにおける過去の事故の記事等を見てみたのですが、実際に生じている事故と自分のイメージとには齟齬があることに気付きました。
まず、少し前に大きな社会問題とあった樹脂製のサンダルを履いた状態での巻き込み事故などをみますと、態様としては、踏板の側方とサイドの壁との間にサンダルが挟まることで巻き込みが生じることが多かったのですね。
たしかに、あらためて見てみますと、エスカレーターの踏板の側方にはほんの少しだけ隙間があるように見えます。
私はてっきり、巻き込まれてしまうのは踏板の前方とばかり思っていたのですが、側方(横)も危険だったのですね。たしかに、エスカレーターの踏板には黄色い線が横にも描かれています。
もちろん、踏板の前方や後方でロングスカート等が引っ掛かって巻き込まれてしまう事故もあるようですので、前後左右とも、踏板の黄色い線の内側に立つことは大切ということになります。
次に、手すりに手の指が巻き込まれる事故について、エスカレーターの乗降口付近で手すりベルトがU字型に曲がって下で吸い込まれていく箇所(吸い込み口)で幼児が手を巻き込まれて指を切断してしまったという事故がとても気になりました。
大人の目線からは乗降口付近の手すりベルトの吸い込み口などには通常目がいかないのではと思いますが、しゃがみこんで見てみると、確かに、そこにはちょっとした隙間があり、好奇心旺盛な子どもが思わす手を入れてしまいたくなるような雰囲気があって、とても危険な個所にみえます。
エスカレーター付近で子どもがひとりで遊ぶのは危ないということを実感させられます。
上に書いてみたような事故態様は一部であって、エスカレーターの事故態様にはもっといろいろなものがあるはずで、日頃、普通に乗っていては思いもしないような形で事故が生じるのだと思います。
そして、サンダルの巻き込み事故などでは3歳から5歳までの幼児が75%を占めているようで、やはりエスカレーターでは小さな子供の事故が多いようです。
よくアナウンスで流れていますが、
「エスカレーターご利用のお客様は、ベルトにおつかまりになり、黄色い線の内側にお乗りください。小さなお子様をお連れのお客様は、手をつなぎステップの中央にお乗せください。ベビーカーは危険ですのでエスカレーターでのご使用はご遠慮ください。エスカレーター付近で遊んだり、エスカレーターから体を乗り出したり、駆けあがったりは、大変危険ですので、おやめください。」
今は、無駄なく大切なことが言い尽くされているように聞こえます。
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