弁護士パパの子育てノート

3人の子供の子育てにかかわる日常の中で、「これってどうなんだろう?」と考えたことをいろいろと記してみたいと思います。

子連れ山登り ー高尾山と陣馬山

2015-11-30 14:48:30 | 山登り
先の週末、久々に天気が良かったので、家族で高尾山に登りました。

人気の高尾山はいつも人が多いので、閑散とした場所を好む我が家(私?)の足は向かず、実に7年ぶりのことでした。

1歳の娘を背負い、4歳の次男を歩かせて登ることもあって、高尾山口から安全とされる1号路(表参道コース)を使って登りました(往復約8キロメートル、標高差約400メートル)。

学生さん達、年配の方々、外国人の方々、子ども連れ家族の方々・・、たくさんの人たちに囲まれながら、ワッセ、ワッセと登り、山頂では綺麗な富士山を眺めることが出来ました。


    
この1号路、前半はかなり急な勾配が続きますが、途中からはずっとなだらかな道が続きますので、陣馬山などと比べると、子ども連れには優しい登山コースといえます。

また、高尾山の1号路は、道の大半が舗装されており、また、危険そうな所では手摺が設けられたりしていますので、他の山と比べて転倒や滑落の危険性もかなり低いのではないかと思います。

途中で足を痛めたり、子どもがギブアップしてしまうような場合には、標高差の大半を埋めてくれるケーブルカーやリフトもありますので、こういった面からも安心です。

子連れ家族が多いのもうなずけます。

ただ、なんといっても人が多い!(さすがミシュランの三ツ星です。)
道中も山頂も、ここは渋谷か新宿かといった感じの人の数でした。

高尾山に小さな子どもを連れて登る場合には、決して子どもと離れず、迷子にさせないことが大切だと思いました。


実は、我が家は、今年の5月に陣馬山にも挑戦しています。

陣馬山は、子ども連れの山登りに関するガイドブックなどでは、高尾山とともに初心者向けの山として紹介されています。
  
この陣馬山も陣馬登山口からなだらかなコースとされている一ノ尾尾根コース(往復距離約9キロメートル、標高差約650メートル)で登りましたが、それでも、登り降り、登り降り、登り・・・これでもかという感じで、かなり疲れました。

それだけに、山頂に着いたときの達成感、爽快感は格別なものがありました。

人もそれほど多くないので、心から自然を満喫できます。



しかし、この陣馬山、登りの際は必死だったのであまり気にする余裕がありませんでしたが、降りる際に注意してみると、一ヶ所、とても細い道で、かつ、片側(谷側)が切り立ったようになっている、滑落したらと思うとヒヤッとさせられる箇所がありました。

この箇所を見て、あらためて、小さな子どもを連れて山に登る際の鉄則である

・必ず、子どもが山側、大人が谷側を歩く。
・子どもと離れず、出来るかぎり手をつなぐ。

ことの大切さを実感させられました。


山登りは、自然に囲まれて精神的なリフレッシュになりますし、素晴らしい肉体鍛錬にもなりますが、特に子どもを連れて登る際には、事前の情報収集によって登山コースの性質を知ること、現地でも親が常に危険に対して注意を怠らないことが大切だと思います。

いろんな山がありますが、子どもにも優しい山を見つけて楽しんでいきたいですね。







マンションベランダでの喫煙

2015-11-23 06:53:46 | ご近所
最近、社会的にタバコの受動喫煙による人の健康への悪影響が問題視され、とくに子どもは、呼吸器や中枢神経などが未発達なので身体への影響を受けやすい(新生児や乳幼児はなおさら)ことが指摘されています。

そのため、子どもが生まれたのを機に煙草をやめた方も多いでしょうし、室内での喫煙を禁じられベランダ等でこっそりと喫煙するようになった方も少なくないのではないかと思います。


ところが、このベランダでの喫煙、最近、マンションなどで近隣住民との間でのトラブルの原因となっているとの話をよく耳にします。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、マンションベランダでの喫煙に関する裁判例もありました(名古屋地裁平成24年12月13日判決)。

この裁判例は、マンションの下階に住む男性が、上階に住む女性から、ベランダでの喫煙をやめるよう何度も申し入れられていたにもかかわらず、ベランダでの喫煙を止めなかったとして、精神的損害等の賠償を求められていたものです。

判決では、
「自己の所有建物内であっても、いかなる行為も許されるというものではなく、当該行為が、第三者に著しい不利益を及ぼす場合には、制限が加えられることがあるのはやむを得ない。」
「喫煙は個人の趣味であって本来個人の自由に委ねられる行為であるものの、タバコの煙が喫煙者のみならず、その周辺で煙を吸い込む者の健康に悪影響を及ぼす恐れのあること、一般にタバコの煙を嫌う者が多くいることは、いずれも公知の事実である。」
「マンションの専有部分及びこれに接続する専用使用部分における喫煙であっても、マンションの他の居住者に与える不利益の限度によっては、制限すべき場合があり得るのであって、他の居住者に著しい不利益を与えていることを知りながら、喫煙を継続し、何らこれを防止する措置をとらない場合には、喫煙が不法行為を構成することがあり得る。」
との判断が示され、

原告の女性が、喘息をもっているのでタバコの煙によって強いストレスを感じていることを示しつつ、重ねて中止を要請したにもかかわらず、被告の男性がベランダでの喫煙を止めなかったこと、被告男性がベランダで一日に吸うたばこの数量が少なくなかったこと等から、被告男性のベランダでの喫煙継続が不法行為にあたると認定され、被告男性が原告女性に対し5万円の慰謝料を支払うことを命じました。

この裁判例は、原告女性に喘息の持病があったことや原告男性のベランダでの喫煙本数が少なくなかったこと等、具体的事情が考慮されており、ベランダでの喫煙がただちに不法行為となると判断しているものではありません。

認容された損害の額も5万円と必ずしも大きいものではないかもしれません。

しかしながら、ベランダでの喫煙が、態様次第では不法行為に該当することが明確に示されていることから、今後も、近隣住人の方からのクレームが増えることは予想されますし、同種の訴訟等が起こされる可能性も大きいのではないかと思います。

騒音問題やゴミの問題などもそうですが、ご近所との間でトラブルを生じた際の精神的なストレスの大きさを考えると、マンションベランダでの喫煙は割に合わないことであって、やめたほうがいいように思います。


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入間航空祭とブルーインパルス

2015-11-14 06:54:57 | 子育て
先週、航空自衛隊の入間基地で行われた入間航空祭に行きました。

噂には聞いていましたが、ものすごい人出でした。

なんでも毎年20万人以上の人出があるとのことで、渋谷区あたりの住民数を超える人たちが集まっていたようです。


そんな人の多さもまったく気にならない程、航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」の展示飛行は素晴らしいものでした。

そのスピードと迫力に、子ども達も目をまるくして見とれていました。




緊密な編隊を組んでの曲技飛行など見ていていると、どうして編隊の形が崩れないのだろう、ちょっとした操作ミスで衝突したりしないのだろうか、といった気持になります。




気になったので、のりもの倶楽部で「ブルーインパルスの科学」という本を買って読んでみると、各機が1番機(編隊長機)の機体の形から導かれる2本のラインが交差する位置に自分の機体を置くことで編隊の形は保たれているとのこと。

そのため、パイロット達は編隊飛行中、前方ではなく1番機(編隊長機)の方向を注視しながら飛行しているとのことです。




たしかに、高い技術とパイロット間の完全な信頼関係がなければ出来ないことだと思います。


広い青空にすーっと白いスモークが引かれていく、そんな美しい情景の中にも張りつめた緊張感があって、身が引き締まる思いでした。












オールフリーvsドライゼロ

2015-11-08 08:15:27 | 子育て
もともとはお酒が好きだった妻ですが、8年前に長男の妊娠が発覚して以降、3人の子どもの妊娠、授乳の期間のたびにお酒を控えています。

そんな妻が長いこと愛飲しているのが、ノンアルコール飲料のサントリー「オールフリー」。

馴染み深い商品になっていますが、先週、このオールフリーを製造販売しているサントリーがライバル商品のノンアルコール飲料「ドライゼロ」を製造販売するアサヒビールに対して特許権侵害に基づきドライゼロの製造や販売の差し止めを求めていた裁判の判決がありました(東京地裁平成27年10月29日判決)。

報道等によると、サントリーは、ノンアル飲料の成分についてエキス分や糖質、酸性・アルカリ性の程度を示すpH値などを一定の範囲内とすることでノンアル飲料であっても飲み応えを出すことができる製法につき特許権の登録を受けていたところ、アサヒ「ドライゼロ」の成分がサントリーの特許の範囲内にあるとして製造販売の差し止めを求めていたとのことです。

その判決が出たわけですが、裁判所は「サントリーの特許は既存商品から容易に発明できるものであって進歩性がなく、特許は無効にされるべきである。」と判断しサントリーの訴えを棄却しました。


この話を妻にすると、すぐに「じゃあ、特許って一体何なの?」という素朴な疑問が返ってきました。

特許庁にわざわざ申請して特許権を認めてもらっているのに、その特許権を侵害されたとして裁判を起こしたら裁判所では特許は無効と言われるなんて矛盾した話ではないかというわけです。

なるほど。妻の言うことにも一理あると思います。

ところが、実際には、特許権侵害訴訟において、特許権の登録を受けている権利者側が勝訴する割合は勝訴的な和解のケースを含めても5割に満たないといった話を聞きます。
今回のケースのように裁判を起こしたところ「特許は無効」と判断されてしまうことも結構多いようです。

特許庁の審査官と裁判官とで考えが異なることもあるでしょうし、裁判では特許申請手続よりも慎重に審理が行われ、訴えられた当事者も特許を無効とすべき事情や裏付け資料を見つけようと必死で争うであろうことなどが原因として考えられますが、特許権として権利が特許庁で登録されていても決して安心してはいけないということになるのでしょう。

特許権侵害の訴訟では、侵害行為の全面的な差止めが認められることもありますし、侵害行為による損害賠償の額も、例えば侵害者側が侵害行為によって得た利益の額と推定されたりすることから、きわめて多額なものとなる可能性があり、それこそ会社の命運を背負った争いになることも多いところです。

中々しんどい世界だと思います。

このたびの判決報道をみてから、コンビニやスーパーの棚で仲良く並んでいるオールフリーとドライゼロを見るたびに関係者の方々のご苦労を思ってしまいますが、やはり「どっちが美味しいのだろう?」との興味も感じないではいられず、飲み比べてみるため思わず両方に手を伸ばしてしまいます。


                            
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子どものケンカ3 -学校の責任

2015-11-03 06:36:47 | 子どものケンカ

先日書きました「子どものケンカ1」「子どものケンカ2」では、子どもが暴力行為によって第三者に傷害を与えてしまった場合の親の責任を考えてみました。

では、子どもが学校内のケンカで他の子どもに怪我をさせてしまったような場合、学校の責任はどのように考えられているのでしょうか。

民法714条は、1項で、責任無能力者(小学生など)を監督する法定責任者(親権者など)は、監督義務を怠らなかったことを立証できなければ、責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する義務を負うと規定していますが、2項で、監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者(親権者代理監督責任者)も同様の責任を負うと規定しています。

保育士や教師は、この親権者代理監督者責任(民法714条2項)を負っています。

ただし、親権者は子どもの生活全般について監督責任を負いますが、教師の監督義務は、学校における教育活動およびこれと密接に関連する生活関係に限定されると考えられています。

有名な裁判例で、小学校6年生の児童が同級生と学校内で決闘をし、左目付近を殴ってほとんど失明に近い状態としてしまったという事案がありますが、裁判所は、放課後に教職員の目を盗んで行われたけんかであって教育活動およびこれと密接に関連する生活関係から生じたものではなかったこと等を理由として教職員の監督義務違反を認めませんでした(大阪地裁昭和50年3月3日判決)。

また、教師も親と同様、監督義務を怠っていなかったことが立証されれば賠償責任を負わないとされています(民法714条1項但書)。

この点、教師の監督義務については、一般的に、
(1)児童・生徒の年齢が低いほど教師の監督義務の範囲は広がる。
(2)日頃から問題を起こしている生徒らについては格別の注意を払う必要がある。
(3)加害行為に使用される恐れのある危険物については、保管に格別の注意を払う必要がある。
と考えられています(※)。

「子どものケンカ1」で紹介した、小学校6年生の児童が授業中に手に持って振った鉛筆が他の児童の目に刺さった事案に関する裁判例(千葉地裁平成24年11月16日)でも、加害および被害児童が日頃から問題があり注意して監督しなければならないような児童であったか、学校で鉛筆の持ち歩き方や彫刻刀・カッター等の取り扱い方等の指導が行われていたかといった点が考慮されるとともに、加害行為前の状況や加害行為に要した時間からみて担任教師が児童の加害行為に気付くことが出来たといえるかどうかが検討されています。

上記、教師の監督義務について一般的に考えられている事項のうち(2)、(3)のあたりなどは、授業参観などで、親も気になってどうしても着目してしまう事柄のような気がします。


※坂東司郎氏ほか「学校生活の法律相談(全訂版)」、289頁参照

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