弁護士パパの子育てノート

3人の子供の子育てにかかわる日常の中で、「これってどうなんだろう?」と考えたことをいろいろと記してみたいと思います。

手書きの遺言書(自筆証書遺言書)ー絶対にこれだけは守らなければならない決まり事(ルール)

2018-10-08 04:06:00 | 相続

先週、どういうわけか、各種の相談の中で、手書きで作成された遺言書(自筆証書遺言書といいます)を目にする機会が多かった。

手書きの遺言書を目にすると、私は他人様のことながら、ドキドキしてしまいます。

手書きの遺言書は、下の例のように、内容的には、遺産の全部を法定相続人のうち誰か一人に相続させる、といった単純明快なものが多いのですが、ちょっとした形式的なミスによって無効(ただの紙切れ)となってしまっているケースがあまりに多いからです。

(例)「遺言者は,遺言者が有する一切の財産を,妻山田花子(2000年1月1日生)に相続させる。」


そこで、私自身の備忘の意味も込めて、以下のとおり、手書きで遺言書を作成する際に絶対これだけは守っておかなければならない形式的な決まり事(ルール)を整理しておきたいと思います。


手書きで作成される遺言書(自筆証書遺言書)の形式的な有効要件は民法968条で定められています。

(自筆証書遺言)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

この規定から、遺言書を手書きで作成する場合、以下の決まり事(ルール)が認められます。

1 自筆証書遺言書はその全てを自ら手書きで書かなければならない。
・ 一部でもワープロを使用してはならない
・ 代筆も許されない。

2 遺言書には遺言書を作成した日付を書かなければならない
・ 日にちまで書かなければならない。

3 遺言書を作成した人の氏名を書かなければならない。
・ 遺言書は一人ごとに単独で作成する必要があるので、誰かと共同で作成してはならない(民法975条)。

4 印(ハンコ)を押さなければならない
・ 印は実印ではなく認印でもよいが、死後、遺言の信憑性につき相続人間に無用の争いを生じさせないため、出来る限り実印を使用すべきである。スタンプ式の印 (シャチハタ)は可能な限り使用しない。

5 書き損じたりした場合には、新しく作り直す
・ 上記民法968条2項に書かれた方法(訂正印の押印等)で訂正することも出来ますが、絶対に一から作り直すべきです。


以上は手書きの遺言書(自筆証書遺言書)を作成する際絶対に守らなければなりません


その他、自筆証書遺言書の有効要件ではありませんが、以下の点も大切なところです。

(1)手書きの遺言書は、作成後の偽造や変造等を防止するため、封筒に入れて封印する。(封印に用いるハンコは遺言書作成に用いたものと同じものを使用する)。

(2)遺言の内容が複雑な場合には、
・ 弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に条項を確認してもらう
・ 公証役場で公正証書遺言書を作成する
・ 本やネットで遺言書の適切な文言をきっちりと確認する
  等により、遺言書の条項に誤りがないようにする。


以上、手書きで遺言書を作成される場合、是非ともご留意いただきたいところです。


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