弁護士パパの子育てノート

3人の子供の子育てにかかわる日常の中で、「これってどうなんだろう?」と考えたことをいろいろと記してみたいと思います。

手書きの遺言書(自筆証書遺言書)② -遺言者の死亡後、必ず行わなければならない手続 (検認)

2018-10-14 11:18:09 | 相続

前回、手書きで遺言書(自筆証書遺言書)を作成する際に絶対これだけは守っておかなければならない決まり事(ルール)について書きましたが、今回は、手書きの遺言書(自筆証書遺言書)を保管している方や見付けた方が遺言者の死亡後、必ず行わなければならない手続きについて書きます。

それは遺言書の検認の手続きです。

民法1004条1項は、遺言書の保管者や発見者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない、と定めています。

ここでいう検認とは、家庭裁判所において遺言書の存在とその内容(日付や署名、加除訂正の状況等)を調査し確定する手続きであり、検認された後に遺言書が偽造・変造されることを防止するために行われるものです。

この手続きを経なければ、遺言書の内容にしたがった不動産の相続登記や預金の名義変更や払戻しは出来ません。

遺言書の検認を家庭裁判所に請求する方法については、裁判所のHPなどで詳しく説明されていますし、家庭裁判所の窓口で教えてもらうこともできます。
(手続的にそれ程、難しくはありません。)

注意が必要なのは、封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができないとされており(民法1004条第3項)、検認の手続きの中で遺言書を封印された状態のまま裁判所に提出する必要があることです。

仮に、遺言書が封印されていなかったり、遺言書がそもそも封に入れられていない場合であっても、検認の手続きは必要ですので、あるがままの状態で遺言書を家庭裁判所に提出しなければなりません。


検認の手続きには他の相続人も立ち会って遺言書の内容を確認することが出来ます。

ただし、検認の手続きは遺言書の有効・無効を判断するものではありませんので、例えば、検認の手続きの中で、一部の相続人から「遺言書の筆跡が被相続人のものとは違う」といった異議が出たとしても、それだけでは遺言書は無効ということにはなりません。

遺言書の有効・無効をきちんと争うためには、別途、遺言無効確認の調停申立てや遺言無効確認の訴訟提起をする必要があります。
(筆跡対照や筆跡鑑定などが必要となり、非常に困難な手続きとなります。)


ちなみに、相続人のうちの誰かが遺言書の偽造などしてしまった場合、相続人の欠格事由に該当し、相続人となることが出来なくなってしまいます(民法891条1項5号。但し、代襲相続は生じます。)。
また、私文書偽造の刑事罰を問われたり、民事上の不法行為責任を追及される可能性もあります。

当たり前のことですが、遺言書の偽造・変造など絶対にしてはなりません。


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