弁護士パパの子育てノート

3人の子供の子育てにかかわる日常の中で、「これってどうなんだろう?」と考えたことをいろいろと記してみたいと思います。

弁護士というお仕事ー映画『情婦』

2015-08-02 19:36:20 | 本・映画
人は若い頃、いろんな職業について、身内がその職業に就いているのでなければ、映画やテレビ、小説等から自分なりのイメージを作っていくものではないでしょうか。

私もそうでした。

そして、最近になって、自分が学生時代などに影響を受けた弁護士ものの映画等を今見なおしてみるとどう感じるのかな、いつか子ども達にも見せたいと思うかなと興味を感じ、このたび妻と鑑賞したのが『情婦』(監督;ビリー・ワイルダー)という映画です。


アガサ・クリスティの『検察側の証人』という短編推理小説が原作のこの映画、病院生活から帰って来たばかりの老弁護士が主人公で、殺人(金目当ての愛人殺し)容疑の若い男性の弁護を引き受けたものの、アリバイを証言してくれるのは男性の身内である妻のみという厳しい状況の下、その妻までが突如として検察側の証人として法廷に現れ、男性に不利な証言を始めるといった内容のお話しです。

法廷場面が半分以上を占める演劇のような映画ですが、緊張感があり、あっという間に見終わってしまいます。


あらためて鑑賞してみて、古い映画なんだな~、でも面白い、そして文句なしに勉強になると思いました。

この映画では、法廷での証人尋問における弁護士の技輛は、ペラペラと自分がしゃべることにではなく、他者である証人にどのようにして有利な証言をしゃべらせるか、また、不利な証言をしゃべらせないようにし、不利な証言が出てきた場合にはどのようにして臨機に対応するかといった辺りに現れるものであることがよく表現されています。

安直な2時間サスペンスドラマとは視点が違うのです。

主人公の老弁護士が、検察官が証人に対して誘導尋問を行ったり意見を押し付けようとしたりするたびに巧みに異議を申し述べたり、証人の予期せぬ証言にうろたえながらも一呼吸置いてからすぐに切り口を変えて反撃に転じたりする姿には、映画でありながらも「熟練の技」を感じます。

主人公を演じるのはチャールズ・ロートンという俳優で、見かけはただの太ったオジサンですが(ちょっとお茶目ですけど)、劇中の訴訟進行につれ、次第に、偉大な人物(英雄)に見えてくるから不思議なものです。


この映画、邦題が何故か「情婦」といういかがわしいものにされていますが、上質なリーガルサスペンスです。

話の筋もとても明快なので、中学生くらい以上であれば面白いと感じる子もいるかもしれません。

ちょっとした法廷見学の気分で鑑賞されてみてはいかがでしょうか。



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