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パライソメッセージ5

2013-04-12 18:27:10 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.04.12

 

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  「パライソメッセージ20130329」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

 【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:新聞をどう読むか-パナソニックの巨額の赤字はなぜ?-(朝日新聞より)

 2013年4月6日の朝日新聞の経済欄に「パナソニックの巨額の赤字はなぜ?」という、Q&Aの記事が掲載された。リード文では「不振部門で減損処理」「営業黒字を吹き飛ばす」とある。この記事をどう読むかを考えたい。

 添付している記事によるが、その概要は営業損益は黒字だが、利益が見込めない工場設備などの資産価値を見直す「減損処理」を迫られたため、13年3月期決算は2年続けての7,500円を超える赤字となる見込と解説されている。「減損処理」とは工場設備や営業権などの買収した資産を、思ったような利益が見込めないため損失計上するということ。具体的には2011年度は、薄型テレビ製造設備などの固定資産で△3,343億円、電池事業などの「のれん代」△2,850億円、2012年度では、太陽電池や携帯電話などの「のれん代」△2,378億円計上している。一方2012年度では内部留保として資産計上されている「繰り延べ税金資産」も4,125億円取り崩し損金処理をする。そのため2012年度(2013年3月決算期)も引き続き営業利益は1,400億円(予測)計上しているのものの、減損処理によってすべて『ぶっ飛んで』しまう。単年度を個別に見ると2010年度3,053億円、11年度437億円、12年度1,400億円(予想)の営業利益は減損処理によって、逆に10年度は純利益740億円に減り、11年度△7,722億円、12年度△7,650億円(予想)の純損失が生じる。新聞記事は「パナソニックは3月28日に、こうした費用の削減も含めて業績を改善し、16年3月期に3,500億円の営業黒字を目指す中期計画を発表した。これ以上、赤字を重ねないためにも計画通りに収益を上げていくことが必要」と、書いてある。

 この、記事をなんの疑問も批判も無く単に目を通すだけなら、『ああそうか。パナソニックも大変だなあ。大丈夫かなあ。頑張ってもらわなければ。』ということになる。

 しかし、パナソニックの財務処理は端的に言うなら、工場等の有形固定資産と「のれん代」という無形固定資産の大企業優遇の減価償却の大幅な前倒しと、「繰り延べ税金資産」といった内部留保の取り崩しといった資産の出費を伴わない帳簿上の赤字の計上ではないか。新聞記事は『パナソニックは赤字です。大変です。利益を上げないといけません。』といったことをQ&A形式を借りて、なんの論評も無い記事を書いている。端的に言えばこの決算は財務経理処理による、出費の伴わない「造られた赤字」である。そのことは誰もが否定できないだろう。

 そのことは間違いないのだが、問題は『何故膨大な赤字を計上しなければならないのか』だ。パナソニックの経営者や経済団体は「サムスンやハイアール、鴻海精密工業等との厳しい国際競争に勝ち抜く為に迅速で強い決断が必要であり、スリム化し強靭な筋肉質の企業にしなければならない。」と言うだろう。そしてその実践の一環として、赤字決算を計上しながら、一方で2万人、関連会社を含めて4万人のリストラを実施し、『追い出し部屋』まで造っている。その一方では2013年3月に約300人の新卒採用をしている。入社式では津賀社長は厳しい状況のときに入社した新入社員に激励と謝意を述べる一方、早急に利益を計上し社会貢献を果たしたい、といったようなことをスピーチしている。なぜ、パナソニックはそのような行動をとるのだろうか。

 1990年ごろから日本の産業はダイナミックに淘汰され合併されてきた。高度成長期には15行あった都市銀行はシティバンクやアメリカンバンクとの対応を視野に、4つのメガバンク(+みずほコーポレートの5行の都市銀行)に再編された。流通の業界では、やはり高度成長期にイズミヤ、ダイエー、長崎屋等々多くのスーパーが発足したが、今では旧岡田商店のイオンが一人勝ちし、ヨーカドーとの2社になってしまった。

 電機業界は近々再編されると思うし水面下では再編統合の動きが進行しているだろう。電機業界は現在は順調そうに見える、東芝、日立、三菱のインフラ系と、業界再編の渦中の真っ最中にある、パナソニック、シャープ、ソニーなどの家電系がある。そういった中で私は家電系ではパナソニックは『存続会社』になるだろうと思っている。家電系には財界・政界とのしがらみが突出しているといった企業はあまり無いのと、なんといっても創業者以来の『国民的支持』が圧倒的だ。

 インフラ系は安泰のように見えるが、現在海外進出に躍起だ。原子力発電の政策動向如何ではどうなるか分からない。原発輸出の政策判断は、日立、東芝にとっては命運を左右されかねない。その点三菱は宇宙、資源とリンクした発電等々ナショナルプロジェクトを堅実に実践している。インフラ系も遠くない将来再編統合ということになるだろう。その際にはやはり三菱が存続会社となると思う。

 パナソニックは存続会社となり、これからもおそらく間違いなくリーディングカンパニーとして日本資本主義を牽引するだろう。そういった企業が、大幅な赤字決算を計上し、2万、4万人ものリストラを断行しながらも新卒採用を続け、下請け企業を締付け、国内産業の空洞化を進めるというのは、『存続企業』としての当然の営為なのだろう。しかし、それでいいのだろうか。パナソニックのいうグローバル展開は、とっかえひっかえ途上国から安い資材を調達し、安価な商品で海外での販売を展開し、目先の利益を追求するだけで良いのだろうか。徹底的なコストカットに狂奔して、日本の未来の社会に対する責任などは、ただ儲けて税金を払うだけで良いのだろうか。

 それではどうするのか。私は日本が持つべきグローバリズムや国際貢献を基軸にした国際展開についての意見は持っているが、別の機会にメッセージにしたい。ただ、本来国や国民に責任を持ち、道理を果たさなければならないリーディングカンパニーが、まったく目先の利益追求のためにますます亡国の道を歩んでいるのに、「パナソニックは3月28日に、こうした費用の削減も含めて業績を改善し、16年3月期に3,500億円の営業黒字を目指す中期計画を発表した。これ以上、赤字を重ねないためにも計画通りに収益を上げていくことが必要」と、何の問題提起をすることも無く垂れ流し記事を流す新聞やマスコミの見識を疑うし、まさに民衆を『愚民化』へと誘導し亡国へのミスリードをしている新聞・マスコミをいろんな意味で深刻に憂う。

(続く)

 【一押しBook】

 ①

 ②

書名:①『「属国ニッポン」経済版 アメリカン・グローバリズムと日本』

   ②『「属国ニッポン」経済版② 「新自由主義の犯罪」』

著者:①②とも 大門 実紀史(だいもん みきし、日本共産党参議院議員)

出版社:①新日本出版 2003年6月30日初版・2004年1月30日第4刷

    ②新日本出版 2007年10月5日

内容:

 ①は少し古いが、まさに『小泉改革』真っ最中に『既得権益をぶっ潰せ』『規制緩和』『民間活力』等を謳う新自由主義が、あたかもこれからの日本資本主義をリードするかのような、圧倒的な民衆の支持を受けたネオ・イデオロギーを装って吹き荒れていた時期に出版された。1970年代にニクソンショックによってドルの金兌換が停止され、ドルが紙くずとなったにもかかわらず、いまだ基軸通貨として国際信用が通用していることに日本はどういった役割を果たしているのか、アメリカの国際経済戦略推進の役割を担うIMFの戦略が日本の中小企業への『貸し渋り』『貸し剥し』といった政策にどう繋がっているのかなど、アメリカの国際経済戦略とそれを支える(従属する)日本といった日米経済関係の歴史を軸に、日本経済の現状が豊富な資料で分析されている。

 ②は、その新自由主義の実態として、『人間はコスト』『格差・貧困と多重債務』『「官から民へ」の正体』『金融資本の悪行』等について、やはり多くの資料を使って論述している。日本共産党ということで、批判ばかりの論文かというと、そういうわけでもなく、重要なサジェッションも多く述べられている。何よりも大変分かりやすく、身近な生活と経済にブレークダウンした論述が好感を持てて良い。新自由主義が何であるかわれわれの生活をどのように浸潤してくるかの勉強には、お勧めの本である。

(以下次号)


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