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パライソメッセージ20130419

2013-04-19 19:18:15 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.04.19

         Mail : isokawas@goo.jp

     Blog : http://blog.goo.ne.jp/isokawas

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  「パライソメッセージ20130329」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

 

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:私がブラック企業を告発する理由(1)-ブラック企業とは何か①-

 大学院生や学生、若者が活動しているNPO法人 POSSE の代表である今野晴貴さん(一橋大学社会学研究科在学)が著した「ブラック企業-日本を食いつぶす妖怪-」という本が大ヒットしている(文春新書:770円)。著書の中でブラック企業という言葉は、2010年頃から若者たちの間で拡がってきたネットスラングだと説明されている。最近では『ブラック企業』のタイトルでブログが解説されたり、『ブラック企業大賞』やブラック度のランキング等も紹介され、若者たちの間で読まれている。ネットスラングやツイッターネタであったのだが、この本の出版を機に、社会の認知度も高まり、今や国会答弁で安部首相が「ブラック企業」と発言してその問題に言及したり、世間でも問題視されるようになってきた。

 よく言われ、語られる言葉だが『ブラック企業』とは一体何なのか、ちょっと考えてみたい。今野は本の中でブラック企業の特徴として、①選別型、②使い捨て型、③無秩序型を上げている。これは実際にブラック企業を理解するうえで大変分かり易いし、今までそういったカテゴライズというか特徴づけが整理されていなかったので、重要な指摘であると思う。ただ、『ブラック企業』というのは最近言われだしたネットスラングに限定された呼称ではなく、以前から言われていたと私は考えている。労働運動やキャリアカウンセリングに関わってきた人たちの間で『ブラック企業』という呼称は使われてはいたが、今回の今野のような明快な特徴づけでは無く、反社会的な会社といったイメージであったと思う。

 つまり、以前は暴力団のフロント企業や、お年寄りに高額商品を売りつけたり不必要なリフォームを強要するような詐欺商法や脅迫商法、ねずみ講まがいのマルチ商法など違法・脱法・反社会的行為を生業とする企業をそう呼んできた。典型例としては、京都にはかつて日栄という中小企業金融の会社があった。日栄は結局解散したが当時の本社ビルは持ち主が変わって今でも西大路七条に現存している。その会社は、即決融資を売り物にして急成長し、当時はベンチャーとか社長はあたかも中小企業の救世主であるかのように、経営者団体やマスコミに天まで持ち上げられるほどに賞賛された。ちなみに当の社長はR大学法学部卒業であり、一時は時代を牽引する社長として校友会でも紹介されていた。しかし、日栄のやり方は、債務者が返済を滞らせると、

 「腎臓を売って来て金を作れ。腎臓を取るために○○に連れて行く。」

 「家族に何が起こるかわからない。」

 などと脅迫し実際に会社や自宅に暴力的に押しかけてくるとか、実際に腎臓摘出手術を強要するなどの脅迫犯罪行為を、会社を挙げて行っていた。強引な取立ては刑事罰とされ、社会的批判の前に日栄は解散に追込まれた。しかし、日栄は商工ローンという会社に姿を変え営業は存続させた。商工ローンは相変わらず犯罪的な取立てを行い、営業社員は厳しいノルマと暴力団のような上下関係で、『特異な』人間しか残らない異常な会社となり、厳しい社会的批判も受け、結局自壊してしまう。こういった会社は以前からブラック企業と呼んでいた。

 なぜ改めてそんなことを言うかは理由がある。一つには、労働運動や生活を守る運動等に取組んできた人たちは、かつてのブラック企業に対して批判し闘ってきたのだが、最近のブラック企業の実態については理解が及んでいないところがある。

 以前も最近もブラック企業といわれる企業の本質は同根であり、その意味ではブラック企業を批判し告発する運動を幅広い世代で共有するためにも、私はあえて最近のブラック企業を『新型ブラック企業』と称し、その問題点を国民的に共通理解とし、若者の独自の運動から広範な国民的告発へと拡げていく必要があると思っている。

 もう一つの理由は、『新型ブラック企業』というのはかつての『ブラック企業』と違い、極端に品性が無いとか犯罪的匂いがするというのではなく、いわば今日の日本の社会構造的が生み出してきた癌であるということ、そしてターゲットを主に若者に向けているということ、そういった特徴を持つものを『新型ブラック企業』と称することにより、いっそう分かりやすく解明する必要があると思ったからである。

 ブラック企業、特に『新型ブラック企業』とは、若者の身体・精神を蝕み、人格を破壊し使い捨てることによって生業を成り立たせる反社会的・反人間的企業と定義付けられると思う。次週「ブラック企業とは何か②」では①選別型、②使い捨て型、③無秩序型、について今野著の「ブラック企業」からの紹介と、実例を述べたいと思う。

 

 

【一押しBook】

署名:就活前に読む-会社の現実とワークルール-

著者:宮里 邦雄(弁護士・日本労働弁護団会長、1939年生まれ) 川人 博(弁護士・過労死弁護団全国連絡会議幹事長、1949年生まれ) 井上 幸夫(弁護士・日本労働弁護団常任幹事、1952年生まれ)

出版社:旬報社 987円(税込み)

内容:

 本書は労働裁判事件の最前線で、労働者の立場に立って反社会的企業を告発する弁護士からのメッセージである。第Ⅰ部は「会社で何が起こっているか-事件で知る-」について書かれている。例えば『電通(広告)◎「靴でビールを飲め」過重労働・パワハラと二四歳での死』『兼松(商社)◎男女賃金差別』等々の事例が、会社の実名とともに報告されている。これらは裁判で結審した事件であり、いわゆる密告・暴露本の類ではない。日本マクドナルド、オリックス、関東リョーショク、中部電力、光文社、トヨタ自動車、キャノン、東芝、等々日本を代表するリーディングカンパニーで繰り広げられている人間破壊に繋がる労働の強制や、常軌を逸したモラルハザードのパワハラが裁判で告発され、それら反社会的行為が断罪された事実にもとづいて反社会的・反人間的企業を告発している。

 第Ⅱ部は「就活前に知っておきたいワークルール-要注意企業の見分け方」として【就職・採用内定・試用期間】【求人票と労働条件】【労働時間】【給与と残業代】【職場での人権】(セクハラ、パワハラと法律に関わる話)【休む権利】【解雇と退職】【ワークルール】(労働基準法や就業規則の話)【税金と社会保険】【労働組合】【就職や入社後の相談先と解決方法】の内容で、分かりやすく論述されている。

これらは、就活前の若者にとって理解しておいたほうがよい、ワークルール(法律)の必読書であるだけではなく、日々のキャリアカウンセリングにおいて、クライエントにていきょうする情報としても重要なケースメソッドが紹介されている。そして何よりも自分自身の仕事とワークルールを足元から検証するためにも、大変有効な本である。

(続く)


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