毎年行っていて、楽しみにしている「京の名工展」を、
今年はいつやっているかをすっかり忘れていて、
京都ブログで行った人の記事を見て、最終日に慌てて行って来た。
京都文化博物館で毎年秋に無料で展示されている、
京都で活動している伝統工芸作家たちによる作品展である。
もう終わってしまったが…(>_<)、
京都文化博物館
https://www.bunpaku.or.jp/
京の名工展
10月18日~10月22日
京都府伝統産業優秀技術者作品展
京都文化博物館 5階
「京の名工」とは称号で、
名工展は優秀技術者に選ばれた人がこの展示会のために特別に制作して、
その腕を磨きつつ披露する場である。
京都文化博物館の5階でひっそりと無料で公開されてるが、
無料なのがもったいないくらい力作ぞろいである。
現在、活躍中の伝統工芸士たちの技の競い合い、
超絶技巧の京都の底力を実感できる作品展だ。
写真撮影は、撮影禁止と注意書きしてある作品以外は撮影可能だった。
仏師の立派なバサラ大将の仏像が撮影できなかったのが残念だった。
若手職人による「京もの認定工芸士」の作品群も撮影不可だった。
文化博物館の中庭には歓迎文化庁の旗を持ったまゆまろが・・・。
まず知り合いが出品していた京扇子の展示に行く。
飾扇である。
扇子折師と扇子地紙師の共同作業による美しい作品だった。
隣りには150㎝くらいあるかと思われる
巨大な扇子仕立て師による風神雷神の飾り扇子が展示されていた。
巨大扇子は何年か前から作品展のレギュラーになったかのようだ。
どうやって折っているのか見当もつかない。
驚くような作品も展示されていた。
石を掘って作った京石工芸の作品だ。
石工芸師という職業があるらしい…。
石仏を主に作っている工芸士なのだろうか。
そして毎年楽しみにしているのが意匠紋様師による作品で、
これは説明のとおり、意匠紋様とは織物のための設計図のようなもので、
これをもとに帯などを織るのであるが、
その設計図を特別に作品として額装したものを展示してある。
茜富士という作品と、文殊菩薩像、
どちらも精密に方眼紙のような罫線のある和紙に絵付けしてある。
京印章も毎年楽しみにしている。
極小の印判の中に細かく掘られた文様や文字は趣きがあり、
何とも言えない深い味わいがあるのだ。
これぞ職人の仕事と言える作品だ。
ピカソのゲルニカをモチーフにしたモダンな帯地がひときわ目を引き、
京都タワーをあしらった織物(つづれ帯)もあり、
織の部門は名工展らしいチャレンジングな作品が揃っていた。
当然ながら友禅の作品が一番多い。
着物の柄がまるで絵画のようなのだ。
墨絵の繊細な濃淡や文様の配置がため息が出るほど美しい。
総絞りの作品もあった。
金属工芸の部門の象嵌師による香炉は、
ものすごく小さな蓋に極小の象嵌が施されていて驚く。
刺繡師の刺繍作品は英雄の怪鳥退治の場面を描いている。
近くによるとでこぼこがあって、細かい刺繍がされているのが分かる。
ダイナミックな作品。
刃物の部門に山海ナイフというのが展示されていた。
打ち刃物師という工芸士らしいが、
刃物を作る職人が京都にいることにもちょっと驚いた。
表具師による衝立(屏風)も良かったので写真に撮った。
表具も京都の伝統工芸の代表的なものの一つだ。
大きいものは加山又造の作品をもとにしたものということだ。
掛け軸も表具師の作品だが、
これまでの掛け軸の形式とは違うモダンな軸装のもので、
野心的な作品があった。
京人形部門はいつも雛人形が飾られている。
雛人形も分業制で、頭師、着付師などに分かれている。
この内裏雛は京人形着付師による着付けをした雛人形だ。
雛人形といっても作者によって違いがあり、
数々の趣向を凝らした雛人形を見るのも毎年の楽しみだ。
そして錺甲冑師による鎧飾りが展示されていた。
鎧飾りも京人形に含まれるのが驚きだった。
房撚紐師の房は僧侶の法衣に着ける付属品で、
宗派により形式が違うらしい。
技巧を凝らして撚った房を見るのも好きなのだ。
この飾房も見事な撚りだと思うが、
神祇調度という部門に属するらしい。
陶磁器にも沢山の作品が展示されていたが、
火山天文台を模した香炉がいっぷう面白い形をしていた。
漆器にも目を奪われるような作品が沢山あった。
丸盆に漆塗りが美しく施されている。
蒔絵作品も多く展示されていて、
京都の工芸品の底力を見た気がした。
漆塗り師による香合も。
神祇調度作品の中に銅鏡があり、びっくりした。
銅鏡師という人がいるらしい。
現代でも銅鏡が作られていると知って、驚きしかない。
見事な技巧ではないだろうか。
簾や畳も展示されていて、簾師とか、畳工師というらしい。
簾の技法で作ったテーブルクロスが驚き。
展示室の最後にはいつものように造園師による造園がある。
小さい規模とはいえ、
展示室の中に庭を作ってしまうということに毎回驚く。
このように名工展は毎年、驚きばかりを感じる作品展だ。
写真撮影したのはほんの一部で、
この倍以上の作品が出品されていた。
驚くべき数の多さだった。
伝統工芸士といっても多岐にわたっていて様々な職種があって、
現代にまでも受け継がれて来ていて、
卓越した技術を持つ職人が今でも需要があり活躍している。
それを毎年知る、よい機会になる作品展だ。
無料なのは勿体ないほどだし、
この展示会があまり知られていないのも勿体ない。
毎年、そんなことを感じる名工展だった。
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