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中国から「次のコロナ」が再び出てくる恐れ…米紙が指摘する「中国のウイルス研究所」が抱える重大リスク 202305

2023-05-18 22:59:00 | 気になる モノ・コト

中国から「次のコロナ」が再び出てくる恐れ…米紙が指摘する「中国のウイルス研究所」が抱える重大リスク
  プレジデントOnline より 230518 青葉 やまと


⚫︎中国から新たな感染症大流行が始まる恐れがある
 世界保健機関(WHO)は5月5日、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を終了すると発表した。
 日本では8日から、感染症法上の位置づけが「2類相当」から「5類感染症」に格下げとなった。

 丸3年以上の我慢を経て、ようやく日常の暮らしが戻ろうとしている。

ところが、次のパンデミックを招きかねないとして、アメリカで危機感が広がっている。中国のウイルス研究所やワクチン工場では、いまだにずさんな管理体制がほとんど改善されていないようだ。

<世界保健機関(WHO)の調査団が訪れた中国湖北省武漢市のウイルス研究所(=2021年2月3日) - >
 米ワシントン・ポスト紙は4月、中国の研究所などの不十分な管理体制を指摘したうえで、また新たなパンデミックが巻き起こるおそれがあると指摘した。記事は「中国で研究所の安全性確保が難航し、新たなパンデミックの危険を広めている」と題されており、強く危機感を訴えかける内容だ。

 同紙は、アメリカや世界の科学者・議員たちにより、中国のラボの安全性をめぐり複数の徹底した調査が実行されたと述べている。綿密な調査の結果、「死を招く病原体がこれまでに流出しており、さらには今後再発するおそれも十分に高く、場合によっては新たなパンデミックを誘発する懸念があるとして注目を集めている」と同紙は警鐘を鳴らす。

⚫︎1万人が感染し、激しい痛みと発汗…中国の研究所で起きた漏洩事故
 ずさんな管理体制を示す具体例として同紙は、2019年の夏に内陸部・蘭州市の医薬品工場で発生した、病原体の漏洩事故を取り上げている。工場からわずか1ブロックの距離に住む39歳の男性は、2019年の秋、健康状態が不可解に悪化したと振り返る。

 男性は中国国営ニュースサイトに対し、「激しい背中の痛み、発汗、眠気、そしてむくみに悩まされました」と語っている。男性は入院し、その後数カ月にわたり、抗生物質の投与を受けることとなった。ブルセラ症だった。

 この感染症は、汚染された乳製品の摂取やエアロゾルの吸入などを原因として、ブルセラ属菌を体内に取り込むことで発症する。主にインフルエンザ様の症状を呈するが、まれに心内膜炎が生じるなどして死に至るケースがある。

 ワシントン・ポスト紙によると、甘粛省の保健当局が調査したところ、7万人近い検査対象者のうち少なくとも1万人が陽性反応を示したという。男性は「私の知る限り、この地域のほぼすべての家庭に感染者がいます」と語る。

⚫︎中国政府は「感染症史上最大の実験室事故」を隠蔽
 問題の医薬品工場は、ブルセラ症のワクチンを製造していた。周囲には高層マンションが立ち並ぶ立地上、一度漏洩が起きたなら住民に多大な影響を生じることは明らかだ。だが、生物学的な処理体制は明らかに不十分だった。

 このワクチンの製造においては、発酵タンクに生きた細菌を投入し、工程の最後に化学消毒剤を用いて病原体を死滅させる。だが、地元メディアの情報を基にワシントン・ポスト紙が報じたところによると、工場は2019年7月以降、使用期限を大幅に超過した化学物質を使っていたという。廃棄物処理の工程が設計通りの水準で機能せず、多くの細菌が生きたまま外部へ排出されることとなった。

 ギリシャの感染症専門医であるゲオルギオス・パッパス氏は、報告書を通じ、「排出された気体には、エアロゾル化しやすいことで知られる病原体が含まれており、それが南東の風に乗って運ばれた」と指摘する。結果、「感染症史上最大の実験室事故となった」という。

 だが、政府の隠蔽(いんぺい)体質がこの一件の情報拡散を封じた。事故から3年以上が経ったいま、1万人以上が漏洩により健康被害を受けたというデータは、公式な記録として残っていない。パッパス氏は「まるで患者が存在しなかったかのようです」と憤る。

⚫︎アメリカ政府が「新型コロナは中国から広まった」と主張する理由
 新型コロナウイルスの起源をめぐっては、これまでに、野生動物や市場を発生源とする自然由来説が提示されている。一方、武漢のウィルス研究所からの漏洩が原因だとする説も、いまだにアメリカの複数の政府機関から支持されている。

 米国営ラジオ放送局のボイス・オブ・アメリカはパンデミックの到来から間もない2020年4月の時点で、1500種以上のウイルスを保管する武漢の研究所が「少なくとも2年前から、米政府関係者のあいだで懸念の種となっていた」と指摘していた。

 武漢大学のヤン・ジャンキ病原体生物学部長は2020年2月、中国国営メディアの環球時報によるインタビューに応じ、「中国の研究所は生物学的廃棄に十分な注意を払っていない」と指摘している。研究所から排出されるゴミには、人間を含む動物に致命的な影響を与えるおそれのある人工的なウイルスや、細菌・微生物が含まれていることがあるという。

 同紙はまた、2004年に別のコロナウイルスの漏洩が起きていたと振り返る。SARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスの小規模な感染が発生しており、これは研究所におけるウイルスの不活性化処理が不十分であったために発生したものであったと同紙は指摘する。

⚫︎研究所の設計は「欧米並み」と言われているが…
 新型コロナウイルスの震源地となった武漢でも、状況は同じだ。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、武漢だけでも複数の研究機関が存在すると指摘している。

 その多くは、2002年からのSARSの流行という「中国のトラウマ的な経験」を受け、新設あるいは拡張されたものだという。武漢ウイルス研究所のほか、中国疾病管理予防センターや、ワクチン研究所のキャンパスなどが立地する。

 だが、欧米のバイオセーフティー・レベルを満たすよう設計されたこうした研究所も、不十分な生物学的管理体制により、常にウイルスの漏洩リスクを抱えながら運営されている状況だ。

 ボイス・オブ・アメリカは、世界最高レベルであるバイオセーフティー「レベル4」の基準を満たすよう、武漢の研究所が設計されていると紹介している。しかし記事は、「ラボの設計(だけ)では、訓練不足やヒューマンエラーを補うことは不可能である」とも指摘する。

 ワシントン・ポスト紙によると、バイオセーフティー「レベル4」の施設では、危険度や感染性が最も高い部類のウイルスを扱うべく、部屋全体が気密室として設計されるという。給排気の両方にHEPAフィルターを用い、さらに室内にクラス3のバイオセーフティー・キャビネットを設置し、そのなかでウイルスを操作する徹底ぶりだ。

⚫︎安全管理は手抜き、実験動物を外に持ち出すケースも
 入室者は全身を与圧スーツで覆い、室内の空気の流入を避ける。入室までに4枚の扉をくぐる必要があり、各部屋で更衣、スーツ着用、殺菌剤のシャワーを浴びるという厳格な手順が定められている。

 しかしワシントン・ポスト紙は、「ところが少なくとも一部の研究所において、スピードと野心から時に手抜きが行われることがあった」と指摘する。

 武漢に位置するある「レベル4」研究室では、フランスの設計による万全の対策が期待されていた。ところが同紙によると、中国当局は段階的にフランス企業を締め出したという。コスト削減の目的の下、複数の重要な安全装置を、「レベル4」基準でテストされたことのない地元製の部品に置き換えた。

 これとは別に、人為的に漏洩の危険が生じたケースも確認されている。中国の農業大学の研究所に勤めるある58歳の教授は、実験で使用された動物を違法に販売したとして、逮捕・起訴された。

 ワシントン・ポスト紙は、実験動物に触れたことで感染被害が生じたかは不明だとしながらも、同件に触れた報告書が「公の場ではまれにしか言及されない安全性の問題を公式に認め」る内容になっていると報じている。

⚫︎手袋なしでコウモリの排泄物を採りに行く研究員
 渦中の武漢のウイルス研究所でも、2019年以前、研究員たちが危険な状態で調査に臨んでいたことがわかっている。同紙によると、研究員たちが2万個のウイルスサンプルを収集した際の写真がソーシャルメディアで公開されている。

 記事は問題の写真を基に、「感染症を媒介する何千匹ものコウモリがひしめく洞窟で研究者たちが作業にあたり、意図しない感染を防ぐために必要な手袋などの防護具を時として使わず、コウモリとその排泄物を扱っている様子が写っている」と指摘している。

 衛生状況も好ましくないようだ。武漢のメインキャンパスから少し離れた場所では、武漢大学が「レベル3」の研究施設を運営している。中国当局が2019年10月に立ち入り検査を行った際、そこには「多くのゴミ」があり、研究室は「過密かつ混沌(こんとん)としている」状況だったという。

 もっとも、感染事故や漏洩事故が起きているのは中国の研究所だけではない。ボイス・オブ・アメリカは、最新の注意を払って運営されている欧米の研究所であっても、事故は起き得ると指摘する。例としてメリーランド州の米国陸軍感染症研究所では、人への感染には至らなかったものの、漏洩事故が過去に数回発生しているという。

⚫︎資金難で安全性が後回しになっている
 だが、中国では状況はさらに深刻だ。武漢大学の件では検査報告書が、「実験と生活エリアが(中略)分離されていない」問題があり、「化学廃棄物と生活廃棄物が混在している」との課題を挙げていた。こうしたことからワシントン・ポスト紙は、欧米ならば遵守して当然のはずの基準が中国では無視されていると指摘している。

 ボイス・オブ・アメリカは、アメリカが2016年に行った中国のバイオセーフティーに関する検査結果を引用し、中国では「実験室のバイオセーフティーを専門とする役人、専門家、科学者が不足している」と述べている。

 原因は資金難にあるようだ。ワシントン・ポスト紙によると、武漢ウイルス研究所のユアン・ジーミン副所長は2019年、科学ジャーナル『Journal of Biosafety and Biosecurity』に寄せた原稿のなかで、「日常的だが重要なプロセスに回せる運営資金が不足している」と認めていた。
 ジーミン氏はさらに、「現在、ほとんどの研究所には、専門のバイオセーフティー管理者やエンジニアが存在しない」とも明かしている。

 バイオセキュリティの専門家であるロバート・ホーリー氏は、同紙に対し、「(中国の)バイオセーフティーに関する訓練が極小であることは、非常に、非常に明らかである」と強調した。

⚫︎武漢のウイルス研究所が疑われている理由
 新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちの生命と暮らしに深刻な影響をもたらしてきた。英ガーディアン紙は、2020年初頭から新型コロナウイルスが広く拡散し、世界中で700万人近い死者を生じたほか、交易や旅行にも深刻な影響を及ぼしたと振り返る。

 このパンデミックの起源が武漢のウイルス研究所からの漏洩であるとする説に、どの程度妥当性があるのだろうか。少なくとも、米エネルギー省が今年2月に発表した報告書は、この見方を一定程度肯定する内容となっている。報告書はあくまで「信頼度低」の確度としているが、アメリカのメディアに広く取り上げられた。

 分析の経緯の子細は明かされていないものの、「中程度の信頼性」で研究所漏洩説を示したFBIとは異なるプロセスを経て、同一の結論に至ったという。

 エネルギー省はエネルギー問題だけを扱う機関でなく、全米の国立研究所のネットワークを統括している。このことから同紙は、今回の発表は「重大な意味を持つ」とみる。

⚫︎パンデミック直前には研究者の体調不良が報告されていた
 アメリカでも研究所漏洩説は、いまだ関心を集めている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙はまた、アメリカでの議論の推移を振り返っている。当初、過去と同様に動物から人間への自然感染による発生説が大半を占めたものの、時間が経過しても動物の宿主が見つからなかった。
 このことから、武漢のコロナウイルス研究が注目を集め、次第に実験室からの意図しない流出が議論されるようになったと同紙はまとめている。

 ただし、アメリカの国家情報委員会など5つの機関は「低い信頼性」で自然感染説を支持しており、2つの機関は結論を保留するなど、必ずしも研究所漏洩説が主流となっているわけではないようだ。
 一方で同紙は、2019年11月の異変を取り上げている。新型コロナウイルスが報告される直前のこの時期、武漢ウイルス研究所の研究者3人が体調に異変を来し、病院での治療を必要とするほどの事態となった。記事はこうした事実も、研究所起源説を示唆する今回のエネルギー省発表を裏付けるものであると論じる。

⚫︎「大きな問題は、中国が協力的でないことです」
 パンデミックとの闘いは3年以上続くが、いまだ出所の確定に至っていない。これほどまで時間を要している理由は、中国政府の非協力的な態度にあるとの見解も聞かれる。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙のリポーターであるマイケル・ゴードン氏は、米国営ラジオ放送局のNPRに出演し、「大きな問題は、中国が協力的でないことです」と指摘している。
 中国側は武漢研究所のデータの提供を拒み続けているほか、世界保健機関(WHO)が検査チームを派遣した際にも、非協力的な姿勢を貫いた。「チームを追い返したようなものだった」とゴードン氏は述べている。ウイルスが発生した当事者国の協力なしに調査を強いられているため、アメリカの情報機関の分析は非常に困難になっていると氏は歯がゆさをにじませる。

米CBSニュースも3月、将来のパンデミック防止のためにも起源の解明は急務であると指摘した。だが、中国が長期にわたり必要な情報の提供を拒み続けており、一部の重要書類はすでに破棄されているなど、課題は多いとの指摘だ。

⚫︎感染症から人々を守る研究施設が、世界中を苦しめている
 新型コロナウイルスの起源を追求する動きついては、科学的に重要な行為である一方、アジア人への人種差別を助長する恐れもあるとして慎重論もアメリカで出ている。

 しかし、米大手紙であるワシントン・ポスト紙が、あえてこの時期に研究所起源説に触れる記事を公開しなければならなかった背景には、このままでは新たなパンデミックが起きかねないとの危機感があったからに他ならない。

 仮に武漢の研究所がウイルスの起源であったとしても、すでに起きてしまったパンデミックを巻き戻すことはできない。過去は過去として失敗に学び、今後のパンデミックを世界全体でどう防いでいくかの知見を高めればよい。
 しかし、このような建設的な議論への転換を妨げているのが、ほかならぬ中国政府だ。パンデミック発生直後の貴重なデータを隠蔽・破棄し、さらに現地のウイルス研究所は、ずさんな管理体制で運営を続けている。
 また、中国では2000年代のSARSの流行後、同じ事態を繰り返さぬようにと、多くの研究施設が建設された。ところが、これらの拠点における安全管理がおろそかになり、むしろ新たなパンデミックの原因になり得ると指摘されているのは、極めて皮肉な事態だ。

 中国は、起源解明の妨害と研究所の安全性確保を怠るという二重の意味で、新たなパンデミックの危険性を高めているといえよう。惨事を繰り返すことのないよう、体制の早急な改善が求められる。


▶︎青葉 やまと フリーライター・翻訳者 1982年生まれ。
関西学院大学を卒業後、都内IT企業でエンジニアとして活動。6年間の業界経験ののち、2010年から文筆業に転身。技術知識を生かした技術翻訳ほか、IT・国際情勢などニュース記事の執筆を手がける。ウェブサイト『ニューズウィーク日本版』などで執筆中。




💋過去から見える現実的脅威、覇権主義、面子体質から自ずと…歴史がしめす通り。
 地理的危険と観光立国策でヤバイ事に…
行政も立法もマスコミもxxx
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ジャニーズ性加害問題とTIME誌「軍事大国」騒動、実は同じ闇を抱えている理由 202305

2023-05-18 22:33:00 | 気になる モノ・コト

ジャニーズ性加害問題とTIME誌「軍事大国」騒動、実は同じ闇を抱えている理由
 ダイヤモンドOnline より 230518  窪田順生


⚫︎ジャニーズに寄り添ってきたマスコミは「御用メディア」
 こういうところが、「報道の自由」が180カ国中68位で、G7の中でダントツに低いという原因なのではないか――。

 1999年に週刊文春が報道し、裁判になって事実を認定されたジャニー喜多川氏の性加害問題。20年以上経て、ようやく民放テレビ局が渋々報道を始めた。

 と言っても、これは自分たちの意思ではない。

 英国のBBCが今年3月に放映したドキュメンタリー番組が海外でも大きな反響を呼び、ネットの批判に押され、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が動画と文書で見解を発表したことを受けて、慌てて体裁を整えただけだ。

 世界では、マスメディアは「権力の横暴を防ぐために監視して、時に厳しく批判をするジャーナリズム機関」という位置付けだが、我が国においては、権力に寄り添い擁護をする「御用メディア」だった――というなんとも情けない現実があらためて浮き彫りになったのだ。

 先ほど述べた、「報道の自由ランキング」が話題になると、テレビや新聞は「安倍政権の恐怖政治に現場が萎縮している」とかなんとかもっともらしい言い訳をするのがお約束だ。しかし、なんのことはない権力とズブズブすぎて、「関係が気まずくなるような話題はお口にチャック」という感じで、自分たちで「報道の自由」を放棄していただけの話なのだ。

 …という話を聞くと、「我々がどれほど苦労をして権力の不正を追及しているのか知らないのか!このド素人が!」という怒りの声がマスコミ関係者から飛んできそうだが、当の権力者側はそう見ていない。

 日本の権力者たちにとってマスメディアとは、自分たちのプロパガンダを社会に広めてくれるとともに、批判や追及もある程度、手心を加えてくれる「身内」のような存在なのだ。

 それがよくわかる出来事がつい最近あった。米誌「TIME」のタイトル修正問題だ。

米紙に忖度されると思ってた?日本メディアとの違い
 発端は、岸田文雄首相が「TIME」のインタビュー取材を受けたことだ。首相肝いりの広島G7サミット前に、世界的メジャー誌で表紙を飾れたら格好のPRとなると思ったのだろうか。岸田首相は「TIME」の記者に、日本がいかに国際社会に貢献して、武力による現状変更に対して、西側諸国と連携して対処していくかを熱弁した。
 だが、ほどなくして発売された「TIME」に首相と官邸スタッフは腰を抜かすほど驚いた。
 表紙の岸田首相はニヤリと笑った“ちょい悪風”で、普段の記者会見で見せるような表情とかけ離れて、まるで悪代官のような印象なのだ。ただ、それよりも官邸が衝撃を受けたのは、そこにつけられたこんなタイトルだった。

<岸田首相は平和主義だった日本を軍事大国に変える>

 首相が熱弁を振るったこととまったく違うということで、慌てて外務省が「見出しと記事の内容があまりに違う」と「TIME」へクレームを入れる。その結果、既に世に出回っている紙媒体はそのままだが、電子版のタイトルは「岸田首相は平和主義だった日本に、国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている」に修正されたのである。

 なぜこんなトラブルが起きたのか。キャスターの辛坊治郎氏がパーソナリティを務めるラジオ番組の中で指摘したことが、問題の本質を突いているので引用させていただこう。

<日本のメディアは、取材相手に忖度して記事を作ることがあります。また、独占インタビューなどの際には、ゲラチェックを取材相手にさせることもあります。しかし、欧米メディアは倫理上、そうしたことをしないという立場を取っていますから、記事が表に出るまで何が書かれているかは取材相手にも分かりません。日本のメディア取材に慣れている岸田首相は、そうした覚悟も含めてインタビューに慎重に答えたのでしょうか。そうでなかったのであれば、岸田首相は不用意だったということになります>(ニッポン放送 NEWS ONLINE 5月11日)
 辛坊氏の言うように、首相や官邸スタッフが普段接している日本のテレビや新聞というのは、G7前に単独インタビューを受けてやったら、こっちの主張をそのまま垂れ流して「事前検閲」させるのが当たり前だ。中には、露骨なヨイショもするケースもある。

 なぜ「権力の監視」とか言っている人たちがこんな体たらくなのか。

⚫︎忖度ニュースばかりの日本、外から見れば「軍事大国」
 それは、マスコミの営利企業なので、自社の利益のためだ。
 まず、首相と関係が親密になると、総理担当記者が優遇されて取材がしやすい。場合によっては側近から「特ダネ」のリークもいただけるのでさらに旨味がある。
 さらに、テレビ局の場合もっとズブ…ではなく信頼関係を構築すれば、どこかの民放テレビ局みたいに、バラエティ番組にも首相が出演してくれたりもする。軽減税率や放送法などの業界への規制もお目こぼしもいただけるかもしれない。つまり、日本のマスコミにとって、首相や官邸は「監視・批判の対象」ではなく、「情報を恵んでいただく大口の取引先」なのだ。

 だが、海外メディアにはそもそもこういう発想がない。

「記者クラブで官僚とズブズブになってスクープゲットだぜ!」みたいなワーキングスタイルでもない。だから、インタビューをしてその場がいいムードに盛り上がって、「いやあ、今度食事でもしましょう」なんて首相から社交辞令的なことを言われても、忖度ゼロで厳しい批判記事が出る。

 もっと言えば、「TIME」の記事は批判でも偏向でもない。「平和ボケ」の日本人が知らないだけで、世界から見れば、日本は立派な「軍事大国」だからだ。

 防衛予算は増額されて世界第3位。しかも、岸田首相は安倍長期政権でもなし得なかった、「敵基地攻撃能力の保有」や、アメリカ製の長距離巡航ミサイル・トマホーク400発の導入などを次々と実現させた。「核を持っていないから平和主義だ」とか「我らは専守防衛だ」なんてロジックにこだわっているのは日本人だけで、世界から軍事力を冷静に分析すれば、紛れもなく日本は「軍事大国化」しているのだ。

 もちろん、だからと言って、それが悪いという見方だけではない。例えば、米ウォール・ストリート・ジャーナルでも昨年12月19日に、『「眠れる巨人」日本が目覚める 防衛戦略・支出で戦後最も重要な政策転換を発表』という社説を掲載している。これはTIME誌のように平和主義からの方向転換という話ではなく、中国の脅威に対して安全保障に力を入れるようになって喜ばしいという話だ。

「評価」は違えど、TIME誌も同じ認識だ。実は今回の記事でも、岸田首相が戦後最大規模となる軍備増強を発表し、防衛予算で世界第3位となることを指摘し、「防衛力の強化が核兵器のない世界を目指して努力するという岸田首相の公約と矛盾する」と批判的な見方があることにも触れている。

 つまり、外務省は「見出しと記事の中身が違う」とクレームを入れたが、実は見出しと記事の中身はちゃんと合っているのだ。

⚫︎ジャニーズ性加害問題の根幹に「権力者への忖度」
 こういう話を聞いて、勘のいい方はもうお気づきだろう。そう、今申し上げた構図は、今回のジャニーズ性加害報道にまるっきり当てはまるのだ。

 週刊誌や雑誌で繰り返し報じられ、裁判にもなって、ネットやSNSでも語られていたジャニー氏の性加害を、なぜテレビや新聞が20年以上もノータッチだったかというと、シンプルにジャニーズ事務所が「大口の取引先」だからだ。

 テレビはジャニーズのアイドルがいなければ歌番組もドラマもバラエティも成り立たない。また、ジャニーズのアイドルの皆さんは広告にも多数起用されていて、「広告ビジネス」が収益の多くを占めるテレビ・新聞が、広告を差し止めるようなことはできない。だから、忖度をし続けた。

 しかし、今回の報道のきっかけとなった英BBCにはそういう発想はない。

 日本のエンタメ界の功労者であっても、何十人もの未成年者を相手に性加害を加えていたら連続性犯罪者以外の何者でもない。だからBBCのドキュメンタリーは、日本のマスコミが好きな「闇」とか曖昧な言葉でぼやかすことなく、ジャニー氏をはっきりと「プレデター」(捕食者)と呼んでいるのだ。

 つまり、今回のジャニーズ性加害問題と、TIME誌「軍事大国」問題は実は根っこの部分では「日本のマスコミの権力者への忖度」という同じ問題があるのだ。

 さて、そこで次に皆さんが不思議に思うのは、なぜ日本のマスコミはこういう忖度スタイルが当たり前になってしまったのか、ということだろう。

 安倍政権が悪い、反日左翼が悪い、中国・韓国が悪いなど、この手の話になると、我先に「犯人」を特定して断罪するのが今の風潮だが、個人的にはそういう類の話ではないと思っている。

 なぜかというと、日本のジャーナリズムは、戦前から「権力と一体化することが正義」というかなり独特な思想があったからだ。

⚫︎戦前から脈々と続く…「権力」に寄り添いたい記者たち
 朝日新聞社が『歴史の瞬間とジャーナリストたち 朝日新聞にみる20世紀』という社史をつくっている。それは、朝日新聞の記者が日本の近代化にどれだけ役目を果たしたか、といった内容だ。

 そう聞くと、まるで朝日の記者たちが、ジャーナリストとしていかに権力の不正を追及したのか、という記録だと思うかもしれない。だが、本書に登場する「ジャーナリスト」の動きはちょっと違う。

 本を開くと1ページ目に「日露開戦にいち早く布石」とある。一体どんな話かというと、当時の朝日新聞主筆・池辺三山が外務省の参事官から、「元老に会って、対露強攻策で問題解決を図るよう働きかけてほしい」と頼まれるくだりから始まるのだ。

 というのも、元老の山縣有朋が日露交渉に賛成する姿勢をみせたので、開戦論者の外務官僚からすれば何を腑抜けたことを、と憤りを感じた。そこで、朝日記者の言うことならば耳を貸すだろう、と依頼をしたというわけだ。この大役を池辺主筆も見事に果たし、「いまなさねばならぬのは、断じてこれを行うという決断です」と説得、山縣有朋も頭を垂れて涙を流したという。そして、このエピソードの後に、「これ以降、日本の新聞界に近代的エディターとしての主筆が定着する」と誇らしげに締めくくられている。

「ん?なんか思っていたジャーナリストと違うな」と思った人も多いだろう。

 そう、そもそも日本におけるジャーナリストというのは、ペンの力で権力の不正を暴くとか、そういうめんどくさいことをする人たちではない。権力に寄り添い、時によき理解者として言論で応援をして、あわよくば自分も権力と一体化していくという「身内」のような存在なのだ。

 実際、戦前の朝日新聞で副社長だった下村宏は、退社してから貴族院議員になり、戦時中は内閣情報局総裁になって、昭和天皇の玉音放送に関わる。

 今も選挙になると、NHKや朝日新聞をお辞めになった方が立候補をするが、マスコミ記者として権力と距離を縮めて、いよいよ自分自身も政治の世界へ、というスタイルは戦前から確立している。

 つまり、「ジャーナリズムは権力の監視が使命」なんて言っているものの、権力に忖度して、あわよくば自分自身も「権力化」するということを生業としてきた。この性分は、一朝一夕では直らない。だから、令和の今もその性分がだらだらと続いているだけではないか。

 実際、マスコミを見てみるといい。

 ジャニーズ担当の芸能記者は、事務所とズブズブになった方が情報が集まるし、検察担当記者は、検察官と一緒に麻雀卓を囲んだ方が何かと「リーク」のおこぼれがいただける。中央官庁や警察の担当も基本的にやることは同じだ。

 日本の記者は「権力」とどれだけ親密になれるかということを競っている側面がある。親密な方が「デキる記者」という社内評価さえあるほどだ。

 ジャニーズ性加害問題と、米誌「TIME」タイトル修正問題が同じ時期に発生したのは偶然ではない。海外のジャーナリズムとかけ離れた日本の「マスコミのムラ社会」のさまざまな歪みが、いよいよ持ち堪えきれなくなっているのだ。

 また近いうちに、テレビや新聞のどでかいマスコミ不祥事が発覚するのではないか。

(ノンフィクションライター 窪田順生)



💋この様な話を昭和30年代後半よりよく聞いたが…顧みられず…今に至る。
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🚶…伏見区向島農地↩️…Alp… 230518

2023-05-18 18:51:00 | 🚶 歩く
🚶…右岸河川敷…隠元橋…左岸堤防道47km碑+…伏見区向島清水町🔁…左岸堤防道47.2km碑…隠元橋…右岸堤防道…Alp🍱…右岸堤防道…>
🚶10882歩2kg

⛅️:隠元橋26℃:風強く心地よく,曇天
しかし昨日と今日の温度差!カナンな。
 
🍱百円冷麺!やっぱり美味。今年初の
 この値段でこの味◎,今後も狙い目。

夕方)🏠ひぐらしの声聞く⁈不思議。早すぎ
   なんともいい音色。それも2回も!
 空耳ではないし…

🏠早速,昨日設置の簾3ヶ所紐切れ。
 ベランダ)朝に31℃


ハロー

農地より明治帝御陵を:気休めドリンク飲みつつ



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