自然災害大国ニッポンの避難が「体育館生活」であることの強烈な違和感、そして海外との「決定的な差」
現代ビジネス より 230520 大前 治
2022年も災害が多発した。3月16日の福島県沖地震(最大震度6強)では、福島県と宮城県で244ヵ所の避難所に一時約3000人が身を寄せた。
8月3~4日には台風8号に伴う豪雨被害により東日本の7県190ヵ所の避難所に4080人が避難した。
救助や避難対応にあたった方々は懸命な努力を重ねた。そのことには頭が下がる。
他方で、そうした個人の努力では解決できない問題がある。
それは、避難者の多くが体育館などでの生活を余儀なくされ、劣悪な環境におかれているという点である。
海外で整備されている避難所の実態とは大きなギャップがある。
災害多発列島・日本でこれを放置してよいのか、再考が必要である。
(※本稿は現代ビジネス編『日本の死角』を一部再編集の上、紹介しています)
公費でのホテル泊が多数、避難施設も充実のイタリア
自然災害時の避難生活の場所としては、床に毛布を敷いて大勢がひしめきあう体育館が思い浮かぶ。エアコンや間仕切りはないことが多い。大規模災害のたびに報道される光景であるが、これを当然視してはいけない。
海外の災害避難所と比べれば、日本の避難所の問題点が浮き彫りになる。
日本と同じ地震国のイタリアでは、国の官庁である「市民保護局」が避難所の設営や生活支援を主導してきた。
2009年4月のイタリア中部ラクイラ地震では、約6万3000人が家を失った。
この大被害に向けてイタリア政府は、初動48時間以内に6人用のテント約3000張(1万8000人分)を完備し、最終的には同テント約6000張(3万6000人分)を行きわたらせた。
ただし、実際にテントに避難したのは約2万8000人である。それよりも多い約3万4000人に割り当てられた避難所はホテルであった。もちろん宿泊費は公費で支払われる。
仮設の避難所や体育館よりも、ホテルで避難生活をする人が多いのである。
仮設のテントも、日本の体育館のような劣悪さはない。テントといってもキャンプ用のような簡易なものではない。
約10畳の広さで、電化されてエアコン付きである。各地にテント村が形成され、そこにはコンテナ型施設によるシャワー・トイレも設置された。
さらに、日ごろからの備蓄を活かして次の物品が避難者のために用意された(参照「防災体制のありかたについての一考察」中村功/松山大学論集第21巻4号)。
通常ベッド 4万4800台
折りたたみベッド 9800台
シーツ、枕 5万5000個
毛布 10万7200枚
発電設備、発電機 154基
バストイレ・コンテナ 216棟
野外キッチン 107基
実際には、テントの空調の利き方やプライバシー保護などの面に不十分さもあるという。
しかし大切なのは、自治体へ任せ切りにせず、国家が備蓄をすることにより全国各地への迅速な対応を可能としている点である。
そこは大いに見習うべきである。
以上は2009年の状況であるが、その後さらにコンテナ型住居の改良などが進んだ。
2016年8月のイタリア中部地震で開設された避難所の様子は、NHKニュースのサイトに掲載されて反響を呼んだ。
清潔なトイレや温浴施設、温かい料理を作る調理施設が避難所に並ぶ。そこには調理担当者も派遣されたが、これはボランティアではなく公費による出動である。
⚫︎日本の避難所は「災害関連死」を生み出す
イタリアの例と比較すると、日本での「体育館での避難生活」には次の問題点がある。
・そもそも災害避難用や宿泊用の施設ではない
・1人あたりの面積が狭い
・大人数のため常に騒音や混雑感があり落ち着かない
・1人用のベッドや布団がない、または不足している
・エアコンや入浴施設がない
・調理施設がなく、温かい料理が供給されない
2016年4月の熊本地震では、地震の後で体調を崩すなどして死亡に至った「災害関連死」のうち45%にあたる95人が避難所生活や車中泊を経験していたという(NHK調べ・2018年5月1日現在)。
劣悪な避難所生活が、避難者の生命と健康を削っているのである。
体育館の床の上だけでなく、学校の廊下で寝起きをした例もある。
1人あたりの面積が1畳ほどしかない避難所もあり、「難民キャンプより劣悪」という声も出た。
国際的な基準は、どうなっているだろうか。
災害や紛争時の避難所について国際赤十字などが策定した最低基準(スフィア基準)は、次のように定めている。
・世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する
・1人あたり最低3・5平方メートル以上の広さで、覆いのある空間を確保する
・最適な快適温度、換気と保護を提供する
・トイレは20人に一つ以上。男女別で使えること
これは貧困地域や紛争地域にも適用される最低基準である。
経済力の豊かな日本で、この基準を遵守できないはずはないが、実際には程遠い現状にある。
まずは「避難所といえば体育館」という固定観念を捨てることが必要である。
避難規模が大きい場合には、公費で宿泊施設(ホテル、旅館、公的研修施設など)への避難を指示できる予算措置と制度化を検討するべきである。
そして、避難生活を支援する予算を拡充して、災害直後にすぐ避難者支援を開始できるよう資材の備蓄を進める必要がある。
それが実現しないのは、災害援助に対する考え方に問題があるからである。
💋全くもってのほかの対応! 地震大国,災害大国と過去から認識があるのに!
キャンピングカーを予備確保するだけでも、簡易住宅多数確保とかで,体育館でのプライバシー困難も安心の寝床に、必須。
完全に行政の手抜対応。
とにかく集団で我慢させる?愚!
世界的に無駄で知られた地震予知に何十年も年100億超もかけ(東大系愚かな地震学者達)ての無駄遣い。災害対策に回しとけば…
住食衣の順に被災者支援すべきを!
行政の非情さ感じ,立法&マスコミの見識の無さ。 ほんと不思議の国!
いつになったら???戦時体制脱却なるか?戦前を批判するマスコミ&知識人の不勉強さ!戦前の戦争の為に作られた首都圏集中含め各種法律の廃止変更もしないで!偽善者