毎年、中国政府の幹部は、元旦や春節の間は地方の農村を訪れ、一般の人々の慰問を行うのが恒例行事になっています。こうした活動を成功させるにはどうしたらよいか、というテーマの記事が人民日報に掲載されていました。今回これを取り上げたのは、ことわざや格言からの引用句が合計3つも使われていたからです。
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人民日報人民論壇: “温暖”怎麼送才“保暖”
馬碧
2011年01月04日 来源:人民網-《人民日報》
■ 歳末年初,各地各部門掀起“送温暖”熱潮。本来,在辞旧迎新的節点上,給貧困群衆、弱勢群体送銭送物,帯去党和政府的関心,譲寒冬里的他們切実得到一些幇助,歓度節日,展望来年,確実是一件暖人心、解民憂的好事,広大群衆是歓迎的。
・掀 xian1 運動やブームが巻き起こる。
年末年始、各地、各部門では「暖かさを送る」活動があちこちで展開される。本来、古きを辞して新しきを迎える筋目に、貧苦にあえぐ群衆や、社会弱者に金品を贈り、党や政府の関心を示すことは、冬の寒さの中で彼らには切実に助けとなり、楽しく正月を迎え、来る年に希望を抱かせ、確かに人の心を温かくし、民衆の憂鬱を解消する良い事で、幅広い群衆に歓迎されることである。
しかし、一般民衆は幹部の行動の中の誠実さを敏感に感じ取ります。
■ “瓜子不飽暖人心”,群衆心中有杆秤,称出的不僅是“温暖”的成色,也称出了干部為民執政的分量。“送温暖”的行動,不在銭物多少,関鍵是真心実意,尽可能為老百姓排憂解難,譲他們感受到看得見、摸得着的実惠。“送温暖”的真諦,更在于通過這種行動,既譲困難群衆感受到党和政府的温暖,感受到社会大家庭的温暖,又譲干部従了解百姓疾苦、掌握群衆期待,従而更好地開展工作。
・瓜子 gua1zi クヮズ。ひまわりやスイカの種などを煎ったお茶受け
・杆秤 gan3cheng4 竿秤(さおばかり)
・成色 cheng2se4 金貨・銀貨や地金の中に含まれる金や銀の分量。品質。
・真心実意 zhen1xin1shi2yi4 [成語]誠心誠意
・真諦 zhen1di4 真諦(しんたい)。真の意味。
「“瓜子”を食べても腹は膨れないが、人の心を暖かくしてくれる」。群衆の心の中には竿秤があって、「暖かさ」の分量を量ることができるだけでなく、幹部が如何に人民の為に政治を行っているかの分量をも量ることができる。「暖かさを送る」行動は、金銭の多少ではなく、大事なのは誠心誠意であることで、できるだけ一般大衆の憂いを除き困難を解決し、彼らに眼に見えて、実感のできる実際の利益を感じさせることである。「暖かさを送る」真の意味は、こうした行動を通じ、困窮している群衆に党や政府の暖かさを感じさせ、社会という大家族の温かさを感じさせるだけでなく、幹部に民衆の苦しみを理解し、群衆の期待を把握することから、より良く行政を展開するようにさせることである。
この“瓜子不飽暖人心”というのは、東北地方のことわざであるそうで、2007年に広東省党委員会書記・張江が会議の発言の中で取り上げてから、度々使われているようです。
■ “知屋漏者在宇下,知政失者在草野”。“送温暖”活動,正是干部体察民情、了解群衆疾苦的重要渠道。困難戸的情况各不相同,只有先行調査摸底,問“需”于民,量身定做予以個性化幇助,才能把准“送温暖”活動的脉搏,把“温暖”実実在在地送到困難群衆的心坎上,才能幇助困難群衆擺脱貧困状態,獲得自我改善、自我発展的能力。
・体察 ti3cha2 体験し観察する
・摸底 mo1di3 内情を探る
・脉搏 mai4bo2 脈拍。息吹。
・心坎 xin1kan3 心の奥底
「雨漏りしているかどうかは、家の中にいる人が一番よく分かる。政策の善し悪しは、一般大衆の評価がたいへん重要で、在野の傍観者が一番よく分かる」。「暖かさを送る」活動は、幹部が民衆の状況を実際に体験し、観察し、群衆の苦しみを理解する重要な道筋である。困難な家庭の状況はそれぞれ異なるが、先ず調査して内情を探り、「必要なこと」を民衆に問い、状況に応じた対応をし、個別の援助を行ってやってこそ、正しく「暖かさを送る」活動の息吹を、「暖かさ」を本当に困窮している群衆の心の奥底に届けることができ、困窮している群衆が貧困から抜け出す支援ができ、自己改善、自己発展の能力を獲得させることができる。
“知屋漏者在宇下,知政失者在草野”というのは、後漢末の政治思想家・王充の著作《論衡》の中の一文で、温家宝首相が度々引用されているそうです。
■ “心中為念農桑苦,耳里如聞飢凍声”。任何時候,干部都応懐着対人民群衆的深厚感情,多到街巷田間想問題,多与困難群衆交朋友, 身処“廟堂高処”,不忘“白雲深処”,用真心真情去“送温暖”,用真抓実干去“造温暖”,這様的“温暖”才能“保温”,久久温暖群衆的心。我們的社会,也会因此春意盎然,和諧進歩。
・盎然 ang1ran2 満ちあふれるさまを表す。[用例]春意盎然:春の気分がみなぎっている。
「心の中では桑を栽培する農家の苦しみを気にかけ、耳には飢えや寒さに凍える人々の声が聞こえてくる」。如何なる時も、幹部は人民大衆のちょっとした感情の動きを気にかけ、何度も路地の奥や農村に出向いて問題を考え、たくさんの困難を抱えた民衆と交流し、「身は政府要職という高みにあっても」、「国の隅々のことまで」決して忘れず、誠心誠意「暖かさを送り」、現実の状況を把握し実際に行動して「暖かさを作り出す」、このような「暖かさ」であってはじめて「温もりを保つ」ことができ、長きにわたって群衆の心を暖め続けることができる。私たちの社会も、これによって新春の暖かい気分がみなぎり、調和のとれた進歩発展をすることができる。
“心中為念農桑苦,耳里如聞飢凍声”は、白居易の《新制綾襖成感而有咏》の一節で、唐・文宗の大和五年(831)の作で、当時の唐朝は牛李の党争が起こり、宦官が権力を握り、政治が乱れていました。そのような中、自分はりっぱな綾織の上着を新調したけれども、一般の人々の苦しみを考えると、心が落ち着かない、という気持ちを詠った詩です。
実はこれも、2003年の中秋節の行事に参加した温家宝首相が引用された語句です。
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