北緯43度

村上きわみの短歌置き場です

「未来」04月号(2015)

2015-05-04 | 未来

週末の緩みの果てのゆきはらを漕いでいる犬は犬の作法で

鼻先を差し入れながらこの冬の雪のできばえ確かめている

いいふゆだいいふゆだ 尾を振りながらお前がほめているこの世界

境界をふいに見せてはふたたびを犬の時間にかえっていった

名を呼んだだけでよろこぶ両耳の尊いかたち もう一度呼ぶ

犬として生まれて老いてこころからわたしのそばに寝そべっている

真冬日に肺の奥まで冷やされてしずかにねむる人もけものも

 

※3月号は欠詠。