息をのむように鎮まりそののちをせいせいと散る花のすずしさ
金文字の浅いくぼみにひかり射し真昼の書架をわずか蔑する
旧聞のような暮らしをたのしんで破れ紙にくるむ螺子のいくつか
裂けながら進むあなたを川として尊ぶ 仕草のうつくしい川
兆しつつ揺れやまぬ日は金輪の際におおきく息ふきかけて
わたくしを使い果たして冬になる(毛布のようにふるまうな、ゆめ)
隅々を濁らせたままゆうぐれの羊羹めいた列に加わる
蕩尽をゆるしあうときにんげんの皮膚の甘さはとめどもなくて
生き死にを口にしながら盤上に星をいくつも置いてゆくひと
刻々と老いる体であそびたい(まだあそびたい)カステラを焼く