連載小説「Q」30
私はセールスマンです。『愛慕』というロボットを売っています」
「あいぼ?」
「現物を持って来た方が早いですね」
光一は玄関に行き、キャリーバッグから『愛慕』を引っ張り出した。
小脇に抱えて、鞄と一緒に居間に戻った。
光一が頭を撫でると、『愛慕』は歩き出した。
順平は『愛慕』をぼんやりと見ていた。
「おもちゃのセールスですか」
『愛慕』は「ワン」と一声ないた。
老人は少し驚いた顔をした。
「嬉しい時の泣き声です」
光一が言った。
「ワァン」
「甘えたい時の泣き声です。頭を撫でて下さい」
順平が頭を撫でると、『愛慕』は尻尾を振った。
光一はマニュアル通り喋っているのに気づいていた。
「テレビをお借りしても良いでしょうか」
順平が頷くと、
光一はノートパソコンをテーブルに置いてテレビと接続した。
テレビの画面に『愛慕』が映し出される。
『愛慕』のデモンストレーションが始まった。
順平はテレビの方を見ずに実物を見つめている。
テレビの画面は『愛慕』が眠っている動画だ。
窓には星が輝いている。
「夜になると眠ります。お腹が空くと電気を食べに行きます」
光一が言った。
連載小説「Q」#1-#30をまとめました。
私はセールスマンです。『愛慕』というロボットを売っています」
「あいぼ?」
「現物を持って来た方が早いですね」
光一は玄関に行き、キャリーバッグから『愛慕』を引っ張り出した。
小脇に抱えて、鞄と一緒に居間に戻った。
光一が頭を撫でると、『愛慕』は歩き出した。
順平は『愛慕』をぼんやりと見ていた。
「おもちゃのセールスですか」
『愛慕』は「ワン」と一声ないた。
老人は少し驚いた顔をした。
「嬉しい時の泣き声です」
光一が言った。
「ワァン」
「甘えたい時の泣き声です。頭を撫でて下さい」
順平が頭を撫でると、『愛慕』は尻尾を振った。
光一はマニュアル通り喋っているのに気づいていた。
「テレビをお借りしても良いでしょうか」
順平が頷くと、
光一はノートパソコンをテーブルに置いてテレビと接続した。
テレビの画面に『愛慕』が映し出される。
『愛慕』のデモンストレーションが始まった。
順平はテレビの方を見ずに実物を見つめている。
テレビの画面は『愛慕』が眠っている動画だ。
窓には星が輝いている。
「夜になると眠ります。お腹が空くと電気を食べに行きます」
光一が言った。
連載小説「Q」#1-#30をまとめました。
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