連載小説「Q」27
短時間眠ったのかもしれない。
不意に起こされた。
インターホーンが鳴っている。
何かのセールスだろう。
二、三回放っておけば諦めるだろう。
順平はテレビに目をやった。
しかし二回目は鳴らない。
奇妙な間が生じた。
老人は咄嗟に動けない。
座卓に両手をついてゆっくりと立ち上がった。
モニターに青年が映っている。
知らない顔だ。
何かのセールスのようだ。
停止ボタンを押そうと思ったが、何故かためらった。
通話ボタンを押す。
青年は何度も手で顔を拭った。
したたり落ちる汗がモニター越しにでも見える。
朝から高温警報をテレビは繰り返していた。
――はい
順平は言った。
――S会社から来ました
――少々お待ちを
玄関の戸を開けると、熱風が吹き込んできた。
訪問者の半袖のカッターシャツは絞れるほどに汗で濡れていた。
その上彼は律義にネクタイを締めている。
連載小説「Q」#1-#20をまとめました。
短時間眠ったのかもしれない。
不意に起こされた。
インターホーンが鳴っている。
何かのセールスだろう。
二、三回放っておけば諦めるだろう。
順平はテレビに目をやった。
しかし二回目は鳴らない。
奇妙な間が生じた。
老人は咄嗟に動けない。
座卓に両手をついてゆっくりと立ち上がった。
モニターに青年が映っている。
知らない顔だ。
何かのセールスのようだ。
停止ボタンを押そうと思ったが、何故かためらった。
通話ボタンを押す。
青年は何度も手で顔を拭った。
したたり落ちる汗がモニター越しにでも見える。
朝から高温警報をテレビは繰り返していた。
――はい
順平は言った。
――S会社から来ました
――少々お待ちを
玄関の戸を開けると、熱風が吹き込んできた。
訪問者の半袖のカッターシャツは絞れるほどに汗で濡れていた。
その上彼は律義にネクタイを締めている。
連載小説「Q」#1-#20をまとめました。
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