補厳寺→世阿弥が物語につながった時は嬉しかった。連載のかたちで少しずつ書いていこうと思いました。できあがった作品はあちこちに不備がありました。連載を読んでいただいた方にはずいぶん不完全な小説を提供したと思います。でも、これが小説の原型です。推敲の過程で、「第二話 幽霊」が壊滅的に駄目だった。「過去と今がつながっている」という比喩が難しかった。「輪廻転生」から挙げ句の果ては「ジョン・レノンのイマジン」まで出して、七転八倒 していますが、結局は上手くいっていない。八月に連載を終えて十月まで推敲しなかったのは、「第二話 幽霊」の入り口も出口も見つからなかったからです。こういう時は書かずに考えます。風呂に入っている時、ふと浮かんだこと。テレビを見ている時、頭の中をよぎった言葉。それがジグソーのピースのように物語にはまった時、ようやく「第二話 幽霊」が出来ました。「輪廻転生」も「ジョン・レノンのイマジン」も削除され、「もう、出会っているのかもしれません。過去と未来はつながっているのですから」という文章に置き換わりました。