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京阪電車 ~日向千歩(四代目おけいはん)と行く京阪沿線紀行~ [DVD] |
クリエーター情報なし | |
ポニーキャニオン |
幼稚園時代に京阪沿線に引っ越して以来、通学、通勤に京阪電車を乗り続け、未だに『京阪電車LOVE』を一途に守り続けていおります。我が親父殿などは京阪電車の株主となり、株主優待の片道無料切符を片時も肌身から離したことがないという偏愛ぶりなのであるぞよ。
○
多分、去年のことだったと思うのだが……。
例のごとく大文字山へ行った帰りのことだったのかな? その辺の記憶がもうないのであるが、とりあえず大阪へ帰るために出町柳駅から京阪電車に乗ったときの出来事。
出町柳駅は京都側の起点であるので、慌てて車両に飛び込んで座席を確保することなく、ゆっくりと余裕で乗り込んでも座れるのである。
特急車両は通路をはさんで左右に二人がけのシートが進行方向を向いて並んでいる。オイラは車内最後尾の右側シート窓際に座った。すぐ横は空席。
通路をはさんだ左側シートの窓際に、麗しきやや茶髪の乙女が座った。彼女のすぐ横は空席。
▼ つまりこんな位置関係である。
【乙女】【空席】 通路 【空席】【オイラ】
出町柳駅を発車した時点では多くの空席が残っていたのであるが、三条駅、祗園四条駅で多くの客が乗り込んできたので、残る空席はオイラの横と乙女の横になってしまった。
次の七条駅で母子2人連れ(子供は幼稚園児男子と思われる)が乗り込んできた。
幼稚園児男子がまず乙女の横の空席に座った。
となると、母親はオイラの横の空席に座るのかと思いきや、通路に立って息子のそばにいる。
ここでオイラが「お母さん、そう遠慮なさらずに、オイラの横が空いてまっさかいにお座りよし」と声をかけるという手もあるにはあるのだが、当然のごとく放置プレー作戦を決め込んでみた。
空席があるとわかっているのに立っている人に向かって、「座りなさい」とはなかなか言えぬ。
電車が動き出す。
麗しきやや茶髪の乙女が突然スクッと立ち上がり、「お母さん、どうぞここに座ってください」と言ってオイラの横の空席に移動してきた。
なるほど! こういう席の譲り方は考えたこともなかった、とオイラはフツーに感動したのであった。まだ二十歳そこそこの若い乙女なのに、場の空気を読み切った的確な判断である。
▼ つまりはこんな位置関係となった。
【子供】【母親】 通路 【乙女】【オイラ】
「まさに君こそ、心優しき『クイーン・オブ・おけいはん』の称号の名に恥じぬ人!」と、オイラは乙女に告げたのか告げなかったのか記憶が定まらない。
次に停車した丹波橋駅で、オイラの前の座席に座っていた二人連れが下車したので空席となった。
心優しきクイーン・オブ・おけいはんのやや茶髪の二十歳の乙女は、今度はオイラに気遣って広いスペースを与えようとしてくれたのか、前の空席へ移動してしまったのである。
おいおい、そんな気遣いは不要であるぞォ!
そんなことするから、ドカドカと乗り込んできた体育会系の巨漢の男がオイラの横に座ってしまったではないか。オイラは巨漢野郎に圧迫されながら、窒息しそうな体勢で京橋まで隣り合わせしなければならないハメに陥ってしまったのであった。
件の乙女は枚方市駅で下車してしまいました。