猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

「皇室典範に関する有識者会議」の暴走止まらず!!

2005-10-25 23:49:56 | 皇位継承問題・皇室
 小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東京大学長)は25日、首相官邸で第14回会合を開き、皇位継承資格を女性皇族に拡大し、女性・女系天皇を認めることを全会一致で正式決定し、11月末にまとめる最終報告に明記する。容認の理由について、吉川座長は会合後の記者会見で「現行の皇室典範で安定的な継承ができるのかを議論した。(直系の)後継者は現実にいらっしゃらないし、必ず将来、後継者不足が生じる」と説明したが、全く納得できない。
 我が皇室の伝統はあくまでも男系による継承、すなわち父方の血を遡ればかならず同一の祖にたどりつくというものである。皇室の権威が伝統に由来する以上、伝統を何とかして守ろうと努力するのが悠久の歴史の中に身を置くものとしてのつとめである。万策尽きたならともかく、なぜ戦後皇籍離脱を余儀なくさせられた旧皇族の方々に復帰願って男系を守る努力をしないのか。確かにその対象となる旧皇族の方々は南北朝時代に分かれた血筋であるが、旧皇族というのは直系で皇統をついでいくことが困難であることを見越して作られた「世襲の宮家」と呼ばれる存在である。今こそ、その真価を発揮する場面ではないか。それを「現代に受け入れられるかどうかを議論し、ほとんど可能性がないことが分かった」といって済ませるのは一体どういう了見か。史上8人の女性天皇(しかも男系)が存在することを今回の結論の根拠の一つに用いるのならば、臣籍に降った後に皇位を継承された天皇(宇多天皇、醍醐天皇)が存在することも指摘しなければ不公平である。「現行の皇室典範で安定的な継承ができるのかを議論した。(直系の)後継者は現実にいらっしゃらないし、必ず将来、後継者不足が生じる」という座長の説明だが、直系にこだわるのがそもそもの間違いで、皇位継承の原理はあくまで男系であり直系ではない。また、内親王による宮家創設も認めると言っているようだが、そうなると血統は混乱して、皇室の権威は守られないと思う。ここのところをよく理解しているのは実は皇室を廃止することをもくろむ左翼勢力である。現に、左翼の論者から「女系を認めれば皇室は伝統の基盤を喪失し存在できなくなる」旨の議論が出て来ている。
 このまま、有識者会議の暴走が止まらず万が一皇室典範改正に至ったとしても、再改正して男系継承の原理を復元すべく世論の理解を深める努力を続けなければならない。皇室典範が改正されたとしても、それが適用されるにはまだ時間があるに違いないのだ。
 そういうわけで、「皇室典範を考える会」(代表・渡部昇一上智大名誉教授)と「皇室典範問題研究会」(代表・小堀桂一郎東大名誉教授)の活動を全力で応援したい。



(参考記事1)
[女性天皇、全会一致で容認…皇室典範有識者会議]
 小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長=吉川弘之・元東大学長)は25日の第14回会合で、安定的な皇位継承を維持するため、男系男子に限っている皇位継承資格者を女性皇族に拡大することで一致した。
 女性天皇と、女性天皇の子(女系)の即位を容認するもので、11月末をめどにまとめる報告書に盛り込む。政府は、報告書の提出を受けて、来年の通常国会で皇室典範を改正する方針だ。
 有識者会議はこれまでの会合で、皇位継承資格のあり方、皇位継承順位、皇族の範囲などテーマ別の検討を終えており、25日の会合で報告書作成に向けた意見集約に入った。その結果、全会一致で皇位継承資格を女性皇族にも拡大することを決めた。
 これに関連し、小泉首相は25日夜、首相官邸で記者団に対し、「(来年の通常国会での皇室典範改正について)その方向で準備を進めている」と述べた。
 吉川座長は会合後の記者会見で、女性天皇を容認する理由について、「現行の皇室典範で安定的な皇位継承ができるかどうかを議論したが、将来、後継者不足が生じることは明らかだ。憲法で定められた皇位の世襲を守るのが、女子、女系への拡大だ」と述べた。
 これまでの検討では、皇位継承者の確保策については、女性への皇位継承を認める案のほか、現行通りに男系男子に限ったうえで、戦後間もなく皇室を離脱した宮家の復活や、現在は認められていない養子縁組などで男系を維持する案もあった。
 これに対し、吉川座長は25日、「旧皇族(の復帰)という意見もあったが、現代に受け入れられるかどうかを議論し、ほとんど可能性がないことが分かった」と述べ、有識者会議では賛同を得るに至らなかったことを明らかにした。
 この日の会合では、女性天皇を容認した場合の皇位継承順位の決め方と皇族の範囲については、なお詰めなければならない論点が残っているとし、結論を先送りした。
 皇位継承順位については、天皇直系を優先させる点では一致している。ただ、男女を問わず、出生順に継承順位が決まる「長子優先」とするか、女子の後に弟が生まれた場合、弟を優先する「兄弟姉妹間での男子優先」とするかについては、有識者会議の中でも意見が割れている。
 皇族の範囲については、女性皇族が結婚後も皇室にとどまり、宮家の創設を認める方針だ。ただ、皇族が大幅に増え、皇族費が膨大になることへの懸念もあるため、さらに検討することにしている。
 有識者会議は11月7日に次回会合を開き、残された論点を議論するとともに、報告書の文案を作成する作業に入る方針だ。
(読売新聞) - 10月25日21時14分更新


(参考記事2)
[皇室論議 男系維持へ動き相次ぐ]
 政府の「皇室典範に関する有識者会議」が、女性・女系天皇容認の方向で結論を急いでいることに反発する民間グループや議員の会合が二十一日、相次いで開かれた。
 国会内では、学者や文化人らで組織する「皇室典範を考える会」(代表・渡部昇一上智大名誉教授)が記者会見し、皇室の男系継承を維持するための旧皇族の皇籍復帰も含めた慎重な議論を求める声明を発表した。声明では、有識者会議が女系継承を想定し、その方向に結論づける会議運営をしていると指摘。皇族や国民の意見を無視したまま、皇室典範改正案が次期通常国会に提出されようとしていることに、強い懸念を表明している。同会メンバーは、岡崎久彦・元駐タイ大使▽中西輝政・京大教授▽藤原正彦・お茶の水大教授▽宇佐美忠信・元同盟会長ら。六日には、同じく皇室の男系継承の伝統を尊重する「皇室典範問題研究会」(代表・小堀桂一郎東大名誉教授)が発足、両グループは連携して世論に働きかける。
 また、二十一日には自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」も八木秀次高崎経済大助教授を講師に勉強会を開催。八木氏は「天皇制廃絶を打ち出していた左翼団体が今、女系天皇容認を言い出している」と現状を報告した。
 民主党の保守系議員にも有識者会議の行方に危機感を持つ国会議員は少なくなく、超党派での勉強会を模索する動きも出ている。
(産経新聞) - 10月22日3時9分更新


☆もしよろしければ、Blog●Rankingに投票お願いいたします。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
神話でも、皇統は男系男子のみ・・・本当の話。 (びーちぇ)
2005-10-29 06:23:54
コメントありがとうございました。



記紀の原本となったヲシテ文献によれば、

建国以来、現在神話とされている時代においても、一度の例外も無く男系男子の天皇しか記されておりません。



近々そのテーマで書こうと思っておりますが。



この文書、文献全ては、

12代景行天皇の時代以後に、支那系渡来人、およびそれに迎合する勢力により

禁書、焚書とされたと思われます。



記紀が編纂されたのは、

おそらく女帝即位を正当化、容易にならしめるため、

「天照大神は男性であり、それ以前神代にも女性天皇はいなかった」ことは、

政治的配慮により、消されなければならなかったと思われるのです。



この文献の最古の写本(完本)が見つかったのが平成4年。

未だ研究者の数も少なく、一般的に知られてはおりませんが。



とにかく、

「日本有史以来、神代と言えども全て男系男子で皇統は続いている」

ことを申し上げておきたいと思います。
返信する
びーちぇ様 (猫研究員(高峰康修))
2005-10-29 22:30:08
コメントありがとうございます。

神代にさかのぼっても男系男子とは、文書に基づく歴史の研究がどれほど大事かということですね。皇位継承を考えるということは、皇室の一番の祖にまでさかのぼって継承原理を考えると言う作業でなければならないはずなのに、戦後教育の悪弊により神代の話が出てきた時点でアレルギー起こすようです。有識者会議なんて、目先二三代のことしか考えてないでしょう。

新作、楽しみにしております!
返信する