猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

国連初の半年暫定予算―国連改革への道のりは遠い

2005-12-25 09:28:16 | 国連
 米国のボルトン国連大使の「国連の効率化という改革なくしては暫定予算しか認められぬ」という強硬な主張が通った形で、国連史上初の半年暫定予算が組まれることになった。
 具体的には、二〇〇六-〇七年の国連通常予算において、半年分に相当する九億五千万ドル(約千百億円)の支出のみを事務局に認める予算決議を全会一致で採択した。事務局には一年分の分担金を加盟国から徴収し、うち半年分の九億五千万ドルまでの支出を行う権限が認められるという形態である。しかし、後半の半年間をどうするかを巡って先進国と途上国の間で解釈に大きな隔たりがある。先進国側は、その期間に事業や組織の見直しを進め具体的な改革の道筋を付けるという意図を持っている。それに対して、途上国側は既得権益を死守すべく、半年後には自動的に残りの分も無条件に承認させたいというのが本音である。
 このように、今回の「暫定予算騒動」は玉虫色の妥協の産物であり、期待したほど満足できるものではないが、予算を梃子に改革を迫るという手法に道筋を開いたことは歴史的意義を持つと思う。中途半端な感が拭えない結果となったのは、米国にとっても国連の存在価値は無視できないものがあり、まだ利用できるという判断であり仕方ない面は大いにある。また、日本が「支出制限案」の提案国に加わったことも画期的である。日本も国連との付き合い方に関して、少しは学習したのではないだろうか。
 しかし、途上国側の抵抗には強烈なものがあり、今後の進展には予断を許さない。半年経過後が正念場となるだろう。その際には、もはやこれ以上譲歩すべきではないと思う。


(参考記事)
[国連初の半年暫定予算 改革観、途上国と溝]
 【ニューヨーク=長戸雅子】国連総会は二十三日、二〇〇六-〇七年の国連通常予算で、半年分に相当する九億五千万ドル(約千百億円)の支出のみを事務局に認める予算決議を全会一致で採択した。支出制限を盛り込んだ予算編成は国連史上初めて。予算が成立しないまま越年する危機こそ回避されたものの、不要事業の見直しなど国連改革に積極的な日米などと、現状維持を望む途上国の「改革観の違い」は持ち越されたままで、改革案が具体化する来年二月以降に再び激しい攻防が展開されそうだ。
 予算交渉では、既存事業の継続を前提とした二カ年予算を求める途上国側に対し、米国が「改革を反映した予算」を掲げ三、四カ月程度の暫定予算を求めて対立。打開策として、日米、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの五カ国が支出制限案を提案した。
 これにより、事務局には一年分の分担金を加盟国から徴収し、うち半年分の九億五千万ドルまでの支出を行う権限が認められることになった。この半年間に事業や組織の見直しを進め、具体的な改革の道筋を付けるという先進国側の狙いがある。
 制限案を軸にした交渉で最大の焦点となったのは「半年後」の残りの予算承認をどうするかだ。
 五カ国側は「国連改革の進展状況を見て承認する」と改革先行型の承認を主張したが、途上国側は「無条件」の承認を要求、半年間に改革がどこまで進展したかを問題としない姿勢を見せた。
 最終交渉の結果、途上国側は「無条件」との主張は取り下げたものの、先進国側も譲歩し、半年後の支出承認と改革をリンクさせた文言は決議に盛り込まれなかった。
 開発途上国七十七カ国グループ(G77)の議長国、ジャマイカのニール国連大使は「〇六-〇七年に限った例外的な措置だから、(支出制限案を)受け入れたが、国連にとって良いことだとは思っていない」と不承不承の合意だったと述べ、「改革と予算を効果的に連動させるという目的は保たれた」とするボルトン米国連大使の評価との差異を浮き彫りにした。
 ボルトン大使は「多くの難しい作業がこれから先に控えている」とも語り、既存事業・組織の見直しについてまとめたアナン事務総長の報告書が出される来年二月以降に、途上国との交渉が再び難航することを示唆した。
(産経新聞) - 12月25日2時53分更新


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (相対的価値Blog(日本人的視点))
2005-12-30 11:50:11
今年は大変お世話になり、様々な御意見などを交換できまして、ありがとうございました。

どうぞ良いお年をお迎え下さい。

来年もよろしくお願いいたします。
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Unknown (劇団たぬき)
2005-12-31 21:54:29
猫研究員。さんには、いろいろ勉強させていただきました。本当にありがとうございました。

それと、僕の稚拙なブログにもコメントやTBをいただき、重ねて御礼申し上げます。



今年も残すところ数時間と相成りました。

どうぞ良いお年をお迎えください。

そして、来年もどうぞよろしくお願いします。
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ありがとうございます (猫研究員。(高峰康修))
2006-01-01 04:06:07
相対的価値Blog(日本人的視点)さま、劇団たぬきさま、どうもありがとうございます。こちらこそ旧年中はお世話になりました。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。読者がいてくださればこそのブログですから。

2006年がよき年になりますように!
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