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法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

『理詰めの営業』 - 会議設計- 自社のポジション

2019-02-24 21:00:21 | 会議設計
客先での自社の現時点のポジションを整理し、「良好」「問題あり」の判定を行います。

例えば、「キーパーソンと課題を共有できている」「過去の納入実績は他社の2倍」「サービスサポートについては高く評価されている」「財務的に安定(無借金経営)」などはプラスに評価できます。

一方、「前回の投資では失注している」「オペレーターが弊社のサービスエンジニアを嫌っている」などはマイナスに評価されます。会議の直近に起きた故障もマイナスです。私自身も、実際、顧客訪問の直前にシステムダウンが起き、新製品の売り込みに苦労したことがあります。

いずれにしても、「顧客基礎情報分析」「問題・課題・ニーズ分析」「関係顧客分析」「競合分析」「自社分析」から出てきた強み・弱み・課題を整理して記入します。

その中で、営業ステップを前進させるために何をどうこの会議で活用し、何をどうリカバーするか検討します。すなわち、自社の強みを活用し、弱みをリカバーする方法を考えます。

例えば、サービスサポートを顧客が高く評価しているのであれば、プレゼンに自社のサービス体制や実績を加え、他社との差別化のポイントにします。
逆に前回の投資で失注しているのであれば、失注原因を明らかにしてそのリカバーができていることを明確にします。例えば、前回は他社にあって自社にない機能があったが今は十分に対応できるとプレゼンすることです。

今回の例であれば、納入実績はプラス要因ですが、「山形事業所でのトラブルによる装置の安定性への疑問」や「原宿部長が競合メーカーの高雄工業を高く評価」はマイナス要因となります。これらを踏まえて、どのように会議を設計するかを考えます。

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『理詰めの営業』 - 会議設計 - 来年のシナリオ

2018-12-30 22:08:16 | 会議設計
これが今年、最後の更新です。一年間、応援していただきありがとうございました。

『理詰めの営業』の解説は、『会議設計』の途中で終わってしまいました。年末で区切り良く終わらせたかったのですが、『質問設計』という重要な項目が残っているため、あえて先を急がず、来年、じっくり書こうと思った次第です。

今年、一気読みした本を2冊ご紹介します。

一冊は、楠木健著『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済)。「優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリー」「戦略を構成する要素がからみあって、全体としてゴールに向かっていくイメージが動画のように見えてくる」「流れをもったストーリー」ということから、競争戦略をストーリー作りとして捉えています。

自分の体験でも、難しい仕事がうまくいったときは、人に話したくなるようなストーリーを話せる場合があります。『会議設計』では、シナリオとして会議の流れをイメージするように設計されています。会議設計は戦略という言葉を使うよりも戦術に近いものです。戦術はシナリオ作りが基本、と年末の今、言わせてください。

二冊目は、フィル・ナイト著『Shoe Dog』(東洋経済)。ナイキの創業者フィル・ナイトの情熱と、その発展に日本の靴メーカーオニツカ(悪口が多いが)と日本の商社、日商岩井が貢献していたことに心を打たれました。特に、日商岩井の決断は、日本人として誇りに思います。まさに侍。


さて、来年はどういうシナリオにするかいつもより少し長い年末・年始に考えてみます。

では、皆様、よいお年をお迎えください。



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『理詰めの営業』 - 会議設計 - 相手の期待を予想する

2018-11-18 18:21:21 | 会議設計
さて、ここまでの流れを整理してみると、まず、
「会議のゴールを設定」します。
そして、そのゴールを達成するための具体的な
「シナリオを作成」します。
ここから、目標達成に必要な
「必須出席者(顧客および自社)の確認」
「確認事項・不足情報の洗い出し」
を行うというものでした。

次に、顧客の各出席者がどのような期待・考えを持って会議に来るのかを予想します。

例えば、渋谷部長は「今抱えている歩留まりの問題を解決するために是非デモを行いたい」と本気で思って来るのかもしれませんし、
あまり期待はできないが「現状問題はないけど長年の付き合いなのでとりあえず会議の最初だけでも出てみるか」と考えているかもしれません。

後者の場合は、この会議でキーマンである渋谷部長に歩留まりの改善という課題の重要性を気付かせ、それをより深刻なものにするための「質問設計」が重要となります。
「質問設計」は、後述しますが、それはゴールを達成するための一連の質問の準備です

品田電子の例では、
渋谷部長の期待:歩留まり改善に効果があるかデモで確かめたい。しかし、山形事業所でトラブルを起こしており、装置の信頼性は疑問。
原宿部長の期待:歩留まり改善には期待。しかし、高尾工業の方が、言うことを聴いてくれる。
としましょう。

つまり、原宿部長は、調布製作所よりも高雄工業がお気に入りのようです。この点に関しても対策が必要なことが分かりました。
営業の稲田さん、確かに原宿部長とのコミュニケーションが少なかったと反省しきりです。
ここも営業が顧客をどれだけ知っているか、どれだけ対策を取ってきているかが問われています。


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『理詰めの営業』- 会議設計 - シナリオを考える

2018-10-29 17:45:34 | 会議設計
「できる営業」は、会議のゴールを達成するまでの議事進行のシナリオが頭の中にできています。それまでの経験と訓練から導かれるもので、シナリオだけでなく会議を進めるための問題点や不足している情報なども即座に整理できます。

ここでは、客先に行く前の「事前打ち合わせのたたき台」として、営業の稲田さんにシナリオを考えてもらいます。

私:稲田さん、できるだけ具体的にお願いします。不足している情報や社内で検討すべき点も挙げてください。
稲田:場所は、品川電子開発部会議室、縦長に2列テーブルが並んだ会議室か、それともロの字に並んだ会議室か、先輩に確認する必要がありますね。プロジェクターは設置されていると思うが、これも確認し、使用許可をもらいます。
全体の流れは、名刺交換、仙川部長に口火を切ってもらって業界の話で場を和らげたところで、本題の歩留まり改善方法のプレゼン、デモ提案、デモ日程の検討・決定の順。最後に、競合他社の状況を確認。議事進行は齋藤課長。
私:山形事業所で先月起きたトラブルの件は、品川電子の方も気にされていると思います。この会議で状況を説明しますか。
稲田:1か月前に起きた山形事業所でのトラブルの件は、故障解析も終わり、対策を打ったことを説明する予定です。どのタイミングで言うべきか、言わざるべきか、事前打ち合わせで検討します。
私:御社からの出席者と席順は?
稲田:席順はプロジェクターに一番近いところが営業の稲田、そこから営業課長の齋藤、営業部長の仙川、プレゼンを行うアプリケーションの高井、そして装置を開発した課長の柴崎。
私:絶対に出席して欲しい品川電子の方はどなたですか?
稲田:品川電子に出席を依頼したのは歩留まり改善を急いでいる開発部渋谷部長、目黒課長、大崎主任。渋谷部長に決定権があるらしいので渋谷部長は必須です。
私:他には?
稲田:・・・・
私:デモを行うかどうかは渋谷部長が決めるようですが、デモはどのように行うのですか。
稲田:あ、そうだ、デモが決まった場合、サンプルが必要になるので生産技術部の出席が必要ですが、誰かきてくれるかな
私:誰か来てくれるかではなく、必要な人を出席させる。誰を?それが重要です。
稲田さん、課長に電話。即決させるためには生産技術部の原宿部長の出席が必須だということになりました。
私:競合情報を聞き出せそうな人はいますか?
稲田:購買の山田主任なら少し教えてくれると思います。会議には声をかけておいて、情報収集は席を変えての方がよさそうです。
私:では、会議設計シートに、今話した内容を記入してください。

まずまず埋まったようですね。事前打合せまでは、少し時間があるので、宿題も解決し、シートの内容も更に詳細なものになるでしょう。





会議シートのあるようにシナリオが決まったら、「最大のゴール」を達成するために必要な人をリストアップし、会議への出席を依頼します。前述の会話例では、曖昧な点もありますが、開発部部長、生産技術部部長の二人が必須出席者になります。

会議への招集を担当者に任せるのではなく、営業自らキーパーソンに連絡し、出席を依頼すべきです。そのためには、キーパーソンに事前に会い、良好な関係を構築しておく必要があります。相手任せではなく、営業自ら積極的に、能動的に会議をプランし、営業ステップを前に進めるように策(戦略というほどではない)を練ります。

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『理詰めの営業』 - 会議設計 - ゴールを設定する

2018-10-29 17:38:53 | 会議設計
私は、営業支援の一環として、営業に同行し、顧客を訪問します。そして、営業支援の初期段階では、営業に以下のような質問します。
私:来週の訪問の目的は
営業:新製品のデモへの勧誘です
私:誰がキーパーソンですか
営業:開発部の渋谷部長のようです
私:他には
営業:生産技術部の原宿部長だと聞いています
私:担当者には、決定権はないでしょうけど、影響力はないのですか
営業:担当の大崎さんは細かい人で、皆から嫌われているようです
私:来週の会議に出てくるのは誰ですか
営業:大崎さんにお願いして関係者を呼ぶようにお願いしてあります
私:・・・・・・・・     
   
さて、入社3年目の営業の稲田さん、会議の目的は、「新製品のデモへの勧誘」と明確ですが、キーパーソンが誰かは少々自信なさそうです。また、キーパーソンと思われる渋谷部長や原宿部長が会議に出席してくれるかどうかも不明確です。キーパーソンの招集を皆から嫌われている担当者任せで良いのでしょうか。

結構、あいまいなまま会議を行おうとしている、これが営業の現場に実情です。もっとしっかり会議の準備をし、必ず営業ステップを前へ進めるようにしましょう。

では会議設計ツールの説明に入ります。

この事例を参考にしながら、ご自分の案件を当てはめてください。

(1)ゴールの設定
会議を行う場合は、先ずゴールを明確にしましょう。「理詰めの営業」では、「次の営業ステップ」がゴールになります。先程の会話の例ように、次の営業ステップがデモを行うことであるなら、「いつ、どのように、デモを行うかを決定する」がゴールとなります。

また、「理詰めの営業」では、会議設計シートにあるように、「最大のゴール」と「最小のゴール」を決めることにしており、前記の場合であれば「デモの日程・内容を決定」が「最大のゴール」であり、「デモを行うことは決定。日程・デモ内容については次の会議に持ち越し」が「最小のゴール」となります。つまり、最低でもここまで営業プロセスを進めることを「最小のゴール」とします。



さて、できる営業は、会議のゴールを達成するまでのシナリオが頭の中にできています。次のステップは、そのシナリオ作成です。できるだけ、映画のようにイメージを頭の中に作っていきます。これにより問題点も見つけることができ、顧客からだけでなく自社からも出席してもらう必要がある役者も見えてきます。自分の案件で考えてみてください。



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