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法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

営業関連書籍紹介:『営業は感情移入』- 本のタイトルから受ける印象よりも科学的で奥の深いアプローチを提示

2022-03-20 10:51:33 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:営業は感情移入
出版社:プレジデント社
著者:横田雅俊(カーナープロダクト代表取締役)

読後に調べたことであるが、著者が起こした会社は「営業を科学する」ことをテーマにしており、そのホームページの最初には、
「株式会社カーナープロダクトは、営業に特化したコンサルティングファームです。科学的手法に基いた徹底的な分析を基に、オーダーメイドでマーケティング戦略、営業戦略策定、営業コンサルティング、営業研修・営業セミナー等を提供しています。理論や理屈ではなく、成果に直結する具体的なアクションにより、顧客企業の継続的成長に貢献いたします。」
とある。

営業研究の材料の一つとして本屋でこの本を手に取ったときは、本のタイトルから精神論満載の本かと思った。しかし、読み進めるにつれ、私が進めている営業のアプローチに近く、奥の深い本であることが判った。

「顧客のパートナーになるための条件=情報収集x価値提案x顧客のメリット」と定義し、顧客の情報の収集と顧客理解の重要性を説き、顧客を十分に理解していると認知され、相談を持ちかけられるようになり、課題解決の提案を行う。これを継続し、顧客のロイアリティを獲得する。

課題解決の提案を行うためには顧客の抱えている課題ばかりでなく組織や人間関係も把握する必要があり、そのためには、知識力、観察力、質問力、想像力、共感力、記憶力が必要とする。

これらの考え方はニール・ラッカム(Neil Rackham)のSPINやMiller Heimanのブルーシートの考え方と共通する部分も多い。

著者は理系の出身であるため、「理論や理屈ではなく」と言いつつも、科学的なアプローチを取っている。

また、著者の会社は、コンサルティングの会社であるが、具体的なツールについてはほとんど触れていない。

しかし、戦略思考を学びたい営業には、有効な本といえる。

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営業関連書籍紹介:『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか』- そもそも学校では教えない「営業」

2022-03-13 12:26:04 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか
出版社:プレジデント社
著者:フィリップ・デルヴィス・ブロートン
訳者:関美和



理系の私がエレクトロニクスのエンジニアからマーケティング、営業とキャリアを積み重ねる中で、どう勉強したらよいのか一番悩んだのが営業であった。
エンジニアの仕事では、学生時代に学んだ専門科目等を基礎にして、実務を行いながら関連する書籍や論文を読み、自分の知識・経験を蓄積できた。

転職してプロダクト・マーケティングとなったときは、フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』などを精読し、
また、ボストンカレッジのエグゼクティブコースでインターナショナル・マーケティングを学ぶ機会も得た。

では、営業はどうでしょうか。

何事も新しいことを始めるときは勉強から入る。しかし、営業学という学問はない。大学に営業学部という学部は存在しない。

学問的には、営業はマーケティングの4P(製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion))のプロモーションの中の人的販売に過ぎない。
コトラーの本を紐解いても、営業に関する記述は多くはない。

なぜ、世の中に営業が沢山いるのに営業を体系的に学ぶことができないのかと疑問に思っていた私はこの本を手に取ってみた。

その理由は、この本の序章に書かれており、第1章から終章までは、営業の意義、営業の困難さ、営業に必要な資質、営業という仕事の幅の広さ・奥行などが書かれている。
あたかも、営業はあたかもその複雑さと幅の広さ・奥行の深さ故に、学問として「体系化できない」のだと言いたいようであった。

私が営業を研究し、コンプレックスセールスに関して『理詰めの営業』という方法論を作り出した背景には、この「営業を体系化できないか」という疑問がきっかけであった。
営業に向けた精神論ではなく論理的で明確な指針ができないか、個人の資質にのみ依存しない営業の方法論を確立できないかと考えた。
目指したのは、営業プロセスの標準化やマニュアル化ではなく、顧客の動きや環境変化に対して動的に、柔軟に対応するためのツールの作成と営業を論理的に行う方法の開発であった。

<ハーバード大学構内風景>


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営業関連書籍紹介:『伝統と革新の相克 営業の本質』- 営業を学術的に論じる

2022-03-05 22:44:34 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:伝統と革新の相克 営業の本質
出版社:有斐閣
編者:石井淳蔵(神戸大学教授*)、嶋口充輝(慶應義塾大学教授*)
訳者:㈱富士ゼロックス総合教育研究所
*出版時のタイトル

営業関連の書物では大変珍しい学術書で、編者もマーケティング界のトップクラスの方々である。

「営業を科学する」と標榜する方々には、必読の書。

現実編、理論編、戦略編の3部構成となっているが、順番に関わりなく興味のある項目を読める内容になっている。

主な目次は以下の通り。
・ 営業革新の現実
 - コンビニエンス・ストア向けの営業は不要か
 - ハイテク営業の可能性(松下電工にみる営業支援システム)
 - 組織型営業の革新(タカラベルモントの事例)
 - 営業体制のダイヤモンド
・ 営業の理論
 - 営業の信頼性理論
 - 営業の関係理論
 - 営業の認知理論
・ 営業の戦略
 - 営業の戦略と組織
 - ワークショップ型営業の可能性

日ごろ営業として働いている方々や経営者も、自分たちが感じている矛盾点や違和感の原因はこういうことだったのかと納得する本書の内容である。

また、別途紹介するが、石井淳蔵著『営業をマネジメントする』は、営業プロセス・マネジメントの良書であり、事例も分かりやすい。

しかし、私は西村務著『生産財のマーケティング - ビジネス対ビジネスの戦略と実際』の方が、生産財の営業やBtoBの営業には有益と確信している。

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営業関連書籍紹介:『営業を営業にまかせるな』- 過激な著者が、最先端の営業改革を提案

2022-02-26 23:09:30 | 営業関連書籍の紹介
書籍名:営業を営業にまかせるな – 営業超改造プログラム
出版社:ダイヤモンド社
著者:森口茂 日本エフ・シー・コム社長

関西人らしいパンチの効いた書名だが、あまり期待しないで手に取った。

最初の三章は、マーケティング機能を持つ営業という典型的な日本企業の営業について書かれているので、マーケティングと営業を分けている外資系で育ったものにとっては違和感があった。私は、マーケティングは独立した組織として持つべきと考えており、営業にマーケティングの機能を中途半端に持たせていることが日本企業の弱点と考えている。

しかし、営業をどう普遍化するかを説いた4章以降は、米国系の先端企業で行われている営業に匹敵する内容となっている。

また、商品をハード商品、ソフト商品、顧客接点に分解し、顧客がその商品を使用するメリットであるソフト商品こそが営業が売るべき商品とし、このブログの基本テーマであるバリューセールス(Value Sales)(『理詰めの営業』の別名)の概念を説いているポイントは重要である。

この本の特徴の一つは、取り扱う商品やサービスにより各種ある営業を「狩猟型営業」と「農耕型営業」の切り口でとらえたことである。「狩猟型営業」は、注文を追いかけて顧客を開拓していく活動で、1回注文をもらってしまえば、顧客が再び投資を考えない限り受注が見込めず、新たな顧客を求める。「農耕型営業」は、田畑をきちんとメンテナンスしていれば、毎年同じ場所で収穫できる、すなわち、一旦、商品を採用してもらえれば、フォローをきちんと行うことで、継続して注文を得られる営業である。

また、もう一つの特徴は、営業活動を「採用される営業活動」と「メンテナンス営業活動」に分解していることである。
「採用される営業活動」を営業活動の出発点と捉え、プロセス思考を取り入れ、受注までの商談プロセスをどう前に進めるか会社としての取り組むことを提案するとともに、具体的な方法を述べている。
また、同時に「メンテナンス営業活動」の意義、重要性についても説いている。

この本を先ず熟読し、営業の新たな戦略の枠組みを理解した上で、ニール・ラッカム(Neil Rackham)の『大型商談を成約に導くSPIN営業術』や横田雅俊(カーナープロダクト代表取締役)の『営業は感情移入』を読むことにより具体的な戦術に落としこめると考える。

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営業関連書籍紹介:『「SPIN」営業術』- 大型商談やコンサルティング営業を成功に導く

2022-02-20 17:05:59 | 営業関連書籍の紹介
提案営業やコンプレックスセールスに携わっている方は、すでにお読みの本だと思うが、この4月から新人営業として活躍される方へ紹介する目的で記事を書いた。

Amazonで営業関係の本の売れ筋を調べたところ、『大型商談を成約に導くSPIN営業術』が、第5位に入っていた。

私がこの本を購入したのが、2009年。営業関連では超ロングセラーであろう。

SPIN(スピン)は数千万円から億円単位の大型商談やコンサルティング営業を成功に導くための質問の戦略である。

営業成功の基本は、「いかに顧客を深く理解するか」であり、「顧客の問題・課題を探り出し、それをどう深刻で重大なものに育て上げるか」である。その切り口がSPINである。

SPINは以下の略。

S: Situation Questions(状況質問)….顧客の現状に関する質問。例えば、工場や装置の利用状況、歩留まり、予算の有無や金額、装置購入の意思決定プロセス、組織等。
P: Problem Questions(問題質問)…..顧客の潜在的な問題・課題を抽出。装置の利用率の低い理由、歩留まりが上がらない理由等。
I: Implication Questions(示唆質問)…..顧客が問題の深刻さを理解できるように仕向ける質問。例えば、歩留まりが上がらないことにより年間で1億円損失を出している等。
N: Need-Payoff Questions(解決質問)…..問題・課題が解決できた場合に顧客のもたらさる価値….
                   例えば、この装置を用いれば歩留まりが改善されれば今の年1億円のロスがなくなるとともに年間2億円の利益を生む等

誰が、どのような質問を顧客にして、顧客の心を動かし、自社製品を選択させるか、その戦略は大変重要である。

私はすでにSPINを活用しているが、これだけでは不十分と考え以下のツールを用意している。

①当該商談に関わるすべての顧客の名前、ポジション、役割(装置の評価者、装置の選定者、予算執行者等)と
 各自の本音の思惑・考え(例えば、安いものを選択したい、他メーカーの装置を選択したい、この件には巻き込まれたくない等)をリストアップ
②競合製品情報のまとめ
③商談をクローズするまでの道筋を示すスケジュール表

これだけの情報をそろえるには、相当の時間を用いて顧客とコミュニケーションを持ち、良好な関係を構築する必要がある。

逆に、これらの情報を用いることにより不足している情報が明確になる。

大型商談の営業ならではの活動といえる。
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