遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

隠れても無駄・・・なのかも

2013-02-02 21:52:07 | BIONEWS
ネットを使えば、遺伝子データベースから個人を特定可能!?
インターネットと公開データベースのみを用いて、遺伝子の研究に協力した50人の身元を割り出すことに成功しました。
ちょとわかりにくいかもしれませぬが・・・俺もよーわからぬ。w w w

出発点は、1,000人ゲノムプロジェクトに含まれるヒト多型性研究所(Centre d’Etude du Polymorphisme Humain:CEPH)のゲノム・データベース。考察に用いられたのは、ある特定のタイプの遺伝子Y-STRである。これはY染色体の“Short Tandem Repeat”(縦列型反復配列)のことで、それぞれの人に固有の遺伝子マーカーとなる。
この固有性は、父から息子へと伝達されるため(研究者が説明しているように「姓」と同じ)、Y-STRと家系図(より正確には姓の系統図)の間には強い関連が生じる。この記録を利用して、研究者たちは、彼らのもつDNAシークエンスとデータベースに収録されているものの対応を見つけて、彼らのY-STRと姓を関連づけようと試みた。次に専門家が、過去帳や家系図を扱ったサイトである国立一般医科学研究所(National Institute of General Medical Sciences:NIGMS)がサポートし、ニュージャージー州のコリエル医学研究所(Coriell Institute for Medical Research)に保管されているヒト遺伝子細胞リポジトリ(Human Genetic Cell Repository)を参照することで、彼らのデータを補完した。このようにして、科学者たちは、アメリカでCEPHに参加した約50人の人々の身元を突き止めることに成功した。

『Science』誌に出たこの論文をまだ読んでないので・・・いや読まないと思うので・・・詳細は分かりませんが、DNA配列で誰でも個人が特定出来る時代はもうすぐ来ているんでしょう。記事を読むと、Y-STRを使ったので、女性ではどうなのかよくわかりませんが。w
この記事を読んですぐに連想したのは。『六次の隔たり』です。実は上の記事とはあんまし関係ないのですがね。六次の隔たりというのは、人は自分の知り合いを6人以上介すと世界中の人々と間接的な知り合いになれる、という仮説で、多くの人数からなる世界が比較的少ない人数を介して繋がるスモール・ワールド現象の一例とされています。SNSに代表されるいくつかのネットワークサービスはこの仮説が下地になっています(wikipediaより転載)。どんな情報でもたどっていけば、簡単に個人にたどりつく時代が来るのかもしれません。

個人を特定するデータベースを作るなら健康診断で毎年採られるサンプルだけで可能ですよ。全ゲノム配列を決定する必要はないのですから。上の記事では、そのために用意されたデータでなくても、今の蓄積分データだけで個人の特定が出来たわけです。以前にも書きましたが、ゲノムDNA配列って、人間社会の『パンドラの箱』になりうる情報です。開けることが可能だからといって、覚悟もルールもなく開けてはいけないのです。最近語られる出生前診断の倫理的問題と合わせて、あらゆる可能性をふまえた社会的合意を形成しておく必要があります。

話し変わりまして・・・今朝、目を覚してびっくりしたのはこれ。
NY円急落、一時92円97銭=2年8カ月ぶり安値―対ユーロでは127円目前(時事通信) - goo ニュース
「円安誘導」の海外批判に反論へ=IMF幹部と5日会談―麻生財務相(時事通信) - goo ニュース
ユーロ、すごい勢いで高騰しています。対円だけじゃないですよ。ドイツの財相が日本に先日モンクいいましたが、麻生さんが言い返すまでもなく、日本政府も日銀も為替市場に対しては何にもしてません。ユーロが勝手に上がってます。そもそもドイツは通貨安でしこたま儲けたんだから、そのとばっちりを受けてた日本にとやかく言うのはおかしいですよね。だいたい現政府の政策だけでなくて、日本の貿易赤字とかも円安の原因だったりするわけでして、それに円安が拍車をかけるという・・・西日本の原発動かせよ、もうくだらない言葉遊びうざいよ。

A 100-Yen Dollar Can’t Fix Japan’s Woes, Says Citi’s Englander
WSJのJapanRealTimeの記事なので、日本語版があるはずなんですが・・・めんどくさい。外国紙の記事は英語で読もうね。まあ要するに、1ドル100円になっても構造改革が出来なければダメなのです。経済、産業、雇用、etcの『構造』があかんのであって、デフレとか円高はその結果にすぎません。その証拠に政府も日銀も何もしないのに市場は動くわけです。トレンドを作ったのを自分だと思ってると安倍さんアウトっすよ。ユーロ高だって、欧州の債務問題はいっさい解決しておらず先送られただけなのに高くなってるんですよ。市場のおもちゃになってるだけ♪
確かなのは、米国経済が回復傾向なことだけかなぁ。でも、米国政府の財政は綱渡り状態・・・なのに、NYダウは絶好調。ITをはじめとするハイテク系は不調で、米国で株価を上げているのは金融関係。どの先進国も「ものづくり」はダメっぽいですな。少々高度な技術でも新興国にすぐ追いつかれるので、情報や人材を含めたソフトの厚みのある業界で先進国は喰っていかないといけません。

本日のお酒:YEBISU THE BLACK + SAPPORO FIVE STAR + 満寿泉 からくち
コメント
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